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塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第三章・執着の恐怖を打ち払いたい。
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第69話 大丈夫と思っていたのにね。

 その日の放課後。


「この部室からの強制退去を命じる!」

「そ、そんな、横暴な!」

「横暴もクソもないよ。自分達の行いを反省してから言うんだね」

「行いもなにも、やっていないでしょ!」

「そう思うのは君たち部員だけですよ」

「胸に手を当てて思い出せよ。段ボールはこの辺に置いておくか」

「室内を検めるから隠す真似は止めておきなさい」

「そこ、邪魔」

「ひぃ」


 私達は新聞部の強制廃部に乗り出した。

 普段は身に着けない腕章を左腕に着け、(あき)君が没収品を入れる段ボール箱を持ちながら。

 会長と副会長は室内を検めつつパソコンを立ち上げていた。


「新聞部って何気に男子が多い?」

「それよりも女子が居ない事が不可解だ。ゴシップ記事の時点では何人か居ただろ」

「「確かに」」

「おそらく何らかの内部問題が起きたのでしょうね」

「開きました」


 一応、パスワード等が加わっていたが、そこは(あき)君手製のプログラムが役に立った。

 パソコンに挿して直ぐ解除されてしまったから。


「なん、だと……パスワードを解除するツールとか」

「い、違法だ! こんなの許される訳がない!」


 何か騒いでいるけど(あき)君が画面を覗き込むと、


「会長。共有ソフトが入っています。他にも違法品が」

「「あっ!」」


 顔面蒼白でそっぽを向いた。

 おいこら、こっち見ろ。


「これは由々しき事態だね」

「学校のパソコンに違法品を入れるなんて!」

「最低」


 自分達の行いが違法なのに自分達の身を守る時だけ叫ぶって何なのだろう?


「このフォルダの中身を見て」

「了解」

「こちらにもパスワードか」

「三回以上失敗すると削除される設定?」

凪倉(なくら)君、解除出来る?」

「お任せ下さい」


 (あき)君は副会長と交代し、パソコンの前に座る。


「へっ。解除なんて出来る訳がない」


 捨て台詞めいた一言を元部長が吐いているが驚愕するといいよ。


「ではいきます」


 (あき)君は黒い画面を立ち上げて凄い速度で打ち込んだ。

 (あき)君の手許を見た部員達は茫然自失。

 そんな物があったのかと言いたげな表情だ。


「パソコンに何を入れやがった!」

「そのメモリーから入れただろ!」

「アホか。これは元々入っているコマンドプロンプトだ」

「「はぁ?」」

「理解していないみたいですね」

「これだから文系は……って私も文系だわ」

「会長は別物ですって」


 画面を消した(あき)君は何事もなかったようにフォルダをクリックした。


「「フォルダが開いただとぉ!?」」

「パスワード設定を削除しただけだ」

「「!?」」

「ログイン時はこれを使ったからな。こういう時は削除が無難だよ」


 パスワードを調べてどうこうするより元から設定を削除したと。

 中身を開くと膨大な量の画像が存在していた。

 (あき)君は一覧表示して顔をしかめる。


「さて、中身は……これは真下からの撮影? 側溝からの構図か?」


 画像は女子のスカートの中だった。

 奴以外にも盗撮犯が複数居たみたいだね。

 女子部員が居ない理由はこれにあるのかも。


「溝に入って撮影とか変態ですね。死ねばいいのに」


 女子が多い生徒会相手にこれは悪手だね。


「「最低」」

「「ひぃ」」


 会長達も凍えるような視線を向けていた。


「お、これか。せめてモザイクかけろよ、変態共が!」


 今回は物が物だけに会長も私も閲覧を許可している。


(これは帰ったら、私も見せて……記憶の上書きだね)


 子供の頃はともかくまだ見せたことはないけれど。

 昼間も事故っただけで、見られてはいないからね。

 (あき)君は画像の詳細を開いて確認しているが、


「これはたまたま写ったって感じですね」

「これは早急に場所の特定が必要かもね」

「ですね。見つけ次第、穴埋めしないと」

「それなりの明るさを確保出来ている点でも」


 私達は私達で別の対応を考えていた。

 このままだと女子の被害者が溢れかえるから。

 すると(あき)君が画像を拡大して私達に示した。


「いや、これはレタッチしているだけだな」

「「「「レタッチ?」」」」

「元はかなり暗い画像のはずだ。若干、粗い」


 そのうえで周囲の建物から場所を特定した。


「奥に小さいですが骨格標本が見えますね。標本が見える位置でそこそこの明るさを確保出来る場所は……中庭ですね」

「「「「!!?」」」」


 え? な、中庭?


「中庭って、私達もそこを通ったよね?」

「ああ、通った……な」

「どうかした? あ、このキャミソール……見覚えが」


 嘘でしょ?

 上書きする予定がこういう形で示してしまうなんて。


「お、お前等……」


 (あき)君は怒り心頭な様子で振り返る。

 流石の私も恥ずかしさと共に怒りが湧き上がってきたよ。


「「殺す!」」


 過去最高の低い声が出てしまった件。

 (あき)君に見られるならまだいい。

 だが、こいつらが(あき)君よりも前に見た事が何よりも許せなかった。


「「ひぃ!」」

(さき)さんも被害者でしたか」

李香(りか)だけでなく(さき)さんまで穿き忘れているなんて」

「同じように短パンを穿いている理由はそれと」

「無駄毛の処理が上手いですね」


 副会長は私の何処を見ているのかな!?

 この一言を聞いた時点で怒りが吹っ飛んだよ。

 すると(あき)君が、


「目には目を、歯には歯を」


 ブツブツと呟きつつ鞄から大瓶を取り出した。

 大瓶を開いて廊下に逃げようとしていた元部長達へとぶっかけた。


「お前等は社会的に死んでこい!」


 その様子を見た会長はそれが何か気づいた。


凪倉(なくら)君、それはまさか!?」

「製品です。効果は折り紙付きの」


 そう言った直後、逃げている元部長達はみるみるうちに素肌を晒していった。


「あ、(あき)君、あれ、なに?」

「見られる者の羞恥を理解させてやった」


 逃げれば逃げるほどボロボロになる制服。

 下着も消え、可愛らしい何かがポロンと見えた。

 逃げている当人達は気づいてすらいない。

 直後、女子の悲鳴が各所で発生した。


「元々が変態でしたし本物になっただけですね」

「と、とりあえず、没収していこうか」

「ですね。パソコンの中身はどうします?」

「削除一択!」


 そんな代物を残してネットに晒された日には恥ずか死してしまう。

 私の願いを聞き届けた(あき)君はネットワークから隔離したあと、ファイル共有ソフトを優先して削除していく。

 その他違法品も含めて全て消していった。

 最後は画像に何らかの処理を施して削除を実行した。


「暗号化からの削除っと」

凪倉(なくら)君。それはまさか復元が出来ないように?」

「ええ。これらのメディアは消えたように見えて中身は残っていますからね。復元ソフトを走らせて回収された日には、奴等を本格的に殺さなければならないので」


 本物の犯罪者にはなりたくないと言ってパソコンそのものを初期化していった。

 没収した品々には売りつける予定だった写真もあった。

 その中には私の写真も含まれていた。


「印刷済みの写真は……全て燃やすか」

「私の写真は一枚だけ確保していいよ」

「い、いいのかよ?」

(あき)君だけならいいよ」


 いつか本物を見せるけど今はまだ恥ずかしいし。

 なんて思っていたら、


「どうせなら本物を見せればいいのに」

「この二人、まだそんな事を?」

「ですが、初々しいですね」


 経験者達がジト目を向けてきた。

 (あおい)ちゃんは懐かしそうな表情だったけど。

 私達には私達のペース配分があるからね。

 他人にとやかく言われる筋合いなどないのだ。

 (あき)君は自分の鞄に写真を片付けた。


李香(りか)(さき)に置き換わっただけいいか」

「そ、そうだね」


 李香(りか)ちゃんが蘇ったら上書きするつもりなのかも。

 そう考えると私って結構、愛されているよね、うん。

 新聞部の没収は各種カメラにまで及んだ。

 これらの品は写真部に移譲する事になっている。


「写真部が喜びそうな品々だよな。これなんて簡単には手に入らないぞ」

「部費でここまでの品って買えるものなんですか?」


 数人で抱えないと持てないレンズとかね。


「何年間か蓄えてから買ったのかもね」

「なるほど部内で貯蓄して購入したと」


 ちなみに、今回の廃部は顧問にも通知を出している。

 顧問は信じられない様子だったが、後ほど提出する報告書で知る事になるだろう。

 新聞部改め盗撮部の全容をね。

 すると(あき)君がおどおどする男子部員を一瞥しつつ会長に問う。


「ところで男子部員の私物は調べなくていいので?」

「私物……そうね。もし、所持しているなら全て提出しなさい」


 会長も思い至ったのか睨みつけながら命じた。

 ビクッと反応する男子部員。


「「「……」」」


 私も冷ややかに睨んだ。


「今すぐ、出して」

「「「は、はい!」」」


 私が発した途端、バタバタと私物を段ボール箱に落とす部員。

 その私物は私だけでなく他の女子の盗撮写真もあった。


「この下着は雲母(きらら)ね」

「チビ先輩の、大人パンツ?」

雲母(きらら)の中身は大人だからね。(さき)さんよりも」


 それって未経験的な意味で言ってるよね?


「チビ先輩まで経験者?」

「相手は犯罪者か何かか」

雲母(きらら)は十分、合法よ!」

「見た目はあんなですけどね」

「体型で言えば(なごみ)ちゃんと大差ないからね?」

「なんでそこで妹が出るんですか!」


 私達の会話を聞いた部員達は何故か四つん這いで泣いていたけどね。


「嘘だろう! せ、先輩が」

「ちゅ、中古だったなんて」

「信じられない……」


 ここにも変態が居たなんて。


「こいつら、早くなんとかしないと」

「廃部を決定して正解だったわね」

「犯罪者の巣窟でしたもんね」

「女子部員が居ない理由はこれと」

「被害者が居たのかもね、きっと」

「削除するしないで揉めて、ですか」


 本当にとんでもない部活が残っているよね。

 こうして没収品の片付けを済ませた私達は部室から退出した。

 (あき)君は用意していた鍵を交換して入れないようにした。


「これでマスターキーを使われても入れなくなったな」

「複製の複製が存在するかもしれないもんね」

「更衣室にも入られていたから存在するのは確かね」

「度し難いですね」

「側溝の穴埋めも必須ですが」


 それもあったね。

 私達は没収品を生徒会室の倉庫に片付けたのち中庭に向かう。


「構図的にはここら辺か?」

「多分、そうかも」

「人一人、入れそうな溝ですよね?」

「可能性として出入りが常時可能な場所よね」

「汚れても問題ない場所か」


 だが、いくら探せど見つからないのだけど?




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