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23話 魔王VS熊

「余は偉大なる魔王だ!! 倒したければ、その命を投げ捨てる覚悟でかかって来るんだな!!!」


 身の丈五メートルを越える巨大な熊を相手に堂々と啖呵を切る魔王だが、実際のところは厳しいかなり展開になりつつあった。


「さてどうする? さっき撃った一発は仕方ないとして、残りの三発で倒さなければ……いや、悲観的に考えるのはよそう」


 不安を払拭しようとするが、状況は変えられない。しかし、状況を変えたくば前に出ないと始まらない。なので魔王は、僅かな残弾数でありながらも攻撃を仕掛ける……が!


「ウオォォォーーーー!!」


 それよりも早く、威嚇の雄叫びを上げる熊の方が再び猛スピードでの突進を開始!


「またか……やはり畜生は、単純な手しか使えんみたいだな」


 一度は見た攻撃だと余裕を持って身構える魔王。その判断はすぐに間違いだと気づかされる!


「なにっ!?」


 熊は間近にまで迫ると、その巨体を大きく跳ばせる!


「押し潰す気かっ!?」


 頭上から全身を大きく広げてのボディプレスという奇策に一瞬だけ驚くも、冷静にその場から脱出!


 ドスーーーーーーンンン!!!


「うぉ!」


 熊の重爆によって揺れる地面。避けられたからよかったものの、喰らっていたらと思えばぞっとする威力だ。


「ふぅ、少し肝を冷やしたかもな」


 背筋に冷たい汗が流れるのを感じる間、熊はゆっくりと立ち上がる。


「のんびりした動きで誘ってるつもりか? 悪いが、そんな浅知恵は余に通用せんからな」


 しかし、それでも念のために一旦距離を空けて様子を窺う。


「グゥゥ……」


 熊は完全に立ち上がってもすぐに襲いかかるもなく、魔王を見据えたまま自分の左前足をペロペロと舐め回す。


「戦いの最中に毛繕いか? 畜生というのはこれだから……ん?」


 舐め回す様を注意深く観察してると、舌の先が一本の爪に集中してるのがみて取れる。


「何だ? 妙にあの爪を気にしてるみたいだが……?」


 さらに観察を続けてると、正確には爪の付け根の部分を気にしてるように見えた。


「そういえばあの爪、最初に撃った弾を防いだ時に……待てよ?」


 不意に湧く違和感。魔王はその正体を探るべく素早く思考を巡らせる。


「獣が自分の身体を舐め回すのは何も毛繕いに限らない。他にも傷を負った時なんかに……そうか! ヤツは最初の攻撃を受けた際に負傷したんだ! だからあんなふうに気にしてのか!!」


 違和感が確信へ変わり、魔王は勝機を見出す!


「よし、まずはヤツの隙を突くところから始めるか!」


 魔王は意を決して熊の方に歩み寄りながら、あろうことか銃を腰のホルスターへ戻す。そしてさらに、両腕を無防備に広げた状態で己の身を晒した。


「どうした畜生? お前が欲しがるエサは、すぐ目の前だぞ!」


 挑発して自身をわざと襲わせようとする魔王。その表情は明らかに相手を蔑む!!

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