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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第3章 弟襲来 
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異世界トリップ三日目その五




フーランさんに案内された部屋には大きな丸いテーブルが置かれて、その上には所狭しと料理が並べられており有に十人前はありそうな量


これを三人で食べるのか??


そしてテーブルを良く見れば中華屋さんにある様な回転式になっている。


「へー この世界にも回転式テーブルがあるんだ」


「まさか~特別に作って貰ったの。 これなら動かなくても全種類に手が届くでしょ」


姉ちゃん……相変わらず食べるのが好きだな


少々呆れながらも二人で椅子に座ると姫様がマッキーさんに連れられ部屋に入って来る。


「王妃様 ミョンミョグゥイ様をお連れしました」


ああ~ 声まで可憐だ


そしてマッキーさんを見た途端心臓がバクバク言い始めて顔に血が昇る。


クゥ~~~~~ なんて可愛いんだ~~~~


しかもあのメロンでも入れているような巨乳


正に理想のマイエンジェル


思い切って話をしたいが声が出ない


合コンでは気軽に女の子と話せたのに何故だ??


そんな俺を余所に姫様が姉ちゃんの前に出て挨拶を始める。


姫様は来た時とは違う服でピンクの長い内掛けに色取り取りの蝶の模様があしらわれ髪もツインテールに大きな黒いアゲハ蝶の髪飾りが良く似合い、凄い美少女ぶりだ。


なんか気合いはいってるな


「きゃあ~~~~ なんて可愛いの~~~~ 」


つんざく様な姉ちゃんの黄色い声


流石に姉弟、リアクションが同じ


「王妃様お目どうりをお許し下さり有難うございます。 妾は呈州の州知事の娘ミョンミョグゥイと申します」


俺とはえらく違う対応の仕方


「ミョンミョン…  う~ん 可愛いから貴女を桜花姫おうかひめと呼ばせて」


なんじゃそりゃーーーー ??


明らかに呼びにくいから呼び名を付けてるだろ姉ちゃん


しかし姫様に可愛いのを付けてあげるのに義兄さんにチョンマゲは無いんじゃないか???


「嬉しゅうございます王妃様。 不躾な訪問をした者に愛称を戴けるなどミョンミョグゥイは幸せです」


姫様も大分猫を被り可憐なお姫様を演じている。


俺の時とはヤッパリえらい違いでしおらしい態度


こんな時、女は小さくても怖いよな…っと思ってしまう。


マッキーさんもこうなんだろうかとチラリと見ると視線が合ってしまう


バッチ!!


するとニッコリと微笑んでくれた途端に俺の頭が爆発してしまうような衝撃


ボッカーン!!


グラグラと顔が煮え立つように熱い!!


どっどっどっどっどうしよう~~~ マッキーさんが俺を見て笑ってくれた!!


超ーーー幸せーーーーー!!


もしかして俺に興味あり!? などと浮かれていると


「チョッと健斗 聞いてるの」


「へっ? なに姉ちゃん」


「皆が揃ったから食べましょう」


「ああ… アレ…マッキーさんは?」


頭が沸騰している間にマッキーさんが居なくなっておりフーランさんだけが姉ちゃんの側に控えている。


姫様も何時の間にか席についていたが何故か俺を睨んでいる??


「マッキーは下がらせたわ」


「そうなの……」


ガックリと肩が落ちてしまう


そんな~~~ 酷いよ姉ちゃん 俺がマッキーさんに一目惚れしたのを知ってるくっせに

思わず涙目


「なんか鬱陶しいわね… 後で呼んで上げるから先ず食べましょう」


途端に目の前が明るくなり姉ちゃんに後光が射す。


「有難う姉ちゃん! さあ食べようぜ 戴きます~」


「全くー 現金な子 さあ桜花姫も遠慮なく食べてね」


「はい 王妃様」


姉ちゃんに可愛く微笑みを見せた後で何故か俺をじと目で睨む


さっきから何なんだ??


あっ! そうか~


姫様の婚約の話をしないから怒っているんだと合点がいく


そうだよな


姫様が俺を無理やり此処まで引っ張って来たのは自分の結婚話を壊す為


そうしなければヒヒ爺と幼いながら結婚させられちゃうからな


やり方は強引だったがそれだけ嫌なんだろう


当たり前か


俺だって幾ら胸が大きくとも生理も終わったようなおばさんとは結婚したくは無い


姉ちゃんに話しを振ろうとすれば料理に次々箸をつけ美味しそうに食べながら姫様にも食べなさいとばかりに料理を取り分けている。


「この魚の煮付け美味しいから食べてみて。 魚は嫌い?」


「いいえ 大好きです」


姫様の取り皿は既に一杯


「姉ちゃんあんまり勧めると食べ辛いだろう 皆が姉ちゃんのように大食らいじゃないんだから」


「失礼ね 私は出された物を全部食べるだけよ」


「まさか何時も此れぐらい食べてるのか?」


「チョンマゲと食べる時は同じくらいかしら? でも一人の時はこの半分よ」


お義兄さんも大食漢なんだ


あれだけ綺麗だと霞を食って生きてそうな気がする。


「相変わらず燃費の悪い体だな… それで太らないから羨ましいよ」


高校時代俺が太っていたのは姉ちゃんのせいも半分ある。


昔から美味しそうに食べる姉ちゃんにつられ同じ様に食べていたらポッチャリになってしまった。


「確かにこの世界に来てから食事の量は数倍増えたわね~ 自活してからお金に余裕が無くって結構お腹すかせてたかも」


家の家族は全員良く食べるが姉ちゃんは断トツに良く食べていた。


我が家の家計は確実にエンゲル係数が高く何時も母ちゃんが早く自活してくれと子供達にぼやいていたくらい


「何でそんなに増えたんだ!?」


幾ら何でも食べすぎ!


「食べないと体がもたないから」


「王妃様の仕事ってそんなにあるのか?」


「そっちは暇だけど、夜のお勤めが過酷なの」


夜のお勤めってアレ!?


「 /// うっ… 弟に生々しい話は止してくれ」


姉ちゃんは割かし弟相手に下ネタを振りデリカシーに欠けるところがある。


身内の夜のシーンなんて想像したくない!


姫様だっているのに


見れば姫様も顔を赤らめて俯いていた。


「それより姉ちゃんに相談があるんだ」


会話中もひたすら食べ続けているがガツガツとはしては見えず正に食を楽しむように食べる姿は懐かしい


「ぬわぁにぃ…」


せめて呑み込んでから返事しろ


口に物を入れたまま返事をする姉ちゃんに王妃の片鱗すら見えない


本当に王妃様なのか


「弟君様 お話はお食事の後にお願いします」


「あっはい」


フーランさんにたしなめられるがその眼つきが鋭い


なんか嫌われてる?


まだ胡散臭く思われているのだろうか


それから暫らく食べる事に集中し目の前の食事が綺麗さっぱり無くなり二人で手を合わせ


「「 御馳走さま 」」


半分以上は姉ちゃんの胃袋に消えたがその前にひよ子を四個食べていたのに良く入ると感心してしまう


もしかすると胃袋にブラックホールと繋がってるんじゃないのか


姫様の顔もニコニコしているが若干引き攣っている。


そう言う俺も結構食べてしまいこのままでは確実に太る


下腹など出てはマッキーさんに幻滅されるので次回の食事からは気お付けよう


テーブルの食器はフーランさんが一人であっという間に片付けてしまい手際よく食後のお茶を出してくれるがマッキーさんの姿は今だに無い


フーランさんが居ると話し掛けずらく茶を飲んでいると一腹した姉ちゃんが話を振って来てくれる。


「さっきの頼みって言うのは何?」


「あっうん… 姫様の事なんだけど」


「桜花姫の?」


「何でも無理やり亀族の爺さんの所に嫁がされそうなんだって。 可哀想だから何とかならない」


「そうなの桜花姫!?」


「はい 両親が妾の意志とは関係なく千歳近くも離れた亀族の方と婚約させられそうなのです… 妾はまだ恋もした事も御座いません うっううううシクシクシク」


「「 千歳!! 」」


姉ちゃんと思わずハモってしまう


千歳とは…また…とんだ年の差


昨今年の差婚が流行っているけどこれは往き過ぎであるが神様で千歳がどれくらい離れているかは人間の俺には推し量れない


「フーラン 千歳も離れているのに結婚なんか有り得るの?」


「亀族の悪習のような物で高位の年老いた亀族が下位の亀族の姫と婚姻を結び己が寿命を延ばそうとするのです。ミョンミョグゥイ様は州知事の姫なれば相手は国の中枢にいる高位の亀族だと思われます」


「干物爺さんが美少女の命を奪うなんて許せない! 安心して桜花姫 王妃の私がそんな婚約ぶち壊してあげる」


「王妃様 本当ですか」


顔を輝かせる姫様


「ええ それとそんな悪習は全廃撲滅させるわ!」


「有難うございます王妃様 ミョンミョグゥイが出来る事があれば何でも仰って下さい」


「取敢えず私の胸に飛び込んで頂戴!」


そう言って姉ちゃんは両手を広げてウエルカム状態


「 えっ 」


訳が分からず戸惑っている姫様にアドバイス


「姫様を抱き締めさせてあげれば姉ちゃんは満足だから」


姫様は恐る恐る椅子に座る姉ちゃんに抱きつくや否や姉ちゃんはガバリと抱きしめて頬ずりをせんばかり


「きゃー 可愛い 小さい体がスッポリと治まるこの感触が堪んない~  このピンクの髪なんてアニメでしか存在しないと思ってたわ 今度お姉さんと着せ替えごっこしましょ」


なんだ…以前は柱の陰から小学生の可愛い女の子を眺めているだけだったがパワーアップしている。


顔には出していないが姫様は内心嫌がっているだろうがジッと耐えていた。


所謂パワハラとセクハラ?


「姉ちゃん なんだか変質者ポイぞ…… 」


我姉ながら恥ずかしい


姫様は完全に引いている。


フーランさんの方はスル―でこういう状況に慣れてるんだと伺わせられた。


「はっ!!  ゴメンね桜花姫 少しタガが外れたみたい」


姫様を離して恥ずかしそうにするので少しは羞恥心が残っていたらしい。


「いいえ 王妃様の御心が少しでもお慰め出来るならミョンミョグゥイは何でも致しますわ」


本性を知る俺は可愛いぶりっ子を演じる姫様を胡散臭く見る。どうやら可愛い子が好きなのを読み取って姉ちゃんをメロメロにする魂胆だろうか


「本当に! それじゃあお言葉に甘えて着せ替えごっこをさせて」


嬉々とする姉ちゃん


猫を被っているのに気付いてるかな?


「はい」


「それじゃあフーラン 桜花姫に似合いそうな衣装を最低十着は取り寄せて、それと小物とか装飾品もお願い」


最低十着… 姉ちゃん金遣い荒くなったな


「明日にでも御用意致します」


「明日が楽しみだわ~ 最近チョンマゲも忙しそうで夜しか会えなくて寂しかったのよ」


「? さっき来たじゃないか」


「アレは多分私の側に知らない気配を感じたからよ」


「え 姉ちゃん監視されてるの!」


「神様だから色々多機能なの」


多機能 つまり何でもアリのチート能力と言う奴か


あれだけの美形でチートな能力


欠点が無いんじゃないか


敢て言うなら女性の趣味が変?


「大変だね…」


ヤンデレの愛は恐ろしいから受け止める方も苦労しそう


「慣れちゃったから大丈夫。 それに私もチョンマゲを愛してるからドンと来いよ!」


男らしい胸を… では無く、男らしく胸を叩く姉ちゃん


相思相愛いいな~~


俺も早くマッキーさんと親交を深めたかったが昼食後は姉ちゃん衣装合わせなど忙しく王妃であるのに侍女が二人しかいなく圧倒的な人手不足らしい。


確かに広い屋敷だが人の気配があまりしなくて豪華な造りだが何処か寂しく感じ一人でいるのもなんだから姫様の部屋に遊びに行く事にするのだった。







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