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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第2章 私の王様
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再会と私







私は一人で暗闇に中に取り残され恐らく、だだっ広いベッドの上で体育座りで待っていた。せめて灯りを点けて行って欲しかった


シーンと静まり返った部屋は不気味


想像からするとここは後宮の一室だと思うのだけど人の気配が一切しない


そう言えばチョンマゲって他に奥さんがいるんだろうか


王様と言えば後宮に美姫を集め夜毎違う側室の部屋を訪れるイメージがあるんだけど私って何番目かの側室になるのかな


左手に嵌る金の指環に触る


この契約の指環を嵌められる事によってチョンマゲと命を分け合い繋がったのだからきっと私は王妃だ


王妃


私が良いんだろうか


なってしまったんだから腹を括るが自分に似合わないとつくづく思う


もし側室がわんさかいたら絶対いびられる


私が王妃の肩書を持っていても後ろ盾も何も無くチョンマゲの愛しか無い


チョンマゲは頼りなさそうだし不安


そこにルインさんの顔が思い浮かぶ


矢張りここは腹黒そうなルインさんに頼り色々ここでの地盤を固めないといけないだろう

何処の世界でも女の世界は怖いのだ


そう言えば牡丹の君は如何しているだろう……最後に見た時はかなりショックを受けていたようで気になる。


もし牡丹の君のような姫が後宮に入ったら絶対に標的にされて虐められていたに違いない

正に深窓の姫君タイプだもんね


それに比べ私は平凡庶民、雑草は強く逞しく生きれる自身はある。


何故だか男にはもてないがお姉さまタイプには可愛がれるので案外その辺を生かして上手く行くかも


そんな事を考え込んでいると


「ミユキーーー 」


ガッバ!!


「ギャッツ――――ー!!」


又しても突然幽霊の如く現れるチョンマゲに一瞬心臓が止まるかと思う程ビックリする。

「今丞相に食事を持ってこさせるので気を確り持つのだ」


抱きつきなが心配そうに私を労ってくれるが…


「チョンマゲは大袈裟だよ。 それより部屋の灯りを点けてくれない、真っ暗で何にも見えないんだけど」


「はっ! すまないミユキ…… 余は役ただずだ…」


パッチリと音がすると


突然部屋に灯りが点き一瞬眩しさで目が眩むが直ぐに慣れて来るとしょんぼりと項垂れる美しい夫の姿


美形はどんな姿も絵になると感心する。


「どうしたの?」


「ミユキに何でもしてやりたいのに食事の用意も満足に出来ず、こんな暗い部屋に一人でいさせてしまた…… 夫失格だ」


かっ可愛い!!!


思わずベッドに座り込む夫に頭から抱きしめてしまう


「ミユキ///」


「大丈夫だよチョンマゲ。私だってまだ奥さんらしい事何にもしてないんだからこれからゆっくりやってこう」


可愛いのはいいがこんなんで王様がやって行けるんだろうか心配になって来るが、突然チョンマゲは私を押し倒して来る。


ポッスン


そしてその麗しい顔を私に近づけて来るのでキスをしようと迫ってくるがこういう所は抜け目が無いと感じる。


「今は駄目!」


私は急いでチョンマゲの顔を押し退けようと手で突っ張る


「う~~~ 何故??」


情けない顔で理由を聞いて来る。


「誰かが食事を持って来るんでしょ。 それに聞きたい事があるの」


「分かった」


渋々私から体をどかすと私も起き上がり正座する。


「こういうのは結婚する前に聞いておくべきだったんだけど、チョンマゲは王様よね」


「そうだが」


「もしかして此処は後宮?」


「ああ」


灯りの点いた部屋を見渡せば素晴らしい家具や美術品が飾られていられ、後宮の一室だと納得する。


「因みにこの後宮に女の人は何人いるの? 正直に話して」


ある程度は覚悟している。


「今はミユキ一人だから安心してくれ」


私だけと聞き嬉しいが今はと言った。


つまり過去にはいたんだと思うとズキリと胸が痛む…王様だしこれだけの美形だから女がいない方が可笑しいんだけど


「今は…… 昔は何人いたの」


当り前だけど私はチョンマゲが初めてだったから心に引っかかる


この際ハッキリしておきたい。


「良く把握してないが十八人程だったかも…… だが全員余が望んで入れたのでは無く臣下共が勝手に押し付けた女ばかりで愛してなどいなかった!」


十八人!!


流石王様だけど全員相手にするのは大変そう


否… チョンマゲの絶倫さを思えば当り前だろうか


なんだか悔しい


「でも抱いたんでしょ」


「そっそれは…その……」


しどろもどろのチョンマゲ


私に会う前だからら仕方ない。


「はぁ…… まさか自分がこんなに嫉妬するとは思わなかったわ」


「嫉妬!!」


私に嫉妬され嬉しそうにするチョンマゲ


「過去の女に嫉妬してみっともないし許す。 でもこれから浮気は絶対許さないんだから覚悟してね」


これでは独占欲丸出しの嫌な女だけど私はかなりの覚悟で結婚をした。


生半可な覚悟では無くチョンマゲの愛を信じたから出来たのだ


それが揺らいだ時自分自身どうなってしまうか分からない


家族を捨て


地球にあった自分の居場所を全てを捨てて来たんだから


私にはチョンマゲしか居ない


そのチョンマゲに捨てられたらきっと狂ってしまいとんでもない酷い事をするかも


何しろ私はチョンマゲの命を半分握っているのだ


間違ってもジッと耐える女では無いのを自分でも理解していた。


「余にはミユキしか居ない。 生涯愛する事を誓う」


真摯な顔で言うが、これだけの見目麗しいと結婚詐欺にあっているような気分になって来るのだから不思議


矢張りこんな美形が私に惚れる訳が無いという思いが根底にあるからだろうか?


だけど私に半分の命をくれたチョンマゲを信じよう


「私もチョンマゲを生涯愛する事を誓うわ /// 」


こんな臭いセリフを自分が口にするとは……


恥ずかしくって穴があったら入りたい気分


しかしムードは盛り上がり必然的にキスに傾れ込む


チョンマゲのキスのスキルは高く直ぐに夢中になってしまう私


しかし折角の甘いムードは直ぐに壊されてしまうのだった。





「きゃっ!!」


女の人の声が聞こえ驚いて視線だけを向けるとそこには顔を真っ赤にした牡丹の君と見覚えのある男性が立っていた。


急いでチョンマゲの顔を手で外そうとするが二人に気付いていないのか止めようとせずに反対により一層激しくして来て恥ずかしさと酸欠で血が昇る


色んな意味で死にそう~~~


ガッツン!


男の人がチョンマゲの頭を突然殴り漸く解放されるがクラクラする。


「おのれ丞相 気を利かせて席ぐらい外せ!」


「陛下に学習能力は無いのですか! ミユキ様が倒れそうですよ」


「しまった!ミユキ大丈夫か」


確かに気が遠のいたけど


その時私はある匂いに気付き本能的に体が動き芳しいその匂いの方向に跳び付く


それは牡丹の君が持っていた包み


「牡丹の君 ご飯下さい!!」


「!! はいミユキ様」


牡丹の君は急いで風呂敷を解いて五段重ねの高級感溢れる重箱を出してくれベットの上に次々ならべるとそこには美味しそうな料理が綺麗に並べられていた。


「ミユキ様お箸をどうぞ」


「有難うございます。 そして戴きます」


私は速やかにかつ迅速に次々に重箱を開ける事に没頭した。


二年ぶりに食べる食事は美味しい


私的にはお昼に食べたばかりのはずなんだけど体は飢えていた。


料理を胃に入れた途端に活性化し次々胃液で解かされ腸に送り込んで体に栄養を取り込み力がみなぎる。


生きていると実感


食べると言う行為は一種快感だと私は常々思っている。


ああ~ 幸せ……


そして短時間に綺麗に完食してしまう私


「御馳走様でした」


いまいち足りないけど健康の為に腹八分目


「ミユキ様 お茶をどうぞ」


「牡丹の君ありがとう」


何時の間にか用意されたお茶を飲んで漸く一息つく


やっぱり、食後は緑茶


ご飯を食べてお落ち着いて周囲を見渡せば、少しいじけたようなチョンマゲとにこやかに微笑む牡丹の君、そして見覚えのある美形な男


男はモスグリーンに白メッシュの髪で切れ長なエメラルド色の目のインテリ―系の冷たい美貌の男でまるで男番ルインさん。Dカップの胸は無いが均整のとれた男らしい体つきをしており身長もルインさんより十㎝以上は高い


???誰???


不思議そうに男を見ているとチョンマゲが怒りだす。


「ミユキ! 何故丞相ばかり見るのだ!? 心変わりは許さんぞ!」


見当違いなことを言う。


「違うわよ……もしかしてこの人ルインさん??」


思えばチョンマゲも女になっていたのを思い出す……もしかして神様って性別が無いの!!

男も成程といた感じで自己紹介を始める。


「そう言えばミユキ様と会う時は女の姿でしたね。此方が本来の姿で丞相をしておりますルイングゥイです。これまで通りルインとお呼び下さい」


丞相?? どれくらい偉いのか分からないけど王様殴るくらいだから実質ルインさんがこの国の最高責任者なのだろう


「そして妻のアンチョングゥイ共々ミユキ様を支えますので何なりとお申し付けください」


深々と頭を垂れるルインさん


「ミユキ様がお目覚めになるのを心よりお待ち申し上げておりました。最後にミユキ様を裏切るような形になり申し訳なくて……」


牡丹の君は思った通り気にしていたようだ。


可哀想に……腹黒の旦那様を持ったせいで


私は牡丹の君の手を取る。


「私は気にしてません。牡丹の君は知らなかったのは分かってたから大丈夫。それよりこの世界の事を何も知らないので色々助けてくれれば嬉しいです」


「ミユキ様……」


綺麗な青色の瞳を潤ませ何とも色っぽい


男なら惚れてしまいそう!


「 /// 牡丹の君……」


抱きつこうとすると男共に邪魔される。


牡丹の君はルインさんに引き寄せられ、私はチョンマゲに抱き寄せられる。


「ミユキ~~ 余以外に抱き付いてはならん!」


「え~~ 女同士だからいいじゃない」


「女でも駄目」


どうやら夫はかなり嫉妬深く束縛するタイプの様だ


愛されている証拠?


少し頬が弛む


それから少し皆で話しながら私は眠気が襲い堪らない


二年間の眠り続けるのも案外体を弱らせている様で体力が続かない


明日からジョギングでも始めようかと思いながら眠りに就くのだった。







おまけ




ミユキが眠り丞相夫妻が帰る時の会話


「いいですか陛下、くれぐれもミユキ様にに手を出さないように!」


「分かっておる……お邪魔虫はサッサと帰れ」


「何がお邪魔虫です! 最初に邪魔したのは陛下ですよ」


「そっそれは…緊急事態だから仕方なかろう!」


「兎に角明日から侍女を付けて戴きます!」


「…せめて十日待ってくれ」


「無理です。私は陛下の子守りはうんざりですので… これ以上アンチョンとの時間を削らされるのなら丞相を辞めさせて貰います」


「そなたは直ぐそれを持ちだす。 分かった明日より侍女を付けよう」


「分かって戴き有難うございます。それではお休みなさいませ陛下」


「 …… ありがとうルイン 」


「チョングゥイ様……」


久しぶりに子供の頃のように呼ばれ嬉しかった丞相でした。










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