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塩対応のクラス委員長が俺の嫁になるらしい。  作者: 白ゐ眠子
第三章・執着の恐怖を打ち払いたい。
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第61話 新生活は波瀾万丈だと思う。

 (さき)との同棲を始めて二週間が過ぎた。

 当初は寝起きの(さき)との遭遇が起きるかと思ったが、(さき)自身も意識していたからか、俺が想定していたエロい遭遇は一切起きなかった。


(あくまで俺が想定していたエロい遭遇だが)


 彼シャツの一件ではツッコミを入れたが、(さき)は天然か計算か分からないが、俺の想定を上回るアクションを連日のように起こしてきた。


(ノーブラは見慣れたからいいが、シャツ越しの透けパンツは厳しいな)


 まるで俺の理性の閾値を調べるような素振りだ。

 普段は制服をきっちり着こなしている(さき)


(家の中では会長が言うようなユルユルだったな)


 一瞬、飲兵衛を見ているかのような錯覚に陥ったが、これは俺だけに示す本来の姿なのだろう。

 普段との差違で二度美味しいと思うようにすると、色々捗った。


「お風呂、お先〜」

「ほいほい。朝飯の用意は出来ているから先に食べていてくれ」

「分かった。ところで今日のお弁当は?」

「準備出来ているよ。(さき)の好物を多めに入れておいた」

「ありがとう!」


 毎朝の日課では朝風呂の順番を決めて入り、トイレは俺が空気を読んで時間を置いて入るようにした。

 (さき)も女の子なので、そういう点では敏感だしな。

 それ以外だと(さき)のアクションが多発するくらいで大した変化はない。


(無意識の正面パンチラだけは目を逸らすしかないが)


 後は精々、俺の御子息を(さき)に見られた事故があったくらいだ。


(あれなんて不可抗力と思うしかないよな)


 (さき)の前に風呂に入って(さき)と交代する段になって、穿いていたパンツのゴムが切れた。

 屈んで胸元を晒していた(さき)の目の前にドーン!


(あの時はパンイチで交代しようとしたのが間違いだったな)


 目を丸くした(さき)が真っ赤な顔で固まったのは記憶に新しい。

 副会長ではないがボロボロになったら買い換えようと誓った俺だった。


(幸い、通常時だった事が救いか……?)


 それはそれでどうなんだって話なのだが。

 それからはキッチリ着替えて交代するようになった。

 ただな、(さき)が先に風呂へと入った時は必ずあるんだよな。

 篭の中に汗で濡れた下着が。

 クラッとする好みの匂いを発する下着がな。

 (さき)の洗濯は夜に行うそうで、


「目の毒と捉えるか、眼福と捉えるか?」


 毎回見せられると閾値を調査しているように思えるな。

 俺の彼女であり、婚約者であり、将来の嫁でもある(さき)

 本人は気にしていないだろうが、健全な男子高校生にとっては気まずい以外の何ものでもなかった。


(さき)の身体を拭ったバスタオルで隠しておくか」


 これが後に……故意による犯行だと報される事になるのだが。


「さて、風呂に入って登校だな」


 本日は期末試験の結果が張り出される日だ。

 (さき)の一位継続か俺の最下位転落がはっきり分かる日でもある。

 いや、最下位転落は有り得ないか。

 今回は本気で試験に臨んだから。

 俺はシャワーを浴びたのち汗を流して制服に着替える。

 髭を剃って歯を磨いて(さき)の待つリビングに向かった。


「お待たせ」

「じゃ、学校に行こうか」

「そうだな」


 俺は鞄を背負い、(さき)は隣を歩く。

 リビングの灯りを消してブラインドを下げていく。

 玄関に座って靴を履いていると、


「ところで私の下着、見てくれた?」


 隣で待っていた(さき)が笑顔で宣った。

 俺は驚きながら視線を右上に向けた。


「おい。あれは確信犯か?」

「見てくれたんだね。良かった!」

「わざとか? あれはわざとだったのか?」

「うん。わざとだよ!」


 (さき)はそう言ってスカートをピラピラ捲る。

 幸い、下に穿いているのはスパッツだった。


「何故そんな事を?」

「今年の夏、一歩でも先に進められたらいいなって意思表示」

「つ、つまり……」

「ふふっ。私はいつでもウエルカムだよ!」


 笑顔の(さき)はスカートの正面を捲って晒した。

 パンツの線が薄らと見える、スパッツを俺に向けてな。

 これはいつまでもヘタレている場合ではないって事か。


「ああ。(さき)に愛想を尽かされる前に動かないと詰むのは必定と」

「何を言っているの? 私が(あき)君に愛想を尽かす事は絶対に無いよ?」

「マジで?」

「私の愛情はマリアナ海溝よりも深いからね!」


 そ、それは深すぎる。

 あと重い想いでもある。

 (さき)の尻に押しつぶされないよう気を引き締めないと。

 俺と(さき)が玄関を出ると会長が居た。


「「おはようございます」」

「おはよう。今日も仲良く登校なのね」

「一応でも同居していますから」

(あき)君、そこは同棲!」

「二人は婚約しているのだし、私はとやかく言わないよ」


 ちなみに、俺達の同棲は会長には直ぐバレた。

 会長は隣人だから仕方ない部分でもあるがな。

 同じく生徒会の面々にもバレた。

 但し、顧問の市来(しらい)先生は除く。

 市河(いちかわ)さんなんて羨ましがっていた。

 (あかり)と住みたいと思っていても妹が居るからな。

 妹にも交際を明かしてはいるが婚約は秘したままだから。

 俺達と会長は階下に降りるエレベーターを待った。


「とやかく言うのは学校の野郎共だけですけどね」

「彼等は仕方がない。彼等にとって夢みたいな生活をしているからね」

「それを聞くと好感度を毎回下げる男子達では叶えられない夢ですね」


 話題は何故か俺達の同棲と、バレた時の対処法だった。


「だからこそ夢みたいな生活を叶えている凪倉(なくら)君が許せないのだろう」

「私はそんな男子達が許せませんけどね!」

「暴力沙汰を避けてくれるなら好きなだけ詰ったらいいよ」

(さき)がするのは蹴りから始まる壁ドンですけどね」


 いつぞやのように足をドンッと壁面に押し付けてな。

 見下すように睨んで怯えさせていたっけ。


「それってスカートの中身が丸見えになるんじゃ?」

「スパッツを穿いているので大丈夫です!」

「それはそれで」

「怒った時は羞恥なんて吹っ飛びますから!」

「それを言われると何故か納得出来てしまうね」


 これには会長も経験があるのかね?

 どのような痴態を演じたのか気になるが、世の中には知らない方がいい事もあるので聞かなかった事にした俺だった。

 エレベーターが到着し、降りる間に数回に渡って女性が乗り込んでくる。

 俺は(さき)と会長の背後に控えていたので気づかれる事はなかった。


「大丈夫、重くない?」

「重くない」


 その時の格好は空気椅子の状態で壁に背中を押し付けて隠れていた。

 そんな俺の膝に(さき)が座った。

 (さき)の尻の感触を味わう事にはなったが、


(毎朝、ヒヤヒヤなのはどうにかしたいところだな)


 女性専用区画に住まう女性陣にバレるよりはマシだった。

 一階に降りて化粧の匂いから解放された俺達はエントランスに向かう。

 会長は途中で降りて副会長と市河(いちかわ)さんを呼びに向かったがな。

 三人が出てくるまで外で待っていた俺達はエレベーターでの一件を思い出す。


「ファミリー区画の新婚さんが早朝から出勤している原因はこれだよね?」

「だな。俺達のジョギング時間に出勤しないと出くわすからな。男嫌いに」


 女性専用区画には何故か男嫌いが多い。

 住んでいる女性達の全てがそうかと言われると違うけど。

 主に防犯的な意味合いで住んでいる女性も居るからな。

 だが、三階以上になると無駄に居るんだよ、男嫌いが。

 二階と三階は学生が多いのでそこまでではない。

 九階から十四階、最上階はともかく、四階から八階は男嫌いの巣窟だ。

 チラシでも女性専用を謳っている部分は小さい文字だったりする。

 それなのに専用の文字を大きく捉え、契約する女性が多いのだ。


「いっそのこと女性専用を止めたらいいのにな」

「分譲された人達が可哀想だもんね。出くわしたら痴漢だなんだって騒ぐし」

「数ヶ月前の(さき)みたいにな」

「そ、それは……ごめんなさい!」

「これは例えで言った事だよ。気にすんな」

「うぅ」


 俺は(さき)の頭を撫でながら慰めた。


「はいはい。今は俺の大事な彼女だろ」

「うん。愛してるよ、(あき)君」

「俺も(さき)を愛しているよ」


 その間も住人達が出勤していくので影に隠れてやり過ごした。

 中にはウチの担任とか生徒会顧問も居たりする。

 それを知っているがため、学校の手続きはしばらく保留だ。


「先生方を見ると女性専用というより」

「だな。独身寮に思えてならないわ」


 例の問題児こと飲兵衛の天敵も男嫌いの気がある。

 今は窓際の仕事に追いやられているので出勤時間はかなり遅いらしい。

 すると管理人室から精悍な顔付きの男性が出てきた。


「おい、あれ?」

「あ、あれが、例の」


 飲兵衛の元旦那。

 否、現旦那という事か。


「今日は仕事か?」

「そうかもね。あ、子供も!」

「これから幼稚園に連れて行くと」


 子供は飲兵衛に似ている可愛らしい女の子だった。

 俺からすると母方の従妹にあたるのか。


「格好から察するにそのまま仕事かな」

「だろうな。探偵に見えない容姿だが」


 一見するとホストかと思えるよな。

 だが、夜の仕事なら朝から出勤するのはおかしいもんな。


「分かった事は飲兵衛は面食いだって事だな」

「笑顔も優しそうだし、良いお父さんかもね」

「亡くなった母親が毒親だっただけで、な」

「うん。反面教師にしたのかもね、きっと」

 

 俺も将来、こんな生活をするのかもな。

 (さき)と子供を作って……。


「最初は男の子がいいよね」

「そうだな。女の子なら嫁にやらんが」

「それだとパパ臭いって言われるよ?」

「ぐっ。さ、(さき)はお義父さんに言ったのか?」

「ノーコメント」

「ああ、言ったのか」

「ノーコメント」

「お義父さんといい酒が飲めそうだ。下戸だけど」

「もう!」


 まだ肉体関係には至っていないのだが、夢を見るくらいはしていいよな。

 しばらくすると会長達も出てきた。

 市河(いちかわ)さんは妹を連れていた。


「お待たせ。(あおい)ちゃんがボロボロだったから時間がかかったよ」


 会長はそう言いつつ市河(いちかわ)さんを一瞥する。


「「ボロボロ?」」


 パッと見、普段と変化はないな。

 俺達の問いに答えたのは妹だった。


「姉さん、重いので」

「「あ、そういう」」

「……」


 じろりと睨んだが、あれは我慢中の顔と。

 普段なら元気よくツッコミが入るもんな。

 (さき)も乱れる事はあったが、重い時との差があって今回は軽いらしい。

 (さき)に関しては精神的なストレスもありそうだがな。


「それこそ(あかり)に慰めてもらえば」

「先輩。それは今、禁句です」

「「マ?」」




一体、何があったんだ(´・ω・`)?

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