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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
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私と王様と休日






その夜チョンマゲにベットの中で聞いてみる。


「チョンマゲは子供が欲しい?」


「丞相の妻から話を聞いて欲しくなったのか。 ならば今から子作りに励もうぞ!」


そう言って飛びかかって来る夫に手でブロック


「昨日したから今日は無し!」


「ミユキのケチ…余は毎日したいのに」


それでは私の身が持たないのよーーー 


イジイジとしながらも私の髪を玩具にして指でクルクル巻き付けている。


「それよりさっきの答えは」


「余は要らぬ。 子供が居てはミユキとの時間が減るし子供に構って余を蔑ろにされてはたまらん。 ミユキは余だけを見ていて欲しい」


なんとも子供っぽい独占欲丸出しの甘い言葉にクラクラする。


それとも子供が出来にくいのを知っていて気遣った言葉なのかもしれない


「でも子供が出来なかったら周囲からまた側室を持てって言われない」


「心配はない。以前は丞相の奴が煩いので置いただけでミユキが居る以上何も言わぬだろう。 余はミユキしか要らぬ」


相変わらずのストレート直球な言葉に今だ慣れない私の顔は真っ赤か


その隙にキッスを仕掛けられ心も体もメロメロにされ結局二日連続セックスは濃厚で翌日起きるのは昼過ぎだった。









しかも目を覚ますと何故かチョンマゲがまだ寝室に私を抱き締めたまま寝ている。


最近は休まずにお仕事をしていたから久しぶりの休日なのかもしれない


目が潰れそうなほど麗しい夫の寝顔を眺めながらつくづく不思議


こんな綺麗な男が牡丹の君や深紅の薔薇の君ほどの絶世の美女を歯牙にもかけず私だなんて本当に変わってる。


チョンマゲと巡り会えたのも天帝のお陰だと性悪美少年神様に感謝し始めていた。


もう少し落ち着いたら向こうの世界に行って家族に会って事情を説明しに戻りたいと思っているが、本音は天帝が私に成ってとんでも無い事をしていないか心配なのよ~


そしてチョンマゲの心音を聞きながらもソロソロ起きようかと抜けだそうとするが確りと私の腰に廻るチョンマゲの腕のせいで脱出不可能


偶には早く起きて身支度をして夫を起こしたいんだけど


もがいている内に当り前だけど目を覚ましてしまうチョンマゲが一層手に力を込めて離さない


「ミユキ~ もう少し寝よう」


「今日はお休みなの?」


「そうだ仕事を頑張って片付けたから五日間の休暇を丞相に貰った」


臣下から休暇を貰うなんて本当に王様?


神力の高い者が王だなんて乱暴な選定法は甚だ疑問だけどあの天帝のしている事だから仕方ない?


「良かったね。 それより私は起きたいんだから離してくれる? チョンマゲはもう少し寝ているといいよ」


途端に目をパチリと開けて起き上がる。


「ならば余も起きる」


そう言って私を抱き上げて瞑道を開けてサッサとお風呂に向かい当然のように一緒に湯船に浸かる私達


相変わらずの素早さ


何しろ裸で寝ているので服を脱ぐ手間は無い


恥ずかしがるのも今更になってしまている。


チョンマゲの膝に乗せられながらゆったりと湯に浸かり寛ぐ


目の前には美しい湖面が輝いて優しい風が頬を撫で心地よいが、湯の中にはチョンマゲの髪が金の蛇のようにうねっているのが見え少し不気味だ


「ね…チョンマゲは髪を何故切らないの」


「切るのが邪魔くさかっただけだが」


「伸ばしている方が邪魔でしょ?!」


こんな長い髪を洗ったり、梳いたりする方が大変そうだけどあまり手入れをしていないのに、流れるように真直ぐな美しい金色の髪はただものでは無い。私の髪はくせ毛で絡まり易く毎朝フーランが香油をつけて丹念に梳いてくれるから纏まっているけど腰の辺りまで伸びた髪をこれ以上伸ばすのはきつそう


「ミユキが切ってくれるなら切ろう」


「切らなくて良いよ。このまま何処まで伸びるかギネスに挑戦よ」


此処まで伸ばしたんだから勿体ない。 国庫がひっ迫したらこの髪を売ったら少しは足しになりそうだと不純な事を考えてしまう


「ギネス??  ミユキがそうして欲しいなら伸ばそう」


嬉しそうに言いなが体のあっちこちを触って来て少々妖しい雰囲気に成って来る。


「ひゃっん…… こら、チョンマゲ触らないで… 」


「今日は一日中ベッドで過ごそう」


朝からさかりだすチョンマゲは何処からそんなに精力が湧いて来るのかと呆れるけど私の体は昨夜の行為でヘトヘトだよーーー


「昨夜一杯したでしょ! お預け!」


「うっう…… 折角の休みなのにもっとミユキとしたい」


「無理だから。私は人間で体力が無いんだからそんなに付き合えあえないの」


「今夜は?」


「酷いチョンマゲは体だけが目当てだったの……」


「ちっ違うそんな事は断じて無い!」


「じゃあ今日は無しでいいね」


「……」


不満そうな感じで渋々了承したようだ。


それからチョンマゲと着替えてから仲良く食事をするのだけど私の定位置はチョンマゲの膝の上になっており食べさせてあげるのが当り前になってしまっている。


こんなにくっ付いて直ぐに飽きられそうで恐い


それ以上にこの状況に慣れてしまっている自分も恐いのだった。


「はい これも美味しいから食べて」


魚の甘露煮のような物を口に持って行くと口を開けて食べさせて上げると嬉しそうに食べてくれる。私は自分の分も確り食べるけどチョンマゲも良く食べる方で出された料理は二人で全て完食している所為か、出される料理が徐々に増えているよな気がする。


気のせい?


「「 ごちそうさま 」」


二人で手を合わせて食後の挨拶


それからチョンマゲとまったりと寛いでお茶を飲む。


「ミユキは何かしたい事や欲しい物がないのか」


「なら、牡丹の君の卵を見に行きたい」


「む… 」


牡丹の君の名を出すだけで不機嫌そうにする。


「チョンマゲが連れて行ってくれないならルインさんにお願いするわ」


「明日でいいなら連れて行こう」


「ありがとうチョンマゲ」


チュッ


そのまま頬にキスをすると途端にデレつく


「お礼は口が良いのだが」


そんな事したら襲われるのでする訳にはいかない


「今度ね」


それからひらりとチョンマゲの膝から降りてフーランに声を掛ける。


「これから少し勉強するわ。マッキーを呼んで」


「宜しいのですか…」


「何が?」


フーランがチョンマゲの方へ目くばせするといじけた様に私を見ていた……これではマッキーが委縮して勉強になりそうもないので諦めるしかないよう


「そうだ! 今日はチョンマゲが字を教えて」


途端に機嫌を直し満面の笑みを浮かべて字を教えてくれる事になったけど私の下手糞な字を誉めるばかりでとても教師には向いていないので、マッキーがくれた課題をひたすら練習するだけで自習と変わらなかった。


「ミユキはどうして字を覚えたいのだ?」


不思議そうに聞くチョンマゲ、字を覚える事が変なんだろうか


「だって字を書けないと恥ずかしいでしょ」


「字を書けない者など大勢いいるぞ。 亀族は別だが人間の半数近くは読み書きも出来ないのが当り前で暮らしている」


「私はもっとこの国の事を知りたいから、勉強もして本を読んだりもしたいの。 美味しいご飯を食べたり着飾っているだけなんて退屈よ。 王妃なんてチョンマゲの横に居るだけでいいんだろうけど私はそれだけじゃ嫌なの」


「ミユキは何かしたいのか?」


「さあー だから何をしたいか知る為の勉強じゃない」


「やっぱりミユキは可愛い」


そう言ってうっとりと私を見詰めるが、今の言動に何処が可愛いの??


「むっ…  バカにしてる」


「しておらぬ。 誉めているのだ」


全く親ばかならぬ妻バカのようなチョンマゲ


それから暫らくは静かに見ているだけだったが飽きて来たようで私に構い始める。


「ミユキ~~ 少しは余にも構って欲しいのだ」


私の肩に顔を載せすり寄って邪魔をして来るので鬱陶しい…休日にゴロゴロしている父を鬱陶しがる母の気持ちが良く分かる。これ以上は続けられそうもないので諦めよう


「それじゃ湖を散歩しよう」


「散歩」


「散歩も知らないの? 外の景色を楽しみながら歩く事だよ」


「知ってはいるが…した事がない」


「一度も?!」


「歩くなど面倒なので空を飛ぶか瞑道を使えば楽だろう」


そう言えばチョンマゲが移動をする時は何時もそれで歩くのは部屋を少し移動するぐらい

ルインさんが怠け者だと言うのに今一ピンとこなかったけど今納得してしまう。


呆れてなにも言えないがこのままではいけない!


「それじゃあ私と初めての散歩よ!」


断然張り切りだす私に目を瞬かせるが


「成程ミユキとの初めて散歩か では早速行こうぞ」


そう言って立ち上がると私の手をとり玄関へと急ぐのだった。









それから湖の畔を手を繋ぎ散歩をする。


湖の周辺は整備されており小道が設けられ湖を一周出来て美しい花や木が植えられて湖周辺が巨大な庭園になっているのだ。本当に幾らお金を掛けたのか聞くのが恐ろしいが今は二人の散歩を楽しむ。


だけど普通王様には護衛が数人は付きそうだけど周囲には気配はなくフーランも付いてこなかった。


「普通は護衛とか付かないの」


「余を襲う愚かものなどおらぬし、折角のミユキとの散歩が護衛などいては邪魔だ」


チョンマゲがこの国で一番力が強いと言っても数十人に襲われては危ない様な気がするんだけど本人は気にしてない様子


今一チョンマゲの強さが分からないけど神力の凄さは何度も目にしていたので心配するだけ無駄だろう


チョンマゲが私の手を引きながら歩調を合わせてゆっくり歩く


辺りは少しずつ日が傾き夕日が辺りを染め始めると湖の様子も一変して違った趣になる。


「綺麗だね~ これからも一緒に散歩しよ」


「こうやってミユキと歩くのは好きだからそうしよう。 それに景色を楽しむのも良いものだったんだな」


千年以上生きていて散歩も景色を楽しむ事をしないなんてどんな人生なの??


「チョンマゲって今まで何をしてたの??」


「さあ? 何をしておったのだろう…… きっとミユキが落ちて来るのを待っていたのかもしれない」


なっなにこの人!! 真顔でとんでもない事を言う


ドッキュ――ーン!!


チョンマゲのその言葉で心臓と足が止まった。


「どうしたのだ?」


カッ―――――――――――


恐らく私の顔は夕陽のように真っ赤だろう


「うっ……チョンマゲは私を殺す気 /// 」


「余がミユキを殺すなどとんでもない! 何を言っておる??」


どうやら素で言ったらしい


恐るべし天然


「もういい…… お腹すいてから戻ろう」


そう言って誤魔化して戻るべく夫の手をひっぱりながら幸せを噛み締める。


一体私の何がチョンマゲにこうまで想われるのかは分からないけどこんな時が永遠に続くのを願うのだった。









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