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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
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深紅の薔薇の君と私






新婚の甘~い朝は夫より先に置きて朝食を用意してキスで起こしたいなんて乙女のような事を考えていた私は今の現実に困惑するしかなく、三途の川を見そうに息絶え絶えな現状だった


快感と息苦しさで目を覚ますとそこには夫の心臓に悪いドアップとキスの嵐


「ひゃ……んっんん……」


昨夜の愛の営みで体力を絞り取られ筋肉痛及び倦怠感は半端がなく快感より体が辛く最期の抵抗の手段としてチョンマゲの舌に噛みついてやる。


ガプッ!


「!!」


舌なんて噛むの初めてなので軽くにしたつもりだけどチョンマゲは目を見開いて唇を離すが何故かその目は妖しく光る。


「ミユキがそのように積極的になってくれるとは、今から昨夜の続きを!」


絶対無理! 女の腹上死なんて死んでもいやーーーーーー


「そんな事したら当分お預け!」


ピッタ


チョンマゲはその一言で動きを止め、まるで待てをされた犬のよう


「私は昨夜の行為のせいで腕すら上がらないの。 これじゃあトイレにも行けないじゃない」


先程から尿意を感じているけどチョンマゲに連れて行かれるのは考えられない。絶対に中まで来そう


「ならば余が全部世話をしよう。最初はトイレか?」


嬉しそうにするが私は身の危険を感じてしまう。


「フーランを呼んで手伝って貰うからいい」


「余はミユキのトイレに行って 「 次に見たら離婚っていたよね 」…… 」


ニッコリと釘をさす。


「仕方ない…余の神力を与えよう」


渋々と私に手をかざすと今まで体の痛みとダルさが嘘のように消えて元気になる。


神様って本当に何でもありよね…… これが弟が言っていたチートな能力と言うものなんだろうか


「ありがとうチョンマゲ。お陰で一日寝たっきりにならず済んだわ」


「余が一日中世話をしたかったのに…」


いじけたように私を見る。


もしかして体力回復出来る事を秘密にして寝室で一日を過ごそうとしてたの?!


無視して起き上がると当然全裸で床には衣服が散乱していて何とも淫びでいたたまれない

しかも体中キスマークだらけで無残


急いで布団で体を隠す。


「チョンマゲ、羽織る物をとって /// 」


「余の事は気にせずに、そのままでよい」


そう言う自分は白い着物をガウンのように羽織って壮絶な色気を放っていて良いだろうけど、私は細い体に赤い斑点を付け何かの病気のような体を晒すなんて嫌


「意地悪なチョンマゲ嫌い」


するとスゴスゴと床から私の白い着物を取ってくれ、急いで羽織ってからベットを抜け出しトイレに行きたいけど場所が分からない


「トイレは何処?」


「その扉だ」


私は小走りでトイレに急ぎ扉を閉める前に念を押しておく。


「透視したら口きかない」


チートな能力を持つ夫は油断ならないから先回りして言っとかないと気が気じゃない


案の定、ビックとしてうろたえる。


絶対にしようとしたなと確信


私のトイレ姿を見たがるってチョンマゲは変態が少し入っているよね……


特殊趣味のオンパレード?


その好みに当て嵌まるの私って……


断じて私は普通で平凡な女のはず


朝からいやな思考に陥りながら用を済ましてから部屋に戻ると何時の間にかフーランが部屋を片付けておりチョンマゲが居ない


全然そんな気配を感じなかったんだけど


「お早うございます王妃様。早速ですが湯浴みの準備が出来ておりますがお食事を先になさいますか」


こっこれは新婚さんにある「あなた、お帰りなさい食事とお風呂どちらにする?」と妻が夫を迎える時の定番


フーランのような美人に言われるなんて良いかも!


私が男なら毎晩定時で会社から帰宅しちゃいそう


「お早うフーラン。 先にお風呂がいいわ」


昨晩ので体は汚れている。


それより脱ぎっぱなしの服や乱れたベッドを人に片付けさせるなんて女として駄目駄目


せめて少し片付けてからトイレに行くんだった。


地味に凹んでいると


「何処かお加減でも悪いのですか」


「チョンマゲが何処に行ったのかな~と思って」


「陛下なら丞相様に連れられ王宮に向かったようです」


「お仕事?」


「私には分かりませんが夕方にはお戻りになるそうです」


早速チャンと仕事をするなんて偉い偉い


「ところで今何時なの?」


「ソロソロ正午を迎えます」


「お昼!!」


疲れていたとは言えお昼まで寝てるなんてチョンマゲの事を言えなくなりそう


ああ~どうしよう。


上げ前据え膳で身の周りは全てフーランがしてくれる上に夫の世話も夜以外はしなくて良いし、悪い言い方をすればチョンマゲの専属娼婦!!


ガー――ン


そんな人生は嫌かも


勉強よ


先ずはこの世界の一般常識を知る事よ!


それから考えよう


「失礼します」


「えっ?」


考え込んでいた所為で何時の間にかお風呂場の脱衣室で着物を脱がされてしまう。


一枚しか着ていなかったので直ぐに全裸をフーランに見られてしまう


昨日も見られているから今さらなんだけど


今は体中にチョンマゲのキスマークだらけで、如何にもしましたよっていう感じ


一気に全身が真っ赤になる。


これでキスマークが隠れる?


訳ないーーーー!


それに対してフーランは至って冷静で私の手を取り湯船に浸かるよう促すのでそのまま急いで湯に浸かる。


ああ~恥ずかしいよ……


顔の半分ぐらい湯船に埋める。


王妃って考えればプライバシーが少なそう。日本の皇室も皇太子妃は色々大変そうだし私なら絶対そんな所に嫁に行かないぞと思っていた私が皇太子妃をすっ飛ばし王妃様


世の中分からない物だとつくづく思っちゃう


恥のかき捨てとばかりに大人しく髪と体を洗って貰い体まで拭いて貰いながらある事を思い出す。


げぇーーーーーーっ 


そう言えばルインさんと同じ事をした様な……考えればルインさんは男で牡丹の君の旦那さん


ルインさんもフーランのように平然としていた。


もしかして女として見られてなかった!!??


くーーーー その内この件を持ち出し虐めてやると心に誓うのだった。












体をさっぱりしてお昼ご飯も美味しく頂いて一息つくと何もする事が無いので少しチョンマゲが恋しくなる。


今頃チャンとお仕事しているかな~と考えていると廊下から騒がしい声が聞こえて来た。


「お客さんが来たのかな」


「此方に来客の予定は無いのですが… 見て参ります」


フーランは訝しそうに部屋を出ようとした時だった。


バン!!!


凄い勢いで扉が開けられたと思うとフーランがすかさず私の前に立ちはだかり乱入者から守ろうとしてくれる姿は正に騎士のようでカッコいい!


惚れてしまいそう ///


「何者! 王妃様のお部屋と知っていての狼藉か!」


「申し訳ありませんーー お止したのですが」


廊下の床に平伏してガタガタと震えているのは昨日の管理人さん……相変わらず顔は分からない


そして勢いよく飛びこんで来たのは深紅の薔薇の君だった。


一目見てそう呼びたくなるのは仕方がないだろう


少々釣り目がちな意志の強そうな深紅の瞳はまるで妖しく光るルビー


高く結い上げたワインレッドのベルベットのような光沢を放つ髪に緑の宝石とダイヤをちりばめた髪飾りを付けたゴージャスな美人でしかも巨乳


此方の世界の衣装は私に優しい体型を隠すはずなのに、胸ボン・ウエストキュンの腰ドンが強調されているってどういう事??


しかも口元の黒子が色っぽい


正に美しい薔薇には棘がある感の強い悪女タイプと見た。


「妾は大理府長官の一の姫ミュンチュングゥイである。此方にいる人間の女に態々会いに来たのじゃ。侍女如きが妾の前に立つなど無礼であろう!」


おおーーー 何て女王様 薔薇の鞭が似合いそう


「無礼はミュンチュングゥイ様の方。王妃様に対し臣下としての礼を先ず取るのが礼儀」

毅然と立ち向かううフーラン素敵過ぎーーー!


思わず二人の美女の攻防を見守る。


「人間如きが王妃じゃと! 妾は認めぬ。 本来王妃になるのは妾 その貧相な女が王妃など他国に嘲られ、愛しい妾の陛下がお可哀想」


ぐっさ!


言われる事は覚悟していたけど傷付く


誰が貴女のチョンマゲよ! 私の夫よ!


話からして深紅の薔薇の君はチョンマゲの側室だったお姫様なんだと分かる。


つまり過去の女


するとチョンマゲの以前の言葉を思い出した。


『余が昼寝をしていると何時の間にか上に乗って腰を振っておるので致しかた無いであろう。不可抗力だ』


ええっ―ー――ーーーーー!!


こんな巨乳美女がチョンマゲ寝込みを襲い腰を……思わず想像してしまい顔が赤らむ。


確かに致し方ないかも


普通の男なら誰もがお相手して欲しいと思う様な美女


あの豊満な胸とお尻を揺らしながらチョンマゲの上に跨っていたの!!


そんな妄想をしている中も二人の言い合いは続いており


「兎に角王妃様とお話したければ陛下か丞相様の許可をお取り下さい」


「キ――ー 妾は大理府長官の姫 そこをお退き」


業を煮やした深紅の薔薇の君は強硬突破しようとフーランを突き飛ばそうとするが、いとも簡単に避けて逆に腕を捻り上げる。


「キャッ!」


「私は陛下より王妃様に危害を加える者は全て切り捨てるよう許可を得ております。例え大理府長官の姫であろうと関係ありません。それどころかお父上のお立場を危うくするとのご覚悟を」


そう言って何処から取り出したのか手に剣を握り深紅の薔薇の君に突き立てていたので慌てる。


「フーラン 離してあげて。 深紅の薔薇の君が泣きそうよ」


「「 深紅の薔薇の君 」」


二人がハモル


案外気が合うんだろうか?


名前を呼びたいけど此方の名前は呼びにくいのよ


微妙な空気が流れる中フーランは剣を消し(マジック!?) 捩じり上げた手を離す。


するとさっきまで青ざめていた深紅の薔薇の君は、直ぐさま乱れた着物を整えて私に艶やかな笑みを向ける。


何故か背筋に寒気が


「失礼しました王妃様。陛下に捨てられ取り乱しました妾をお許し下さい……例え地味で冴え無い女性でも陛下がお選びになったお方。これから仲良くして下さいませね」


謝っているのか貶してるのか…絶対後者だけどね


多分父親の地位が危うくなりそうなので方向転換したのだろう


しかも仲良くと言いながら虐める気満々


これで譲歩して本気で言ってるのか、態と嫌みで言っているのかどちらだろう?


「そうですね。 私も後宮の仕来たりなどをお教えして欲しい人を探してましたの。長く後宮にいらっしゃった深紅の薔薇の君ならば熟知しておられるはず。お暇な時に教えて欲しいので如何でしょう?」


少し言葉を畏まって話そうとすると舌を噛みそう


結構今までもぞんざいな話し方をしてたのを皆は許してたけどそれで良いのか疑問だった。


私の周りには優しく守ろうとする人ばかりで一人ぐらい虐め役が居ないと生活のスパイスに欠ける。


「まぁー 何て殊勝な心がけ。妾でよければ何時でもお呼び下さい」


「はい。それでは今からお茶お御一緒しませんか、話相手がいなくて寂しかったんです」

「…… 王妃様のお誘いを断る訳に参りません。喜んで御一緒しますわ」


「フーランお茶の用意をお願い」


「宜しいのですか」


「お願い」


私がニッコリと微笑むとフーランは諦めたように廊下に平伏したままの管理人に声をかける。


「王妃様がお茶を所望だ持って参れ」


「はい!!」


心なしきつめな声で言うと管理人さんはビクつき脱兎の如く廊下を駆けて行ったのだった。


何時もならフーランが全てしてくれるんだけど今だ深紅の薔薇の君を警戒して二人っきりにはしないようにしているようだった。


果たしてこれから始まるお茶会はどんなものになるか私にも想像がつかない。


決して楽しいもので無いのは覚悟している。


恐らく深紅の薔薇の君の言動は、多くの亀族が私をどう見ているかの指針になるだろうと考えるのだった。











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