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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
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衝撃的事実と私








食べる事がこんなに楽しいとは知らなかった。


ミユキが箸で料理を次々と余の口に運び食べさせてくれる物は全て美味しい!


今までは味覚と言うものが麻痺していた余には食事は苦痛で面倒くさい行為でしかなかったが丞相が食べろと煩いので仕方なくとっていたがどうだろう


食べる物全てに味がある。


余にとっては驚くべき事だ!!


しかも余の膝でミユキが美味しそうに次々とたいらげる様子は見ていても楽しい


しかしこの細い体の何処に大量の料理が消えて行くのだろうか??


全てを綺麗に食べ終えると


「ごちそうさまでした」


ミユキが手を合わせ奇妙な挨拶をする。


「何だそれは?」


「私がいた国の習慣で食べる時は『いただきます』食べ終わったら『ごちそうさま』て食材や作ってくれた人に対しての感謝の気持ちを言うんだけど、此処では無いのそう言う習慣?」


「聞いた事が無い、どうだ丞相」


「玄武国ではありませんね」


ミユキの世界は面白い、ミユキの部屋にあったテレビは実に不思議でアレがあれば一日があっという間に過ぎてしまうだろう。


「今までして来た習慣だから気にしないでね」


「ミユキがするなら余もしよう。 こうするのか?」


「一緒にしよう」


ミユキがしたように掌を合わせるとミユキも一緒に習い


「「 ごちそうさま 」」


この気持ちは何だろう、心が温かいもので満たされる不思議な感覚


「どうしたのチョンマゲ」


何時の間にか涙が零れていたようでミユキが優しく拭いてくれる。


「ミユキが一緒に居てくれて嬉しいのだ」


そう言った途端ミユキが真っ赤になる。


「チョンマゲはどうしてそう恥ずかしい事をサラリと言っちゃうのよ /// 」


「嫌か」


顔を横に振りながらも顔は赤いままで何とも言えず可愛い


「嬉しいけど、こういう事には慣れて無いのよ私。 生まれて二十三年間男と付き合った事の無いから恋愛に対する免疫がないの」


「免疫?」


「抵抗力が無いって事。だからその内慣れると思うからドンドン言ってね」


「ふっふっふ…それはそれで勿体ない。真っ赤になるミユキも可愛いからな~ 」


「/// チョンマゲが笑った……」


笑うなど普通のの事なのにミユキが目を見張る。


「余とて笑う」


「そうかも知んないけど、私は初めて見た! すっごく嬉しい」


「余が笑うと嬉しいのか?」


「好きな人が笑ってくれると幸せな気分になるわ」


「ミユキ///」


今度は余の方が真っ赤になる。確かにこれは恥ずかしい…ミユキは余に色々な感情を教えてくれ退屈だった世界が崩れ、新しい世界が開けて行くような気がする。


なんて愛しいんだろう


ミユキに口付しようと顔を近づけるが、違う感触が唇に当たる。


それはミユキの手が何故か余の口を押えていたのだ


「キスは禁止! チョンマゲは直ぐエッチな事に傾れ込むから駄目」


「そっそんな~~~ 口付だけだと約束する」


「駄目、ルインさん達がいるでしょ!」


「それならとっくに居ないぞ」


丞相達は食事が終わると食器を片付けてサッサと部屋を出て行ったのだがミユキは気が付かなかったようだ


「えっ!? 何時の間に?? しかもテーブルも片付いている!!!」


「それでは心おきなく致そう!」


「もー 分かったけど私からね」


思ってもいない提案に跳び付いてしまう。


「本当か!」


「目を閉じて」


ミユキに言われるがままに目を閉じるとドキドキして来る。


そして柔らかなミユキのぷにゅっとした唇が数秒押し付けられ続きを期待していると何故か離れて行き、しかも膝から温もりまで消えてしまた。


慌てて目を開くとミユキは隣の席に座りお茶を飲んでいた。


「ずるいーー 余はもっとして欲しい」


「私のレベルではこれが精一杯なの。続きは経験を積んでレベルを上げてからね」


レベル??


そう言いニッコリ微笑まれると何も言えなくなってしまう。


それから二人で仲良くお茶を楽しむのだった。











美味しい緑茶を飲みながら傍らにいる私の麗しい夫を見る。


本当に直視が辛い程綺麗な男だ


しかも神様で王様と言うとんでもないオプションも付いてるし何て恵まれた人間だと思っていたんだけど少し違うようだ


さっきの涙を見てチョンマゲの言い知れぬ孤独を感じてしまう


私と少し離れていただけで寂しいと言うチョンマゲ


それはただの甘い言葉で言ったんだと思ったけど本当に寂しかったんだ


私には計り知れない長い年月を生きていたチョンマゲがどんな人生を送って来たのかは分からないけど王様と言う立場は案外孤独で気を許せるのはルインさんだけなのかもしれない


否……考えて見れば十八人の側室達とそれなり楽しんでいたのを忘れてはいけない


思わず恨みがましくチョンマゲを睨んでしまう


自分がこんなに拘る女だとは知らなかった。


「どうしたのだミユキ!?」


少しキョドるチョンマゲを虐めたくなる。


「チョンマゲはキスが上手だから十八人の側室達と一杯したのかな~と考えてたの」


すると心外そうにする。


「口付… キスはミユキとするのが初めてで側室達とはしなかったぞ。信じてくれ」


始めって!!!!


十八人も女性がいて一度も経験していない????


その割には慣れていて上手すぎる。


有り得るだろうか…いや無いと普通は断言する。


でもチョンマゲは嘘を言わないような気もするし


「まさか童貞だったなんて言わないよね」


「それは違うが、余から抱いた女はミユキだけ…」


体は許してもキスはさせない?? まるで風俗のお姉さんかと言いたくなる。


徐々に生々しい話になって来て此処で止めるべきかと考えながらも言ってしまう。


「だったら他の女の人達はどういう事よ」


なんだか浮気を問い詰める妻―――その通りなんだけど新婚ほやほやの時にする話題では無かったと後悔し始めるが止められない


過去の事なのに


「余が昼寝をしていると何時の間にか上に乗って腰を振っておるので致しかた無いであろう。不可抗力だ」


「/// 側室達が!?」


凄い積極的な女性達!! 私には出来ない業だわ


「そうだ余は嫌で逃げていたが丞相が子を作る為に隙を見ては送り込んで来るので辟易してとうとう亀の姿で過ごす事になったのだ」


ルインさん なんかやりそうな気がする。


それより亀の姿とは何の話し???


「亀!?」


「ミユキはまだ聞いてないのか、我等亀族の本来の姿は亀でこの人型の方が仮初なのだ」

「亀の神様だとは聞いていたけど…本当に亀になれるの」


亀の神様と言うから今一理解していなかったけど本当に亀だったなんて


軽くショックだけどチョンマゲはチョンマゲだ


「ミユキも余の亀の姿は見ているぞ」


「えっ? 知らないよ?」


この世界で亀を見た記憶なんて無い、私の世界の亀と違う?


「余の上にミユキが落ちて来たのだ。アレが余の本来の姿」


落ちた場所と言えばあの岩山しか思い浮かばないんだけど…岩山に突き出た崖は嫌に弾力のある変な地面だった


アレがチョンマゲ!?


「もっもしかして私の落ちたのはチョンマゲの頭の上?」


「そうだ。余が寝ていると空から少女が降って来て驚き、見れば瀕死の怪我を負っていたから神力で治したのだ。その少女がミユキだった」


「そうだったの、ありがとうチョンマゲ」


不思議だったのよねー 確かに落ちた瞬間骨が砕け凄まじい痛みがあった筈なのに目覚めれば無傷で錯覚だと思っていた。


つまり私が生きているのはチョンマゲのお陰! 流石神様


「だけど何故直ぐ人型に成らなかったの?」


「ミユキがあまりに可愛くって観察していた」


観察?


つまり見ていた?


二日近くの私の行動を!?


すると走馬灯のように次々と崖の上でして来た事を思い出すのだった


私はチョンマゲの頭の上であろう事か排出行為をしていいた。大も小もそれを観察していたのーーーー


有り得ない!!!!


「ぎゃーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ 変態ーーーーーーーーーーーーーーー!!」


バッキ!!


私は立ち上がり愛する夫の顔に渾身の一発をお見舞いする。


茫然として殴られた頬に手を当て茫然とするチョンマゲ


「うぇーーん 酷いチョンマゲの馬鹿! あんな恥ずかしい所を見るなんて最低! 痴漢行為は犯罪よ犯罪! ひぇ~~~ん シクシク…… 」


それにあの岩山に一人きりで過ごすのがどんなに不安だったか


それを見てたなんて酷い!


しかもあの岩山から降りようと一生懸命だったのを見ていて、しかもそこから落ちるまで助けてくれなかったのだ。


確かに命拾いはしたけど


そして私はもう一つとんでもない物を忘れていたのに気付いてしまった。


!!


非常持ち出し袋


袋は別に問題無いが、問題は中身!!


私がいたした排出物があの中に厳重に保管されていると言う事実


ビニール袋に包まれて二年間朽ちる事無くそこに存在している事が容易に想像でき気が遠くなる。


もしアレが誰かに発見されては立ち直れない


ほっとけば誰も分からない?


無理!!!!!


アレが存在するかと思うと夜も寝れ無くなってしまう


気付けばチョンマゲは私の腰に縋りつき涙を溜め謝っている。


「ミユキ~~  余が悪かったから許してくれ…… ミユキが望む事なら何でもする。お願いだ……」


望む事……


そんなの決まっている!


「チョンマゲは何でもしてくれるのね」


私は恨めしげに睨みながら聞く


「何でもする!」


「じゃあ、私が落ちた場所に連れて行って頂戴!」


「そんな事で良いのか??」


「私には重要なの。早く連れてって」


「分かった。直ぐに連れて行こう」


チョンマゲはこれ以上私の機嫌を損ねない為にも素早く私を抱き上げてそのまま窓から外に出ると空を飛ぶ


これ位で今の私は驚かない


何しろチョンマゲは神様なんだかこれ位の事はおり込み済みなのだ


それより私の頭には非常持ち出し袋の事しか頭に無かったのだった。


チョンマゲが直ぐに人型になり私を王宮に連れて行ってくれれば野○なんかしなくて済んだのだ


又してもムカついて来てチョンマゲに抱かれながら飛んでいる最中に大きな声で叫んでしまう。


「チョンマゲのバカーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!」


私の叫びは眼下に広がる街に吸い込まれて行くのだった。










アルファポリス第4回ファンタジー大賞で目標40位以内に入りました!!

途中経過でまた下がるかもしれませんが私的には目標達成! 読んで下さいました皆様及び投票してくれた皆様有難うございました。これからも更新頑張ります。


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