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塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第三章・執着の恐怖を打ち払いたい。
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第89話 嫉妬で叱ってお詫びしたよ。

胸クソ展開あり(当社比)

 その日の夜、(あおい)ちゃんの半裸にデレデレとなった(あき)君を叱った。


「私という彼女が居ながら、あの反応は何なの!」

「あ、あれは……」

「私の身体はそんなに魅力が無いって言いたいの?」

「い、いえ……」

「何? 何か言いたい事があるなら言いなさいよ!」

「べ、弁解の余地もございません!」


 それもあって海岸では罰と称してずっと海を見せ続けた。

 流石に昼食時は料理番があったので一時的に止めさせた。

 食後は再度、海を見せ続けた。

 私の行う罰に(あおい)ちゃんが心配していたが(あおい)ちゃんも悪いんだよね。

 小柄な身体に危険物を仕込んでいたから。

 (あき)君がショットガンと発した瞬間、その意味を悟ったよ。

 普段の寸胴から飛び出てきた魅惑的な体型に。


「本当は一緒のお風呂と思ったけど、流石に今日は無理かも」

「え?」

「私は魅力が無いんだよね。だったらもう見せられないよ」

「嘘だろ」


 今日ほどイラッとした日はないね。

 見知った人物の半裸だから余計にそう思う。

 (あき)君は絶望したように目を見開いているが、知ったことではない。

 それくらい今日の(あき)君の行動は許せなかったのだ。

 すると私のスマホに通知が入る。


「少し、待ってね」

「うっす」


 (あき)君は床に正座したまま頭を下げた。

 土下座ではないが反省していますの体だろうね。

 そんな格好だけで私の怒りは収まらないけどね。

 私は苛立ちを抱えたままスマホの通知欄に目を通す。

 そこにあったのは、


「え?」


 何度も何度も目を擦りたくなる文面だった。


「う、嘘、でしょ? ま、待って! いや、それだけは止めてよぉ!」


 途端に怒りが消えて身体の芯から寒気がした。

 涙が目元に溜まり画面が見えなくなってきた。

 涙を拭って続きを読むも頭に入ってこない。

 それだけ、辛い文面が書かれてあったのだ。


(もしかして、私が嫉妬したから? (あき)君を叱りつけたから?)


 私が嫉妬して一日中、罰を与えたから?


「だ、だとしても、これは……。私、そんなに酷い事をしていたの?」


 すると取り乱している私に気づいた(あき)君が立ち上がり支えてくれた。


「どうかしたのか? 急に涙を流して?」

「うぅ……ごめん、ごめんなさい! (あき)君、本当に、ごめん!」

「は? 言っている意味が分からないぞ?」

「ごめんなさい、私が嫉妬して、叱って、ごめんなさい!」

「いや、今回は俺が悪いのだし、(さき)が謝るのは筋違いだろ?」

「でもでも! これを見たら、いやだよぉ。離れたくないよぉ……」


 もうね、考えたくないの。

 それだけは止めてほしい気持ちで一杯だった。


「さっき言った事は全部取り消すから許してよぉ!」

「い、一体、何を見たんだよ……ん?」


 (あき)君は私のスマホを手に取り、中身を見ていく。

 その表情は真剣そのもので、怒りが滲み出ているようだった。

 涙で目元が滲んでいるから、そう見えただけだと思うけど。


「おいおいおいおい! これは聞いていないぞ!」


 (あき)君は怒鳴り、私のスマホをベッドに投げつける。

 スーツケースに片付けておいた自身のスマホを手に取って電話を始めた。


「おいこら! 親父、あのメッセージは何だ? とぼけんな!」


 過去に例を見ない激怒。

 私は涙を拭って状況を注視する。


「は? 知らない? 親父達も俺から? 先方に問い合わせてくれ。頼んだぞ」


 (あき)君はそう言って電話を切った。

 この時の私は先ほど叱られていた時と違い、


「どういう事だよ。急に婚約保留とか? 爺さまに……関係が拗れるか」


 今の(あき)君が恐ろしく思えた。

 ブツブツと思案しつつ部屋中をグルグル歩き回る。

 まるで私の事など眼中に無いって素振りだった。

 眼中になくても頭の中はメッセージの内容だった。


(あき)君もお義父さん達も知らないこと? 一体、何が起きているの?)


 私と(あき)君の婚約を保留する。

 状況次第では婚約を解消する。

 保留の間は互いの肉体接触を禁ずと書かれていた。


(酷いよ、これ)


 メッセージを送ってきたのはお爺さま。

 連名で現当主の名が書かれていた。

 一体、何が起きているのか私は理解出来なかった。



 §



 その日の夜は全然眠れなかった。

 (あき)君は同じベッドに寝ず、ソファで寝た。

 私が怒っていると思っている訳ではなく保留の文面に書かれていた事を実行しているだけだった。

 触れるだけで解消されるのだ。

 それだけは避けたかったらしい。

 私は私で辛いんだけどね。

 叱った時は触れて欲しく無かったのに自分勝手だよ。


(何が起きているの。どうしてこんな事になっているの?)


 私はダブルベッドから天井を見上げ悶々とした。

 時に涙が流れ出るが拭う気力すら無くなった。

 すると(あき)君のスマホがブルブル震える。

 (あき)君はゴソゴソと起き上がりスマホを手に取る。


「チッ。馬鹿げている。そんなの調べれば一目瞭然じゃないか! 頭に血が上った爺は困りものだな。それと、これは爺さまに通報しておくか」


 手に取ってとんでもない言葉を呟いた。


(それって白木(しらき)切りじゃ?)


 私はあまりの言葉に布団から飛び起きた。


「ま、待って! それしたら本当に!?」


 本当に解消されてしまう。

 その言葉が出る前に(あき)君が続きを語った。


「待て待て! 爺さまに通報するのは白木(しらき)爺の行動じゃない!」

「はい?」


 様付けしなくなったのは怒りの所為だと思うけど。

 私は何を言っているのか理解出来なかった。


「マンションの警備システムを最大警戒にしてくれって事だ」

「そ、それって?」

「親父達が伝手を使って調査してくれた。優木(ゆうき)動いた(・・・)んだが、俺達の家が特定された。校内のゴミ共が要らん情報を与えたみたいだな。さっさと見つけて掃討しないと」

「ど、どういう事?」


 家が特定された事にも驚きだけど。


「不法侵入して家の中身をごっそり奪う気だ。運送会社も手配済み。夜中に侵入する気で居るみたいだな。留守中を狙うなんて、コソ泥そのものじゃねーか」

「だ、だから最大に?」

「ああ。エレベーターは最上階から降りてこない。耐火仕様のシャッターが降りる。ガラスの内側に防弾ガラスが現れる。その他諸々の機能が全有効化されるんだと」

「そんな警備システムが建物にあったの?」

「あるらしい。非常階段は一時的に消火用の二酸化炭素で満たされるしな」

「開けたら呼吸困難になるんじゃ?」

「消防隊員並のボンベを背負っていたら話は変わる」

「知らないと無理でしょ。そんなの」

「管理人室も同様にシャッターで閉鎖される」

「手も足も出ないでしょ。それ」

「背後に居る奴が何とかするだろ。それもあって最大警戒を要請したんだ」

「もう、侵入して、いるの?」

「いや、今日の深夜、突撃されるようだ」

「まだ、なのね」


 これを知ると通報は必須だね。

 (あき)君はお任せと言わんばかりに続きを語る。


「今回の騒ぎは優木(ゆうき)が金の流れから暴いたんだ。我起(わだち)言祝(ことほぎ)の不可解な行動の全てをな。あいつらは白木(しらき)潰しを行うつもりだ。手始めに各家へ潜入して托卵を大量に拵えていた。経営者が無能だらけになれば倒産は時間の問題だから」


 托卵は知っていたけど私達の生まれる前から問題二家が動いていた結果と。

 元々は別々で動いていて目的が同じと判明して合同で動くようになったと。


「次いで俺達の関係破壊を目論んだ。俺の噂や報復はその方針に陽希(ようき)兄弟の思惑が絡んだだけと思ったが、陽希(ようき)兄弟も捨て駒だった」

「え?」

我起(わだち)の長男。奴等の義父が親玉だ」


 詳しく事情を聞けば、かなり前から紗江(さえ)さんが旦那さんと言祝(ことほぎ)家について調べていたらしい。

 その家は数代前の白木(しらき)家当主に恨みを持っていて、代を重ねる毎に憎悪を燃やしていった逆恨み一族だった。


「本物の逆恨みじゃないの、それ!」

「取引中止の原因は偽物を掴ませたからだ。白木(しらき)の損害は相当だったらしいぞ。盛り返したのはライバルだった凪倉(なくら)が手助けに入ったからだ」

「元々同業だったんだ」

「俺も今、知ったがな」


 そこに凪倉(なくら)に対して一方的な劣等感を持つ我起(わだち)が絡んできた。


「顔役なのに?」

「それは凪倉(なくら)が顔役から撤退したから得られた地位だ」

「それは相当、劣等感を煽るね?」

「煽るだろうな。昔の事だから爺さまも知らないだろうが」

「そんな過去の事でいちいち突っかかるって何なの?」

「自分達の矜恃が大切な家なんだろうな、きっと」


 (あき)君へのあれこれもその一環だったと。

 凪倉(なくら)の長男の息子で実質的な後継者でもあるから。


「俺は継げとも言われてないぞ」

「今はまだお義父さんが存命だからね」

「それでも似たような仕事をさせると思おうが?」

「確かに」


 それであっても陽希(ようき)のバカは母親から見捨てられた本物で家の事など知るかと言って離婚した父親に付いていった。

 結果的に母親に引き取られたけれど。


陽希(ようき)のバカ兄弟は言祝(ことほぎ)家の逆恨みの結晶が集まった外道中の外道なんだけどな。その外道共が可愛く思えるくらい面倒な輩らしい」

「とんでもない輩に目を付けられたね。私達」

「本当にそう思う」


 最後は本題の保留に話題が移行した。


陽希(ようき)兄が、この街に現れた理由はな」


 私の従姉、現当主の末娘が近隣の大学院に通っているそうだ。


「滅多に帰らない研究肌の喪女らしい」

「え? 私、面識、無いんだけど?」

「帰省は年に一回らしいぞ。これを調査したのは叔父だが」

「叔父? あ、紗江(さえ)さんの!」

「探偵は侮れないって思ったな」


 保留に至った原因はアホじゃんって言いたくなる内容だった。


「お爺さま……もう爺でいいや」

「言いたくなるよな。アホらしくて」

「時間! 調べたら分かるじゃん! バカじゃないの? 伯父のバカ!」

「大体、交流会に参加している俺が、どうやってこの街に現れるんだよ?」


 交流会に参加して御令息と呼ばれている時間帯に溺れた従姉を救ったそうだ。

 海に飛び込んで人工呼吸まで実施した。

 そんなのどんな喪女でも惚れるよね?

 その時に名乗ったのが(あき)君のフルネームだった。


「ところがだ、実は目撃情報があるんだよ」

「目撃情報?」

「沿岸で喪女を海に突き飛ばしたらしいぞ。そいつが!」

「うへぇ。殺人未遂じゃん」


 それを知らない従姉は惚れてしまい待ったをかけて爺が怒って以下略と。


「浮気していないのに、したと思われた俺。いや、分かるけど。孫にも叱られたし」

「ご、ごめんなさい!」




(さき)のヤンデレぱない(´・ω・`)


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