第87話 「ひとみちゃん⑱『支配者』A Part」
アパート地下ダンジョンの調査始まる。
・・・が、意外なぶっ飛びな支配者が現る!
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
・⋯━☞金曜の夜9時過ぎ☜━⋯・
••✼••アパート・マコの部屋••✼••
マコの部屋に、アパート住民全員が集まっていた。
皆んな、マコの部屋の玄関のホールにしゃがみ込み、ポッカリ空いた開口を覗き込む。
「うわぁ~~~なにこれ?!」
「わっ! 階段があるじゃないすか!」
「ふぅむ なるほど・・・」
「え? サワサさん、何か知ってるんですか?」
「ああ、はい! これは、秘密の洞窟ですね!」
「「「秘密の洞窟?!」」」
「「・・・」」
「ああ、サワサさんの言う『秘密の洞窟』とは、ダンジョンの事ですよ」
「「ダンジョン?!」」
「「・・・」」
サワサの言う『秘密の洞窟』の事を、和美が『ダンジョン』だと言うと、ホノカとリョウは驚いていた。
やっぱり、こういう反応になったか。
まさか、アパートの地下にダンジョンがあるなんて、誰が想像するかってもんだ。
地下室なら有り得るかも知れないけど、ダンジョンですよ!
魔物が住む洞窟ですよ! 生きてる洞窟ですよ!
気が付いたら抜けてきた開口が消えてる洞窟ですよ!
次こそは!次こそは!と意気込む仁美。
アパートの地下にダンジョンが有る事を知ってから、週末になると気持ちがうずついて仕方がない。
ダンジョンの奥へ入りたくて仕方がないのだ。
なにせ、前回3階層に行けずに失敗に終わっていたから・・・
仁美は、自分はダンジョン経験者として、またダンジョンに行けると思い込み、何時の間にか魔女っ娘の姿に変身!
そして誰も見ていないのに、ジョンジョン立ちを決める!
久しく眠っていた『厨二病精神』が蘇る。
「ダンジョンって、ムトランティアにあるような、あのダンジョン?」
「おうよ! 日本のこの和歌山の、しかもこのアパートの地下にあるんやぞ?
んでこないだ、俺と和美とマコとで、そのダンジョンの中に行ってきて来たんじゃよ!」
「「ええ~~~?!」」
「ああ、ホノカさんと、リョウ君は、知らなかったんですよね」
「知らへん! 知られん! ずるい! ずるい!」
「そうですよお! 僕も行きたかったです!」
「まあまあ、落ち着け!」
「でも、行かなくて良かったと思いますよお?」
「「・・・え? なんで?」」
「仁美さんなんて、恐怖でお漏らし してましたから」
「「は?」」
「ゆーなぁー! なんで言うんなよお!」
「あっでぇ~~~仁美ちゃあん? お漏らし してもたぁん?」
「あゔゔ・・・(恥)」
ジト目で仁美をからかうように言うホノカ。
ホノカは元カノだけに、恥ずかしさが倍増の仁美だった。
しかし、誰も仁美の魔女っ娘の姿にツッコミを入れないのはそれ如何に?
「うっさいわあ! そん、そんなもん、しゃーないやんか!
一歩間違えたら、し、死んでたとこなんやぞ!!」
「「ええっ?!」」
「何してんの?! せやったら、なおさら私らも連れてってくれたら守ってあげられたかも知れへんのにい!!」
「そんなん、言うたかて・・・(汗)」
「まあまあホノカさん、あんまり仁美さんをイジメないでくださいね?
本当に、あの時はヤバかったんですから・・・(汗)」
「「へえ~~~(汗)」」
「うん アイツは、ヤバかった・・・(汗)」
「そうでしたねえ~~~
一撃喰らっただけでも、たぶん即死でしたよねぇ~~~」
「「はあっ!! 即死っ!?」」
「そう・・・なんや?」
「怖い・・・(汗)」
ホノカとリョウは、仁美と和美とマコが地下に入った時の事を話したら、すんごく羨ましがっていた。
が、その時の和美の『即死』の言葉を聞いて仁美が漏らした時の話しでは、皆んながゾッとしたのだった。
リョウは、恐怖でゴールデン・ボールが縮こまる思いだった。
今はもう、無くなってるけど・・・(汗)
第2階層なんて、小物の魔物ばかりで楽勝だと思っていたのに、場違いの強力なモンスターが出没するわ、抜けた開口は塞がるわで、本当に大変だったのだ。
「なあなあ! 3階層に行ってみぃへん?」
「「「「「えっ?!」」」」」
「俺らが前回潜った時の2階層の地図あるから、厄介な奴が居る場所だけ避けて進んだら、小物の弱い魔物しか出ぇへんのやろ?」
「仁美さん?」
「うん? なに和美?」
「確かに、僕達が前回潜った2階層の魔物は、手強い奴ら以外は小物で弱いと判ってはいますけど、何時どうなるか分からないのがダンジョンなんです!
だいたい、その地図だって使えませんよ!」
「へっ?! な、なんで?
い、一生懸命に書いたのに? どっか間違ってる?」
「いえ、そうじゃありません!
このダンジョン、コロコロ姿を変えるんですから!
そんな地図が、役に立つとは思えません!」
「そんなあ~~~(汗)」
「だって、通り抜けた開口が塞がっていた事もあってでしょう?
もっと、慎重にいかないと、今度こそ痛い目に遭う程度じゃ済みませんよ!
だから今回は、サワサさんと、マリーさんの2人に、お願いしますから!」
「!・・・はう ごもっともです ごめんなさい・・・(泣)」
「ふふ 解ればいいんですよ」
「しゅん・・・」(叱られた子犬のようにションボリする仁美)
「よしよし」
ナデナデ・・・
「はぅ・・・(泣)」
「「「「「・・・(照)」」」」」
仁美は、また和美に叱られてシュン太郎になる。
仁美の身体がキュンキュン小さくなり縮んでいく・・・
そんな仁美が、なんだか可愛らしくて愛おしくて、和美は思わず仁美を抱き寄せ頭をナデナデするのだった。
この頃の仁美は、気持ちや気分で、コロコロと肉体年齢が変わる。
なので、ミサンガが無ければ、肉体年齢が安定しない程に、魔法使いとして馴染んではきているようだ。
仁美にとって、和美は可愛い後輩だった。
ところが仁美が女になると、和美は可愛い後輩の男の子と言うか弟みたいな感じがしていた。
そして今度は和美が女になると、和美は秘書みたいな感じになり、いつの間にか世話好きな親友みたいな存在になり、次に母親みたいな感じになり、そして今は世話好きな姉みたいな感じに・・・
『あれ? では今の俺は和美の妹扱い?
なら一層のこと、このまま和美に養ってもらえば楽して・・・
和美なら、俺のワガママをなんだかんだ言いながらも聞いてくれるはず?
おっと! いやいや! いかんいかん!!
何を考えてんのじゃ俺わあ━━━っ!!??』
仁美は、顔をブンブン振って煩悩を振り払った。
ぷるぷるぷるぷるっ・・・
「・・・どうしました?」
「んや、なんもないよ(汗)」
「照れなくてもいいのに~(笑)」
「別に照れてへんしっ!!」
「「「「・・・(照)」」」」
仁美は煩悩を払おうと頭を振っただけなのだが、和美達皆んなには、和美にアタマを撫でられたので仁美は恥ずかしがっていたのだと思ったようだ。
でも和美達は、そんな仁美が可愛くて愛おしくて仕方がない。
また仁美も、今の立ち位置が身の丈に合った居場所のように感じていて居心地が良かったのだが、いかんせん素直になれないのがたまにキズ。
男の頃の筋肉ムキムキ⋯(以下省略)独身野郎だった過去の自分が邪魔して、恥ずかしくて情けなくて素直になれないのだった。
「ほいじゃあ・・・ほいじゃあよお!
何時になったら、ダンジョンに入れんの?」
「ううむ・・・そうですねぇ~・・・」
ホノカは、ダンジョンに入りたくて仕方がない。
和美に迫るように聞く。
『ほいじゃあ』とは、和歌山の方言で、『そしたら』や、『それなら』の意味である。
「先ずはやはり、仲間の中で1番強い、サワサさんとマリーさんに、先に様子を見てもらうのはどうですか?」
「「「おおおお~~~!!」」」
「先行調査って訳か・・・」
なるほど! それはいいかも!
サワサとマリーは魔族だし、レベルも高い!
前回適わなかった相手でも、すんなりクリアできるかも?
ワイサとマリーなら、仁美達とは比べ物にならないくらいに強い!・・・はず。
「えっと、サワサさん、マリーさん、ちょっとステータス見せてもらってもええかな?」
「「え?・・・」」
「ああ、はい」
「はい いいですよ?」
「「「「「んんん~~~~~~」」」」」
仁美達は、サワサとマリーのステータスを見た。
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・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 タケバヤシ・サワサ
性別 女
年齢 120
種族 魔族
職業 デュラハン
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 810
HP 3202
MP 2912
STR 28
ATK 726
DEF 680
INT 575
SPD 265
LUK 1018
EXP 24461638
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【テレポート】【死の宣告】【死の占い】【命の息吹(蘇生)】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【魔力制御Lv3】【魔力操作Lv3】【魔力量計測】【鑑定Lv5】
【魔法薬精製Lv6】【錬金術Lv3】【遠隔視覚転送】
【壁抜け】【裁縫Lv8】【手芸Lv8】【粘土細工Lv8】
【陶芸Lv8】【クリーンLv3】【透明化】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
装備によるスキル
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【日本の首なしお化け】【妖艶美女】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
・⋯━━☆★☆━━⋯・
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・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 マリー・タラバ
性別 女
年齢 302
種族 幽霊/魔族
職業 ノーライフ・クイーン
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 1036
HP 4978
MP 3675
STR 30
ATK 1128
DEF 969
INT 809
SPD 626
LUK 1240
EXP 43082157
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【テレポート】【魔力吸収】【生気吸収】
【生気の息吹(回復)】【魔力の息吹(魔力回復)】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【魔力制御Lv3】【魔力操作Lv3】【魔力量計測】【鑑定Lv5】
【魔法薬精製Lv6】【錬金術Lv3】【遠隔視覚転送】【非物質化】
【壁抜け】【裁縫Lv8】【手芸Lv8】【粘土細工Lv8】
【陶芸Lv8】【クリーンLv3】【透明化】
【月夜の数え歌(混乱)】【恐怖の後光(威圧)】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
装備によるスキル
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【外国から来たお化け】【魅了クイーン】【妖艶美女】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
・⋯━━☆★☆━━⋯・
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めっさ強かった。
幾つか物騒な魔法があるが、仲間で良かったと思う仁美達。
ATKが500越えなんて、勇者並みである。
STRなんて20越えなので、かなり重い武器や防具が装備できるはず。
お化けサイコー! 魔族サイコー!!
「おおおおお~~~!!
サワサさんサイコー! マリーさんサイコー!」
「これは驚きですね! マリーさんはレベル1000越えですか!」
「すごいすごぉい!! 強おい!!」
「やっべぇ! マジすごぉ!! めっさ強っ!!」
「「~~~(照)」」
サワサとマリーは、仁美達皆んなから『すごい!強い!』と言われて、初めて自分には力があるのだと認識したようだ。
そりゃあ、百年以上も生きてりゃ強くなるわな。
魔族とお化けだし・・・
って、お化けって生きてるって定義できるの? ま、いっか。
でも、基本地球では大昔はともかく、今現在は魔族が表だって活動する事はほとんど無いので、自分の強さを測れる機会が無いのだろう。
また、強さの基準さえ分からないはず。
ちゃんとした比較対象が居なかったんだから、しょーがない!
でも、今回調査する予定のダンジョンなら、自分の強さを理解できるはずだ。
弱いモンスターと、強いモンスターとのレベルや力の差がバカげているから。
そんなこんなで、サワサとマリーは、快くダンジョンの調査をしてくれると承諾してくれた。
「わかりました! やってみましょう!」
「はい! お任せください!」
「「「「いえええ~~~い!!」」」」
強い凄いと褒められ気を良くしたサワサとマリーは、早速『アパートめぞん・刻一刻地下ダンジョン(正式名称) 略してアパダン』の調査へと向かう。
••✼••アパダン地下1階層••✼••
••✼••1階層最奥 岩戸前••✼••
「ほえ~~~! こんなんあったっけ?」
「なんですかコレ?!」
「岩戸です!」
「「「「「「はあ~~~・・・(汗)」」」」」」
仁美達が見たものは、1階層最奥のちょっとした部屋となったスペースにある、1mmの隙間なくパズルの様にピシッ!と閉まった歪な形をした岩戸だった!
岩戸と言うより、もう壁である。
それがなぜ『岩戸』だと言えるのか? その訳は・・・
「コレをね? こうして・・・よっこぃしょ!」
「ゴロゴロゴロゴロ・・・」
「「「「「「おおおおおお~~~!!」」」」」」
「すんごおおおおおお~~~!!」
マコが片手でその岩戸の端っこをそっと押すと、まるで『どんでん返し』のように真ん中を中心にして岩戸が回転し始めたのだ!
しかも、そんなに力など入れていないのに。
試しに仁美も押してみたが、本当に簡単に動いた!
その不思議さから、マコと和美はこう話す。
「うわっ! なんですかコレ?! なんですかコレえ?!」
「だから、岩戸ですって!」
「あ、いえいえ、それは分かりますけどね?
こんな大きな岩戸を、クレーンも重機も使えないこんな場所で、どうやって作ったのかが不思議で・・・」
「まあ、確かに不思議ですけど、魔法を使えば簡単なんじゃないですか?」
「魔法でですか?・・・ううむ・・・
魔法なら、常識、既成概念、固定概念、物理的法則などを完全に無視していますから、できるのかも知れませんけどね・・・
でも、こんな歪な形から、どうやって重心を見付けたんだろう?
それに、魔法を使ってとは言いますけど、コレ全然魔力なんて感じませんよ?」
「そんな事を私に言われても・・・」
魔法だ魔法だとは言っても、和美は納得いかない様子。
それもそのはずで、何トンあるのかと思う巨大な岩の壁だ。
高さは3mほど、横は最長3.5mほど、厚みは30cmはあろうかと思う、歪な形のジャガイモを輪切りにしたような不確定な形の大岩であり、ジグソーパズルのように開口部にピッタリとハマるように組まれていた。
なのに、子供の軽い力ででも、どんでん返しのように回転する仕組みになんて、こんな狭い空間でクレーンや重機も使えない場所なのに、とても人の技術では組めないし作れないと思う。
魔法で造られたのなら、少しでも魔力を感じるはずだし、動力源に魔石か魔晶石を使うはずである。
なのに、そんな形跡もなければ、見た目は完全にただの岩の塊で、動力は手動の完全物理である。
そんな固定概念が邪魔して、たとえ魔法でも出来るものなのか?と不思議でならない。
軽く動かせるのだから回転部にはベアリングでも仕込まれているのだろうか?
軸には鉄かそれとも魔法の魔導鉄などの素材で出来ているのだろうか?
なんて、色々考えてしまう。
「和美さん? 考えても仕方ないですよ?」
「え? あ、ああ、そうですね(汗)」
「とにかく、この先の階段を降りれば地下3階層です
後は、サワサさんと、マリーさんに任せましょう!」
「「えっ?!」」
「もう、3階層?!」
「そうですよ?」
「「はあ?!」」
仁美と和美は、訳が解らない。
いきなり2階層を飛ばして、3階層にショートカット?!
なにせ、前回潜った時とは、まず入口が違う。
こんな場所、あったっけ???
岩戸は、この際無視しても、初見の場所ばかり!
頭を傾げながらも仁美と和美はサワサとマリーについて行く。
サワサとマリーは迷うことなく、まるで既に知っているかのように地下3階層へと降りて行く。
「仁美さん! ココまでです!」
「ええ~~~ん?」
「コレ以上は、ダメです! 本当に危険ですから!!」
「はう・・・(汗)」
和美は、サワサ達について行こうとする仁美を引き止めた。
そして・・・
「では、サワサさん、マリーさん、よろしくお願いします!
でも、本当に気を付けてくださいね!」
「「はい!」」
「頑張って!」
「今回は、3階層だけですからね?
たとえ余裕が感じられても、4階層まで進まないように!」
「「はい!」」
「まあ、サワサさんとマリーさんなら、大丈夫でしょうけどね?」
「だいじょぶなん? ほなやっぱり、俺も行こうかな?」
「ダメですってば!」
グイッ!
「あ”ゔっ!・・・はう・・・(汗)」
仁美は、サワサとマリーに付いて行こうとするが、和美に後ろ襟首を掴まれて引き戻されてしまう。
サワサとマリーを見送った後、仁美達は一旦マコの部屋まで戻った。
ついに、『めぞん・刻一刻』が、満室になりましたねぇ~~~
これから、どんなハチャメチャなことが起きるのでしょうか?