女神様と私
波のさざ波で目を覚ますと私は天蓋付きの大きなフカフカのベッドで目を覚ましていた。
「?????」
しかも横を見れば金髪ロン毛の壮絶に綺麗な女の人が私を抱きかかえるかのように寝ている。
「何なのこの状況?????」
確か私は岩山から降りる時に突風にあおられ落下し、木々の枝にぶち当たりもうお終いだと目を閉じた筈……
多分死んだんだよね??
あっ!!成程!
此処は天国に違いない、女神様のような美しい人や部屋が高級ホテルのロイヤルスイートのようで女性なら一度は彼氏とお泊りしたいみたいな夢のようなシチュエーション
断崖絶壁から高級ホテルの部屋……
きっと私はあの悪魔のような金髪美少年に地獄に突き落とされ、憐れに思った女神様が助けてくれたに違いないと思い込む事にした。
何故なら、次々起こる異常事態に私の思考は逃避しか選べない――――
そう此処は天国なのよ!
死んでしまったのなら、此処で幸せな第二の人生を送るしか道もなく、横には女神様が付いている!
幸せは保証されたも同然よ
グゥ~~~~~~~~~~~~~
安心したせいかお腹が鳴る
「お腹すいた… 喉も乾いた… ?」
死んだにしては生きているようにお腹もすくし五感もある。
「考えるだけ無駄、 それより何か食べるものが欲しい…せめてお水だけでも」
私は食欲を満たす為にも女神様の腕を外しそっと女神様の体から抜け出し起き上がる。目を覚ますかと思ったがぐっすりと気持ちよさそうで起きる気配はないのでそっとしておく
女神様の美しさは後でじっくり堪能する事にして、取敢えず飢えと渇きを満たす方が先だった。
ベットから降り部屋を降りようとした時、ベットから女神様の黄金に輝く長い髪は床まで垂れ落ち床にとぐろを巻くように置かれ。これを真直ぐ伸ばしたらゆうに5mはありそうだ
「何これ凄――い 生ラプンツェルだよ! 生!」
流石に女神様、髪まで只者ではない
まるで蜂蜜のように艶やかで美味しそう
思わず舐めたくなる。
髪は流石に食べれないので早く食料をさがそうと部屋を物色するけど、豪華な家具は揃っているが全て空っぽで何も入っておらず、ルームサービスを呼びたくても電話もない
そもそも此処がホテルかは疑問―― 天国だし
女神様を起こして食べ物を出して貰おうかと考えたけど、私がこれだけガサゴソしても一向に目を覚まさないので熟睡しているのだろう
起こして女神様のご機嫌を損なうのは得策ではないので止めておく。
なので部屋を出て誰か人を捜そうと廊下に続くであろう扉を開け廊下に出るが、人の気配が全くしないのでどんどん進んで行くとサンルームのホールのような場所出る。
ガラス張りの大きな窓からは青い海が一望できて正に高級リゾートホテル、波の音で海の側だと思ったけど…天国にも海はあるんだ
「綺麗だけど、私はお腹を満たしたい」
こうなったらキッチンを捜して其処で食べ物を貰うしかないけど今のところ女神様しかこのホテルには居ないのではないかと思い始めている。そんなに大きくないホテルなので直ぐに目的のキッチンらしい場所を見つけた。
「う~~ 何もない…」
キッチンには冷蔵庫もなくコンロや水道の蛇口すらない????
戸棚など調べても食器や調理器具はあるけれど肝心の食料品は何も無い!
見付けたのは昭和レトロな井戸水をくみ上げるようなポンプ
試しにポンプを漕いで水が出ないかやってみるがなかなか水は出てこないけど、此処で諦めても喉の渇きは癒されないので数分頑張ると漸く水が出る。
ゴッポ… ゴゴッポ… ジャーッ ジャジャザァザーーーーーーーーーー
「やった! 水が飲めるわ」
念のため数分間水を流し続けてから戸棚にあるカップを拝借して、水を汲んで何杯も飲む。
「おっ美味しい~ 水がこんなに美味しいなんて… 」
しかし水を幾ら飲んでもお腹は膨れない
仕方が無いので女神様が起きるのを待つしかないようだ。
とぼとぼと部屋に戻ると女神様は今だスヤスヤと寝ているので、ベットに登りその寝顔を眺める。
「本当に綺麗な人、今まで会った中で断トツの美人さんだよ… 女神様の前だと私なんか普通以下のレベルかも」
こんな美女の横に並ぶの絶対嫌だな~と考えていると突然パチリト女神が目を覚ます。
「「 !! 」」
なんて綺麗な目
女神様の瞳は海のように澄んでいて蒼く深い色をして、引き込まれそうになる。
目を開く事によって、より一層神々しさを増す美しさ
ああーー 私もこんなに綺麗に産まれたかったと思わずにはいられない
妬んでしまうのは仕方がない、きっと世界中の女達がこの女神様の美しさを妬み男ども媚へつらうに違いない
だけど美しすぎるのは、ある意味目に毒で直視するのが辛い
そして女神様は固まったように目を見開いたままだ???
此方から声を掛けてもいいのかな?
「あっあ~の~ 」
すると私の声に驚いたようにビクッと体を震わせたかと思うと顔を真っ赤にさせて私から離れるように跳びはねてベッドの端に体を移動させた。
「えっ?!」
それは一体どういう反応??
それは男に襲われる乙女の反応であって、私は胸はささやかながらあるれっきとした女なんですけど
決して強姦魔ではない!!
しかし良く見れば女神様は中々逞しい体つき
浴衣のような一重の水色の絹の着物を着た女神様の胸元は大きく肌蹴ていたが私より胸が無かった。
よし! 胸は勝った!!
と心でガッツポーズをとるがあまりにも真っ平らだ…まさか男?
違うよね、こんな綺麗な男がいるはずない
いたなら女の敵だ!
女神様は顔を真っ赤にさせたまま口を酸欠の金魚のようにパクパクさせるだけで何が言いたいのか分からない
頭が弱いのだろうか?
この状況を前進させる為にも私が動くしかないみたい
早く空腹を満たしたかった。
「私の名前は橘深雪と言います。女神様助けて頂き有難うございました。助けてもらった上に厚かましい………えっ!! 」
愛想笑いを浮かべながら取敢えず名前とお礼を言い、本題に入ろうとした時女神の鼻から鮮血がほとばしる。
まさに鼻血が噴き出し口の周りや胸元が血でベッタリと染まり、まるで生肉を食べた食人鬼のようで綺麗なだけに鬼気迫る
こっ怖い~~~~
この人、変!
だけど命の恩人だし、ご飯が欲しい
機嫌を損ねてはいけない
「大丈夫ですか…… 血を拭きたいので側に寄ってもいいでしょうか?」
なんだか怖がられて?いるようなので恐る恐る聞いてみるとコクリと頷いてくれるので、言葉は通じているようで安心する。
日本語が理解されるという事は地球上の何処かのはず
ゆっくり側に行くとかなり背の大きな人だと分かり驚く…私は161㎝なので180以上は確実にある。私が膝を付いて立ち女神様が座った状態で視線が合う、多分人種的問題かな
拭く物といえば体に掛けられた布団の上掛けしかないので引きはがしてそれで鼻からの血を拭いて行くけど、渇いた布ではあまり綺麗にならない
「ちょっと待っていて下さい、水を持って来ますから」
急いでキッチンに行き、鍋に水を入れて運ぶついでに包丁も拝借する。
布を切るためだけど万が一の護身用に…
部屋に戻ると女神様は微動だにしていなかったかのようにそのままの位置で大人しく待っていたが、私の姿を見ると下に俯いてしまう
人見知り?
布団カバーを切り裂き、切り裂いた物を鍋に入れて濡らして絞った物を5つぐらい作ってから女神様の顔を綺麗にしていき、次に胸元を拭くが、着物はどうしようも無い。
そしてマジマジと見れば見る程胸が無い……肌に付いた血を拭いて行くと白い肌が段々赤く染まって行き、何とも色っぽい
どうやら女神様は人見知りで恥ずかしがり屋のようだ
そして何やら酷く視線を感じてしまう…
お互い俯いているが女神様の顔は私の頭の上にあるので見られている。
こんな美女にガン見される程の顔でもないはず? せめて化粧でもしていれば少しはマシだけど生憎今はスッピン
どうせ私は普通以下よ
フン! 胸は私が勝ってるんだから!
虚しい事を心の中で毒づくしかなかった。
女神様は無口らしく一言も話さずもじもじするばかり
人見知りで、恥ずかしがり屋で無口……絶世の美女となると欠点が奥ゆかしい美点に見えるのは何故だろう?
胸も拭き終わり、そろそろご飯をおねだりしてもいい頃あい……お腹が空いて堪らず恥も外聞も無く堪らずおねだりをする。
女神様の顔を見上げ甘えた調子で言う私。
「女神様お願いです。ご飯を食べさせて下さい」
私は目の前にいる人が本物の女神様だと信じて疑わなかった…
きっと魔法のように美味しそうな料理を出してくれると思ってワクワク期待していると
アレ?
ポッスン!
何故か私は女神様に押し倒される?????
これはどういう事でしょう……
気絶した少女を抱きかかえ瞑道を潜り抜けると懐かしい海の別荘にたどり着く。
幼少のみぎり、両親が避暑のため私に建ててくれた別荘で海岸から少し離れた切り立った岸壁の小島に建っている為に人間は近寄れない隠れ家のような場所
誰にも邪魔されず少女と二人っきりで過ごすには打ってつけの場所なのだ
多分此処を訪れるのは六百年以上ぶりだが、屋敷には静止の術を掛けてあるので朽ちる事無くそのままの姿で残されている。
玄関の前に立ち静止の術を解くために扉に神力を流し解除すると急いで寝室に少女を運び寝台の上に寝かせる。
そしてうっとりと少女を眺める。
早く目が覚めないかと待つうちに眠くなってきたので少女の横に潜り込みその華奢な体を抱きしめてみる。
「うっ……う」
抱き締めているだけでいってしまいそう……じゃなく心臓がバクバクと波打ち鼻血が出そうになるが耐える内に少し慣れて来る。
少女を抱きしめているだけで心がフワフワと幸せな気分になって来てそして何時の間にか寝入ってしまたのだった。
人の気配で目が覚める。
「「 !! 」」
目に飛び込んでくるのは余の顔を覗き込む少女の瞳
なんて綺麗な目だろう
時が止まったように黒い水晶のような目に魅いる。
「あっあ~の~ 」
少女の小鳥のさえずりのような声で呼びかけるので驚いて思わず跳びのいてしまう!!
自分でもみっともない反応に恥ずかしく、言い訳しようと口を開こうとするが言葉が出なく、焦れば焦るほどただ口をパクパクするしか無く、少女に呆れられると思っていると少女は優しく微笑みなが自己紹介を始める。
可愛い頬笑みを向けられ心臓がギュッとしたかと思うと一気に血流が頭に昇り鼻がツンとしたかと思った瞬間鼻血が吹き出る
終わった……
こんな醜態を晒してしまい少女に嫌われたたと思ったが少女は優しく気遣うように声をかけてくれる。
「大丈夫ですか…… 血を拭きたいので側に寄ってもいいでしょうか?」
なんと思いやりのある少女
声が出せないので頷くと、たおやかに近づき血を拭いてくれる!!!
感動の嵐が吹き荒れる。
うおぉぉーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
そして何時の間にか水を汲んで来て濡らした布で手際よく顔や体を拭いてくれ、余は少女の俯き加減の顔をつい凝視してしまい目が離せない
なんて柔らかい肌の色、細い首筋に吸いつきたい
押し倒したい欲望を抑えていた余だが
少女が余の顔を見て甘えた声で囁く
「*@-^¥ 食べ…て下さい」
たっ食べて下さいとはそう言う事だろうか!!!!!!!
据え膳食わぬは男の恥
余は一気に欲望のまま少女を押し倒すのだった。