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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第1章 私と王様
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丞相の呟き






何とも貧相な娘


第一印象はそう感じた。


稀に見る黒い髪と黒い瞳以外は平凡な顔で体も細くまだ少女の体


しかも服を着ておらず布を纏い髪はずぶ濡れ


だが露出した肌には至る所に赤い鬱血の痕が至る所に散っている


あのマグロの陛下が自ら少女の体を貪った証


どうやら陛下はこの少女に本気だと確信する。






あの夜、陛下が去った後直ぐに密偵に陛下を見張るよう命じた翌朝、直ぐに報告があった。


陛下の体から落ちた少女を助け何処かに立ち去ったという


指一本動かすのを億劫がる怠け者の陛下なら、普段は見捨て放置するようなお方が助けた上に何処かに連れ去るかなり手間の掛かる事をなさるのど私の知る限りないと断言しよう。


離宮を建てようなどと仰ったのは伴侶様のためなら納得する。


陛下がとうとう伴侶をお選び下さったかと喜んだが、王宮にお連れしてくれるものとばかり思っていたら昼になっても姿を御見せにならない


焦れた私は陛下を捜すが、瞑道をお使いになった為に行方が知れない


一日が経って漸く突きとめた陛下の居場所は幼少時代のお気に入りの場所に連れて行くとは……陛下が自ら封印した思い出の場所


陛下の御心を動かした少女


断然興味が湧く


念のため陛下の嫉妬を買わないように女性の姿で別荘を訪れれば陛下の気配はないが微弱な人の気配はする。


気配を探りながどんな美しい少女かと期待して捜しだしたのがこの少女


平凡でしかも言葉を解さない


この世界の言葉は多少発音が違うが共通語、他の言語などあり得ないはず。


どういう事だろう??


最初はガッカリするが陛下の心を動かしたのは紛れも無くこの不思議な少女


何かあるのかもしれない


そして突然少女のお腹から響き渡る腹の虫


多分お腹が空いて食料を捜しにこの厨房を訪れたのかもしれない……陛下は何をしておられるのだ?伴侶にしようとしている少女を放置したままなどと


昔から気の利かない鈍いお方だから致し方ないかと諦め、代わりにこの少女に食事のお世話をしたのだが


一体この細い体の何処にあの大量の料理が消えて行くのかという勢いで全てを食べつくしてしまう…一応陛下の分もあったのだが


少々下品な食べ方ではあるが、これからの教育でなんとでもなると目を瞑っておく


そして自分をミユキだと名乗る。 ミユキ、何とも不思議な響きの名前で初めて聞き、私の名を告げると発音がしずらいらしい


一体どこの国の人間なのだと疑問ばかりが湧いてくる。


お互い名を呼び合っていると目の前に現れる陛下


その目は嫉妬で燃え上がり私を射殺さんばかりの殺気


足下には少女の為に用意したであろう料理が散乱している!!


あの陛下が他人の為に食事を運ぶ!!


信じられないが目の前の少女が陛下の伴侶になるのは間違いない


だが、ミユキ様は陛下を確認するや否や脱兎の如く私の後ろに隠れてしまい、陛下を恐れているご様子???


昨夜はお互い愛を確かめ合った者同士には到底思えない


それとなく陛下に質して見れば陛下の勘違いが判明


どうやらミユキ様にとって無理やりな行為だったと推察される。


しかし陛下に迫られながらなびかない女がいようとは…


兎に角このミユキ様をこちらで押えれば陛下は真面目に政務に就かせられる。


ミユキ様に漬け込むなら今しかないだろう


どうせなら男の姿で誑し込んだ方が良かったかもしれないと後悔しながら陛下とやり合っていると、何時の間にか消えてしまった。


なんとも変わった少女


忽然と消えうせたミユキ様を二人で捜していると


不浄場で鼻から血を出して気を失っている陛下を見付け驚くが命に別条は無いようなので放置しミユキ様を捜すと浴場で呑気ん湯浴みをしている。


まさかミユキ様が陛下を!!??


臆病かと思えば大胆


全く掴めない少女だ


それなりの衣装を着せると少しは見れるようになり、可愛いと言えるくらいにはなる。化粧を施せばそこそこにはなるだろう。


まだ女性としては未成熟だが後数年すれば化ける可能性もある。


それまでにこの国の王妃様としてトコトン磨き上げねば


折角陛下がその気になった少女


逃がさないように絡め捕えよう


取敢えず陛下の手元から引き離せたので、この隙にミユキ様に取り入るのが先決


これからの事を思うと腕が鳴る


これで念願の陛下の御子様のご尊顔を目にする事が出来るのかと心躍らせるのだった。











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