僕らの世界と彼らの世界
世界は一つではない。
いつか、誰かが言ってた。
誰だったかな。
確か中2の時に担任の先生が言ってた。
英語の授業が始まるなり、何の脈絡もなく―――
「お前ら、パラレルワールドって知ってっか?」
そう言ったんだ。
* * *
日本の夏、といえば何が思い浮かぶだろうか。
お祭り、花火、海、かき氷、色々ある。
そんな日本の夏が遠く思えるほど、この星の夏は暑い。
僕、瀬田川双二は今、地球を離れている。
海外に留学という名目で、実際には地球どころか太陽系にすらいない。
僕はこの星に、地球の友好大使として来た。
普通の高校で生徒会長をしていただけの僕は、何故か極秘の友好大使に選ばれ、何故か日本語の通じるこの星で、何故か普通に生活している。
この星に来て一ヶ月経つ。楽しい事もあったけど、正直辛い事も多い。
この星の住人達は、基本的に僕ら地球人を下に見ている。
一人で出歩くと絡まれたり、物を盗られたりもする。
地球人と比べて、彼らは強い。僕なんて一撃でやられてしまうだろう。
だから今、僕が一人で買い物をしているのはとても危険な事だ。
コソコソ裏道を進んで目的地へ。さっさと買い物を済ませて帰る。
一ヶ月で僕に絡んでくる人たちの行動パターンは把握してある。鉢合わせる事は無い。
無事に僕がこの星で住まわせてもらっている場所、アーカリウス教会に帰って来れた。
「おかえり、ソウジ」
「ただいま、セラフィさん」
彼女はこの教会の主であり聖女、セラフィ・アーカリウスさん。
この教会の裏の家で住んでいて、僕に寝床を提供してくれている。
寝床といっても、強制的に添い寝させられてるだけだけど・・・。
「今日はどうだった?あいつらに絡まれなかったか?」
「大丈夫ですよ。もうあいつらの動きは覚えましたから」
「いいか?もし次絡まれたら、私の名前を出してタダじゃ済まないって言えよ?」
「はいはい、わかりました」
過保護だよ、セラフィさん。
その言葉を飲み込み、椅子に座る。
日常。
僕の中で、ここでの生活は日常になりつつある。
いつか壊れる、平穏な日々だ。




