27話 アディアVSロゴス その2
大槌と拳による鍔迫り合いの硬直状態は続く。
「い、いい加減に諦めたらどうなのロゴス!」
「そ、そっちこそ、さっさと年寄りに勝ちを譲ったらどうなんじゃ!」
二人は互いに譲らず相手へ敗北を促すが、どちらもそれを聞き入れる様子はない。ただ、だからといっていつまでもこうしてもいられないので……
「ぐぐぐ……不本意じゃがやむを得んか。なぁ、アディア? ここは一旦仕切り直しをせんか?」
「仕切り直し? いい考えね。じゃあ、一、二、三で同時に後ろへ離れるのはどうかしら?」
「それでかまわん。いくぞ……いち!」
「に!」
「「さん!!」」
「「…………」」
二人は動かない。
どうやら互いに、相手が退く時に無防備になる瞬間を狙っていたみたいだ。
「ちょ、卑怯よロゴス! 自分から提案しておいて約束を破るなんて!!」
「な、何を言うか! こういうのは若い方が率先して……おお、そこにいるのはギルハート! 助けに来てくれたか!」
「えっ! ギルハート!?」
かつての想い人の名前を聞き、アディアは反射的に背後を振り返るが……!
「え? 誰もいな……しまった!」
「遅い!」
「きゃ!」
ロゴスの老獪な作戦にひかかったのに気づいて反撃に移ろうとした彼女だったが、それよりも早く隙だらけになった尻を思い切り蹴られる!
「痛っ……やってくれたわねロゴス!!」
蹴られた尻をさすって文句を吐くアディアの表情は、間違いなく怒りに満ちる。
「フォフォフォ、戦いの最中に油断する方が悪いんじゃよ」
悪びれない態度に、彼女の怒りのボルテージはますます上がっていく!
「くっ……そういう態度を取るというなら、とことんやってやるわよ!!」
怒れるアディアは大槌を抱え上げると、己の脚力を最大限に使って上空高くへ跳ぶ!
「空中からの全体重を加えた攻撃か! じゃが、そんな派手な技の入り方はワシには通じんぞ!!」
身構えるロゴスに指摘されるが、彼女は気にせずに言い返す!
「けっこうよ! どうせ見えても意味がないんだから!!」
「なに!?」
ロゴスは見上げたまま一瞬困惑、そして!?
「くらえぇぇぇーーーー! クエイク・ハンマァァァーーーーーー!!」
周囲の空気を震わせるかけ声と共に振るわれた大槌が、ロゴスではなく地面に激しく叩きつけられる!た威力により波紋状の地割れが起きる!
「な、なんじゃこれは!?」
あまりの威力により波紋状に割れ広がる地面! おかげでロゴスは足場が不安定になり動きが制限されてしまった!
「まだまだぁぁぁぁーーーー!!」
さらにアディアがハンマー投げの要領で放り投げる大槌が、一直線に突っ込む!!
「ま、まずい!!」
咄嗟に両腕でのガードを成功するが、大槌が当たった衝撃はすさまじく、彼の身体は紙くずの如く吹き飛ばされてしまう!
「ぎゃは!!」
近くに生えた木に打ちつけられるロゴス。両腕と打ちつけた背中へのダメージは甚大。
「お、おのれ……年寄りに対してなん足る酷い仕打ちを……」
地面に膝を着いた状態で言うが、アディアはかまうことなく止めの一撃を与えようと襲いかかる!!
『危ねぇ! ジイさん!!』
「何!」
『|ウインド・カッター!!』
まさに間一髪のタイミング、何者かが放った風の刃が凄まじいつむじ風がアディアの視界を遮断する!
「な、何この風は!? 目が開けられない!!」
やがて時間が経ち風が収まった頃、ロゴスの姿はどこにもなくなっていた。
「ちっ、逃げられたか……」
あと一歩が及ばずに歯軋りをするアディア。しかし、彼女が歯軋りする理由は決してロゴスを取り逃が逃がしただけではなかった。
彼女が歯軋りをするもう一つな理由……それはロゴスを取り逃がしたことで、彼女の居場所が確実にギルハートに知られるからだ!!




