ゲーム中にコンセントは抜かない
処女作です。
ちょっと前に書き掛けてたのを一気に書き上げたので、所々矛盾や文章の不安定なところがあるかもしれません。
というかモノを書くのに慣れてません。リハビリな感じで書いたのでそっと受け流してもらえたらなぁ、と。
ただ単に書きたかっただけなんですよ。このジャンルを。
1/22 大幅改稿。恥ずかしかったぜ
「510円になりまーす」
レシートとお釣りを受け取り、商品の入ったレジ袋を持ってコンビニを出る。
今夜は弾けてもいいよねと思いながら、視線をちょっと上に上げた。
「わぉ。真っ暗」
来る時もそうだったけどさ。
携帯で時間を確認すると、10時前。
早く帰って買ったの食べながらまったり過ごそう。そうしよう。
少し歩くペースを上げて家への道を急ぐ。靴がアスファルトを弾く音が夜に響いた。
そしていつもの交差点。いつも妹に気をつけて渡って下さいよ、と言われてる。
多分、その時の俺は少し浮かれていて。
急に高くて不快な音がした。
俺の右側、道路に面して。片方の車輪が外れ銀色のシャフトが顔を覗かせている。
横向きと思われるトラックの前面。
そして、"誰も乗っていない"運転席。
「っあ・・・・」
視覚はわずかに現実から遅れているという。
ならば、実際にはもう少しこのトラックは俺に近づいているんだろう。
横倒しの車体が俺の目の前に迫る。
全てがスローに見えた。手を庇うように上げる動作までもが緩慢で、もどかしいなんて思わなかった。
ドン、と体にバンパーが衝突。
そこから先は時間が戻ったみたいで、一瞬で電柱に背中を打ち付け、そのまま車体と挟まれる。
ちくしょう、なんでこんなとこに今更レトロな電柱なんてあるんだ。
でもまだ、脳は動いてるらしい。体が肩から脇腹にかけて潰れて、血で視界が真っ赤に染まる。
喉の奥から、生暖かい鉄の味がこみ上げてきた。ほぼ垂れ流し状態で口から流れ落ちる。
痛いとかもなくなった。多分脳内なんとか、ってやつか。あいつに聞けば詳しく教えてくれるだろうな。
・・・ごめん、皆。俺の心臓は止まったようです。それから、頑張れ、現代医療。
*******
「ぐすっ・・・ひぐっ・・・・」
「・・・・・・・」
「うぅ・・・・ふぇ・・・」
「・・・・・・・」
やばい。
どういうことか結果的に言うとだ。
女の子泣かせた。
どうしてこうなったかは、時を2分ほど遡ることになる。
さぁ思い出そう、俺が目を覚ましてから最低のレッテルを貼られる寸前になるまで。
「・・・あぁ、ここびょうい・・・・いや違う、何ここ怖っ」
目を覚ました第一声がそれだった。
もうちょっとマシな台詞を吐きたかった。
「あの、目を覚まされました?」
少し幼めな声が聞こえて、真っ白な天井に影が覆いかぶさる。
眼球を動かして焦点を合わせるとそれは人だった。そして多分俺より年下な少女。
「・・・最近のナースは小さい子でもなれるんだな」
今さっき自分で否定したはずなのに、やっぱり何か受け入れたくなかった。
ここが病院でこの子が新米ナースだったらいいのに。超いいのに。
不機嫌な妹の顔が浮かんだ。うん、何も考えてないです。
「・・・ナース? 私、多分ナースじゃないですよ・・・?」
そっかぁ、そうだよなぁ。
しかも多分ついてるし。只この人が俺の幻覚じゃないって可能性が増えた。よかった。
とりあえず、俺は今知りたい情報が3つある。これでも少なくなった方じゃないかな。
まず、ここはどこだ? 壁も天井も床も真っ白でそれ以外何もありゃしない。
俺の知らない場所であることは確かだろう。
次にこの子は誰なのか。この部屋の主とかなら最初の疑問について何か知ってるはずだ。
それ以外なら、まぁ、うん。
そして、俺はどうなったのか。微かにだが、俺の身に何が起こったのかはわかる。
目の前にノイズが散らばる程度だが。
「・・・よし」
とりあえず、2つめから聞いてみることにした。自己紹介とかまだだもんね。
「・・・一つ、いいかな」
小さい子に語りかけるようになるべく優しく言ってみる。
「はい、どうぞ」
承諾が取れたので続けてみよう。
「えっと。君は、誰だ?」
最後ちょっと声が硬くなったが良しとしよう。
「はい、私は新米の神です」
手を額に当てる。
・・・Oh,この子はナースでも俺の幻覚でも無く神様だったようだ。うん、びっくりだね。
「・・・・・・・」
「あの、どうしたんですか?」
「OK。整理しようじゃないか」
そして俺は何故か塩水を零しそうな眼球をまぶたの上から抑えて、気持ちを落ち着かせるため深呼吸。
思い出そうとノイズを手繰り寄せた。
―――
――
―
まず、俺はコンビニを出たら超ウルトラ横倒暴走トラックと電柱のダブルコンボで死んだ。
それはいい、だって実際俺は自分が死ぬ瞬間を感じ取ったんだから。
して、こんなところに来るまでの記憶が一切ない。
これが何を表してるかというと、死んでから一瞬でここに来た、ということになる。
その間の記憶が抜き取られているorそもそも記録されないならばわからんが。
でもここでは自分の体があるし、触れることもできる・・・ってことはさっき死んだのは夢か?
いや、そりゃないな。めちゃくちゃ痛かったんだから。
・・・まぁここに来る過程はいい。問題は・・・
「ここがどこだということだ」
「あ、戻ってこられましたね」
うるせぇ
―
――
―――
「えっと・・・その質問の答えなのですが・・・」
「何か歯切れ悪いな?」
「っ・・・その・・・ごめんなさいっ!!」
いきなり玄人ゲザーもびっくりなドゲザーを決める自称新米神
「その・・・私が書類を運んでて・・・」
語り始めた・・・ふむ・・・ちゃんと手は三角形だな
「コンセントに足が引っかかってしまって・・・」
コンセントあんのかよ
「それがシノ様がやっていらっしゃったゲーム機のコードでして・・・・」
何やってんだよシノってやつ。
「それでヤケになったシノ様が『これでもくらえええぇぇぇぇぇーーー!!!』と足元にあった紙を引き裂きまして・・・」
何破いてんだ。そんだけでヤケになんな、俺なら5回まで耐えれる
「それがもう10回目で・・・」
おぅ・・・
「今までは世界に関係のない書類でしたので支障なかったのですが・・・今回破いたものが・・・」
破いたのが?
「あ・・・あなたの書類で・・・」
え・・・
「おいty「ごめんなさいっ! 私がコケたせいで・・・! ごめんなさい!」・・・」
「許してくれるとは思っていません・・・でも謝らせてください・・・ごめんなさい・・・」
「ごめんなさい・・・うぅっ・・ひぐっ・・・」
「・・・・」
ここで現在に戻るわけである
「いやまぁ・・・顔上げなさいな」
「ふぇっ・・・許してくれるんですか・・・?」
「や、それはわからんけど。でもとりあえず顔上げて、説明してくれないかな? そろそろ俺の脳では処理できなくなってきた」
「わ、分かりました・・・」
そう言って目の前の少女は顔を上げ、何回か目元をこすって俺に向き直った。
「俺が今からいくつか質問するから、それに応えてくれ」
「はい」
「とりあえず、ここはどこだ? 見たことないし聞いたことないんだが」
「えっと、ここはですね。"狭間"と呼ばれる場所です。主に神が魂に会うときに使われます」
どこも真っ白で何もない、壁とかもあるのかわかんない場所をぐるりと見渡す
「・・・魂? 今俺は体があるし服も着ているんだが」
自分の右手の甲を左手の指でトントン、とつつきながら言う。
服装はコンビニの帰りの時と同じだ。
「はい、ここでは魂の情報からその人の肉体を再現して擬似的に生きていた頃と同じにしています」
魂だけだと何かと不便ですからね、と少女は付け加える
「そうか・・・わからんがわかった。じゃあ次、なぜ俺はここにいる?」
「それは、さっき私が謝ったことなんです。」
「というと?」
「あなたの書類、言いましたよね? で、個人人物の書類を破るのはその人が死に、シノ様が印鑑を押した後です。」
その印鑑「済」とか書かれてんだろうな。
てかシノ様誰よ
「ですが今回あなたの書類を死ぬ前に破ったので・・・死ぬべきところではない時間にあなたは死んでしまったのです」
「ふむ・・・」
だいぶ冷静になってきたぞ。つまり、俺は間違えて死んだということだな?
「はい、そうなります」
そうか・・・
・・・・
・・・・・・・心読んだ?
「はい、神ですから!」
・・・もいいや、驚くのめんどくなってきた
「んで? 間違えて死んだ俺はどうなるんだ?」
「普通はそのまま輪廻の輪に加わり、来世に思いを馳せてもらうのですが・・・あ、あなたの場合は特例ということで他の世界に転生、という形になりました」
そりゃゲーム機のコンセント抜かれてキレて破かれたんだもんな。なにかしら処置してくれないと困るし、それが責任ってもんだろう
「ゎ...私がそうして欲しいって言ったんdゴニョゴニョ...」
「ん?」
「な、なんでもないです!」
フラグの香り。
「転生・・・か。じゃあそれについて説明お願い。」
「分かりました。では、世界の説明から。」
〜説明中〜
「要するに剣と魔法とファンタジーのゲーム的な世界か」
「すっごく短くまとめられました・・・」
無駄に長いもん。長いの嫌い。
「・・・でもそんなとこに平和ボケして育った俺が行っても瞬殺だよな・・・」
お礼に瞬殺世界にご招待ってどうよ?
「そこは大丈夫です。お詫びも兼ねていくつか、というかいっぱい能力をお渡しします。あなたのいた世界でいうとちーと?というものですよ」
「まじか。そりゃありがたい」
チートな第二の人生ってか
「では、早速能力をお渡し・・・」
「ちょっとまて。」
「? 何ですか?」
コテン、と首を傾ける
「君の名前を聞いてないんだが」
「あっ。失礼しました。私はリア、と申します。・・・あなたのお名前は?」
神なら名前くらい知ってそうなもんだが・・・
「ま、いっか。俺の名前は・・・名前・・・は・・・?」
あれ? なんだ? 俺は確か××って名前であいつには××って呼ばれてて・・・あれ?
「思い・・・出せない」
少女―リアさんはハッとした表情になって急いでカバンを漁り始めた。
いつからあったのそのカバン
そして中から一枚の紙を取り出しバッと広げて、すごい剣幕で迫ってきた
「柚樹さんです! あなたの名前は 原川 柚樹です! 思い出してください!」
何をそんなに焦ってる
でも柚樹、うん、柚樹だ。しっくりくる。これが僕の名前なんだろう。だって書いてあるし。その横に顔写真貼ってあるし。いつ撮ったん
「う、うん。思い出した・・・思い出したけど、何そんなに焦ってるの?」
リアさんは今気づいたように顔を赤くして引っ込み、こほん、と咳払いしてから口を開いた
「普通、魂は輪廻の輪に加わる、という話をしましたよね?」
「うん」
「そうなると、魂は名前・記憶をすべて忘れるようにできているんです」
なので柚樹さんも忘れかけていたんですね、危ない危ない、と一人納得するように頷くリアさん
確かに名前忘れちゃダメんだもんな
そういえば
「―あぁ、それと」
「はい? なんですか?」
「俺、まだ許すって言ってないんだけど?」
ちょっと笑みを混ぜて言うと、リアさんはすっげぇガクブルしてた
********
「いやぁ、ごめんなさいね。ついカッとなっちゃって。」
そんな感じで聖母のような微笑みを向けて謝ってくれているのはリアさんの言ってたシノ様である。
只今シアさんの部屋なう。結構普通。
能力を渡すのはシノさんがやるんだって。
ちなみに女でした。
ていうかコントローラーの指裁きぱねぇ。目視できん。
しかも画面見てないし。あんたはエスパーか。あ、神様だっけ。
神様の能力か何かで見てんのかな。
「後ろ向いてごらん?」
「何が・・・?」
後ろには普通のディスプレイがあり、同じゲーム画面が映し出されていた。
〜数十分後〜
一緒にゲームしたり羽むしったりしたけどそこは割合。
「さて、あなたに渡す力ですが・・・ぶっちゃけ何がいいですか?」
決めてなかったんかい。
俺は出された紅茶のカップに口を付け、一口飲んでからテーブルに置いた。
リアさんは横で角砂糖をこれでもかってくらいに入れている。
まぁ自分で決められるほうがいいけどさ。
「んー・・・どんなのがOKなんですかね・・・?」
「なんでもいいわよ? 私は最高神だもの」
最高神ってのはよくわからんが、偉いってことはわかった。
「なんでも・・・ねぇ」
「あっちには魔法があるから、無限の魔力や全属性とか。ゲームや漫画の技・道具を再現することもできるわ」
いいなそれ。
俺漫画とかアニメとかほとんど見ないけどさ。
「魔力はあって困らないだろうし、無限の魔力と全属性、あとは・・・身体能力を底上げしてもらえますか?」
「おっけーおっけー。魔力質も最高にしとくわね。属性とかの説明は・・・後でリアちゃんに聞いて」
丸投げですね。わかりm(ry
「分かりました。それと、俺ってアニメとかほとんど見ないんですけど、FPS系のゲームは結構やるんでそれの武器とかアイテムとかいいですか?」
「今時珍しい・・・(アニメとかの技も付けるけどね)じゃあ仮想も含め、世界のすべての武器と軍用アイテムの創造ね。知識なども手に持ったときわかるようにしておくわ」
ただ貴方がオリジナルで作る場合、細部に渡る設計図なども必要になるから気をつけてね、とシノさんは付け加えた。
「日用品とかも作れるからね。てか生命以外なんでも創れるわ」
すげぇ
「ありがとうございます。・・それと、設定も大丈夫ですか?」
「設定?」
「はい、あっちに行ってから不便だとアレなので。調整や能力の追加などができるような能力です」
「抜かりないわね。もちろんおっけーよ!」
テンション高いな
「そのくらい・・・ですかね。」
「よーし。じゃあ後私と連絡取れるようにコレ、渡しておくわ」
そう言って渡されたのはスマホ。そう、スマホである。
「アドレス帳に私とリアちゃんのが入ってるからね、私の声を聞きたくなったらか・け・て?」
「・・・・」
「地球のゲームなんかもそれで送ってあげるわ。」
「ありがとうございます」
一瞬変な空気になりかけたが、そこは神様。スルーした。
「じゃ、これでいいかしらね。異世界に送るわよ。」
ほんとにありがとうございます。そう言ってちらっと横を見ると
「・・・・っ・・・っ!・・っ!!」
最後まで空気で涙目なリアさんがいた。
「・・・あぁ、そうだ」
俺が一つ思ったことを思い出して、シノさんに問いかける。
「何で管理が紙なんですか? 俺のいた世界ではデータ化されてない情報は無いくらいでしたけど」
破いたりとかでこういう間違いも起こさなくて済むし。
それに、そんなに命は軽くないはずだから。
「あぁ、そのことね。・・・ちょっと重い話になるけどいいかしら?」
「構いません」
ふぅ、とシノさんは一息つくと話し始めた。
「取り敢えず前提的なこと。・・・神にとって、一人の人間はとてもちっぽけな存在なの」
前提から俺の考えが外れましたはい。いやぁ、清々しいね。
「人間の一人が命を落としたとしたって、私達には関係ないといっても過言じゃないわ。あなただってそうでしょう?」
確かに、そうだ。地球の裏側にいる名前も顔も存在だって知らない人が死んでも、俺は何も思わない。
「だからあまり厳重に扱っていないの。一人死んでもすぐにまた一人生まれるから」
神と人間では考え方が根本的に違うのかもしれない。俺はすごくそう思った。
「でもやっぱり神としてのアレもあるから、この頃ではもっと安全な管理方法の導入が始まっているの」
「そうですか・・・何か変なこと聞いてすみません」
「大丈夫よ。むしろ話せて良かった、隠し事してたみたいだったから」
そう言ってシノさんははにかむ。ふぅ、と俺も息を吐いた。
「・・・じゃぁ! 早速送りましょうか。第二の人生に」
「そうですね、お願いします」
明るく言ったシノさんに合わせて俺も立ち上がる
「それじゃ、頑張りなさい」
シノさんが俺の手を取ると、途端に眠くなる。
ズシッと重くなり、ずるずると暗闇に引き込まれていくように視界が遠のく。
あまり気持ちいいもんじゃないな、と思いながらその闇に身を委ねて意識を落とした。
主人公って意外と冷静なんですね。
書いてて知りました
続き・・・がんばろ。
8/27 シノの名前が途中からシアになってた・・・
8/31 誤字を訂正。
ご指摘有難うごさいました。
1/22 どうにか大雑把改稿。ちょこちょこ手直し可能性アリ