初心な私と欲求不満な王様
翌朝目を覚ますと目を血ばらせたチョンマゲが私を見ていた。
「ヒィ……!!」
怖ぇーーーーーーーーーー
美しすぎると迫力が違う!!
心臓が半端無い程心拍数が上りドキドキ
心不全を起こしそう
「お…はよう…… 寝れなかったの?」
「一晩中ミユキの寝顔を見てたら夜が明けてしまった」
私の寝顔なんか二年間見続けて飽きている様な気がするんだけど……
「暗くて見えないでしょ」
「大丈夫だ、我等神族は闇でも問題なく見る事が可能だ」
凄い暗視スコープ機能付きの目…まさか透視機能もあるのかな
「それじゃあ物を透かして見る事も出来るの?」
「やろうと思えば出来るが、した事がない…… !!」
そして何故か私を見詰め出したかと思うと顔を真っ赤にさせ鼻血を一筋垂れ流す。
この反応は何!!??
「「 …… 」」
ボッカ!
「チョンマゲのバカーーーー!!」
思わず頭を殴り付けてしまう
信じられない!!
まさか私の服を透視するなんて誰が思うだろうか
「今度したらルインさんのお屋敷に行ちゃうわよ!」
実家には戻れないのでこの際ルインさん宅を実家代りにしよう
「うっう…… すまないミユキ」
自分で言うのもなんだけどこんな鶏ガラのような体を見て興奮するなんてマニアック過ぎるような気がする。
此処は喜ぶべきなんだろうかと悩んでしまう。
しかし起きたはいいけど顔を洗ったり着替えは如何すればいいんだろう?
そもそも見知らぬ部屋で動きようが無い
「それより私はこれから何をすればいいの?チョンマゲ」
王妃様のお仕事って何?
後宮で遊んでいればいのだろうか
「ミユキは余と常に一緒に居てくれればいいのだ」
「チョンマゲは王様の仕事があるでしょ」
「大丈夫、丞相が全ての政務を行い余は印を押すだけでいいから、ミユキの側でも出来る」
私は唖然としてしまう……思った通り丞相のルインさんがこの国を動かしているのだ
ハンコを押すだけなんて何処の会社の窓際課長なのよ
それってチョンマゲが王様である必要があるんだろうか
きっと王政だから能力は関係なく血統だけで王になったのだろう
頼り無いと思ったけどそれは情けなすぎるのでは……
これは教育的指導が必要だ
「其処に正座して」
すると素直に正座してくれ私も向い合せになり正座する。
「私は政治の事は分からないし口出しもする心算も無いけどチョンマゲにはもう少し王様の仕事をして欲しい」
向こうに居る時も政治には余り興味が無くころころ変わる総理大臣の名前すら覚える気になれなかった私だけどこれから日本はどうなるんだろうかと漠然とした不安はあった。
幾ら民主主義、選挙権があるからと言って日本の政治が国民の意に沿っているかと言えば微妙…一人一人の1票が国を造るっていうけどあまり実感できないのが本音だった。
だけどチョンマゲは王様
国の最高決定権を持って国を治めている人がハンコを押すだけなんて無責任すぎる。
国のトップが国民から血税を取るだけ取って遊んでるなんて、一年間働いた納税者としてはムカつく
「ミユキ?」
「ルインさんは有能そうだからちゃんと国を治めているんだろうけどチョンマゲは王様としての義務があるんだから出来ない成りに努力して欲しいの。私もこの世界の事を勉強するからチョンマゲも一緒に王様の仕事を勉強しよう」
「ミユキは余にそうして欲しいのか?」
「うん。 私はチャンと働いている男の人が好き」
「……分かったミユキがそう望むなら王の仕事を真面目にしよう」
「有難うチョンマゲ」
うーーーん…… こうもすんなり私の言う事聞いてくれるのは嬉しいけど一種の怖さを感じる。一歩間違えは王様を操り政治を動かす悪女にもなれそうだ
そんな事をしたらきっとルインさんを敵に回し殺されるのが容易に想像できた。
あの人は絶対手段を選ばないタイプだ!
人を見る目は割かし自信があったのだけど私は知らなかった……目の前にいるチョンマゲの本当の姿を知らず見誤っていた事を…やっぱり恋は盲目なのだろうかと言う事で納得しておくのはもう少し後だった。
「でも今日のところはミユキとゆっくり過ごしたい…駄目か…」
チョンマゲが私のご機嫌を伺うように聞いて来る。
甘え上手な夫に私はたじたじ
これは計算だろうか? どちらかと言うと天性のよう気がする。
私としてもイチャイチャしたいが恋人をすっ飛ばして夫が出来てしまい王妃という立場同様にどうすればいいのか分からない
残念ながら私には経験とスキルが無さ過ぎる。
普通の夫婦や恋人はどう過ごすんだろう????
ここは腹が立つけど経験豊かそうなチョンマゲに任すしかないよね
「///そうね……、今日は二人っきりで過ごそう。 何をするの?」
私としてはデートがてらにこの国の街を見て回りたいけど王様が街の中を歩くのは大変そうだし、此処は手近なところでお城探検もいいかも。きっと綺麗な庭園があるだろうから手を繋いで散歩もいいかもしれないと今時の高校生でもしない様な事を考えるのだった。
可愛い!!!!!!!!!
首を傾げ「何をするの?」
と愛くるしく聞いて来るミユキ!!!
そんな事は決まっている。
先程、服の上から透かし見た裸を見てかなり興奮しており二年間お預けをくらい色々男として一杯一杯
暴走してしまっても仕方が無く自分でもよく此処まで我慢したと褒めてやりたい。
すかさずミユキを押し倒し、その可愛らしい唇にむしゃぶりつく
唇を割開き己が舌をねじ込み存分に味わう
最初は些か抵抗していたミユキだがその内おずおずと応えてくれるように舌を絡ませくれるが不慣れ様子が嬉しい
初めて体を繋いだ時ミユキが処女だと知り天にも昇る嬉しさだった。
もし違ったならミユキを抱いたであろう男達全てを例え異界の地にいようと跡形も無く切り刻み抹殺したであろう。
余にはその力がある。
可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い
可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い
可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い 可愛い
なんて愛おしい存在
今までの女達は余から全てを絞り取ろうとしていたがミユキは違う
一緒に勉強をしようなどとなんて可愛い事を言うんだろう
ミユキが働く男が好きなら余の王らしい姿を見ればきっとメロメロになるに違いない
もっと余を愛して貰う為にも少し政務を頑張ろう!!
あくまでも少し
ミユキとの時間を減らす気は露ほども無いのだ
とろんと目を潤ませ顔を上気させたのを確認してから前を肌蹴させ可愛らしい胸を顕わにした時だった。
ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!ドン!
「陛下! 今直ぐミユキ様から離れ結界を解きなさい!! さもなくば無理やり入りますよ!」
「チッ! 丞相め昨夜から邪魔ばかりしおって」
丞相の言葉を無視すべく結界を強化し音も遮断するが時すでに遅くミユキが正気ずく
「チョンマゲのバカ!! 朝から何をするのよ! 」
真っ赤な顔をしながら暴れ出しポカポカ余の胸を叩いて来るがその仕草さえ可愛い
堪らない!
「ミユキ、気にせず続きをしよう」
「駄目! 駄目ったら駄目!! こういう事は夜でしょ」
「余は気にしないし、明る方がミユキの痴態を堪能できる」
すると更に怒りだすミユキ
「今したらチョンマゲと当分口を利かない!!」
「そっそんな~~~~」
渋々ミユキから体を離すとソソクサと肌蹴た前を直して余に背を向けてしまう
どうやらかなり気分を害させてしまったよう
「すまぬミユキ……嫌ならもうしない」
「別に嫌じゃ…… /// 夜……夜なら構わないの。 私はチョンマゲと違ってあんまり経験が無いんだからその辺を分かって /// 」
俯きながらも恥ずかしそうにしているのが伺え本当に可愛くて頭からバリバリ食べてしまいたいなどと病んだ事を考えてしまう
背後からミユキの華奢な体を抱き込んでもう一度謝る。
「余が悪かった…… だが今夜は良いだろうか余は我慢出来ない」
ミユキの耳元で呟くとビクッと体を震わす
本当に初心で可愛
コクリと耳を真っ赤にさせ頷くミユキ
「ありがとうミユキ」
ミユキのお許しが出たので今夜が楽しみだ
ああ~~~ 幸せだ!!!
しかし偶にチクチクと過去の事を言われるのが耳が痛い
こんな事ならミユキに童貞を捧げたかったと後悔するのだった。
それからミユキに促され仕方なく結界を解くと丞相が入って来るとすかさず余を睨んで来る。
「お早う御座います。陛下そしてミユキ様」
「お早う御座いますルインさん」
律儀に返事をするミユキ
「このような者に一々挨拶など返さずともよいのだぞ」
「それは人としてどうかと思うよ…」
ミユキにそう言われては不本意ながら挨拶を返すしかない
「おはよう丞相」
すると目を向いて驚く丞相
「陛下に生まれて初めておはようと言われました! 天変地異の前触れでしょうか」
失礼な余とて挨拶ぐらい出来ると言いたいが記憶にある限り確かに言った覚えが無いかもしれない
そんな事がミユキに知られたら軽蔑される?
「丞相、朝から冗談が過ぎるぞ…余とて挨拶はするぞ」
「申し訳ありませんでした陛下。確かに冗談が過ぎたようです…生まれてこの方挨拶をしない者などいる訳がありませんでした」
うっ…
ミユキも何故か余を横目でみる。
「これからはチャンと挨拶をしよう」
「素晴らしい! ミユキ様のお陰で陛下がまともになりつつあります」
そう言ってニッコリと笑う丞相…忌々しいい奴だ。
「嫌みはそれ位で何しに来たのだ」
「ミユキ様のお世話をする侍女を連れてまいりました。見ればミユキ様は朝の身支度もまだな様なので早速侍女に支度をさせましょう。 さあ入りなさい」
そう言って入って来た侍女は一人だった。
王妃の侍女となれば十人以上は用意されても可笑しくないのだが
「この者の名はフーラングゥイと申します。教養も高く信用のおける娘ですのでお見知りおきを。 後ほど侍女は追加して行きますが今の処ミユキ様を任せられるのはこの者しかおりませんでしたので御不自由をお掛けすると思いますが御了承を」
どうやら重臣共が動き始めミユキに近づこうとしているのであろう
ミユキが目覚めたのがもう外部に漏れたのか
全く油断のならない者達だ。
「陛下並びに王妃様お初にお目にかかります。この度丞相様に王妃様のお世話の大任を承り恐悦至極に存じ誠心誠意を持てお使い致します」
「うむ、良かろう…ミユキの世話はそなたに頼もう」
「陛下直々のお言葉有り難き幸せ。我が身に代えましてもミユキ様をお守り致します」
どうやら只の侍女では無く護衛も兼ねているんだろう
しかし横から不穏な言葉が聞こえる。
「素敵…」
横を見やればうっとりと侍女を見詰めるミユキ!!!
早くも余所見をするミユキ
ミユキはヤッパリ女の方が好きなのかと疑ってしまう
「矢張り駄目だ! その侍女を連れて帰れ」
「何を仰るのです陛下。 さあミユキ様には着替えをして頂くので陛下も別室でお着替えを」
「ミユキと同じ部屋が良い!」
「我儘を言わないで行きますよ」
「着替えたら一緒にご飯を食べよう」
そう言って手を振るミユキは何故か嬉しそう
丞相に引き摺られながら今夜は余所見出来ないぐらいミユキに余を刻もうと心に誓うのだった。