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玄武国物語 「私と王様」  作者: 瑞佳
第1章 私と王様
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牡丹の君と私





リュ―リンちゃんが案内してきた奥方様なる人物は予想道理の美形キャラ


真っ赤な燃えるような髪を結い上げ宝石の散らばった髪飾り、蒼い愁いの含んだ目も色っぽい、立てば芍薬座れば牡丹歩く姿は百合の花


まさに牡丹の君と呼びたい


本当にこの世界は美形しかいないの…… 


もしかすると私のような平凡の方が希少価値なのかもしれない


「初めてお目にかかりますミユキ様、私はルイングゥイの妻でアンチョングゥイと申します」


お声まで麗しい!


しかもルイングゥイさんってルインさんの事では???? しかも妻


えっ~~~~~~ 女同士の婚姻が認められた世界


つまり男同士もあり!なんて性におおらかな世界


ルインさんと牡丹の君、ビジュアル的にも十分いける。


薔薇の世界に片足突っ込んで、百合の世界はあまり興味は無かったけど思わず胸がドキドキする。


妄想の世界に浸ってしまいボーっとしてしまい牡丹の君が呼び掛ける。


「ミユキ様 どうかなさいましたか?」


ハッ !! いけない


「すみませんー 牡丹の君があまりにお美しくて見惚れてしまいました」


「ま~ 牡丹の君とは私ですか…… ミユキ様にそのように褒めて頂いて嬉しいですわ」

頬を染め恥じらう姿は色っぽくて可愛い


ルインさんの時といい少しこっちの道に目覚めて来たのだろうか


そう言えば以前小説で男にレイプされ男性恐怖症になった女性が同性愛者の女性に誘われそっちの道に進み幸せに暮らすというのを読んだ事がある。その時はあまり共感出来なかったけど今なら少し分かるような気がする。


「はい、どうか牡丹の君と呼ばせて下さい!」


「そうですか……どうぞお好きにお呼び下さい」


少し戸惑い気味だけど了承してくれる。


「ところで私に何の御用でしょう」


「ミユキ様が退屈しているのではないかと話し相手にと思い参りましたの」


「はい、非常に退屈でした」


「オホッホッホッホ ミユキ様は面白い方」


「この世界の事を知りたいので色々教えてください」


しかしスムーズにコミュニケーションがとれるって素晴らしい!


全てはこの金のブレスレットのお陰、陛下=強姦魔の造ってくれた物らしいが慰謝料代りに有り難く受け取っておくわ


そして牡丹の君から得た情報は正にファンタジー


しかもあの金髪のガキはこの四神国の創造神で一番偉い神様らしいが、あんなのが最高神なんてこの世界も終わりだなと思ったけど牡丹の君の前ではおくびのも出さない。


天帝は普通崋山という大陸の中心にある死海とい言う大きな湖の真ん中に天を突き刺すようにそびえ立つ崋山に住んでいるらしい……全く自分の世界をほったらかしにして私の世界に来るなんてなんて迷惑な神様だ!


牡丹の君にも天帝の目的は分からないらしい


そして驚くべき事に目の前に居る牡丹の君も神様!! 


何でも亀の神様らしい


亀と言うより花の精霊みたいだけど


この世界には大陸は一つしか無く国が四つにわかれており、私がいる玄武国、青龍国、鳳凰国、白虎国でなっており、海には海妖族が住んでいる。そしてそれらの国を治めているのが各国の神族で国民である人間を支配しているようで、人間は一般的にリューリンちゃんのように茶髪に緑の目が一般的で私のような黒い髪に黒い目は殆どいないらしい……やっぱり


異世界トリップの定番だ


しかも四神国なんて有りがちな設定で、あまりにも独創性のない世界、もしやこれは自分の妄想の世界かもしれないと疑ってしまうが、弟のようなラノベの世界にどっぷり嵌っていないし平凡を愛する私が異世界トリップを望んでもいない


「そしてこの玄武国を立派に治めている亀王きゅうおうであらされるのがチョングゥイ様です」


なんか話題がヤバい方向に行きそうなので逸らそう


「へーそうですか。…… それより牡丹の君、私は元の世界に戻りたいんですけど方法を知りませんか?」


一番知りたい事を聞く


「帰りたいのですか?」


「当り前です。好きでこの世界に落ちて来た訳では無いですし、向こうには大事な家族もいますし仕事もあるんです」


「恋人はいたのでしょうか?」


何故そんな痛い質問を?


「うっ…… 産まれて二十三年間一度もいた試しがありません」


絶世の美女に見えを張っても空しいので正直に話す。


「ええっ! 今なんと!?」


それはどういうリアクションでしょうか……


「えー 産まれて二十三年間一度も」


「ミユキ様は二十三歳だったのですか!!!!」


「? 正真正銘の二十三歳ですが」


恋人より私の年齢にひかかったらしい………これはもしやアジア人特有の童顔という奴だろか? でも私は年相応にしか見られた事が無いんですが? 一体何歳だと思ったんだろう


「一体何歳くらいだと思ったんですか?」


「失礼ながら十五歳くらいだと」


そしてさり気無く見られる胸……もしや胸で判断されたかと思うと情けない


確かに今時の中学生より発育が悪いが、有り得ない


もしやあの金髪強姦魔も私を少女だと思ってやったんならロリコンだったのか?


だから巨乳美女のルインさんでは無く私を襲ったのかと納得した。


「因みに牡丹の君とリューリンちゃんは御幾つなのでしょう?」


「私は八百九十三歳になりますが、リューリンは確か十四歳でしたか」


聞くんじゃなかった、牡丹の君は二十代後半と見ていたんだけど八百歳越え流石神様、しかしリューリンちゃんが十四歳なんてあり得ない! しかも既に立派に働いてるなんてこれが日本なら労働基準法に引っかかる犯罪だよ


私の弟は高3で受験生ながらラノベの世界にトリップしているお気楽者


リュ―リンちゃんの半分でもしっかりして欲しい


「そうですか… 兎に角、既に私は成人していますのでそのように扱って下さい」


子供扱いは凹みます


「私共は決してミユキ様を子供扱いしておりません。 ミユキ様は陛下と結ばれて女性としての幸せをお知りになったんですから」


「!! ゲッホン、ゲッホ ゲッホン」


「ま~ ミユキ様大丈夫ですか」


牡丹の君そう来たか…


態とらしい咳であいつの話を回避


「すみません。むせてしまって……それより話を戻しますがルインさんも牡丹の君も神様なら私を元の世界に戻して欲しいんですが」


「…… 多分異界に渡るには瞑道を通らなければなりませんが瞑道を開けれる者は玄武国では陛下と夫のみです」


「それじゃあ、ルインさんに頼めば帰れるんですね!」


「それは難しいかと、瞑道は狭間の世界で闇の世界…場所と場所を繋いでおり無限にあるとも言われる異界とも繋がっております。ミユキ様に自分の住んでいた異界の場所を教えて貰わない限り無理かと思われます」


「そうですか……」


少し希望が見えたと思ったら直ぐに消えてしまった。


そう簡単に帰れるはずが無かった。


こうなったら私の世界にいる天帝が戻ってくるまで此処に居座るしかないだろう


私は立ちあがり牡丹の君に頭を下げお願いしてみる


「牡丹の君、橘深雪二十三歳なんの取り柄もありませんが一生懸命働きますので此処に置いて下さい」


「ミユキ様……」


庶民の私は平凡に生きるのを良しとしていて、異世界トリップでさえ許容範囲を超えているのに超美形な王様なんて面倒くさそうな人間と関わりたくない。


牡丹の君は困った様子だけどスル―だスル―


そして取敢えずルインさんと改めて話す事にしたのだった。












「終わらん! 何故書類が減らん~~?」


「当り前です。一体どれだけ政務をさぼられていると思ってらっしゃるんですか」


「煩い、だから今しておるであろう」


次から次へと運び込まれ寝室は書類の海だった。


「こんな書類、余の王印を押すだけ、丞相が押せばよいではないか!」


「天帝様がから賜った御璽は、王にしか押せず私が使っても印は写りません。 他の政務は私が全て引き受けて陛下は決済をするだけでしょ」


「絶対天帝の嫌がせだ!」


「早く終わらせないとミユキ様にお会いできませんよ」


丞相は何かにつけミユキを持ちだすが、本当に会わしてくれるのか疑わしく感じる。


働かせるだけ働かして余を過労死させ心算では!?


そして腹黒い丞相が可愛いミユキを愛人にしようと画策しているのかもしれない


そう思うと考えが止まらなく丞相に殺意が湧く


「もう我慢が出来ん!! こうなればお前を殺してミユキを奪い去る」


立ち上がり手に剣を取り出し斬りかからうとすると


「金髪強姦魔」


ピタリと剣を止める。


「なっなんだそれは?」


「ミユキ様が陛下につけられた名前です」


ニッコリと笑いなが更に続ける。


「うっううう~~~ ミユキが余をそう言っておるのか?」


「はい」


「すまないミユキ~ 余が悪かったかから許してくれ…… うっうううーー シクシク……」


書類の上でさめざめと泣いていると丞相が声をかけて来る。


「泣いていたも書類は消えませんよ」


「お前は鬼か! 余が悲しんでいるのに臣下として慰めよ」


「はいはい、仕方がありませんから今度ミユキ様がお使いになった敷布でも持って参ります」


「本当か!」


「ですからお仕事頑張ってください」


そう言い残し丞相は帰って行った。


そして一人取り残され、懐からミユキの使用済み箸を取り出し匂いを嗅いでから口に入れ至福の時を味わう。


「敷布より下着の方が良かったかもしれない……」


そう呟きながら箸を大事に仕舞い、書類に王印を押すのに励むのだった。















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