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6話 パーティータイム終了

 騒動が収まったパーティー会場では、アディアが逃走したことによってどうにか落ち着きを取り戻しつつあった。


「ギルハート様。アディア(あの方)との間で交わしていた話の内容は本当だったんですか?」


 問い詰めるセシリアに対し、ギルハートは平然とした顔で答える。


「まさか? あれは単に、色欲に狂った憐れな年増女の下らない妄想に過ぎませんよ」


 しかし、彼女はどこか信じられないといった表情をみせる。


「下らない妄想ですか……まぁ、今はそれでいいでしょう。別に殿方の過去を無闇に詮索する気はありませんので。ですが、今後は……わかってますよね?」

「もちろんです姫……いえ、セシリア」

「その呼び方、まだ慣れませんか?」

「す、すみません。なにぶん貴女の美しさを間近にすると圧倒されてしまって……」

「そういう見え透いた世辞(せじ)はけっこうです。それよりも……」

「……アディアの始末ですね。それなら今すぐに!」

「いえ、そちらは一先ず放っていても大丈夫でしょう」

「し、しかし御言葉ですが、彼女を生かしておくといずれ……」

「私達に牙を向くでしょうね。けれど、今は混乱したこの場を収拾するのが先です」

「しょ、承知しました」


 彼女の提案を受け入れて舞台へ戻るギルハート。偽りの笑顔を張り付ける彼は、集まった聴衆へ説明を始める。


「皆様、本日は大変お騒がせして申し訳ありません。どうやら彼女……アディア()()はボクに対して一方的な誤解があったようです。

 まぁ実際に彼女とは長年の間、魔王討伐の旅を連れ添った仲。だから、ボクが突然結婚すると言って何か胸にくるものがあったのかも知れません……ですが、そもそも彼女とボクの関係は―――」


 痴情の縺れをそれっぽく誤解と誤魔化し続けるギルハートの説明。当たり前の人間からみたら、さぞかし滑稽に聞こえるに違いない。

 ただ周りで拝聴してる彼等は腹に一物を抱える貴族ばかり、よって汚ない色恋沙汰にはかなり寛容らしく……


「―――っということでありまして、ボクは彼女の妄想に捲き込まれたただの被害者なのです!!」

『オオオーーーー!!』


 案外何事もなく納得され、何故か歓声まで上がる始末だった。


 そして一方、そんな茶番を会場の隅で呆れながらに見守るロゴスとザクノバは?


「……ギルハートめ。どうやらこの場の者達を上手く丸込めてようじゃのぅ」

「だな。剣の腕はさることながら、ああいった口の達者ぶりには素直に感心しちまうぜ」

「じゃが、今回はその“達者ぶり”が災いしたな」

「アディアのことだよな?」

「ああ。女の嫉妬は侮れん。現にワシの若い頃なんか……」

「ジイさん。その話は長くなりそうか?」

「そこそこにな……聞くか?」

「遠慮しとくよ」

「なんじゃつまらんヤツめ」

「ハハハ、機会があったらゆっくり聞いてやるよ。それよりも……」

「ああ、これからじゃな。ワシ等が()()()()として成り上がるのは」

「……だな。姫さんには悪いが、全てはギルハートを含めたオレ達の描いた筋書き(シナリオ)通りに進めさせてもらおうぜ!」


 二人の会話は一旦ここで終わる。不穏な企みを垣間見せたまま……

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