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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
33/70

月の宴と舞と私

今回のお話は長めです。何故なら昨夜の満月を見て突発的に思いついたものを加えたら長くなりすぎました。あんまりにも綺麗な月で久しぶりに写真を撮ったんですけど三脚を使わなかったので今一で残念な写真ばかりでした。







広い玄関には白い大理石が敷かれており上がり框には巨大な黒い天然石を綺麗にスライスしたように置いてあり、そこから廊下に上ろうとした時に人が中から脱兎の如く飛び出して来て跪く


「へっ陛下、ようこそお出で下さいました。私は此方の管理を任されておりますマッカーサングゥイと申します」


「余の伴侶が手を洗いたがっている用意いたせ」


「はっはーー」


その男は顔を下げたまま後ろに下がり再び脱兎の如く何処かに消えて行き、何とも慌ただしい


顔は良く見えないがまだ年若いようで、茶色の髪をした恐らく美形


そう言えば目を覚まして初めて見るルインさん以外の男性


断然興味が湧く


何しろこの世界に来てから外部とは遮断された生活と言っていいので接触できる人間が少なすぎるのだ


「ミユキ、手を洗ったらこの離宮を案内いたそう」


「本当! 嬉しい」


わぁ~い なんだか漸くデート気分


抱き付きたいけど手を洗てからじゃないとイチャ付けない。


そこへさっきの男とおばさんの二人やって来て私達に水桶を差し出すがその手は震えていた。


どうやら突然王様が来たので驚いて緊張しているらしい


二人は決して顔を上げる事無くその姿勢でいるがおばさんの方が辛そうなので急いで水桶に手を入れて洗わせて貰い、洗い終わると水を置いてすかさず手拭を差し出すので受け取り手を拭いてから返す


「ありがとう」


「ヒィ…ッ 滅相もありませんーー」


おばさんはひきつけでも起こしたかのように息をのみ身を縮こまらされるので、私は途轍もなく悪い事をしている様な気になる


なんなのこの反応


「申し訳ありません。人出が足りずこのような者をお出しご容赦ください」


男の人はおばさんの態度が拙いと感じすかさず詫びる。


「いいのよ、突然来た私達が悪いんだから。それよりチョンマゲ離宮を早く見せて」


この場に居るのが気まずいのですかさずチョンマゲの腕を取り促す。


「ああ… そうだ、王宮の丞相に連絡し至急此方に昼食の用意を致すよう伝えよ。それと今夜は此処に泊るのでそのように取り計らへ」


「御意に」


男は床に更に額を擦るようにして私達が立ち去るまで微動だにしないのだった。









「なんかチョンマゲが凄い人に見えて来た。初めて見たよあんな土下座姿、テレビで水戸黄門に平伏する悪代官達しか見た事が無いわ…」


私まで恐れられていた。


「余は王だからな。ミユキもこの国の王妃になったのだから全ての者が平伏すぞ」


「うっ…… なんか嫌かも」


そんな立派な人間では無いから人に跪かれるなんて落ち着かない


「諦めよ、王妃となってしまったからには慣れるしかない」


「そうだね…」


慣れてしまう自分なんて嫌かも


「余の伴侶になった事を後悔するか?」


心配そうに聞いて来る。


「後悔するくらいなら結婚しないよ。私はチョンマゲと一緒に居るって決めたんだから後悔するより問題を解決すべく考えるから大丈夫。チョンマゲも助けてくれるでしょ」


「勿論だミユキ~」


ガバッ!  ムギュ~~~~


感極まったように私に抱き締めて来るがハッキリいて苦しい


その内背骨がへし折れるのではないかと心配


「ぐぅるしぃーーー」


「済まぬミユキ!」


急いで力を弛めると見詰め合ってしまう恰好になり、そうなるとお約束のようにチョンマゲがキスをして来る。


最初は触れるだけの軽い物が徐々に舌が割入れられ深いものに変わっていく


隙あらば迫って来るチョンマゲ


普通の恋人や夫婦の日常もこんなんだろうか???


長いキスが終わり漸く解放されるがその顔は興奮しており目が血走っている。


「ミユキ~ 今から駄目か?」


今から? 今から何をしたいと言うのなんてカマトトぶる心算は無い


「無理!」


キスでボーッとしているが直ぐさま拒否するとガッカリと項垂れる


男の人って皆こうなのだろうか??


草食男子の多い現代日本ではチョンマゲは絶対肉食男子だ


「それでは今夜は絶対だぞ」


必死に約束を取り付ける姿は鬼気せまっていて思わず頷く


「うん……」


恐い! やる気満々が伝わって来るので引いてしまう


大丈夫だろうか私


自分の身が心配になって来るのだったが途端に嬉しそうにするチョンマゲを見て今更嫌だとは言えないだろう


それから一時間がかりで離宮を案内されるがその大きさと豪華さに驚くばかり、何でこんなに部屋が必要なのってくらいに沢山あるがお風呂は気にいった。湖を一望できる半屋外の露天風呂があり何処かの高級旅館のよう


さっきチョンマゲは此処に泊ると言っていたので今夜はあの露天風呂に入るのが楽しみになる。


一通り見て回ると何時の間にか来たフーランが現れる。


「陛下、王妃様、あちらにお茶の用意が出来ましたのでどうかお寛ぎ下さい」


「フーラン、来てくれたの」


「此方にお泊りになるとお聞きしましたので王妃様のお世話をすべく遅ばせながら参りました」


「そうなの。ありがとう」


確かに先の男の人は頼りなさそうだしおばさんもオドオドして使えなさそうで心配だった。


「丞相様も後ほどいらっしゃるそうです」


「!! 折角ミユキと二人っきりになれると思ったのに」


忌々しそうに呟くチョンマゲだけど私は少しホッとする。


だってスキンシップの激しすぎるから慣れない私は困るばかり


案内された部屋で椅子に座ろうとするとチョンマゲが不満そうに自分の膝を指し示す。


「ミユキの場所はこっちだ」


私は無視して向かいの席に座ると悲しそうに私を見詰める。


此処で許せば膝抱っこが常習化しそうで恐ろしい


朝の食事の時に許したのが間違いで、最初が肝心なのを忘れてしまっていたのが痛い。


丸テーブルにはフーランが用意した美味しそうな綺麗な色々な和菓子が十個ほど黒い漆器盆に盛られていて目でも楽しめた。


「美味しそう~ どれを食べてもいいの?」


「お好きなのを言って頂ければお取りします」


こういうのはマナ―があるのかな??


王妃となると行儀作法があるのだろうけど今日は目を瞑って貰おう


「自分でするわ。チョンマゲはどれがいい?」


「余はどれでもよい。ミユキが好きなのをとりなさい」


私が目移りしているのを楽しそうに眺めている。


「じゃあチョンマゲにはこの一番綺麗なやつね」


私は蝶を模った黄色の菓子を箸で取り小皿に移して渡し、自分にはピンクの可愛い花を摸した菓子を取る


フーランは香りの良いお茶を淹れてくれ、二人でお茶を楽しみまるでデート


夢にも見た憧れのデート


向こうの世界では誰も誘ってくれなかったので絶対に味わえなかった…幸せだった。


「夜はルインさん達を呼んで食事をしようよ」


そう提案するとムッとする夫


「余は二人きりがよいのだが……そう言えば今夜は満月だな」


「満月だと何かあるの」


満月なら皆で月見酒をしたい


「満月の夜は月から月華人が降りて来て舞いを踊るのだ」


月華人は月に住む月の神族だが精霊に近く肉体が希薄で幽霊のような存在


満月の夜は月光に乗り地上に降りて人々に舞いを見せるのが好きな神様達で気に入った場所を見つけるとそこで舞いを披露してくれるらしい


「どうやったら見れるの」


「それなりの舞台を用意するのだが気紛れな者達故に気に入った舞台で無いと踊らない」

「そうなんだ」


「見たいのか」


「見たい!」


「ならば舞台を造らせよう…… 侍女よ湖の上に舞台を設えさせよ」


ええっ 湖の上に舞台!!


「はい、陛下」


フーランは静かに部屋を辞して行き、少し不安になる。


私が望めば何でも聞いてくれ、叶えようとしてくれるチョンマゲ


湖に舞台を造るなんて結構大変そうだししかも夜までと短時間


出来るのだろうか?


「別に無理しなくてもいいんだよ。無理な事は駄目だって言って欲しい」


「無理などしていない。ミユキの望みなどささやかな事ばかりでもっと我儘を言って欲しいくらいだ」


チョンマゲは嬉しそうに言う


成程……


どうやらチョンマゲは私の望む事は全て叶えてくれるような勢いで、自分を律しないと途轍もなく面倒になって行く気配


言動に気お付けよう


それから時間は瞬く間に過ぎて行き、その夜は離宮ではルインさんと牡丹の君を呼んで小さな宴を開く事になった。


わ~い お酒!


夕方前に露天風呂を一人堪能したかったけど私の貧相な体を晒し髪を洗って貰う。どうせなら一緒に入った方が恥ずかしくないのだけど頑なに断られてしまったが何時かきっと裸の付き合いをしてやろうと燃えるのだった。


そう言えば牡丹の君とも何時か入りたい


きっと色っぽいだろうなと期待が膨らむ!


その為にも少し太って胸を大きくしたい所だが


揉んで貰うと大きくなるって本当かな? ///


揉む程も無いんだけど……チョンマゲは貧乳が好きだからこのままの方が良いのかな?


チョンマゲが私と入ると騒いでたがルインさんによって黙らされ自分の支度にとりかかる為に何処かに行ってしまった。


まさか……あの時のようなキンキラな痛い恰好をして来るんじゃないかと心配をよそに、身支度を終えて宴の場にフーランに連れて行かれる。


そこは湖に突き出たようにバルコニーのような場所に赤い毛せんが敷かれてテーブルと椅子が湖面に向かい一列に設置されており灯りは松明が焚かれ、大きな月が煌々と輝いているのでロマンチックこの上も無い


向こうの世界ではこの贅沢は味わえない。


そして既にルインさんと牡丹の君が待っていた。


「ミユキ様、今夜はお呼び頂き有難うございます」


「牡丹の君いらっしゃい。今夜もとても綺麗です!その若草色の内掛け凄く似合ってますよ」


松明の炎が牡丹の君の赤い髪に生え燃えるように情熱的見えるが涼やかな美しい青い目がそれを上品に見せていた。


「まぁ… ミユキ様もとても純白のお衣装が黒い髪に映えてとても可愛らしいですよ」


「/// ありがとうございます」


絶世の美女に褒められても卑屈になりそうだが牡丹の君の言葉は不思議と素直に受け入れる事が出来る。


「本当に今宵のミユキ様はお綺麗ですよ」


そして取って付けくわえたようにルインさんが心にも無い言葉を言いながら牡丹の君を引き寄せ私から引き離す。


何故か警戒されている。


「ルインさんは今夜は男装なんですね。とても素敵です」


とニッコリ微笑んであげると嫌そうに顔をしかめる。


「私は男なのでこれが普通ですので」


「そうでしたね。今夜は以前のようにお酒で乾杯もして楽しみましょう!」


「嬉しい、ミユキ様と乾杯出来るのを楽しみにしておりましたの」


「そう言えばチョンマゲはまだ来てないんですか」


「陛下なら既にあちらでミユキ様が来るのを待ってましたよ」


ルインさんが指し示す方を見ると湖面に四つの灯りが付いたと思うと四角い舞台が浮かびあがりそこには金の髪を煌めかして白い衣装を着たチョンマゲが立っていた


「もしかしてチョンマゲが踊るの?」


「はい、月華人を呼び込むためにご自身が踊るらしいですよ。舞の名手の元に月華人は好んで降りますから。さあ座って陛下の舞を見ましょう」


ルインさんに言われそのまま席に就くとそれを合図かのように笛の音が奏でられ湖に響き渡るとチョンマゲが踊りだすのだが正に幻想的 


仄かな灯りと月光に照らし出された金の髪が体を巻き付くようにうねり何とも言えない美しさ


「凄い… チョンマゲって本当に綺麗」


こんな壮絶に美しい男が私の夫なんて


自分との差があり過ぎて挫けそうだけど踏ん張る。


こんな平凡な私を愛してくれているのは間違いない。自分の心と周囲の奇異な目に負けない強い心を持てばいいのよ!


「陛下が舞うなど私も初めて見ます。これもミユキ様のお陰…あの怠け者の陛下が人の為に何かするなどあり得ませんでした」


「怠け者?」


確かにハンコしか押さずにぐうたらしているからな


「この二百年の間に政務を行ったのはほんのわずかで人間に戻るのは年に数日、その間亀の姿で王都の側で寝てばかりで無気力な代名詞のような人間だったのです。そのお陰で私はどれだけ苦労したか……妻と過ごす時間も無く政務に追い立てられ……」


なんだか段々愚痴めいて来てかなり鬱憤が溜まっているのが伺える


知らなかった、チョンマゲそんなに長く亀でいたなんて…どうりであんな深い森の中に綺麗に亀の形の空き地が出来るはず。


美しく舞うチョンマゲ


二百年も亀の姿で何を考えていたんだろう


「本当に陛下はミユキ様のお陰でお幸せそう」


牡丹の君が舞いをうっとりと眺めながら言う


「そうかな///」


「私が初めて陛下にお会いした時はとても冷たい目で射竦められて恐ろしさのあまり私は涙ぐんでしまいましたのよ」


「チョンマゲが!?」


こんな美人を睨むなんて許せないが、私にはそんな目を向けた事は一度も無くどちらかと言うと情けなく涙ぐんだ目やデレデレした目ばかり… それか欲望に血走った目


「あんな優しい目をした陛下はミユキ様のお陰ですわ」


夫婦で私を持ち上げて何かあるの


恥ずかしいです…


「ミユキ様はそのままで十分陛下を支えているのです。何時までもお変わりなく陛下の側に居て下さい」


怜悧な顔をを微笑ませそう言う言葉の裏に何もせずに居ろと言っているように感じるのは私だけ?


ルインさんは敵に回すと絶対に厄介な存在、前回も問答無用でチョンマゲに差し出したのは私には数日前の事――あの時は牡丹の君にちょっかいを掛け過ぎた所為だった。


ある意味ルインさんは私に弱味を曝け出した事になる。


今の私は王妃だ


その内に牡丹の君にベタベタしてあの時の復讐をしてやろうと考えていると


「ミユキ様! 月華人達が降りてきましたよ!」


「流石陛下、月華人をも魅了する」


見れば月から何かが降りて来る。


虹色に光るふわりとした影が五つ見て取れ、チョンマゲの居る舞台に舞い降りるとそれが人の形を成しているが半分透けているが殆ど裸に近い美しい肢体を晒し女性は羽衣を纏い男は剣のような物を持っており、チョンマゲの上空で舞始める。


するとチョンマゲは礼をして舞台を明け渡すと私達の元に飛んで来た。


「ミユキ~ 余の踊りはどうであった!?」


「凄く素敵だったよ! ビデオカメラに取って永久保存したいくらい!」


「ビデオカメラ? なんだそれは?」


「私の世界にある道具で映像をそのまま記憶してテレビで何度でも同じ映像を見る事が出来るの」


「ビデオカメラ…… 余も欲しい」


ジーと私を見ながら何を考えているのか予想できるので話を逸らす。


「ほら月華人の舞を見よう。 チョンマゲの舞も綺麗だけど月華人の舞も凄い」


月華人の舞は光のイリュージョンで東京ディズニー○ンドのエレクトリカルパレードなんて目では無い


光の芸術


つい食い入るように夢中になり見ているとチョンマゲが私の体を引き寄せて膝の上に乗せる。


油断してしまった。


「ミユキ~ 余も見てくれないと寂しい…… あの者達より余の方が美しいだろ」


確かに目に痛い程綺麗だけど発言も痛い


「はいはいチョンマゲは綺麗だから降ろして」


「嫌だ、このまま一緒に見よう」


まるで子供のようでルインさん達は何故か微笑ましいそうに見ていて助けてくれそうも無い


それからお酒や料理を楽しみ四人で乾杯をしたけどチョンマゲはお茶


どうやら一滴も飲めないらしい


月も傾く頃漸く宴を閉じたけど月華人達はまだ踊っている。


「ほっておいてもいいの?」


「月華人達は月が沈むまで踊り続けるから付き合っていては夜が開けてしまう。  それより二人っきりの甘い夜を過ごす約束」


妖しい目で私を見るので心臓がバクバクし始め顔に血が昇る。


「分かってるわよ///」


そう言うと私を抱え瞑道を通って一瞬で寝室に傾れ込む。


相変わらず素早い


二人とも白い衣装でなんだか婚礼衣装のよう


ベットに寝かされチョンマゲが覆いかぶさって来る


「ミユキ愛している。絶対に離さない」


真剣な目で見詰められドギマギ――――既に死にそう!!


「私も愛してるから、末長くお願いします……」


「ミユキ~」


それからキスを交わし二人で愛を確かめ合うのだった。






だけどある意味私には愛の行為は死線ギリギリ


どうしてこう絶倫なのかと喘ぎというより死の断末魔を口からもらしながら意識を失いそうになりながら思うのだった。


チョンマゲのバカーーーーー!


手加減しろーーーーーーーー!











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