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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第3章 弟襲来 
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異世界トリップ三日目その三




美味しいお茶を飲みながら姉ちゃんを見やる。


久しぶりに見る姉ちゃんは全然変わらないと言うよりか少し若がえた?


人妻と言う淫美な響きが全く似合わず色気と言うものが皆無で相変わらず洗濯板な胸の姉ちゃん


そもそも胸って揉むと大きくなると言うのは都市伝説だったのか?


もしかすると既に旦那との間に隙間風


何しろ相手は王様だから後宮に美女をわんさか囲っているはず。


ヤッパリ胸が無いのが長続きしなかった敗因だろうな


それよりさっきのマッキーさんの豊満な胸は正に巨乳!!!!


しかも小さな顔におさまる大きな瞳に小さな口はロリ顔美少女そのもの


正に理想が二次元から飛びだしたかのよう


今思い出しただけでも心不全を起こしそうな胸を抑える。


絶対あの人を俺の嫁にする!


この際ハーレムよりマッキーさん一筋だと心に決めた!


「顔を赤くしてマッキーで妄想してるの?」


ギックーーーーーッ


流石に姉ちゃん 見抜かれている。


茶化されるのが嫌なので此処は誤魔化そう……ゆくりとマッキーさんとは親睦を深めたいからな


「そっそうだ! 姉ちゃんにお土産があったんだ」


「えっ 何?」


急いで足下に置いていたリュックから先ずどら焼きを取り出す。


「ジャーン どら焼き!」


途端に目の色を変えてテーブルの上のどら焼きを直ぐさま手に取り涎を垂らさんばかりに見詰める。


「こっこっこっこれは……夢にまで見た風香堂のどら焼き!!!!!」


姉ちゃんはドラえもん並みにどら焼きを愛しておりこの風香堂のが常日頃世界一美味しいと豪語するほど


そして感極まったように突然立ち上がり俺に抱きつく


ガバ!


「健斗! 愛してる」


はっきり言って姉ちゃんに抱きつかれても嬉しくもなんともない!!


せめて少しは胸があたれば嬉しく無くもないなどと考えていると


ドゴーーゴゴーーーーーーーーーーーーン!


背後で並みならぬ殺気で背筋がゾクゾク


なんだこの恐ろしい気配は


何時の間にかこの部屋に誰かが入り込んで来ている??


確認するのが恐ろしくて振り向けず固まる。


「アッ…… チョンマゲお帰りなさい!」


すると姉ちゃんが背後に居る誰かに声を掛けるや否やその人物に飛び付く勢い


「ミユキ この間男は何だ!!」


「違うわよ! 弟! 弟だから落ち着いて!」


振り向かなきゃいけないのに振り向けない 凄まじい殺気が俺の背中に感じるぞ!!


「この場で髪の毛一筋残さず焼き殺してやろうぞーーーーー!」


「駄目ーー テーブルにはどら焼きがあるのよ!」


俺はいいのかーーーー姉ちゃん!?


どうやら相手は姉ちゃんの旦那の王様らしいが、俺を浮気相手と勘違いしている。


ヤバイ!!


考えろ 考えるんだ


こういう場合ラノベではどういう展開だ


相手は逆上しているから生半可な手では嫉妬深いヤンデレキャラは懐柔出来ない


「チョッと健斗も固まっていないで逃げなさい!!」


人間の俺が神様から逃げ切れる訳ねだろーー


姉ちゃんの声を無視し俺は急いでリュックを漁り王様用の土産を取り出す。


まさか此れがこんな風に役にたつとわ


「ミユキ離すのだ! この男の首を捩じり切ってから細切れにしてくれよう」


ヒィエーーーーーーーーーーーッ 


「だから弟だってば!」


どうやら姉ちゃんの声すら耳に届いて無いほど嫉妬に狂ってる?!


姉ちゃんが今だに愛されているのを思い知るがそれどころじゃない


俺はリュックの底から一冊のアレを取り出し適当にページを開き悪霊退参張りのようにそれを盾にしてそれを背後の王様に突き付ける。


「お義兄さん! 御土産です。 お受け取り下さい―― 」


ありったけの声を張り上げる。


この手が無効だった場合俺は八つ裂き決定


童貞のまま異世界の地の露となって消えるだろう


「「「 …… 」」」


そして静寂


一瞬時が止まったのかと錯覚するほど



恐る恐る目を開くと持って来たアレを顔にくっ付かんばかりに凝視している姿


お陰で顔が見えないが輝かんばかりの金髪だけは分る


ガバ!


そして俺から奪うようにアレを取り上げ次々とページを捲っていくがそんなに顔をくっ付けて見えるのかと疑問だが取敢えず命拾いをしたようだ


ホッとしていると


「健斗何を渡したの?」


姉ちゃんが聞いて来るのでニヤリと笑って答えてやる。


「俺が特別監修した姉ちゃんのアルバムだ」


「はぁ~あ?」


「母ちゃんが嫁に行った娘の写真は向うの家に持って行くもんだとか煩いからパソコンに取り込んで姉ちゃんの写真集風に編集加工したんだ」


俺が何時間も掛けて作成した力作


素材が姉ちゃんなのが残念だが親愛を込めて作ったら百ページを超える大作


王様も気に入った様なので苦労が報われた。


うんうん


しかし何故か姉ちゃんが怒りだす。


「このバカちんがーーー!」


ガッツン!


姉ちゃんの拳が俺の頬を殴ると勢いで尻もちを付く程の威力


「グゥワッ! 痛ってーー 何するんだよ…」


しかし既に姉ちゃんは次に王様に向かってる。


「ぎゃーーっ チョンマゲ見ちゃ駄目! 返してよ!」


さっきはスルーしたけど姉ちゃんは王様をチョンマゲと呼んでるが本名か?


チョンマゲってあの侍のチョンマゲ??


背の高い王様にピョンピョン飛び上がりアルバムを取り上げようと奮闘する姉ちゃん


「それ以上見たら口効かないから!」


まるで小学生のような事を言う


「ミユキ~~~ それはなかろう……余はこの絵姿集が欲しい」


物欲しそうに姉ちゃんを見やる王様


「それは私の物 それとも私よりそんな過去の私の写真の方が大事なのね!」


「違う! 断じてそんな事はないが……」


漸く王様の顔が現れるが


すげーーーーー 人外の美しさとはこの事か……


今まで見て来た中で断トツ一位


こんな超絶美形の王様を射とめた平凡顔姉ちゃん


流石に異世界トリップの成せる技だなと関心している時でも二人の攻防は続いている。


「さあ そのアルバムを返して」


姉ちゃんも何がそんなに嫌なんだ??


「せめて十枚ぐらい許してくれ」


王様は目を潤ませ普通の女なら一瞬で許しそうな色気を漂わせ姉ちゃんに頼み込む


「無理! そんなの全部焼却よ」


おおーー 姉ちゃんに美形の色気は効かないのか?


「ならば一枚でも良いから」


なんだか王様が可哀想に感じるが姉ちゃんも頑固者だからな


それにこんな事もあろうかともう一冊用意してある俺


伊達に赤ちゃんの頃かろ一緒に暮らしていない


初めからアレは囮なのだ


俺はリュックからコッソリメモとペンを取り出してメッセージを書く、勿論日本語だが神様なら大丈夫だろう


「今 渡さないなら暫らく牡丹の君の所に行くから」


「ミユキ~~~~」


情けない声を出す王様


「姉ちゃん別にいいじゃん。変な写真なんか入って無いんだし旦那に見せてもいいだろ?整形してんならヤバいけど」


「健斗は黙ってなさい! あんたの恥ずかしい話をマッキーに話すわよ」


「ごっゴメンなさい……」


姉ちゃん相変わらず最強


「弟が折角土産として余にくれた物だから 余の物だ」


何時の間にか弟として認識してくれたらしい


「健斗の物は私の物なの!だから譲渡権も私にあるの!」


なんですかそのジャイアニズムな発言!


「ミユキの意地悪……」


どうやら王様も諦めたらしく未練たらしそうにアルバムを姉ちゃんに渡し完全に尻に敷かれている。


姉ちゃんももう少し分を弁えないと王様に捨てられるぞ


「あの~ すみません。 俺が余計な物を持って来たようで」


「よいのだ…… 僅かとは言えミユキの幼き日々の愛くるしい姿を見れただけでも余は幸せ」


憂いに満ちた美しい姿を側で見ているだけでドギマギ


姉ちゃんこんな美しい人によくあんな態度をとれると感心してしまう。


「改めて挨拶もなんですが深雪の弟で橘健斗と言います。 これ、家の両親からの預かって来たお菓子です」


「ミユキの御両親から それは有り難く受け取ろう」


王様の土産に持たされた東京名物「ひよ子」


偉い人にこれは無いんじゃないかと思うが母ちゃんには逆らえない


「それはひよ子! きゃー嬉しいーー」


そう言って王様が受け取る前に強奪する姉ちゃん


なんか王様が憐れ


だけどそんな姉ちゃんを愛しそうに見詰めているので本人は気にして無いらし


かなりの病み具合だな……


そして姉ちゃんがひよこの包装を外すのに気をとられている内にコッソリと王様に囁く


「あの……おにい  王様 コレ 」


王様を義兄と呼んだらヤッパリ拙いかと思い言い直してメモを渡す。


「?…!!」


それを受け取った途端、更に顔を輝かせ美しさをアップさせるので直視不能


美しさで一瞬目が麻痺


美形過ぎるとそれだけで凶器になると初めて知ったぞ……


「弟よー水臭い!余の事は兄と呼んでくれ~」


「それじゃあ遠慮なくお義兄さんと呼ばせて貰います」


最初の頃の殺されそな雰囲気はどこえやら一気にフレンドリーな王様


どうやらメモを読み取る事が出来たらしい


メモには『もう一冊あるので後でコッソリ渡します』だ


「良く見ればミユキに似ておる。 可愛い弟が出来余も嬉しいぞ」


姉ちゃんの顔に似ている事も功を奏したようで気に入られたようでホッとする。


もしマッキーさんと結婚するとしたら色々お世話になるだろうから取り入っておかねば



「俺もこんな立派な義兄を持て嬉しいです」


本気でそう思う


日本だったら結婚しても此処までの男を捕まえるなんて不可能


大学時代に振ったイケメンを遥かに飛び越えたレベル


畏れ多すぎるよな……


「そんな所で立ってないで皆でひよ子を食べましょう」


そう言って声を掛けて来る姉ちゃん


テーブルの上には可愛く並んだひよ子達


しかしどら焼きが一個も無い?


恐らくひよ子の箱に隠したな……相変わらず意地汚い姉に安心


本当に変わらない


王妃様なんかになって嫌な女になっていたらどうしようかと思っていたが


姉ちゃんはヤッパリ姉ちゃんだった!


王様と仲睦まじそうな様子を見て俺も早くマッキーさんとこうなりたいと願わずにはいられなかった。







 

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