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22話 感じる気配

 ―――とある森の奥深くにて、目を瞑り静かに精神を集中する魔王。何かのきっかけがそうさせたのか、彼は突然マントの下に隠した腰のホルスターから銃を抜いて視界に捉えた木の枝に向かって発射する!


 パァン!


 撃たれた弾丸は枝をかすめ、それによって発生した揺れが数枚の葉っぱを舞い落とすと……


 パッパパァン!!


 その一瞬を狙って全て撃ち抜いた!!


「ふぅ……だいぶ板についてきたな。これなら実戦でも十分にやれるはずだ」


 己の上達に満足する魔王。じつは彼、アディアとのゲームで敗北して以降は密かに銃の特訓に励んでいたのだ。

 そして、そんな健気な努力のかいもあってか、現在の彼の腕前は相当の域にまで達していたのだ。


「さぁて、午前の特訓はこれであがって、そろそろ戻って昼飯の支度でも始めるか」


 ちなみに魔王とアディアは同居する際の取り決めとして、食事当番は交代で担うことになっていた。


「それにしても、魔王ともあろう者がさも当たり前のように他人の食事を用意とは……まさに世も末だな」


 不満な現状に愚痴を吐いてれば、不意に異様な気配を察知する!


「何か……いるな?」


 周囲を見回して警戒していると、一際に怪しい茂みが視界に入る。


「グルルル……」


 聞こえてくる低い唸り声からは、その正体が獰猛(どうもう)な大型獣の姿を推測させた。


「猪か? それとも……?」


 確認しようと前へ進んだその時!


 ガサガサッ!


 茂みの奥を掻き分けて現れたのは、身の丈が五メートルを超える巨大な熊だった!!


「ほぉ、なかなかのデカだ。これなら実戦を想定した訓練には申し分ないぞ!」


 大物を相手にできるという都合の良い展開に歓喜する魔王は、胸を躍らせながらも残弾数を確認する。


「ひー、ふー、みーの……四発か……四発だとっ!?」


 まさかの弾不足に本気で驚きかけるが、だからといってこんな貴重な機会を逃すわけにはいかない!


「ハ、ハハハ……この条件でやるしないってことか……」


 不利な状況でも戦う覚悟を決めた魔王は、セオリー通りだと言わんばかりに熊の眉間を躊躇なく狙う!


「これでもくらえ!!」


 あとほんの数ミリ以下の力を引き金に加えれば弾丸が発射されるとした時、熊は突如自らの巨体を激しく揺らして突進を仕掛ける!!


「グオオオオォォォーーーー!!」


 意外にも早いスピードで迫る脅威に対し、咄嗟の判断で回避を選択してやり過ごす!


「危なっ!」


 無事に難を逃れたのも束の間、間髪を入れない鋭い爪が生えた右の前足が襲いかかる!!


「う、うおぉぉぉーーーー!!」

ブン!


 かすっただけでも致命傷になりかねない一撃だったが、小さな身体が幸いして運良く頭上を空振りされてことなき得るが……


「グガアァァァァーーーーーー!!」


 熊はそれだけで止まらず、今度は左からの追撃が襲う!


「こ、このっ、しつこいぞ!」

 パァン!

 キィン!


 堪らず発砲したが、この一発は固い爪によってあっさりと弾き返されてしまう!


「ちっ、ダメか!」


 貴重な一発を失ってさらに不利な状況に陥るが、弱味を見せたくない魔王は強気な言葉を吐き出す!


「畜生のくせになかなかやるな。だが……」


 魔王の眼がギラリと光った!


「余は偉大なる魔王だ! 倒したければ、その命を投げ捨てる覚悟でかかって来るんだな!!」


 小さき身体をものともせずに勇ましく啖呵を切る迫力は、かつて勇者を苦しめた自分自身の存在を彷彿させるも!!

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