初めての家族
模試が終わりましたので更新を再開させていただきます。
シリアス無し、とタグ登録していましたが。
結構重い話多いやん! てことで消しました。
急展開・脈絡ないです。
2日間書かなかっただけでここまで変貌を遂げるんですね。悪い意味で。
「君、名前は?」
「・・・知ら、ない」
あれから、検索と脳をフル活用して救命活動をしようとしたら。
導き出された結果はただの気絶だった
血は獣などの返り血、そう思うことにした。
「行く宛とか、あるのか?」
「・・・」
フルフル、と首を力なく横に振る
「・・・どうして、ここにいたんだ?」
この森に好んで近寄る人は居ないだろう
この少女が例外じゃ無いならば
「・・・」
目に少し涙を溜めながら、俯いてしまった
記憶喪失か?
それとも話したくない事情でもあるのだろうか。
「あー。分かった、分かったから泣くな」
そっと手を頭に乗せ、撫でてやる
年は同じか少し下くらいだな
「ん・・・」
それにしてもこの子、よくわからん髪型してる・・・。
変とかじゃなくて、こう、変則的というか・・・
ツインテールとロングとリボンと・・・いろいろ詰め込んでるな。
「ぁう・・・」
撫で過ぎてしまったようだ。
とりあえず、この服や体にこびりついた血糊をどうにかしなければ。
泉はお世辞にも綺麗とは言えなかったし・・・水魔法でいいか。
「ちょっとくすぐったいぞ」
「? ・・・・・っ!」
水に少し空気を含ませ、シャワーみたいにして彼女の肌に纏わせ、血を落とす。
これコントロールムズいな・・・。
流石に服の中までするのはデリカシーに欠ける。
なので、手や頬などの露出部分のみだ。
「・・・・」
まるで信じられないものを見たかのように綺麗になった真っ白な自分の肌を見つめる少女。
魔法、知らないのか?
・・・それとも、忘れているのか。
「さて、服だ」
脱がすなんてことはしない。
界面活性剤・・・つまり洗剤的なものを創造し、先ほどの水に混ぜて服を赤く染めている血を洗う。
水の筋が彼女を取り巻く
「・・・!?」
すっごい驚いてる。
今度は普通の水で洗う。すすぎである。
濡れたままだと気持ち悪いだろうから、風魔法の熱を調節して温風を当てる。
「んー・・・」
ちょっと気持ち良さそう
そんなに濡れてないのですぐに乾いた。
魔法、便利だね。
「・・・あなたは、誰」
うむ、とりあえずいろいろ話さないとな。
******
「捨て子・・・か」
この娘は気づいたらここにいたらしい。
名前は無い、貰えなかったと言うのが正しいだろうか
捨てられたのだ、この少女は。
目立った外傷はないからこの年になってからだろうな。
目を開けたとき、目の前では獣らしきものが戦っていた、という。
おそらく少女をどっちが先に食べるかで争っていたのだろう。
血はその時についた、と考えるのが妥当。
命からがら逃げ出して、さっきの場所で倒れた。というわけだ。
気づいたらここにいた、と言ったあたり転移魔法でも使われたのかもしれない。
となると裕福な貴族らへんだろうか。
転移魔法は一見空属性っぽいが、実は属性なし、つまり誰でも使えるのである。
ただ行使には非常に大量の魔力と繊細なコントロールが必要であり、一人じゃ絶対に使えない。
それゆえ貴族などは魔術師などを何人も雇って使うのである。
それでも一回やれば魔力切れを起こすらしい。by知識
「この世界のことは、どのくらい知っている?」
捨てられる前、幽閉されていたとかならば一切知識が無いことも考えられる。
これから生きていく上で一般教養は必要だ。
「魔獣がいて・・・魔法があって・・・お金のこと。知っているのは、そのくらい」
なお、魔法は初めて見たとか。だからあんな反応だったのね
魔獣は、ドラゴンとかのことかな?
知っている・・・誰かに教えられたのか?
でもこれは・・・
「よし、俺が教える」
ちゃんと教えておかないとな。
それから俺はこの国のこと、世の中の仕組み、生きていくために必要なことを話して聞かせた。
リアさんの受け売りなんだけども
最初こそ彼女は無表情だったものの、だんだん目を輝かせて熱心に聞いてきた。質問も出てきた。
興味を持ったようだ。
「名前は・・・どうする?」
名前は無いと何かと不便だし、人付き合いで必要になる。
「ん・・・」
彼女は少しもじもじしながら、
「ユズキが・・・つけて」
ちょっと照れながら、遠慮気味に言ってきた
少しは心開いてくれたってことでいいの?
「・・・・」
でもちょい待ちたまえ。俺はドイツ語でどうのこうのみたいなネーミングセンスはない。
・・・・ああやめて。そんな期待の篭った目で見ないで。今必死に考えるから。
名前、名前・・・。
綺麗で輝くような銀髪、碧眼でぱっちりとした眼。
整った顔立ちに華奢な手足。
うぅむ・・・。
・・・・・・・ホノ
ホノなんてどうだ? 理由特にない。そんな名前が浮かんだだけだ。
「ホノ・・・とかどうかな?」
さあどうだ!?
「・・・うん、ホノ、私の名前」
嬉しそうにホノ、ホノと呟く。よかった、気に入ってもらえたようだ。
拒否られてたら泣いてた。心で。
「さて、これからだけど。俺と一緒に来るか?」
こんなとこには置いていけないし。
ていうか名前まで付けたあとにこれってどうよ
「・・・いや、だ」
「・・・どして?」
自己中だと分かっていても涙出そう。
「あなたに、きっと迷惑をかけるから」
そういうことか。
「そんなこと、思わないよ」
いい言葉が見つからないな。もどかしい
「・・・ほんとう?」
「あぁ、本当だ」
捨てられたから、そういうのに敏感なんだろう。
「・・・あなたを、困らせるかもしれないよ。私のせいで」
「大丈夫だ。それに、ホノはまだ子供だ。迷惑かけまくっていいんだよ」
俺もだけどな!
「・・・・うん、あり、がとう。よろしく、ね」
涙が目尻からすっと頬を伝っていった。
「あぁ」
俺には、少なくとも悲しみの涙には見えなかった。
*****
自己紹介(俺の)やこれから行くところの説明を済ませたあと。
森を抜けながら、ホノと話す。
戦闘についてだ。この世界で生きていくなら戦いは避けられない。
何かしら身を守る術を持っていないと危ないのだ。
覚悟だのなんだの言ってる暇なんてない。
「ホノは、戦えるか?」
一応確認
「・・・無理、だよ」
ですよねー。
にしてもこの娘、さっきからずっと握った手を離さないのである。
懐かれたのかな?
別に困りゃしないからいいけどさ。
ふむ・・・。銃、持たせてみるか?
それとも刀の方がいいかな?
とりあえずいろいろさせてみてこの娘の戦闘スタイルを確立させたほうがよろしいな
と、森の入口まで来た
「こっからは、テレポで行くか」
言わずもがなテレポートの略である
「・・・?」
「しっかり捕まってろよ」
「???」
わからないがとりあえず掴んでみた、というふうにホノは俺にぎゅっとしがみつく
・・・そんなにまでしなくてもいいんだけどな・・・
「目的地をさえずり周辺の路地裏、周囲に生体反応のない所。座標確定」
見られちゃ厄介だからね。
「テレポート開始」
羞恥心? 捨てたよ
耳の傍をすっと風が通るような感覚、一瞬の浮遊感。
周りの景色は薄暗いどこかの路地裏に変わった。
「!? ユズキ? ユズキ!?」
ホノは突然パニクって辺りを見回して
「あ・・・・よかった・・・」
俺を見つけると抱きついてきた
「いなくなったかと・・・思った・・・」
「あ、あぁ。驚かせてごめん」
気を付けないとな。
しばらくは宿で安静かね、精神面が安定するまで
「こっちだよ」
少しの間撫でたりして彼女が落ち着いてから手を引いてさえずりに向かう
道には多少人がいる。ホノは少しビクッとなりながら、無言で歩く
ドアを開き、中に入ってアリムさんの姿を探す。
が、それらしき姿は見当たらない。
ていうか人がいない
「おそらく・・・・見えないだけか」
「誰がちっちゃいですか!」
そう呟くと勢い良く食堂の方からアリムさんが飛び出てきた
「そんな言葉一言も言ってないんですけど・・・」
気にしているようである。
「うぐっ・・・・あら? そちらの子は?」
逃げたな
ホノはずっと俺の後ろに隠れているがバレたみたいだ
「・・・っ!」
ぎゅっと俺の服を掴んでる
「あー。ホノ、この人はアリムさん。この宿を開いてる人」
ホノはまだ警戒してるな
「アリムさん、この娘はホノ。依頼先で拾った」
「拾ったって・・・まぁ、誘拐してきたようには見えませんし」
とてとて、とアリムさんはホノに近づいて
「アリムです、こう見えても大人ですよ。よろしくお願いしますね」
やっぱりそこは主張するのね
ホノは、目を丸くして
「ほんとう・・・? 私と、同じくらいなのに・・・」
「うぎゅっ・・・・えぇ、本当です」
あ、アリムさんにダメージ入った
「私は、ホノ・・・ユズキと、一緒。よろ、しく」
ホノも警戒心が解けたのか、つっかえながらもちゃんと自己紹介する。
少し意味不明だが。
「・・・・うふふ、そういうことね。修羅場になりそうねぇ」
アリムさんが何か言っているが・・・ううむ。未来が怖い。
「アリムさん、ホノも同じ期間お願いします。・・・ホノ、一人部屋と俺と同じ、どっちがいい?」
「ユズキと、一緒がいい」
即答でした。
「じゃあ、そういうことで。食事も同じでお願いしますね。いくらですか?」
「えーと・・・銀貨9枚になります」
「はい」
アリムさんに銀貨9枚を渡すとぱたぱたと駆けていってカウンターの鍵付きの引き出しに入れた。
セキリュティだいじょぶなん?
「銀貨9枚・・・ユズキ、そこまでしなくて、いい・・・」
高いと言いたいのだろう。まぁ日本円で9000円だもんな
「いいの。ホノは、一緒に生活するんだから。家族みたいなもんでしょ」
あぅ・・・とホノは赤くなって俯いてしまった。
・・・サーナにこのことが知れたらやばいな・・・。
おそらく国家指名手配とかじゃ済まないレベル。
・・・・・早めに他の都市に行こう・・・。
「へぇー。ユズキ君も満更ではない、と・・・」
やめろ、こっち見んな。ニヤニヤすんな。
「さて、俺はギルドに依頼達成の報告をしなきゃいけないけど・・・ホノはどうする?」
もう暗いし。
「じゃあ、部屋の案内と説明とかをしておきます」
そう言ってにこりと微笑むアリムさん。
「ホノは、それでいい?」
「うん。・・・なるべく、早く帰ってきてね・・・?」
「ん、了解」
「りょう、かい?」
まだホノは知らない単語がいくつもある。
「分かった、って意味だよ。それじゃ、行ってきます」
「行ってらっしゃい」
「いって・・・らっしゃい」
二人に見送られて、俺はさえずりを後にした。
******
「かぞくって、言われた・・・えへへ」
アリムさんの説明を受けている間中、ホノはずっと上の空だったという
新キャラホノちゃん登場。
親しい人には喋るけど他人には無言の警戒を貫く、そんなキャラ
彼女もいつかは病んでしまうのか
人物の名前が何か偏ってるのは気のせいじゃない。無意識だった
9/10 今後の展開に支障があるので少し修正いたしました
具体的には「聞いたのは」→「知っているのは」です