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30話 探り合い

 一刻も早く家から離れようとするアディアと魔王。彼等は早々に準備を終えて玄関へ向かうが?


「……!」


 扉に手をかけようとしたアディアは、何故かその手を止めてしまった。


「おい、どうした?」


 魔王が何事かと訊ねると、彼女は緊迫した表情で答える。


「……外に誰かいるわ」

「なっ、まさか例の追手か!?」

「たぶん。でも、そうだとしたらここを嗅ぎ付けるが早過ぎるわ!」


 とはいっても彼女が戦った追手は武闘家のロゴス。とてもじゃないが、彼にそんな手際はないはず……何て考えていたら?


「なぁ、貴様が戦った追手は一人だけだったのか?」

「いいえ。止めを刺そうとした時に邪魔が入ったから……もしかして、ザクノバかも!?」

「誰だそいつは?」

「前のパーティーで一緒にいた魔法使いよ」

「魔法使い……余と戦っていた時にいたあのエルフか。ということは、追手は少なくとも二人いたというわけだな?」

「そ、そうなるわね」

「……っで、貴様が今感じてる気配の数は?」

「二つよ」

「貴様が戦った相手と、ザクノバというヤツか」

「おそらくわ……ね」

「そうか……」


 しばし思考する魔王。何かを思いついたのか、おもむろに提案する。


「逆にこちらから打って出るのはどうだ?」

「危険過ぎるわ。どうせ待ち伏せしてるだろうし」

「なら、あの小窓からは?」

「ダメよ。前に遊びで試したら胸がつかえて往生したから」

「そ、そうか……ならば、こういうのはどうだろうか?」


 アディアと魔王が慎重に作戦を練っている頃。家の外に潜むロゴスとザクノバは二人の様子を窺っていた。


「―――のぉ、ザクノバよ。アディアは間違いなくこの中にいるんじゃな?」

「オレの魔法に狂いがなければ必ずな!」


 自信たっぷりのザクノバに、ロゴスは間違いないと確信するが……


「一つ気になることがある」

「何だ?」

「家の中から感じる気配じゃが……二人分ある」

「二人? 一人はアディアとして……もう一人誰かかいるってことか?」

「ああ、おそらく子供だと思うんじゃが……もしや、アヤツの子かのぉ?」

「アディアの子供? ハハハ、ありえないだろ」

「じゃが、アヤツの年齢(とし)を考慮すれば別におかしな話でもあるまい?」

「た、確かに、アイツも今年でそれなりの……い、いや! さすがにそれはない……ないと思うぜ?」

「「…………」」


 確信のないまま押し黙る二人。しかし、他の気配があろうとなかろうと果たすべくことは決まっているので……


「と、とにかくだジイさん! オレ達はアディアの息の根を止める……そうだろ!?」

「お、おう、そうじゃったな!」


 自らの目的を果たすために動き始める!


「よし! それじゃあ、さっそくあの扉を蹴飛ばして突入じゃな!」


 ロゴスがそう言って玄関扉の前に立とうとした時だ!


 ギィ……

 何と、扉の方から開いて彼等を迎え入れようとするではないか!


「これは……罠じゃろうか?」

「あからさま過ぎるが、そうだろうな。どうするジイさん?」


 二人は考える。そして……


「せっかく向こうから招待してくれてるのじゃ。ここは敢えて相手の誘いに乗ってやるのも一興じゃな」

「強気だなジイさん。いいぜ、オレもつき合うよ!」


 相手の策を受け入れる選択をすると……


「では参るぞ!」

「おうよ!」


 虎穴に入らずんば虎子を得ずの精神で、招かれる客として足を踏み入れるのであった。

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