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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
32/70

非常持ち出し袋の封印と私





野○ ○糞 野○ ○糞 野○ ○糞


私にとって最大の汚点


振り返りたく無い過去ベスト1と言ってもいい


振り返らない為にもあの非常持ち出し袋を消去しないと私の心には平安は戻らない


「ミユキ…… 此処が余が居た場所だ…」


「此処?」


チョンマゲが上空で留まり恐る恐る私に声を掛けて来るので下を見下ろせば森の中に大きくくり抜かれたように草原が広がっておりその形は正に亀の形


「……チョンマゲってこんなに大きい亀なの!!」


確かにあの岩山がチョンマゲだと納得する。


まさか私の夫がガメラもどきだったとは……ファンタジーを侮っていた


どうしてこんな美形がガメラもどき


でもガメラもどきが夫と言うのも私の前世でも来世でもこれっきりだろう


「そうだ……、はっ! もしかしてミユキは余が亀だと知って怒っておるのか?」


「違うーーーーー!」


チョンマゲは何故私が起こっているのか分かっていなかったらしい


「違うのか??」


「私が怒っているのはチョンマゲが私のトイレを覗いていた事と崖から落ちるまで放置してたからよ!」


「トイレ?? ああ~憚り(はばか)の……  あっ! /// 余はチラリと見ただけで……そっそんなにじっくりは見ておらんぞ!! ちょっとだけ… ほんの一瞬だけだ」


チョンマゲは真っ赤になりなが動揺を隠せないように目が泳いでいる。


「本当に…」


私は思いっきり睨む。


「うう…… すまないミユキ…… ミユキがあまりに可愛いのでつい… しかも落ちる前にあのような姿を見て興奮のあまり意識が飛んで態と見過ごした訳では無いんだ!」


可愛い?? 


アレをしている姿のどこに興奮!!??


ガメラもどきの事実より引いてしまう


変態だ!


本物の変態だ!!


私に一目惚れした時点でマニアックなのかも知れないと思っていたけど…これ程なんて


怒りを通り越し呆れてしまった。


ある意味変態の方が平凡な私は引け目を感じない?


超美形で王様だがこれだけ変態だと差し引きすれば少しは私が王妃でも許されるような気がする。


変態行為は許せないが……


仕方ない……この際目を瞑ろう


「はぁ…… もういいよ… だけど今度トイレを覗いたらルイさんのお屋敷に帰らせて貰います!」


チョンマゲは必死に頷く


「分かった絶対覗かない! ……だが何故丞相の屋敷なのだ。 まさかミユキは丞相に気があるのか!? そんな事絶対許さん!!」


「そんな訳ないでしょ」


ビィヨ~~~ン


私はチョンマゲの頬を抓って引っ張って伸ばしてやると結構伸びて面白い


美しい顔もこうなると形無し


「みぃ……ひゅ……ふぃ~~ 」


「私は全部許した訳じゃなののよ。 取敢えず下に降ろして」


「ふぁ…かっ…た」


手を離してあげると元通りの美しい顔で頬が赤くもなっていない。そう言えばさっき思いっきり殴った痕すらないのに今さらながら気が付いてしまった。


なんて丈夫な顔!


まさか形状記憶合金の如く補正力があるんだろうか


降りた場所は草が生い茂る草原でしかも1mの背丈があるのでとても非常持ち出し袋を探し出せそうも無い。


流石に二年の年月は長すぎたようで、人に拾われていない事を願うしかない私


「ここで何をするのだ?」


「私が落ちた時に持っていた銀色の袋を捜したいの」


「銀色の袋とは色々な珍しい道具を入れていた袋か?」


「色々… 本当に全部見てたのね…」


それを知らずに間抜けな私は色々していたんだ…恨めしそうに見詰めてやる。


「いやっその~ ミユキの為に余がその袋を必ず見付けよう!」


誤魔化そうとするチョンマゲ


私にすれば最近の事だけど実質は二年以上前の事でチョンマゲには過去の事


此処は広い心を持とう


「見付けてくれたら覗きの件は許してあげる」


「真か!」


「でもこの状況で捜せそう」


目の前は草が生い茂りその周囲は高い木々がそびえ立つ深い森


「余に出来ぬ事は無い。ミユキの髪を一本くれぬか」


「いいよ」


私は髪を一本引き抜いてチョンマゲに渡すとそれを手にした瞬間に髪が光ると共に一匹の黒い蝶になりヒラヒラと舞っていた。


「この蝶がミユキの気を含むものを探し出してくれる」


夫が神様と言うのは便利、ド○えもん以上に使えたりしちゃう?


「でも二年も経っているけど大丈夫かな」


「どんな微弱な気でも引かれ合うはずだが持ち物では確かに年月が経ち過ぎて消えてしまっている可能性がある。せめて髪や汗か血でも染みついておれば確実なのだが」


汗でいいなら排泄物でもOKだろう


そんな物があるなんて言えないから黙っていよう。


「兎に角やってみよう! 駄目なら別の手を考えれば良いんだから」


「そうだな、そうしよう」


チョンマゲが蝶に息を吹きかけるとヒラヒラと飛びながらゆっくりとある方向に向かって行くが草を掻き分けての移動は面倒なのでチョンマゲに抱っこして貰いながら蝶の後を付いて行くと森の方に入って行き1本の木に辿り着くと、その木の上に向かって飛んで行く。


そして木の上の枝の先の途中に銀色の袋が引っ掛かっており黒い蝶はそこに停まるとはらりと一本の髪に戻りはらりと下に落ちて行った。


それは間違い無く私の非常持ち出し袋で二年の雨風にも褪せる事無く枝の中程で銀色に輝いており、どうやら落ちた時に木の枝に引っ掛けてしまいそのまま枝が成長してしまった感じだ


「ありがとうチョンマゲ! これで枕を高くして寝れるわ」


「これを取ればよいのか?」


チョンマゲが袋に手を掛けようとするので慌てて止める。


「触っちゃ駄目! 私が取るから!」


幾ら夫でも私の二年物の排泄物を触らすわけにはいかないけど自らの手に取るのも憚られる。だけどこれを地中深くに埋めなくちゃ悪夢を見続けそう


勇気を振り絞り非常持ち出し袋を取ろうとするけど肩紐が枝を通っているので切らないと外せない、だけど私の力では引き千切るのは無理そう


「この紐切れない?」


「容易い」


チョンマゲが指で切るように空を切ると紐が簡単に切れて私の手に袋が収まるが成るべく体から離して持つ


「その袋をどうするのだ?」


「これは呪われているから地中深く埋めるの」


「呪われている??? その袋が?」


不思議そうに言うチョンマゲ


「速く埋めないと私が呪われるの! 下に降りて穴を掘って」


「分かった」


チョンマゲは急いで木の根元まで降りると手を地面にかざし光ったと思うと直径50㎝の円筒状の深い穴が開いたのだった。


本当に便利


私はすかさず袋を穴に落とすと落下音がヒューと聞こえるだけで着地音が聞こえない


どれだけ深いのと思いながらもこれだけ深ければ安心!


絶対に堀出せない。


「穴を塞げる」


「勿論」


チョンマゲが又しても手をかざすとあっという間に穴が塞がり元の土の地面が蘇り何かが埋まっているなどと誰も思わない


「完璧だわ! チョンマゲの力って凄い!」


「ミユキの頼みならば何でも叶えるようぞ」


そう言って私の手を取ろうとするが、さっきまであの袋を持っていた手を触られるのは嫌なので、急いで手を後ろに回す。


「私に手は穢れているから何処かで清めたいの」


「手を洗えれば良いのか?」


「うん水で洗えればそれでいい」


問題の物は厳重にビニールで包まれ持ち出し袋に入っていたとはいえ、気分的に気持ち悪い


チョンマゲは直ぐに私の願いを叶えるべく上空に飛ぶと下を見まわすと右にはチョンマゲが居た空き地と左には大きな街が見え最初に落ちた時に見ていた風景だ


本当にあの岩山がチョンマゲだと再確認


そして王宮に戻るのかと思えば違う方向に跳んで行く


「何処に行くの」


「余とミユキの為に建てた離宮があるからそこに行こう」


そう言って連れられてきた場所は直ぐ近くの大きな湖に建てられた広大なお屋敷で教科書で見た平等院鳳凰堂のイメージに重なる。


これを私達の為に建てた!?


一体幾らの国家予算を使ったの!!


信じられない、よく高級官僚や国会議員が税金で建てられた都内の高級マンションをただ同然の賃貸料で住んでいるのを知った時は納税者の一人として世間の不条理さに憤ったのを覚えている。


それなのに、何時の間にか私は納税者の血税を湯水のように使う人間になてしまった。


後宮でさえ立派な部屋で私には居心地が悪いのに


しかもチョンマゲはハンコを押すだけの仕事でこんな無駄遣いなんてしていては国民はどう思っているのか心配


茫然と離宮を見る私


「どうしたのだ? もう少し大きい方が良かったか」


そんな私にチョンマゲは有り得ない事を言う!!


「チョンマゲ! 国民の皆さんに謝りないさい」


「はあ… 何故だ?」


「国民の皆さんが納めた税金を無駄遣いしちゃ駄目でしょ。二人のならこんな広いお屋敷は無駄なんだから小さいので良いの! 日本なんてこんな土地や屋敷を持つだけで毎年どれだけの税金を払うと思ってるの。私の小さな実家なんかまだ十年のローンが残っている上に固定資産税を払わされ、チロルチョコ一個にも消費税が掛かってどうなのよ!小さい子供達のお小遣いから税金を盗っておきながら保養施設や官舎、人の来ない公共施設なんて無駄な施設ばかり建てておいて更に莫大な維持費を掛けるなんてあり得ないの! 分かるチョンマゲ」


「なんとなく、ミユキが喜んでくれると思ったのだが……」


しょんぼりと項垂れるチョンマゲを見てハッとする。


「ゴメン… チョッと興奮して言い過ぎたわ。 あんまり立派すぎてどう反応して良いのか分からなかったの…… ありがとうチョンマゲ」


チョンマゲと私の生活レベルはあまりに違いすぎる所為で考えがすれ違ってしまう。


私はしがない一般庶民でかたや王様


その上私の世界の常識とこの世界の常識がどう違っているのかも分からない


どうしようも無いギャップだわ…


だけど直ぐに埋める必要は無いのだからゆっくり溝を埋めて行くしかない、私はこの世界をあまりに知ら無すぎた。


「これからは余もミユキに相談してから建てよう」


まだ建てるのと驚きつつ牽制しておく。


「この離宮だけで十分嬉しい! さあ中に入って手を洗いましょ」


この話題は此処で止めておかないと折角の甘い時間が台無しになりそう、新婚なんだから仲良くしたいし徐々に話し合っていけばいいだろう


大きな門を潜るが人の気配が全くせず閑散としていた。


「此処って人が居るの?」


「確か管理する者を数人置いているはずだが、構わず入って手を洗おう」


そう言いながら玄関に入って行くが玄関だけで私の部屋の数倍は広く駄々広い廊下が黒光りしながら続いており唖然としてしまう。


やっぱり付いて行けないよ~~


絶対これ以上は建てさせないでおこうと心に決めるのだっだ。











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