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7話 魔王再び!

 ―――王都から遠く離れた森……のさらに奥深くにて……


「まったくギルバートときたら、私という者がありながらよくもあんな女とぬけぬけと……絶対に許せないわ!!」


 狩猟用の槍を片手に、一人森をさ迷い怨み節を吐き続けるアディア。彼女は三ヶ月前に開かれたパーティーにて、かつての恋人から強烈な裏切りを受けた挙げ句に城から逃亡して以降、人知れずにこの森のなかで暮らしていた。


 まぁ幸いにも、この森は彼女にとって修行時代を過ごしていた思い出の場所。それなりに馴染が深いため、生活自体にはそこまでの苦を感じてないが……


「あ~もぉ! 思い出す度に腹が立つわね!!」


 自分を陥れた相手への憤りだけは、どうにもならなかった。


「あーくそ! あーくそ!」


 機嫌悪く槍を振り回して周囲の草木にヤツ当たりをする彼女。やがて少し落ち着きを取り戻したのか……


 グゥ~!

「……お腹、空いたわね。気晴らしに狩りでもしようかな」


 空腹と不満を解消するために食料の調達へ。


 ―――数十分後。首尾よく手頃な大きさの野兎を捕らえたアディアは、満足して帰路に着いていた。


「今日はまずまずの成果ね。あとはその辺りから適当に山菜でも摘んで……あれ? あの子供は……」


 帰路の途中で出会ったのは、行く手を阻むように立っていた五、六歳くらいの男の子。サイズ的に不釣り合いな黒いマントで身を包み、頭には妙なアクセサリーを飾っていた。


「こんな場所で迷子かな?」


 不審に思いながらも声をかけようした時!


「嫌な偶然だな。こんな場所で貴様のような人間と再会するとは」

「え? 再会?」


 先に声をかけられたことよりも、“再会”という言葉に驚くアディア。確かに言われた通りで、男の子とは初めて出会った印象を受けない気がするが……何故か思い出せない。


「ねぇ、キミの名前は? 私とはいつどこで会ったのかな?」


 取り敢えず情報を得るために訊ねると、男の子は鋭い眼光をこちらに向けて口を開く。


「惚けているつもりか? あんなに激しい戦いをしておいて余の顔を忘れたとは言わせんぞ」

「え? 戦い? 余?」


 意味がわからなくて首を傾げたくなるが、よくよく注意深く観察してみたら男の子のマントどこか見覚えがあり、頭の角らしきアクセサリーも……!


「そ、そのマント……それに頭の角は……ま、まさか!?」


 ここで彼女は完全に気づいた。男の子……彼の正体に!!


「ようやく思い出したか。そうだ、余は偉大なる魔王! 貴様等人間へ復讐するために地獄の底から蘇って……」

「どうしちゃったの魔王!? そんなに小さくなって!!」

「はぁ? 小さいだと?」


 話の腰を折られて不満気な男の子……もとい魔王は、自分の身体をまじまじと眺める。そして数瞬後……


「なんじゃこりゃぁぁぁぁぁぁぁーーーーーーー!!??」


 いきなりの大絶叫をかます!!


「う、嘘だ……魔王である余が……こ、こんなちんちくりんな姿にだと!?」


 どうやら今の今まで自分の姿に気づいてなかったらしく、わかりやすいくらいに動揺している……っが、それでも魔王としての体裁だけは保ち、再び鋭い眼光をアディアへ向ける!


「ま、まぁいい……いくら身体が縮もうとも、余には絶大なる魔力がある!!」


 そう自信たっぷりに言って右掌へ魔力を集中させる魔王の瞳には、禍々しいまでの闇が宿っていた!!

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