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Doppelgangerシリーズ

悪役令嬢 VS 怪盗淑女 [短編版]

 以下の前提知識を念頭に置いて欲しい:

 魔法が理の異世界を舞台に物語が進んで行くが、この世界の「音楽・楽器の歴史」はおおよそ現実科学世界の歴史と似たような流れがあった。




 この物語は、『ドッペルゲンガー:異世界転移は人攫いの手段』という連作短編モノの登場人物、「怪盗淑女シャルロット・クルーガー」のスピンオフである。この物語単体で楽しめるように記述した。シャルロット初めての「盗み」を読み進めて欲しい。




 ザイオン・ギャロットはいわゆる悪役令嬢である。ギャロット家は有力貴族であり、長女であるザイオンは家の権威を学園でも振りかざしていた。


 彼女のルックスは「令嬢」のステレオタイプそのものの。金髪青眼、髪はロングでロール。


 ザイオンが通う魔法学園「アートマジック・ガーデン」は魔法と芸術を学ぶ学園である。


 ザイオンは主に「非マナ持ち(非魔力持ち)」の生徒に圧力をかけていた。


 なぜ魔法学園に「非魔力持ち」がいるかというと、この学園には「一芸コース」があるからだ。魔法を扱う際、基本的な運用は「呪文を唱える」「杖を振る」などがある。他に、楽器の演奏や舞踊、建築、その他"表現と創造"によって魔力の代替とし、魔法を扱うことが可能だ。魔法学園アートマジック・ガーデンは魔力を扱えない人間にも窓口を開いていた。

 しかし、令嬢ザイオンのような輩がひとたび現れると、学園としては回避したいカーストが発生してしまい、一芸コースの生徒に苦難が付き纏った。


 非マナ(魔力)持ちの中心人物をここで紹介したい。ルイーズ・ソングというヴァイオリニストだ。ルイーズは1点モノの貴重なヴァイオリンを持ち、彼女はヴァイオリンの調べによって調律魔法を習得しようとしていた。




 ルイーズは入学早々、度々令嬢ザイオンに絡まれた。


 ある時、ザイオンはルイーズに言った。「あなたのそのヴァイオリン。古典ヴァイオリンを近代演奏用に改造されているわね。本来の持ち味を損なう愚行だわ」ザイオンのこの意見は、クラシック演奏家の一部派閥にとって事実であったが、ザイオンの憤りの本音ではなかった。


 そもそもなぜザイオンもヴァイオリンを嗜むのか? クラスメイトや取り巻きに何度もギャロット家の豪邸や私財を見せびらかすためであり、ヴァイオリンは権威を象徴するオーソドックスなアイテムであった。持ち歩きしやすいという点と、クラシック音楽において鍵盤楽器と双璧をなす"主役感"がいっそうザイオンを付け上がらせた。


 一方ルイーズは非魔法使いの家庭の出ではあったが、弦楽器の工房を担う家系であり、家族はルイーズに名器を託した。



 ザイオンにはそれが許せなかった。自らの持つヴァイオリンより上等のヴァイオリンを下級な非魔力持ちが所持していることが許せないことは当然として、「本来貴族に使える立場の楽器職人が最上級品を貴族に献上せず自ら隠し持っていたこと」が許せなかった。


 ザイオンの考えは学園や一般市民の考えとはズレていることは注意が必要だが、学園という閉鎖空間では、権威を振りかざせる者が貴族主義を持ち出すと、容易に周囲にも思想が侵食してしまう。




   *      *



 ある日、ルイーズは管弦楽団の練習中に悲鳴をあげた。「私の……ヴァイオリンが……」


 周りの楽団員も集まり、起きた出来事は瞬く間に拡散された。ヴァイオリンが何者かによって破壊されたのだ。


 楽団で同じくヴァイオリンを担当していたザイオンが前に出てきて、わざとらしく言った。「あら、楽器は丁寧に扱わなくてはダメでしてよ。まあ、楽器職人なのですからご自身で直せるでしょう?」


 ザイオンの言い回しと立ち振る舞いから、楽団員はみな彼女が犯人だとわかった。


 ルイーズとザイオンの所属する楽団は階級ではなく「演奏の腕」と「合奏スキル」を最優先に選考されるので、クラスメイトほどザイオンに皆が賛同する訳ではなかった。貴族思想に染まった人々でさえ、ザイオンがルイーズの名器を壊す理屈は通らないと反対する立場をとる人も少数ながらいた。




 しかし、ザイオンは糾弾されることなく許された。学園の教師たちが穏便に済ませたいとして、ザイオンを庇ってしまったのである。


 楽団はルイーズを擁護する派閥とザイオンをリーダーに立てる派閥に二分したが、ザイオン側が優勢だった。




   *      *




 後日、ルイーズは教室であるクラスメイトにヴァイオリン破壊事件を話した。ザイオンが仕切ってないタイミングを見つけるのは骨が折れたが、ルイーズは彼女に話をする必要性があった。


 ルイーズの話を聞くクラスメイトの名前はシャルロット・クルーガー。3人の主要登場人物で一番遅い紹介となったが、彼女こそが今回紹介する事件の「影の中心人物」であり、数年後には「怪盗淑女シャルロット・クルーガー」として全国に名を馳せる犯罪者である。


 ルイーズがシャルロットに(愚痴以上の必要性で)事件の相談をしたのは、シャルロットがピアニストだからだ。彼女は魔法学園の楽団に参加していなかったが、ピアノの腕前をクラスメイトに聴かせる機会があり、聴いた人は皆「彼女は将来プロのピアニストになるのだろうな」と思うほどの腕前だった。


 シャルロットは言った。「私になにかできることがあると?」


「ある」ルイーズは楽器ケースを抱えて、怒りに震える手を抑えて語った。「もちろん、ザイオンがこの魂のこもった相棒ヴァイオリンを壊したことが許し難い。しかしそれに関してシャルロットに頼める事柄はない。どうにかしてザイオンに弁償させてやりたいが……何も案が思いつかない。ただでさえ許せないのに、あろうことかザイオンは『文化祭での演奏曲』すら盗んだ」


 ルイーズはシャルロットに文化祭の計画書を渡した。いくつか演奏曲目が記されており、協奏曲もあった。曲は『ケトニシュ作曲:ヴァイオリン協奏曲、ヴァイオリンソリスト:ルイーズ・ソング』


 ソリストのところに取り消し線が引かれ、「チェンバロソリスト:ザイオン・ギャロット』と加筆されていた。



「ケトニシュの『ヴァイオリン協奏曲』は後にいくつかの楽器向けに作者本人が楽曲をアレンジしていて、チェンバロもそのひとつ」ルイーズは計画書をビリビリに破って言った。「チェンバロがピアノの先祖なのは知ってるでしょ?」


 シャルロットはこめかみに手を当てて言った。「……たしかにこの協奏曲の逸話は知っている。『ケトニシュはヴァイオリン協奏曲作曲後しばらく経ってからチェンバロの音色に触れ、その音色に感動し後日行われるコンサートにチェンバロの楽曲を組み込みたかった。しかし一から作曲するとコンサートに間に合わないため、ヴァイオリン協奏曲を編曲して制作した』」


 ルイーズは空っぽの楽器ケースを開いた。「ザイオンがこの曲のソリストになるなんて許せない。けどヴァイオリンの修理は間に合わないし……非常に残念ながら、今の私は臨時で用意した楽器で臨機応変に弾きこなせるほどの腕はない。ザイオンはそれを見越してチェンバロで密かに練習し続けた。彼女にとってヴァイオリンは見栄を張る道具で、実際には鍵盤楽器の方がまだ扱えるから。シャルロット、あなたにソロの座を奪還して欲しい。私の変わりを務めるのはあんなクズじゃなくてあなたがいい」


 ルイーズはシャルロットが納得して頷いてくれると思っていた。しかし、シャルロットは難しい顔をしたままだった。


「ルイーズ、あなたはチェンバロとピアノをいっしょくたに『鍵盤楽器』として扱っているけれど」シャルロットは鞄からガサゴソと本を探して、楽器辞典を引っ張り出した。「チェンバロは内部の仕組みが結構ピアノと違う。ピアノはチェンバロの発展系なのは事実だが、発展の理由は『音の強弱を鍵盤楽器で出すため』だ。厳密な話は面倒くさいからしないが、チェンバロとピアノは音の鳴らし方が違う。だから音色が全然違うし演奏技術も違う。ピアノが発展してもチェンバロの音色の良さは死なず復活した理由は、下位互換だからではなく独立した別楽器だから。私にはチェンバロは演奏出来ないよ」


 ルイーズは唇を噛んで、なにか言葉をだそうとしたが、結局首を横に振って教室から駆け出してしまった。


 シャルロットは辞書を片付けながら独りごちた。「……とはいえ、チェンバロは気になってるんだよなー。ザイオンがクズで腹立たしいことは事実だし。私から見ても目に余る。ちょっと『面白いこと』をして灸を据えてやりたいね」




   *      *




 数日後、ザイオンの机に予告状が届いた。


『怪盗淑女Sがこの度ギャロット家のチェンバロを貰い受ける』


 ザイオンが演奏するチェンバロは学園備え付けのものではない。ザイオンが自宅の豪邸から校内に搬入したものだった。


「このような愚かな人間がいるなんて思いませんでしたわ! ルイーズ、あなたの差し金?」ザイオンはルイーズの席までやってきて見下した


「まさか」ルイーズも立ち上がって睨みつける。「お前は色んな人にヘイトを売りすぎだ。だいたい、私が予告状を出して盗んでどうする? よく考えれば、別にチェンバロを盗むことが私の理になるわけでないことはわかるだろう。売ったところで足がつく。私はあなたと違って楽器を愛しているから壊したくもない。そもそも、そんなバカでかい楽器を盗む方法なんて思いつかないね」


 ザイオンとルイーズは直接手が出る喧嘩になりそうだったが、他のクラスメイトたちが何とか止めた。




 この日以来、予告状のせいでザイオン家の召使いが何人も学園を出入りしてチェンバロを警備するようになり、学園教師、生徒を煩わせた。


 また、ザイオンとルイーズの確執に無関心だった「中間層のマナ持ち魔法使い」が「非マナ持ち」共々に召使いたちから監視されるようになった。中間層の魔法使いは怪盗淑女とザイオン両方へ苦言を呈すようになった。




   *      *




 チェンバロ協奏曲お披露目当日になっても、不審者はチェンバロの前にもザイオンの前にも現れなかった。「拍子抜けね。やっぱりルイーズのくだらない嫌がらせだったのかしら」とザイオンは解釈した。




 周りの楽団員や召使いたちも安堵が見え始め、開演30分前になり、事態が急激に動く。


 ザイオン自身が行方不明になったのだ。どこを探しても彼女がいない。




 演奏できる人がいないとして教師たちや楽員が慌ててルイーズへ代わりの演奏依頼を出すが「反吐が出る」といって一蹴された。当然だ。


 定刻を30分すぎても演奏が聴けず。呆れて観客は帰っていく。帰り際、校門への通り道にある別館ホールで、本来演奏されるはずだったチェンバロ協奏曲が文化祭来場者の耳に聴こえてきた。


 聴衆は求めていた演奏が聴けるとわかると別館ホールに続々と集まり、素晴らしい演奏を聴いた。


 少し不思議だったのは楽器演奏者が全員マスクをつけていた(科学世界のベネチアンマスクのようなものだ)ことだが、聴衆はすぐに装束を「まあ文化祭に浮かれた仮装だろう」などと思って演奏に耳を傾けることに入り込んでいった。




   *      *




 約10分の演奏が終わったあと、謎の楽団に対し不法侵入だとして「本来の楽団員」や教師たちが捉えようと壇上に上がった。しかし、なんとチェンバロの前に座っていたのはザイオン本人であり、楽団員はギャロット家お抱えの楽団だった。


 来場者たち帰宅していく中、壇上は困惑が渦巻いた。お互いが顔を見合わせてハテナマークを浮かべていると、ホール入口に息を切らしたもうひとりのザイオンが登場した。「そこにいるのは偽物です!」


 驚いて教師たちはチェンバロの方をみるが、そこにはすでに人影がなかった。




   *      *




 後にギャロット家お抱え管弦楽団員に事情聴取すると、「ずっとザイオン様に従ってチェンバロ協奏曲を用意・披露した」と語った。


 これは一体どういうことだろうか?




 種明かし:


 まず、人間は実際の顔よりパッと見の服装・髪型やメイクに印象が引っ張られる。チェンバロを引いた人間はザイオンに変装したシャルロットだった。


 チェンバロはどうして2台あったか? これはチェンバロの歴史を知ることが必要になる。


 シャルロットがルイーズに語った通り、チェンバロは一度、ピアノにとって変わられた。ピアノが強弱の出せるチェンバロの正当な後継機とみなされ、チェンバロは一度鳴りを潜めた。


 時が経ち、ピアノが「ピアノとして」独自の進化を遂げると、過去のチェンバロの音色と明らかに別物になってしまい、チェンバロの音色を求めた作曲家や、チェンバロ全盛時代の曲の再演のためチェンバロが復活した。


 ここで重要なのが「チェンバロが復活した時、音楽の受容は当時から変容していた」という事実だ。チェンバロ活躍時は貴族の豪邸でそれなりの広さで音が届けばよかったのだが、ピアノと並行してオーケストラが発展する中でどんどん「音を大勢の観衆に届けること」「広いコンサートホールでも耐えうる音量を持っていること」が求められた。それにより、ピアノはどんどん強固に、金属なども骨組みに組み込まれていく。


 チェンバロが復興してしばらくは、ピアノに施された「巨大ホールに耐えうる設計」がチェンバロに流用され、ピアノ以前の古典チェンバロとは別に「モダン・チェンバロ」が使われた。今回の事件でケトニシュが作曲した楽曲も、「モダンチェンバロ」が大前提である。


 しかし、モダンチェンバロと古典チェンバロにも強度以外に、空間の響き方他様々な要因で「音色の差異」が生まれてしまった。古典チェンバロ

時代の音楽を追求する人々は、当時に忠実な古典チェンバロを復興し、それが現代でもチェンバロのスタンダードになった。


 結果……なんという皮肉であろう!

ザイオンがルイーズに「古楽器を改造して現代楽器にするなんて悪趣味な」といったようにオリジナルで忠実にいようとしたのに、「モダンチェンバロ」のために書かれた曲を「モダンチェンバロとして」忠実にしようという観点を彼らは全くもっていなかったのだ。それどころか「モダンチェンバロ」なんて楽器があったことすら忘れて、物置の奥深くに多くのモダンチェンバロが放置されていった。「モダン」と名付けられた楽器が忘れられるというのも、アイロニーを感じずにいられない。




 シャルロットはギャロット家の歴史を調べ、モダンチェンバロが放置されていることを確認した。彼女は本物のザイオンより若干思慮深い人間として振る舞い、変装してギャロット家お抱え楽団員たちに近づいた。「忘れられたモダンチェンバロを用いて、ケトニシュ当時の演奏を再現したいですわ」


 こうして魔法学園の別館ホールにモダンチェンバロを搬入し、演奏してみせたのだ。


 ザイオン本人の足止め方法は眠り薬を飲ませたが、別段、特筆すべきことはなかった。




   *      *




 ザイオンはその後暴れ回った。しかし、偽ザイオンの捜索が積極的に行われることはなかった。チェンバロ演奏会自体僕機会は奪われたが、チェンバロは盗まれることはなかったし、何より大人の関係者たちは「ルイーズのヴァイオリンを破壊したことに目を逸らしていた事」が不都合で、明るみに出て欲しくなかった。事なかれ主義と相まって、偽ザイオン事件は有耶無耶に終わった。


 ルイーズはシャルロットがなにかしたと確信していた。しかし一切シャルロットが口を割らなかったので、ルイーズも言及しないことにした。変に言及を続けてザイオン一派の耳に届いてしまう方が避けるべきことだったので、彼女はシャルロットの黙秘を尊重した。




ザイオンはと言うと、親であるギャロット家当主の「まあ、チェンバロが盗まれることがなくてよかったと思おう」という言葉で、これ以上事件の言及ができなくなってしまった。




   *      *




 あれから数年後……。


 偽ザイオン事件以降、ザイオンはモダン・チェンバロの存在を認知しつつ結局演奏することがなかったのだが、ギャロット家にある来客が来たことで再びモダン・チェンバロが日の目を浴びた。


 80歳を越え老年を迎えたケトニシュ本人が、ギャロット家に来訪した。「儂の演奏がモダンチェンバロによって再現されたと、魔法学園アートマジック・ガーデンの記録に残っておった。儂は今年この学園の教師になったので、是非ともモダンチェンバロでの演奏を再び聞きたいと思っていたのじゃが、学校備え付けではなく個人所有というじゃあないか。なので、こうして赴いてみたわけじゃ」


 ザイオンは偽物の演奏だったので苦い顔をしたが、ギャロット家当主は大作曲家の来訪に大喜びで、なんと無償でモダン・チェンバロを譲ってしまった。




 後日新聞記事にケトニシュの記事が掲載された。ギャロット家のことが記載されていると期待して文面を読んだが、内容は予想外だった。


 まず、紙面添付の画像が2枚あり、1枚には双子かと思うような2人の老人が写っていた。付随説明には『ケトニシュと弟子のシャルロット。シャルロットによるケトニシュのコスプレがあまりに本人すぎてご満悦の大作曲家』と付されていた。


 もう1枚の写真は銀髪にゴスロリ衣装を見にまとい、オペラ座の怪人のように顔半分にマスクを被ったシャルロット・クルーガーの写真。付随説明は『ケトニシュの新作で怪人役を演じるシャルロット』


 ニュース本文は以下のような書き出しであった。


『ケトニシュ氏の新作オペラではかつての楽曲でも使用したモダンチェンバロを再びフィーチャーしている。奏者に選ばれたのはシャルロット・クルーガー。彼女は変装の達人であり、その趣味をケトニシュも多いに楽しんでいた。約60歳差の2人はいたずら心という点で意気投合し、時々要人に会う際ケトニシュに扮したシャルロットが自らの招待を明かさず会合し、その様子を遠巻きにケトニシュが伺い面白がるという《遊び》を行っているという……(中略)……シャルロット・クルーガー氏は発言した。《モダン・チェンバロが大好きです。このような素晴らしい楽器を物置の肥やしにせず使わせて頂けたギャロット家に感謝します。私が初めて弾いたモダンチェンバロがまさにギャロット家のチェンバロなのです》』


 ケトニシュ氏はこの公演の1年後に亡くなるが、亡くなったあとの遺産整理で「本来ケトニシュの所有でないはずの膨大な美術品や宝石類」が見つかった。大規模な捜査が行われる中、シャルロット・クルーガーが公式声明をだした。『ケトニシュ氏がそうだったように、自身も芸術業と《怪盗》業の2足のわらじで活動をしていく』という内容だった。

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