3話 パーティータイム2
紳士淑女が集う夜のパーティー会場の片隅で和気藹々で語り合うギルハート、ロゴス、ザクノバの男三人。そんな彼等にゆっくりとが近づく影があった……
「お待たせみんな。衣装の準備に手間取っちゃったわ!」
「フォ! これはこれは……どこのお嬢様かと思えば、麗しのアディアではないか!」
見事に着飾った赤いドレスの彼女。ロゴスは目を丸くして感動してるが、ザクノバは薄ら笑みを浮かべて茶々を入れる。
「オイオイ、ジイさん。さすがに“お嬢様”は言い過ぎ……グボッ!」
「あら、何か言ったかしら?」
「な、なんでも……ねぇよ」
何故か腹を押さえて苦悶の表情で踞るザクノバを尻目に、彼女の関心は別の人物へ移る。
「ねぇギルハート。このドレス……どうかしら?」
照れ臭そうに話しかける彼女に、ギルハートは笑顔で答える。
「もちろんキレイだよ。アディア」
「あ、ありがとう……」
愛しき人からの言葉に頬を赤くする彼女。できればこのまま二人で……といきたいところだったが?
「ここにいらっしゃいましたか勇者」
突如現れた燕尾服を着た老紳士が、ギルハートへ近寄って耳打ちする。
「ああ、もうそんな時間か。すまないアディア、ボクは用があるからこれで……」
「あ、ギルハート!」
止める間もなく、愛しき彼は燕尾服の老紳士と共にどこかへ行ってしまう。
「もう、ギルハートったら!」
少しむっとしたが、彼も勇者としての立場がある。そう考えてアディアは渋々納得するしかなかった。
―――その後残された彼等は、変わらず紳士淑女の貴族で賑わう会場にて各々で思い思いの時を過ごす。
ザクノバは若い女性貴族達を相手に例の魔法を使っての談笑を楽しみ、ロゴスは高級な酒と料理にひたすらに舌鼓を打つ。
そして、アディアはというと……
「はぁ~」
ギルハートがいなくなった悲しみに暮れつつ、窓際でタメ息を吐いて外の景色を眺めていた。
それからしばしの時間が流れて―――
『会場の皆様! 舞台の方に御注目ください!』
宴もたけなわという頃合いで突然場内に響き渡るナウンス。皆が何事かと思い舞台上へ視線を向けると、そこには立派なタキシードに身を包んだギルハートが一人で立っていた。
「え~、お集まり皆様こんばんは。勇者ギルハートです。今宵、ボクから重大な報告がありますのでどうかご静聴ください」
勇者の重大な報告とやらにざわめく人々。無論、何も知らないアディアも例外なく耳を傾ける……っが、彼女の内心には何となく察しがついていた。
「そうか。ここで私達の結婚を発表するつもりね!」
幸せな未来に想いを巡らせて浮き足立つ彼女。その一方で舞台のギルハートはやや緊急した面持ちで話しを進める。
「本日、ボク……勇者ギルハートはこの場において、愛する彼女との結婚を報告致します!!」
『おおーーー!』
『いいぞーーー!』
『おめでとうございます勇者様!!』
直後、周囲からは一斉に暖かい喝采と拍手が送られる。
「……では紹介させてください。ボクの結婚相手を!」
この瞬間、アディアは自分の名前が呼ばれるのを今か今かと待ち構えていた。
「セシリア、来てくれ!」
しかしあろうことか、ギルハートが口にした名前はまったくの別人とものだった。
「えっ……どうして?」
呆気に取られて固まっていると、舞台には上品な白いドレスに身を包んだ髪の長いスラッとしたスタイルの女性が登場。
「だ、誰……アイツ?」
女性の肩に手を回し、自分の方へ優しく引き寄せるギルハート。
「ちょ、何? ギルハート……一体何をしてるの!?」
あまりの光景に愕然とするアディアは、二人の仲睦まじき姿を見せつけられて狼狽!
「そ、そんな……嘘よ! だってギルハートは私の……私の……」
そしてついに彼女は、彼の真意を確かめようと舞台へ近づく……が?
「そこまでじゃ!」
その行動は二つの影が立ち塞がったことによって阻止される!
「なっ! アナタ達まで……何を?」
アディアはまたもや愕然としていた。何故なら……
「すまんなアディア。これ以上、お主をギルハートに近づけさせる訳にはいかんのじゃ」
「悪いな。オレ等にも“立場”ってものがあるんでな」
彼女の前に現れたのは、苦楽を共にしたはずの仲間、ロゴスとザクノバだったからだ!!




