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追憶
ある少女は普通を願った。
ある少年は選択を誤った。
ある少女は憧れた物語に身を委ねた。
ある少年は音楽が嫌いになった。
ある少年は人の目を見ることができなかった。
ある少女は置いて行かれ名前を呼んでもらえなかった。
僕の存在理由とはなんだろう。
彼らに忘れられて尚執着するのは何故だろう。
僕は彼らの記憶の片隅にも居れないのに、彼らは僕の記憶の中心にいる。
こんなになってしまってもまだ僕は望むことを辞められなかった。何をしても無駄なのに。
一度人間の醜さを思い知ったのに。
日は沈む。夜がくる。
おねがい、僕を、
思い出して……………。
彼らが思いだしてくれるまで、悲しくならないように唄を歌おう。滑稽で残酷で優しくて面白い唄。
あの頃彼らに教えた唄。
どうかどうか、届きますように。
願わくば思い出してくれますように。
夏は短い。
僕が消えてしまう前に。