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クローン迷宮

設定が本作の「ステアーズ~宇宙から飛来したダンジョンを攻略する者たち~」と同様なので、サクサクと執筆できます。しかも前日譚なので、タイムスケジュールは決まっているので悩まず進めます。

面白いかそうでないかは別として…。面白く書けていますように…

第九階層


軋む鉄製の階段を、七人の調査隊は慎重に登っていた。


赤星帝三尉。

三雲一尉。

ノーマン・ガーランド大尉。


そして日米の兵士たち、計七名。


八階層での戦闘の余韻がまだ身体に残っている。

装備は血に濡れ、服は裂け、誰もが満身創痍だった。


そして弾薬は——もう一発も残っていない。


頼れるのは、奪い取った赤い光剣だけ。


階段を上りきった瞬間、先頭の三雲が止まれのハンドサインを出し、足を止めた。


「……ちょい待って」

その声は低かった。


通路の先に、二人の男が立っていた。


見覚えがある顔。


いや、見間違えるはずがない。


「……曹長?」


三雲の目が見開かれる。


「杉山曹長っすよね……?」


その隣には、もう一人。


「山本一曹……」


二層で重傷を負い、後送できないため待機させた二人だった。


だが。


二人とも、傷一つない。


制服も新品同然。


血もない。


汚れもない。


まるで——


作られたような身体。


三雲はそれでも駆け出した。


「曹長! 一曹! お前ら無事だったのか!?」


安堵の声。


その瞬間だった。


二人の兵士が同時に腕を上げる。


握られていたのは——


レーザー銃。


「ッ!?」


青い閃光。


ズドォォン!!


光線が三雲の肩をかすめ、背後の壁を爆ぜさせた。


「伏せろォ!!」


赤星が叫ぶ。


だがその時にはもう動いていた。


赤星帝とガーランド大尉。


二人の身体が左右へ弾けるように展開する。


床を蹴る音。


空気を裂く光剣。


一瞬。


本当に一瞬。


赤い閃光が横薙ぎに走った。


シュン——


遅れて、音が届く。


二人の首が、ゆっくりと宙を舞った。


ドサリ。


転がる頭部。


だが——


表情は。


無表情のままだった。


「……」


誰も言葉を発しない。


床に転がる首は、杉山曹長と山本一曹の顔そのものだった。


だが切断面から流れ出る血は——


温かい。


臓器の匂い。


「……完全にクローンだ」


ガーランドが低く言った。


「人間と同じだ。完全に」


三雲の拳が震えていた。


「……クソッ……」


赤星は静かに光剣を握り直した。


「行くぞ」


九階層。


そこは八階層と同じ構造の迷路だった。


三メートル幅の通路。


二メートルの低い天井。


乾いた空気。


「なるほど、霧が無くなったのは光線兵器の為だな」


だが違う点がある。


通路の奥から、足音が聞こえる。


ゆっくり。


ゆっくり。


そして現れた。


その顔を見た瞬間——


隊員の一人が凍りついた。


「……嘘だろ」


そこに立っていたのは。


数時間前、八階層で戦死したはずの隊員だった。


同じ顔。


同じ体格。


同じ装備。


違うのは——


表情だけ。


完全な無表情。


そして口が開いた。


「……メッセヨ」


カタコトの日本語。

「滅せよって…言ってますよね」

肩を負傷した三雲がギズを抑えながら赤星を見上げる。

「三雲…来るぞ!」


「……メッセヨ」


次の瞬間。


赤い光剣が振り下ろされた。


「戦闘!!」


赤星が叫ぶ。


光が交錯する。


赤い刃。


青白い閃光。


肉が裂ける音。


ブシュッ!!


光剣に切断された腹から内臓が飛び出す。


しかしクローン兵士は止まらない。


自分の臓物を踏みながら剣を振るう。


ガーランドの戦斧が振り下ろされた。


ゴギャッ!!


頭蓋骨が潰れ、脳漿が壁に飛び散る。


「機械の身体より脆くなってます!」


三雲の光剣が敵の胴を斬り裂く。


「でも、やりにくいっす!」


上半身と下半身が別れても、なお腕だけで這ってくる。


「ひぃッ!!キモい!」


踏み潰す。


グシャッ。


だが敵は次々と現れる。


同じ顔。


同じ顔。


同じ顔。


死んだ仲間の顔。


「くそったれぇぇ!!」


隊員の一人が叫びながら斬りかかる。


しかし背後から光剣が突き刺さった。


ブシュッ!!


腹から刃が突き出る。


「が……」


赤星が振り向いた瞬間、


その隊員の身体が上下に両断された。


血と腸が床へ落ちる。


「ッ……!」


戦闘は止まらない。


さらに二人が倒れた。


一人は首を刎ねられ、


一人は胸を貫かれた。


戦闘が終わった時、


生き残っていたのは——


四人だった。


赤星。


三雲。


ガーランド。


そして米兵一名。


誰も言葉を発しない。


ただ、血だまりの中を歩いた。


迷路を彷徨う。


何分歩いたのか分からない。


何度戦ったのかも分からない。


やがて。


三雲が足を止めた。


「……あった」


通路の奥。


階段。


十階層へ続く階段だった。


だが——


その前に立つ影があった。


一人。


静かに。


まるで待っていたかのように。


赤い光剣を二本携えた。


二刀流。


その顔を見た瞬間、


三雲が息を呑んだ。


赤星帝。


その顔だった。


完全に同じ。


同じ身長。


同じ目。


同じ声。


クローン兵士が、口を開く。


「……メッセヨ」


ゆっくりと、構えた。


「……滅せよ」


赤星帝は静かに前へ出た。


そして光剣を構える。


「……そうか」


低く呟く。


「俺か」


赤い光が闇に揺れた。


第九階層。


最後の戦いが、始まる。

この作品を見つけてくれてありがとうございます。

そして、読んでくださってありがとうございます。

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