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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第1章 私と王様
6/70

獣と美女と私





女神様は男でしかも獣だった。


ご飯を食べさせて欲しかったのに反対に私が食べられてしまった……???


しかも経験値レベル共に0の私が一気にレベル99を体験してしまい、女神様…もとい獣は私を貪り尽くし体が離れたのは夜明け間近で私は瀕死の状態


顔は神々しいばかりの美形で金髪碧眼、体は脱げば凄いんですよ張りの細マッチョに私の始めてが奪われ、人によっては『なに、その美味しい話~』だろう


別に処女を本当に愛した人に捧げる為に二十三年間守った訳でもなく、その機会がなかっただけ


処女なんて重いしサッサと捨てたかったけど、拾ってくれる男がいなかった。


こんな美形に拾って貰えて良かったじゃん!


そう思えばいいんだろうか?


…………


思える訳ないだろ!バカやろーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!

(心の叫び……喘がされ続け声が出ない!!)


横ではスッキリした顔で満足げに寝ている強姦野郎


私も最初は抵抗し止めてくれと何度も懇願した


部屋から落ちてから体は汗と埃だらけだし、大も小もしている。だからせめて体を綺麗に洗いたかった。


そして私にせめて了解ぐらい取ってくれれば、此方からお願いしたいくらいの相手


こんな私でもそれ位の心遣いを見せて欲しかった


ぐっすん…… ぐっすん……


美形なんか嫌いだ


こんな奴、こんな奴、大っ嫌いだ!!!!!!


ひっく…… ひっく…… ひっく……


涙が頬を伝うがそれを拭う為に腕すら動かせない程に体が動かない。


泣きながら疲労困憊の私はそのまま気を失う






ぐぅ~~~~~~~~~~~ ぐぅ~~~~~~~~~~~


ぐぅ~~~~~~~~~~~ ぐぅ~~~~~~~~~~~


盛大な腹の虫の音で目が覚める。


「お腹が空いた……」


お腹が空きすぎて眩暈がする。節々が痛いがこのままでは餓死しそうなので体を起こすと布団から現れたのは全裸の私だけで、部屋にはあの獣はいなかった。


別に甘い朝を期待していた訳ではないけど


クソーーーー やっぱりヤリ逃げされた!


贅沢は言わないから、せめてご飯ぐらい食べさせて欲しかった。


自分の服を捜すが見当たらず、体を見れば至る所につけられた鬱血の痕が何かの病気のようで気持ち悪い


処女の頃は友達が点けているキスマークに憧れたけど、是はそんな可愛いもんじゃない


せめて水だけでも飲もうとキッチンに向かう為に布団掛けを頭からかぶり、幽霊のようにふらつきながら歩く


歩く度にあそこが熱を持っているのか擦れて痛い


一体何回したのよ


悔しくて涙が出て来る……自分が惨めだ、まるでボロ雑巾にでもなったようだ


這いずりながらキッチンに着き、怒りに任せてポンプを漕いで水を出してポンプの口に頭を突っ込んで水を浴びてそれから水を自棄飲みする。


ゲッホッ ゲッホッ


むせて咳き込む。


水を飲んでお腹がパンパンになるけど飲み続けたが、流石に逆流しそうなので止めた。


「これがお酒だったら良いのに」


水では酔う事も出来やしない


冷たい石の床に座り込み布団掛けで体を包み込んでこれから如何しようか途方に暮れる。


ガチャ


ビック!!


キッチンの扉が開けられ、あの獣が捜しに来たのかと体が強張る。


『誰カイマスカ?』


女の人の声で、耳慣れない言葉が聞こえる。


そーっと顔を調理台から覗かせるとモスグリーンの髪の綺麗な女の人が立っていた。


否…待てよ私、昨日も女性と勘違いして酷い目にあっているので警戒してしまう。


ひとまず此処は逃げようと床をしゃがみながら逃げようとしたら、何時の間にか前に廻り込まれ目の前に立ちふさがっていった


『 大丈夫デスカ、オ嬢サン 』


「ひィえ~ お助けを私は被害者です。獣に襲われ身ぐるみ剥がされたんです~~~~」

パニックってしまった私は目の前の人の足に縋りつき泣き付く


すると女の人は屈んで優しく私の頭を撫でながら良い匂いのするハンカチで涙を拭いてくれる。


珍しいモスグリーンの髪にはひと房の白いメッシュが施され、瞳もエメラルドのように美しく白皙の美貌の女性、思わず女かどうか確認の為にも胸を触るとDカップはありそうな胸の隆起があった。


そんな失礼な私の行動にも怒らず、優しそうに微笑みながら話しかけて来る


『 貴女ノオ名前ハ? 一体ココデ何ヲナサレテイタノデス? 』


話し掛けてくれるけどチンプンカンプン、英語、ドイツ語、フランス語でも無いようで全く分からないんだけど


日本人特有の愛想笑いでごまかしているとお腹の虫が鳴く


ぐぅ~~~~~~~~~~~ ぐぅ~~~~~~~~~~~


『 オ腹ガ空イテイラッシャッタノデスネ。今直グゴ用意致しマスノデ、アチラノ広間デオ待チクダサイ 』


美女さんは私を立ち上がらせようと手をとるが体力の限界の私はふらつき倒れそうになるのを、抱きとめたかと思うとそのまま横抱きする。


ええっ!!


あっという間にお姫様だっこされる私


なんて怪力な女性


チョッと抵抗をしようとしたけど体がいう事をきかず、美女さんの腕に身をゆだねる事にした。


しかも私の体重を感じないかのように軽い足取りで私を運んで行き、サンルームのある部屋の座り心地が良いソファーに座らせてくれるとまるで待っているように手振りで示す。

私は頷き静かに待つ事にしたが、食事は程無く運ばれてくる。まるであらかじめ用意していたかのように次々と豪勢な見た事のない食事が並べられ思わず口からよだれが出る。


ズリュズルルッル~


美女さんが箸が差し出され受け取るや否や皿を抱え込んでがっつく


グチャクチャ、ごっくん、ムシャムシャ、ガツガツ


乙女の恥じらいも無く料理を次々に胃袋に納める姿を唖然と見詰める美女


それだけ体が飢えていたんです。見逃して下さい!


そして漸く満腹になりお箸をテーブルに置いて手を合わす。


「御馳走様でした」


久しぶりに食べる料理は美味しく夢中で食べた所為かどんな料理かさえ覚えていないけど、日本食と中華の混じったような味付け……此処はどこの国なんだろう??


気分が落ち着くと目の前の美女さんの観察をする。髪の毛はモスグリーンという自然では有り得ない色…きっと染めているんだろう、そして顔立ちは北欧系だと思うが、着ている服が着物に似ている!


ズルズルとした打ちかけのような着物を羽織っているが内側には一重の着物にロングスカートのようなのを穿いていて何処の民族衣装って感じ


私の記憶にある限りではこんな衣装の人を見た事も無い


嫌な予感がする


混乱する中美女さんは話し掛けて来る。


『 オ食事ハ満足頂ケマシタカ。 オ風呂ヲ用意シテアリマスノデオ入リニナッテクダサイ 』


?? 初めて聞く言語は理解できず、コミュニケーションが取れないので自分の今の状況が理解できないのが辛いけど、先ずは自己紹介


「橘深雪 深雪 深雪」


自分を指しながら名前の深雪を繰り返してみると美女さんが私を指さす。


「ミユキ?」


「オ― イエス! 深雪!」


何故か英語調になってしまうが相手は分かってくれたようで、次に自分を指しながら名前らし単語を繰り返す。


「ルイングゥイ ルイングゥイ ルイングゥイ」


何かやたらと発音しずらい名前、言えるかな


「ルイングーウイ? ルインベイ?? ルイン……?? 難しいかも……」


美女さんは発音がしずらいと察してくれたらしく


「ルイン、 ルイン」


どうやらルインだけで呼ぶのを許してくれたらしい


「ルイン」


「ミユキ」


「ルイン」


「ミユキ」


二人で名前を呼びあっているその時背後で凄い音がする。


ガンガラガララーーーーー!


振り向くと強姦魔が驚いた顔で立っており、足下には落したらしい重箱と其処から零れ落ちた食べ物のようだった。


思わず美女さんが座るソファーの陰に隠れると怖い顔で睨んでくる強姦魔は殺気まで放っていてかなり恐ろしい


怒りたいのはこっちよ!! この獣め


と心の中で叫んでソファーの後ろに隠れる。


しかし美女さんは立ち上がり余裕の美しい微笑をうかべ、強姦魔に何かいう


『 コレハコレハ、陛下漸クオ越シデスカ…ミユキ様ガオ腹ヲ空カセテオイデダッタノデ私ガ御用意シタ料理ヲ召シ上ガッテ貰ッタトコロデスヨ 』


『 ミユキダト!! オ前ガソノ名ヲ呼ブナ! ソレヨリ此処ハ余ト ミユキ ノ愛ノ巣ダカラ邪魔モノハ出テイケ!!」



なにやら私を巡り言い合いが始まり険悪な雰囲気の中


空気の読めないあの生理現象が起こる。


どうしよう……水をがぶ飲みしたせいだわ


トイレに行きたいが場所が分からず、聞こうにも二人は言い合いに夢中で私には気にも留めていないようだ。


ソファーの陰に隠れてトイレを捜すべく部屋を出るのだったが、巻き付けた布団掛けがずり下がり歩きにくい


いい加減服が欲しい……


今の私には早くトイレを探し出す事しか頭に無かった。










ぐぅ~~~~~~~~~~~ ぐぅ~~~~~~~~~~~


余の横であどけない寝顔で寝る少女からお腹の虫の音が聞こえて目を覚ます。


どうやらお腹を空かせているようだ。考えてみれば昨日の朝に何やら変わった物を食べていたので、丸一日近く食べていないはず。昨夜はかなり無理をさせてしまったのは自覚している……あまりに少女が甘く啼くので我を忘れ貪ってしまった。しかも余が初めての相手と知り益々興奮してしまった。


目が覚める前に美味しい物を持って来て上げようと急いで寝台を抜け出し王都に戻る。


そして戻って見れば寝台の上は空で、慌てて屋敷の中を捜すと大広間の方から声がし急いでいくと


「何故丞相がいる!!」


しかも女に化けているのはどうしてだ???


「ルイン」


「ミユキ」


「ルイン」


「ミユキ」


しかもお互いの名前を呼び合っている!!!


ガァーーーーーーーーーーーン!


あまりの衝撃に持って来た料理を落としてしまう。


余でさえまだ名前を読んで貰っていないのに何故他の男の名を呼ぶ


丞相も丞相だ! いけ図々しくも我が伴侶の名を余より先に呼ぶとは何事だ!!


しかも少女は余を恐れるように丞相の陰に隠れるので目の前が怒りで真っ赤になり、丞相を射殺さんばかりに睨みつけてやる。


「これはこれは、陛下漸くお越しですか…ミユキ様がお腹を空かせおいでだったので私が御用意した料理を召し上がったて貰ったところですよ」


睨みつけてもまるで意に介さないように余裕の笑みで返して来る。


「ミユキだと!! お前がその名を呼ぶな! それより此処は余とミユキの愛の巣だから邪魔ものは出ていけ!!」


初めて少女の名前を呼ぶが自分の迂闊さにも腹が立つ。


あの時ミユキが名前を教えてくれていた事をすっかり抜け落ちていた……


「かなりあの少女に入れ込んでいるようですが、どういう素姓の者かお教え下さいませんか、伴侶として迎えるにしてもお世話の者や色々用意をせねばなりません」


「お前が知る必要はない、サッサと帰れ!!」


「陛下のように自分の世話すらお出来にならない方が人のお世話が出来るのですか? お可哀そうにミユキ様は厨房で水を飲んで飢えを凌いで泣いておられました。しかも衣服も無くあのような惨めな恰好をさせるなど酷い話です」


泣いていたと聞き胸がえぐられたかのように傷む


「うっ…… だから余は急いで料理を取りに行っていたのだ」


「それにミユキ様とは合意の上なんでしょうね… 先程の陛下を見た時のミユキ様の態度は解せません」


「ミユキは確かに余に食べてくれと強請った」


「恐れながらミユキ様は此方の言葉が話せない御様子ですが」


「余がミユキの言葉を覚えたのだ」


「聞き間違えられたのでは? ミユキ様は何日も食べていないかのようにお料理を召し上がっていましたので、もしかしたら食べさせてくれと仰ったのでは」


丞相にそう指摘され、もしかしたらそうだったかもしれないと不安になる。


ミユキを抱こうとした時少し抵抗していたのを思い出す…初めてなので恥ずかしがっているのだ、初めてだから痛がっているのだと勝手に解釈していたのだが違った??


「余の勘違い?!」


そうだとすればミユキに対して酷い事をした事になる!


嫌われた????


確認するためにも椅子の後ろにいるミユキと話がしたかった。


「ミユキ、出て来てくれ」


だが丞相が前を塞ぎ邪魔をする


「ミユキ様は後宮できっちりお世話致しますので、私がお連れします。陛下は確り政務にお励みください」


「煩い、邪魔だ退け」


丞相を退けようと腕を振り上げるが軽くかわされてしまうが、その隙に椅子の後ろに回り込んでミユキを抱きかかえようとするがそこに愛しいミユキの姿は無かった。


「ミユキがいない!!」


「ミユキ様が!」


二人でミユキがいた場所を唖然として眺める。


もしかしたら元の世界に戻ってしまったのではないかと慌てる


「丞相捜すのだ!! 屋敷中を隈なく!」


「はい、陛下!」


そしてミユキを捜すべく二人で屋敷を掛け回るのだった。











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