28話 ロゴスとザクノバ
何者かの介入により、辛くもアディアから逃れたロゴス。彼は今、その何者かと共に森の目立たぬ場所でひっそりと息を潜めていた。
「駆けつけるのが遅くなってすまなかったなジイさん」
「ザクノバ……いや、おかげで助かったわい」
そう、ロゴスを助けたのはザクノバだった。彼等は昔から妙にウマが合い、ギルハートから二人一緒にスカウトされて以降も大抵の場合は行動を共にしていた。
「ヘッ、いいってことよ。それよりも傷の具合はどうなんだ?」
「うむ、お主の魔法で順調に回復……っと言いたいところじゃが、しばらくは無理そうじゃ」
「だろうな。だいぶ、こっぴどくやられてたみたいだからな」
「こっぴどくか……そうじゃな……」
言われて自分の不甲斐なさに落ち込んで俯くロゴス。ザクノバはこの態度を気の毒にと思わずフォローを入れる。
「ま、まあ、アディアは元仲間だったんだしよ。ジイさんだって無意識にその……手心を加えてたかも知れねぇじゃないか……だから……あんまり落ち込むなよ。なぁ?」
「……ザクノバ」
「な、何だよ?」
「お主、やさしいのぉ」
「なっ! 気持ち悪いことを言うなよジイさん!」
「フォフォフォ、照れるな照れるな♪」
顔を赤くするザクノバを愉快そうに冷やかすロゴス。そんな彼等は本当に仲が良いのが窺えた。
「―――ったく、それよりもジイさん。ここからは少し真面目な話になるがいいか?」
言った通り、ザクノバは真剣な眼差しで語りかける。
「……うむ。かまわんよ」
ロゴスもまた、真剣な眼差しで応えた。
「アディアがこの森に潜んでいるのは既に周知の事実だ。ただ問題なのは……」
「一度帰って彼女の件を報告するか、それともワシ等が依頼を強行して彼女を始末するかじゃな」
「ああそうだ。ジイさんはどうしたい?」
「そうじゃのぉ……ワシの場合は、散々痛い目に合わせられた借りがあるから……」
「後者ってことだな。いいぜ、オレもつき合うぜ!」
「なら決まりじゃな!」
「だな。けど、ジイさん。まずはアンタの回復が先だ。まだしばらくはかかるだろ?」
「あ、いや、ワシならもう……」
ロゴスは腕を振り回して健全さをアピールしてみせるが?
「痛っ!」
「あんまり無理すんよジイさん。張り切り過ぎてポックリいっちまったら洒落にならない」
「なっ! ワシはまだそんな歳ではないわい!」
「ハハハ、冗談だって。たかが百歳程度で年寄り扱いなんてするわけないだろ?」
「た、たかが百歳って……お主は一体幾つなんじゃ!?」
「さぁ? 八百から先は数えてねぇよ」
「は、八百じゃと!?」
ザクノバの告白にド肝を抜かれるロゴス。しかし、彼がエルフであることを思い出してすぐに納得。
「……まぁ、お主ならありえる話か」
「そういうことだ。さぁ、もう少し休んだら出発だ」
目的が決まり、彼等はそのまま待機。そして……
「ジイさん。そろそろ……」
「ああ、アディアには引導を渡してやらんとな」
彼等はついに動き出す。かつての仲間と永遠の決別を果たすために!!




