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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第1章 私と王様
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それぞれの想い





午後になると牡丹の君が美味しいお菓子をお土産に遊びに来てくれ、字の先生はもう少し待ってくれとの事、そしてルインさんからの伝言を聞く


「私の為に宴を開くんですか!」


「はい、ミユキ様を歓迎するために内輪の信用出来る者達だけを集めて開くそうですわ」

牡丹の君は楽しそうにそうに話してくれる。


私の為にと言うのが凄く引っかかる


今までこの離れから一歩出れず、この屋敷で顔を合わせた人間はルインさんと牡丹の君にリューリンちゃんの三人と限られその他の人の気配すらなく、私の存在は隠されているんだと感じていた。


それなのに宴を開くなんて不自然


ルインさんはあの強姦魔と私の中を取り持とうとしているのは見え見え


絶対あいつが来るだろうと確信する。


「それは楽しみですね!」


「ええ、それで今日はミユキ様の衣装を色々ご用意致しましたの。別室に用意してありますから一緒に選びましょ」


いっ何時の間に?? そんな気配全く感じませんでしたが……神様だから魔法のようにパッパっと出したのかもしれない。


「でも既に着物を沢山用意して貰ってますからこれ以上は必要無いと思うんですけど」


「それは普段着ですから、宴用の衣装を整えなければなりませんわ」


今着ているのも絹の高価な物が普段着?!


そうなのだリュ―リンちゃんに見せて貰った衣装部屋には色取り取りの着物が十着は用意されていて驚いていたのに、宴用の衣装を作るなんて、金持ちの感覚はついて行け無い


どうせ強姦魔に見せるのに今ので十分


あまり会いたくは無いけど何時まで無視する訳にもいかない。勘違いでなければロリコン強姦魔は私に気がある。


痛い女と思わないで


私だってあんな壮絶な美形が私のような平凡な女に惚れるなんて信じられませんよ


だけどこれは異世界トリップ


ラノベのセオリーでは、トリップしてきた主人公に惚れてしまう美形達


一種呪いのようだと弟のお勧めラノベを読まされた感想


あの強姦魔もそのトラップのような呪いにかかったのだろう


そして目を覚まさせて慰謝料代りに私を元の世界に戻して貰う手立てを考えさせるのだ


あの金髪美少年を当てにするよりは確実な気がする。


そう思うとあの強姦魔に会うのが待ち遠しく感じてしまうから不思議


人間、気の持ちようで結構変わるのだ


短時間ではあるけど強姦された傷は結構癒えてしまっている図太い私


この年で処女を捨てたのは遅いくらいで向こうの世界で今回のスキルを生かしたい


なにせ一晩で数種類の体位を経験してしまったんだから


それに、あの美しさは目の保養にはなる


ルインさんや牡丹の君でさえ人間離れした美しさなのにあの強姦魔は更にその上を行く美貌。自分でもよくあの顔を平手打ちに出来たと今さらながらに感心してしまう。


「どうかなさいましたミユキ様」


別室に移り牡丹の君が持って来た衣装を眺めていた。


「今から宴が楽しみだな~と考えてました。やはり珍しいお酒とか出るんでしょうか」


「ええ ミユキ様のために他国のお酒も取り寄せましたのよ」


「本当ですか! 有難うございます」


「また乾杯をいたしましょう!」


どうやら牡丹の君はいたく乾杯がお気に召したようだ。


更に楽しみが増え嬉しいけど飲み過ぎには気お付けよう…昨晩のように喋りすぎ何を言ってしまうか自分でも怖い


口は災いのもと


確り肝に銘じるのだった。











今晩も珍しく夫が早く帰って来てくれて嬉しい


夕げを共にしながらお願いしてみる。


「あなた お酒で乾杯しましょ」


夫は優しく微笑み頷く


「それでは愛しいアンチョンと私の安らかな一時に」


「「 乾杯 」」


カッキィーン


二人で杯を上げて触れ合わせ、私は甘い蜂蜜酒を飲み干す。


酒の杯を一気に飲み干すなど女性としてはしたないのだけど、夫は許してくれ本当に優しいく心が幸せで満たされるのだった。


これも全てミユキ様のお陰



陛下が度々亀の姿のままでいるので夫は政務に追われてしまい顔さえ見れない日々が続き何度枕を涙で濡らしたか…


ところがミユキ様が現れてからは夫と長く過ごす事が出来て、まるで新婚の頃のよう


最初は夫が離れに人間の少女を囲ったと聞いた時は絶望のあまり家を出る覚悟をしたけれど、夫が直ぐにミユキ様は陛下の伴侶候補だと説明してくれたので家を出ずに済みました。


そして夫に陛下の良さをミユキ様にお教えするよう頼まれ初めてお会いした時はあまりに珍しい黒髪に黒い瞳に驚かされてしまいましたが、私の事を牡丹の君と愛称を付けて貰った時は何故か嬉しさが込み上げてしまう。


亀族の姫として生まれた私は常に多くの者にかしづかれ会う人々に美しいと誉め讃えられてはいましたが、皆一歩さがったような態度で何処かよそよそしかった。


同じ亀族の御婦人方も夫が丞相という高い地位にある為に心から打ち解けて話してくれる人もおらず、私の機嫌を取り顔色を伺う者たちばかり


友と呼べる者など八百年の間一人も得られなかった私


寂しくもあり、高い地位にある亀族の姫として生まれた者の定めだと諦めておりました。


でもミユキ様は私の目を確りと見てくれ、何の裏の無い言葉で話してくれる。


そしてミユキ様が二十三歳だと知った時は驚かされましたけど


小さいながら丸い可愛らしい瞳をクルクル動かし表情豊かで幼い華奢な体、なんだか妹のように思えて益々ミユキ様を知りたくなってしまい、陛下の事を色々話さなければならないのにすっかり忘れてしまっている私


ミユキ様が働きたいと仰ったり、陛下の話になると逸らすのが不思議だったのですが、三人でお酒を飲んだ時にその疑問は解消しました。


まさか陛下が無理やりミユキ様と事に及んだなど


女にとって殿方に初めて抱かれる時どんなに不安か


私も愛する夫と初夜を迎える時は恥ずかしさと怖さが入り混じり逃げだしてしまいたかったのを思い出す。そんな私を夫は優しく扱ってくれましたけど初めは痛くって辛い行為…

それなのに… それなのに…


身を清める事すら許されず無理やり奪われるなんて、同じ女としてお労しく、陛下に殺意まで湧きました。


恥ずかしい話しながら我が夫も度々湯浴みもしていない体を所望され嫌でした……


実家の母に夫に従順な妻であるよう教え込まれた私は夫に否とは言えず、羞恥心に耐えながら抱かれ夫が喜ぶならと我慢しました。


だからミユキ様の事が我が事のように思え、お酒の勢いもかりついミユキ様に夫の事をグッチてしまう妻として有り得ない事をしたのに、ミユキ様は夫に対し私の代わりに弁護して下さったので驚く 


その姿が凛々しく思わず胸がときめいて、ミユキ様を思わずお姉さまと呼びたくなりました。///


なんて不思議な感覚


だけど気丈なミユキ様はそんな暗い影も見せず明るく、それからもお酒を楽しみながら、ミユキ様が向こうの世界のお話を色々して下さり夫と共に大変楽しい一時を過ごし、はしたなくも酔い潰れてしまい実家なら母にきつい叱責を受けてたでしょう


ああ~ なんて幸せ


ミユキ様が現れ私の生活は花が咲き誇るように明るく彩られたよう


ミユキ様が陛下を嫌われるなら此のまま私の友として屋敷に留まって欲しいと思うのは我儘でしょうか


眉目秀麗な夫と可愛らしいミユキ様


二人と暮らせたらどんなに幸せかと夢見るのだった。









今夜は早く帰宅し昨晩の欲求不満を解消する為にも妻の機嫌を取る


「あなた お酒で乾杯しましょ」


艶やかに微笑みまさに牡丹の花のよう…ミユキ様の我が妻を牡丹の君と呼ぶ趣味の良さには感服する


「それでは愛しいアンチョンと私の安らかな一時に」


「「 乾杯 」」


カッキィーン


昨晩の乾杯が余程気に入ったのだろう…無邪気な妻の姿を目で楽しみ近年は寂しい思いをさせていたので申し訳ない。


それも全部あの怠け者の陛下の所為だ!!


「ミユキ様は宴の事は如何仰ってたかい?」


「はい、大変楽しみにしているご様子で宴用の衣装を二人で選んだのですがミユキ様たら私にばかり服をお当てになって宴には深緑の物を着て欲しいとお願いされてしまいましたの /// あなたもそれで宜しいでしょうか…」


「……」


怒!!


妻は頬を染めながらも心配そうに私に伺いを立てる様子に嫉妬が湧きあがる。


何時もアンチョンの着る物は私の好みの物を着ているので、赤や水色、若葉の色の物が多くその色の衣装は持っていない


「その色は少々地味ではないか」


「そうですか……」


寂しそうに俯く妻を見ると心が疼く


「いや…アンチョンが着たいなら明日にでも仕立てなさい」


「ま~ 有難うあなた」


私が許可するとまるで牡丹の花が咲き誇るように喜色満面になり、甘えるようにしな垂れかかってくる。


以前に比べ自分の感情を素直に言い甘えるようになって来たのはミユキ様の影響だろうか


嬉しい半面苛立たしさが増す


アンチョンの心にミユキ様がずかずかと入り込んで来ているのが許せない


早く陛下とくっ付けて追い出さないと危険だ


女同士なのに危機感が襲うのは何故か? 自分でも不思議だ


ミユキ様を平凡と思い侮っていたがなかなか頭は廻る方の様なので油断が出来ない


妻には言っていないが、多分…ミユキ様は宴の場に陛下がいらっしゃるのに気が付きながら楽しみだと仰ったのだろう


何を考えているのか私でさえ読めない異界の女


案外陛下とお似合いかもしれない


この二人をくっ付けてしまえば、私も人並みの夫婦生活が待っているだろう



そして食事も終わりアンチョンの耳元で呟く


「今夜はじっくりそなたを味わいたい」


瞬時に耳を真っ赤に染めこっくりと頷き、そのまま抱き上げ寝室に連れ込もうと行動しようとする前にアンチョンが立ち上がる。


「/// それでは先に湯浴みをして支度をしてきますのでお待ち下さい」


恥じらいながら立ち去って行くアンチョンの姿を指を咥え見送るしかなかった……


「おのれあの女ーーー いらぬ事をしおって!!」


湯浴みをしてしまってはアンチョンの芳しい匂いが薄まってしまうでは無いか


しかし昨晩約束したばかり


約束を破ればアンチョンが悲しみ、ミユキ様に益々傾倒して行くのは目に見えているので、ここは自分が涙で耐えるしかない……


自分で連れて来たのだが、とんだ誤算だ!


絶対追い出すと心に誓うのだった。









ミユキに会えると思うと興奮して寝れない


矢張り女の姿で会うべきか男の方がいいかとズーッと悩んでいるので尚更寝れないのだ


それによって衣装も造らねばならないし早く決めないといけない


少しでも身ぎれいにしてミユキに見て欲しかった。


アンチョングゥイが好みなら矢張り女?


明日にでももう一度丞相に相談しようと思うチョングゥイだった。











前話でブレスレットと指輪を取り違えていたので修正しました。


補足 牡丹の君は亀王の正妃候補として厳しく育てられた生粋のお姫様だったのですが丞相が一目惚れしてあの手この手を使い手に入れた最愛の人。なのでかなり嫉妬深く溺愛設定

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