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小暮亜矢の冒険  作者: 真白もじ
プロローグ
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プロローグ

 まず先に言っておく。

 私には姉と、弟がいる。

 私には似ても似つかない。

 私は高校生。17歳。

 姉は大学生。20歳。

 弟は中学生。15歳。

 わかりやすくもっと砕けて表現すると。

 私は高校二年生。姉は大学の二回生。弟は中学三年生。

 至って、どこにも居そうな三姉弟。いや、今どきは三人ってのは珍しいほう?

 でも、どこにでも居そう。うん、居そうなんだよね。

 なぜ最初にこの二人を紹介するかというと、私の人生に大きく食い込んでいるからなんだけど。

 いや、家族だからそれはそうなんだよ。当たり前なんだよね。

 ドラマとかにありがちな、確執とか、そんなものはない。

 ただ、言うならば、私はお姉ちゃんが苦手だ。弟も苦手。

 なぜこの二人が苦手かというと、詳しく話していかなきゃならないから……はしょる。

 姉の美和は、名前に似つかわしくないほど怠惰な人だ。

 毎日をジャージで過ごし、髪だって肩まで伸びてるけど手入れとかしてなさげ。女として色気なんてない。

 こんな女子大生がいるのか? と最初は驚く人もいると思う。でも居る。居るんです。私の姉です。

 眼鏡をかけているのは目が悪いからなんだけど、それでもお姉ちゃんは目付きが悪い。一重なうえに、じっと見られると睨まれてるみたいに感じる人が多いみたい。

 必要な日数だけ大学に行き、他はもっぱら家で寝てる。就職活動とかどうするんだろうと心配する妹の気持ちなんて、全然気づいてくれない。

 弟の由希は、美和お姉ちゃんと姉弟だと言われても誰も信じないくらいに美少年だ。

 髪の質だって、姉二人とは違う。すごくさらさらで、気持ちいい。腹が立つほど、猫っぽい感じの美少年なのだ。

 傍から見ると、澄ました感じの王子様、と表現してもいいくらい。実際、本性を知らない女子生徒にモテている様子。

 はっきり言って、姉も弟も「濃い」。とっても「濃い」人だ。

 自分の常識が通じないんじゃないか、もしかして別の国の人? とか、時々思ってしまう。

 二人のことはここで一旦終わる。私の現状況について話すことにする。

 なんでこんなことになってるのか、はっきり言ってわからない。わかりたくもない。

 私はとにかくトラブルメーカーだと、友人一同は口を揃えて言う。悪い意味でもあり、良い意味でもある。……と思う。

 犬も歩けば~という感じで些細なものから、恐ろしいことまで私に体当たりしてくるのだ。

 それに巻き込まれることもあり、自分から首を突っ込むこともある。

 そんな時、決まってピンチになる。そしてお助けマンが現れるわけ。それが、姉なのだけど。

 あぁ、話が逸れた。

 つまりそう、私の今だ。今。

 私はぐるぐるに縛られて転がされている。口には猿轡代わりの布。タオル? ああもう、どっちでもいい。

 なので、動くこともできず、むーむー唸ってるわけだけど。

 今までだって、殺人事件や誘拐事件……どっちかっていうと殺人? のほうにぶち当たってきたわけだけど、まさかこんなことにも当たるなんて。

 私をリビングに転がしたまま、そいつはうろうろと歩き回っている。その姿を目で追いながら、私は思い返していた。ほんの、30分前のことを。

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