第86話 「ひとみちゃん⑰『真性百合っ娘(こ)』」
アパート地下にダンジョン?!
マコの意外な成長に驚く仁美と和美。
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
・⋯━☞月曜夜8時半過ぎ☜━⋯・
••✼••アパート・マコの部屋••✼••
仁美と和美が仕事からアパートへ帰って来ると、マコの部屋と扉が開いていて、中から物音がする。
どうやら、マコが地下倉庫でなにやら片付けでもしているらしい。
仁美と和美は、地下に居るマコに向かって声を掛ける。
「ただいまマコさ~~~ん!」
「ただいま~~~! マコー! なんしてんの~~~!」
《はあ~~~い! 仁美さぁ~ん! 和美さぁ~ん!
お帰りなさぁ~~~い! お疲れ様ですぅ~~~
今、地下倉庫に居ま~~~す!》
「「はあん?」」
マコの部屋の狭い玄関ホールには、ポッカリと穴が開いていて、石垣のような作りの階段が地下へと伸びている。
マコの声は、その穴からエコーが効いて聞こえてきた。
その穴を覗き込むと階段が見えるが、途中からは暗くなってその先は階段も空間も何も見えない。
めっさ不気味!!
既に魔導具の灯りは設置してはいるものの、まるでRPGの地下ダンジョンのようで、ファミリ・コンの某有名RPGの地下迷宮電子音ピコピコBGMが聞こえてきそうな雰囲気である。
後にマコから聞いた話しでは、地下空間はアパートの地下とは思えないほどに広く、アリの巣のように各部屋に通路で繋がっており、マップを作らないと迷いそうなほどにアチコチへ枝分かれしていて、とても大きく広大だったそうだ!
地下に降りてすぐの部屋が倉庫となっており、一応は木製の扉で閉められ施錠され封鎖されていた様子。
たまたま部屋の壁の隅っこに開いた穴から出てきたのが和紙に包まれた鍵で、この和紙には『玄関入口下には秘密部屋有り』と書かれていたそうな。
そして、和紙に書かれていた通りに玄関のホールを調べたら、四角い切れ目が見付かったと言う。
よく見ると上辺だけコンクリートでカモフラージュされた木製の扉だと判り、マイナスドライバーとバールを使ってこじ開けたらパカッ!と簡単に開き、地下への階段を見付けたのだそうだ。
そしてその鍵こそが、その地下の扉に施錠された錠前に合ったそうだ。
でもそこにはもう、元々置かれていた物は何にも残されてはいない。
全てがマコによって移動されて、今は既に空っぽである。
今はその倉庫跡の部屋は、ちょっとしたリビングのように、ソファーやテーブルなどが並べられていて、床にはフローリングのように板が敷きつめられ、カーペットまで敷かれている。
そして壁には壁クロスが綺麗に貼られ、冷たい地下空間とは思えない温かみを感じる部屋と変わっていた。
でも今でも、もっと奥の空間には、何に使うのか解らない得体の知れない物が沢山見付かっているんだとか。
その中には、黒い生地に金色の五芒星が描かれた風呂敷に包まれた小箱の中に入った『女装剤』を数本見付けたとも言う。
『女装剤』?! あの、大魔女セーラが、『女装剤の解毒剤』の開発に失敗して偶然できた『女装役剤』の基となる、本家大元の『魔女の呪いの魔法薬』ではないか!
『女装剤』とは、たとえ身体の1部を欠損した大怪我でも、どんな難病や不治の病と言われる病気も瞬時に治してしまうが、呪いで男性を女性に変えてしまうと言う『魔女の呪いの薬』である。
まさか、本物の『女装剤』を見にする日が来るとは・・・!
しかも!それだけではなく、更に階段を降りると第2階層があり、マコにでもスリッパで叩いて倒せる小者ではあるが魔物が住み着いているとか!
その更に下にも階層があるらしい。
いやもうこれ、完全にダンジョンでしょ?!
「マコー! 何してるー?」
《は~~~い! コッチでぇ~~~っす!》
「「!・・・」」
カコン!⋯コトン!⋯カコン!⋯コトン!⋯⋯⋯
仁美と和美は、マコの声のする方向をめざして地下空間を歩く。
地下空間は、声や足音がまるでエコーの様に響き、より一層不気味さを醸し出している。
一定間隔で灯りは設置されてはいるが、灯りの無い場所は漆黒の闇で、そこは途切れた空間のように壁も天井も足元すら真っ黒で何も見えない。
壁や足下から手が出てきて掴まれるのでは?とか、壁の蓋がカタッ!と開いて、そこから矢がシュシュシュシュ!って飛び出したりとか、足元にパカッ!と落とし穴が開いたりとか、天井から鉄のトゲの生えた鉄板が落ちてきたりとか、大きな岩の玉が転がってきたりとか、まるで冒険アクション映画のインディーン・ジョオンズみたいな罠が展開するのでは?と恐怖を感じる。
「仁美さあ━━━ん! 和美さあ━━━ん!
コッチ! コッチ! コッチです~~~!」
「おお~~~!」
「はいはい!」
コトン!⋯カコン!⋯コトン!⋯カコン!⋯
「「ぅわあっ!!」」
仁美と和美は、マコの居た部屋というか空間を見て驚いた!
「なんじゃこりゃぁ~~~!!」
「なんですかこれぇ~~~!!」
「ふふふ 驚いたでしょ?
私も初めてココへ来た時、それはもう驚きましたよお~~!」
「ココ、ホンマにアパートの地下? ってか、日本?!
もしかして、ココはムトランティアとか?!」
「あははっ! 仁美さん落ち着いてください
ココは、日本の私達の住むアパートの地下ですよ?」
「信じられへん!!」
「ううむ・・・これは、驚きですね!
アパートのすぐ真下に、こんな空間があっただなんて!
と言うか、よく崩れ落ちたりしませんね?
それに、日本の風土とは50cmほど穴を掘るとすぐに水が湧いて出る土地が多いものなのですが、水が湧き出ている様子が全く無いですねぇ?
突然地割れしてドバァー!と大水が流れ込んできて、やがてこの地下空間も水の中・・・とか?
今のこの日までそれが無いとは、これはいったい・・・」
「おいおい! 怖い事言うなよぉ~(汗)」
「ふふふ 大丈夫ですよ!
元々、保護魔法がかけられていましたから
おそらく、以前この地下を管理していた人も、魔女か魔法使いだったのかも知れませんね?
私も念の為に、魔法を重ねがけして固めてありすから!」
「固めるぅて? ああ、【外壁美化魔法】で?」
「そうそう! 魔法って応用が効いて便利ですよね!」
「応用って・・・俺にできるかな?(汗)」
「水は?」
「水なんて最初から無かったですよ?」
「あれ?! へえ・・・そうなんですね?」
「でもコレ、まるで大理石やな」
「そうでしょう! 大変でしたけど、頑張りました!」
「えっ?! ココ、全部? これ、マコがやったん?」
「この、大理石みたいなを?」
「はい! 全部です」
「「・・・すごい(汗)」」
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・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 ひとみちゃん
性別 女
年齢 28
種族 女性魔法使い
職業 魔法使い見習い
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 285
HP 385
MP 493
STR 10
ATK 99
DEF 94
INT 45
SPD 125
LUK 235
EXP 2213671
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【ヒールLv4】【オール・ヒールLv2】【アンチ・ポイズンLv2】
【ハイ・ヒールLv2】【オール・ハイ・ヒールLv1】
【サンダーLv1】【シールドLv1】【バリアLv1】
【電撃魔法Lv2】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【魔力制御Lv4】【魔力操作Lv4】【魔力量計測】【鑑定Lv3】
【パワー・アップLv3】【ディフェンス・アップLv3】
【スピード・アップLv3】【魔法薬精製Lv1】【錬金術Lv4】
【衣服脱Lv4】【クリーンLv4】【御用だ!Lv4】
【外壁美化Lv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
装備によるスキル
【変身ミサンガ】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【姉御肌】【百合予備軍】【バカ娘】【拗ねっ娘】
【庇護欲引き立て少女】【擁護欲引き立て少女】
【妖艶美女】【妖艶美少女】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【中学校教諭第1種】【原動機付自転車】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
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・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 かずみちゃん
性別 女
年齢 22
種族 女性魔法使い
職業 魔法少女見習い(光)
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 258
HP 358
MP 784
STR 10
ATK 93
DEF 88
INT 43
SPD 117
LUK 219
EXP 1760740
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【ヒールLv3】【地属性魔法Lv2】【水属性魔法Lv2】
【火属性魔法Lv3】【風属性魔法Lv3】【光属性魔法Lv4】
【ピュリフィケーションLv3】
【ライトニング・キラキラ・ダイヤモンドダスト・シャワーLv2】【電撃魔法Lv2】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【魔力制御Lv3】【魔力操作Lv3】【魔力量計測】
【錬金術Lv3】【外壁美化Lv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
装備によるスキル
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【ひとみちゃん大好きっ娘】【百合予備軍】
【準バカ娘】【辛辣辛口娘】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【中学校教諭第1種】【原動機付自転車】
【普通自動二輪車】【普通自動車(AT車限定)】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
■===========■
■===========■
・⋯━☞STATUS☜━⋯・
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名前 マコ
性別 女
年齢 19
種族 女性魔法使い
職業 魔法使い見習い
・⋯━━☆★☆━━⋯・
状態
【健康】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
LV 205
HP 305
MP 616
STR 9
ATK 75
DEF 77
INT 39
SPD 107
LUK 199
EXP 1037537
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得魔法
【ヒールLv3】【オール・ヒールLv2】【アンチ・ポイズンLv3】
【ハイ・ヒールLv2】【オール・ハイ・ヒールLv2】
【サンダーLv2】【シールドLv2】【バリアLv2】
【電撃魔法Lv2】【外壁美化Lv6】【物質硬質化Lv8】
【掘削&整地魔法Lv8】【運搬魔法Lv8】【彫刻魔法Lv5】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
習得スキル
【魔力制御Lv3】【魔力操作Lv3】【魔力量計測】【鑑定Lv5】
【パワー・アップLv2】【ディフェンス・アップLv2】
【スピード・アップLv2】【魔法薬精製Lv6】【錬金術Lv6】
【クリーンLv3】【御用だ!Lv3】【テイムLv3】【シーズLv4】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
装備によるスキル
【変身ミサンガ】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
称号
【腐女子予備軍】【地味子】【KY無自覚毒舌】【黒の魔術師】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
資格
【原動機付自転車】【普通自動車AT車限定】
・⋯━━☆★☆━━⋯・
■===========■
マコは、アパートの修繕に使った【外壁美化魔法】を応用して、アパートの地下の洞窟っぽいゴツゴツした岩肌な壁を、綺麗な大理石のようにスベスベにしてしまったのだ。
しかも! その広さは、テニスコート半分くらいはあるだろうか?
めっさ広いっ!!
仁美と和美は、マコのステータスを見て驚いた!
【外壁美化Lv6】【物質硬質化Lv8】【掘削&整地魔法Lv8】
【運搬魔法Lv8】【彫刻魔法Lv5】?!
なんだこのレベルの高さは?!
それに魔法の数が多い!
仁美と和美の知らない魔法もある!!
「マコ・・・ココで何してたん?」
「はい 実はこの地下空間は、どうやらダンジョンらしいんですね」
「「ダンジョン?!」」
やっぱり!!
アパートの真下の空間は、ダンジョンだったようだ。
階段を降りてすぐの部屋は、かつてのこのアパートの管理者なのか誰なのかは知らないが、倉庫として利用していたようだ。
おそらく、魔女か魔法使い、もしくわ魔族だと思われる。
でなきゃ、有り得ない!
テニスコート半分ほどの空間に、天井を支える柱が1本も無い?!
普通一般の人間にできる技では無い。
そのずっと奥にある階段から更に下へ降りると、そこからダンジョンとなっていたようだった。
不思議とこのダンジョンは、階層毎に空間を個別化するような遮断効果があるのか、その階層の魔物は別の階層には移動できないようだ。
でなければ、何時かスタンピードが起きてもおかしくない。
マコが1人で調べた結果、ココ地下1階の空間には魔物は居ないが、更に下の階層からは魔物が生息しているのだと言う。
なんとまあ、マコって意外と勇気があんのね・・・
もちろん、サワサにも時々手伝って貰ったとは言うが。
「はぁい! ムトランティアと変わらないダンジョンでした!」
「「へえ~~~」」
「この日本にダンジョンがあるだなんて・・・しかもアパートの地下に・・・」
「そーじょな! こんな身近に・・・」
「はぁい! なので、魔物の巣食う第2階層から先へ進むには魔物退治の準備しもしなければならないので、ココで魔物退治のための道具などを作ったり保管する場所にしようと思っています」
「「ほほぉ~~~」」
見ると、ムトランティアでも見掛けるような武具がある。
ムトランティアから持ち込む事は不可能である。
だとしたら・・・
「で、でもコレらの道具って・・・凄くないですか?」
「ははは・・・確かに凄い(汗)」
「コレらの道具とか武器とか防具は、マコさんが作ったのですか?」
「はあい! ムトランティアで見たものを参考に作りました!」
「「マジっ?!」」
その部屋に保管されていた道具や武具といった物達は、ムトランティアで普通の手に入るような代物ではあるが、この日本で普通に暮らすには、余りにも不釣り合いな物たばかり。
また、日本でもニュースなどで見た事のある、ポリカーボネート製の盾のような物も!
ソレらを全てマコが自分で使ったと言うのだ。
凄い!・・・いつの間にこんな能力を得たのだろうか。
そこに並べられている物は全て、鉄よりも軽く、並のプラスチックよりも頑丈で、虎の爪やライオンの牙にも耐えられる武具なんだそうだ。
兜はバイク用などのヘルメットよりも頑丈なのだと言う。
現在の盾に使われるポリカーボネートより硬いのだそうだ。
そしてソレらは、今のマコになら簡単に作れるだろうと思われる。
今は、アパートの敷地内に、リオリオが勝手に作った白野菜の畑がある。
白野菜と地下で採掘した石を素材として使うのだそう。
仁美と和美にも、当然マコにも錬金術スキルがある。
だがマコの錬金術のレベルは仁美と和美よりも高い。
おそらくこの地下で、仁美と和美の知らない内に錬金術を使いまくっていたため、レベルアップしたのだろう。
白野菜から金属の武具だって作ろうと思えば作れる。
がだ、鉄などの比重の重いものとなると、それなりに白野菜の数も多くなるそうだが。
もし、鉄鉱石があればもっと頑丈なモノが簡単に作れると言うが?
いやいや、今の武具素材だけでも十分に凄い!!
実は錬金術って凄い!
もちろん、錬金術なので『金』も当然作れるのだが、金は比重がかなり重く特殊な金属なので、白野菜100個と魔力100も使って、米粒ほどの小っちゃな金がやっと1粒作れる程度。
ダイヤモンドなら、白野菜1000個と魔力1000必要で、それでもレコードの針程度の小っちゃな物しか作れないとか。
割に合わない・・・
だから誰も錬金術では金もダイヤモンドも作らないんだとか。
作れない事はないのだ。作れない事は・・・
でも、対価が非常過ぎてアホらしいから・・・
だが、比重の軽い物なら、案外簡単に作れると言う。
木製、革製、樹脂製、布製、紙製、などなど。
色々試した結果、白野菜1個に、300g程度の木材などが作れるそうだ。
もちろん木の種類によって誤差はあるらしいが。
特に軽い木材の種類の、ヒノキ、キリ、松、スギなどは、比較的簡単に作れるらしい。
従って、小さなキリの小箱なら、白野菜2個もあれば簡単に作れるんだとか。
なので、重さ30kgの木の箱を白野菜から作ろうと思えば、単純に白野菜は100個必要となるそうだ。
従って、重さ3tの自動車を白野菜のみで作ろうと思えば、単純に白野菜は1万個必要となるわけだ。
なので、仮に重さ3tの自動車を作るのなら、全て白野菜で作らず、鉄鉱石なども混ぜた方が楽だし白野菜の節約にもなる。
とはいえ、鉄鉱石なんて製鉄所で使う物でも輸入品であり、一般人に簡単に手に入れられる物ではないが。
大手通販サイトでも、鉄鉱石は売られてはいるが、200g程度でも4~5千円もする高価なもの。
流石の億万長者のマコでも、魔導具や武具作りに、そんな無駄遣いはできない。
「コレらの武器は、皆んな鉄ではないですよね?」
「あ、はい 皆んなセラミック製の武器です」
「「セラミック製?!」」
「はい! 流石に鋼鉄製の武器を作るには『鉄鉱石』か、鉄分を含むと言われる『赤野菜』が必要なんです
でも、どちらも持ってませんし、安価な入手法も知りませんので」
「「ああ・・・ですよねぇ(汗)」」
「そこで、赤野菜ですよ!」
「「赤野菜?!」」
マコが言うには、鉄鉱石の代わりに野菜を使うのなら、白野菜とは別の『赤野菜』を使うのだそうだ。
『赤野菜』とは、鉄分が含まれる白野菜の仲間で、アパートの野菜畑には無いそうな。
何時か、リオリオに入手できるか聞いてみたいものだ。
もしそれが叶ったなら、鋼の武器なども作れるようになるはずだ。
ムトランティアで、『鍛治スキル』を習得して、自分で鍛治をするのも面白いかも?
なんだが、ワクワクしてきたぞ!
「じゃあさあ! 今度リオリオさんに会ったら、『赤野菜』などの他にも色々な野菜を手に入れられるか聞いてみましょう!」
「おう! そうやな!」
「そうですね!」
こうして仁美達3人は、地下空間を後にした。
だが、そんな仁美達の様子を見詰める者が、2階層よりも更に深い階層から上がって来ていた事を、仁美達は知らなかった。
••✼••アパート仁美の部屋••✼••
カチャ!・・・パタン!
「あ、お風呂の湯を溜めておかないと!」
ピッ!
和美は、お風呂の『お湯張り』スイッチを押す。
仁美の部屋にお風呂は小さいので、ほんの10分ほどで湯が溜まる。
「ふう・・・なかなか面白いもんを見れたな」
「そうですね! また、楽しみが増えましたね?」
「ふふん そーやな! って、もうこんな時間か・・・(汗)」
「もう10時になりますね? すぐに、何か作りますね!」
「おう! 簡単なものでええぞ?」
「冷奴とか?」
「簡単過ぎるやろっ!!」
「ふふふ はいはい! ま、ちょっと待っててください
あ、先にお風呂に入りますか?」
「あ、そうやな・・・ほな、先に風呂してくるわ!」
「はあい じゃあ、仁美さんは烏の行水だから、早く作らないと!
やっぱり、今夜は冷奴ですかね?」
「なんで、そないなんの?!」
「温めた温奴の方が良かったですか?」
「だから、豆腐だけって、そりゃないやろ(汗)」
「冗談ですってば! はやく、お風呂に入っちゃってください」
「うぃ~~~っす」
••✼••バスルーム••✼••
仁美は、風呂場へと向かう。
脱衣所の洗濯機の前のカゴに脱いだ服を投げ込み、バスルームへ。
シャワーで身体を洗っている間に、お湯が溜まる。
お湯が溜まり、ザブン!と湯に浸かると・・・
「ゔゔゔゔゔ~~~」
と言って、鼻下まで湯にどっぷり浸かる。
冷えきった身体が温まり、ピリピリとした感覚からジワジワと身体が湯の熱さに慣れてくる。
そして、十分に身体が暖まると、ザバッと湯船から出て、脱衣所でバスタオルで適当に身体の水分を拭き取ると、そのバスタオルを首に掛け、下着とパジャマ代わりのスウェットを掴んで、居間へと向かう。
••✼••居間••✼••
「ふう~~~ええ湯やったわぁ~~~」
「あれ? 早かったですね・・・って!
なんで、素っ裸なんですかあ━━━っ?!」
「え? 風呂から出たばっかしやから、身体がポッカポカして熱いんやもぉん!」
「なんでもいいですから、はやく服を着てください!
誰かが来たら、どうするんですか!!」
「ええやん別にぃ~~~こんな時間に誰も来ぃへんって!
今は、和美しか居らへんのやし?」
「まったくもぉ~~~(汗)」
この時仁美の身体は、ムクムクと大きくなり、肉体年齢20過ぎくらいの女性の身体へと急成長!
また、仁美とほぼ同時に、和美の身体も20歳前後の女性の身体へと急成長したのだ!
心が大人の女として、また仁美は和美を、和美は仁美を性的対象として見たからだろうか?
「あれ? な、なんでですか! なんで? え? ええっ?!
ミサンガの効果はとっくに切れているのに!
有り得ない!! ぼ、僕の身体も・・・?!」
「あれれ? 和美の身体が・・・大人に?!
あ、俺も・・・俺の身体も大人に?! これは・・・」
「仁美・・・さん・・・?」
「和美・・・」
和美は、仁美の大人の裸体を見て一気に頭に血が上る!
ドクドクと脈打つ音が聞こえるくらいに、性的に興奮していた。
仁美も和美のトロンとした顔を見て、互いを見つめ合い性的に興奮していた。
仁美は和美が欲しい!と、心臓がバクバクだった。
だが、ここはやっぱり仁美である。
恥ずかしさから照れ隠しに、おどけて見せるのだった。
わざと、艶かしいポーズを取るのだった。
「ど、どう? この俺の、ナイスなバディーわ? うぅん?」
「・・・また、そんな事を言って! 襲っちゃいますよ?」
「ふふん! 女やのに? そんな事、できへんくせに」
「・・・ほ、本当に、い、いいんですか?」
「ふふふ できるものなら、やってみぃ~~~」
「!・・・」
「あ・・・ごめん(汗)」
「・・・・・・(照)」
また仁美は、和美をからかう。
そのすぐ後に、『あ、しまった!』とは思ったが後の祭り。
仁美は、肩に掛けたバスタオルをパタパタして、恥ずかしさと性的に興奮してのぼせ上がった身体を冷やしている。
しかし、和美にじぃ~っと見詰められると恥ずかしさがカンスト状態となり居た堪れなくなり、思わず俯いてしまう。
でも、そろそろ服を着ないといけないと思っていた時だった。
「仁美さん」
「ふぅん? なんな、かず・・・」
ドッ!
「わっ!」
ドテッ!
「きゃふっ!・・・ん?・・・え?」
「・・・・・・」
「・・・か、和美?」
和美は、仁美を押し倒していた。
仁美は、和美に肩を畳に押さえ付けられ、目をまん丸にして鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてキョトンとしていた。
和美は、仁美の『できるものなら、やってみ』の言葉を仁美がOKしてくれたのだと解釈し、仁美の唇を奪う!
だがこの時の仁美は、抵抗はしなかった。
和美は目にも止まらぬ早さで服を脱ぎ、あっという間に真っ裸になる!
そして和美は、仁美の唇から首筋へ、首筋から乳房へ、そしてヘソへ、秘部へと移り愛撫する。
仁美は、自分の口を両手で押さえて、喘ぎ声が漏れないように必死に我慢する。
そしてやがて2人は、互いが互いの秘部を愛撫し・・・
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
仁美は、和美の舌だけで果てた・・・
「はぁ⋯はぁ⋯はぁ⋯⋯か、和美⋯凄かったぁ⋯」
「そうですか・・・それは、良かったですね
でも僕は不完全燃焼と言うか、消化不良と言うか・・・」
「・・・ええ?・・・(汗)」
そう言えば、そうだった・・・
仁美は、自分ばかり感じてしまって、和美には身を任せるばかりだった。
これじゃあ、和美は不完全燃焼するのも無理は無い。
そして、その時・・・
「もし、男に戻れたなら、どんなに良かっただろう・・・」
「!!・・・」
和美は、そうボソッと呟いた。
仁美は和美のその言葉に、グサッ!と胸に杭を刺される思いだった。
「・・・すまん」
「い、いえ! 仁美さんが悪い訳ではありませんよ!
それに、仁美さんを責めている訳でもありませんから!
あの時は、仕方が無かった・・・
逆の立場だったなら、僕も同じ事をしたはずですからね」
「・・・すまん・・・すまん・・・」
「・・・?! 仁美・・・さん? 泣いてるんですか?」
「えうふっ・・・ごめん・・・ごめんな和美・・・(泣)」
「仁美さん・・・」
あの事故の時に和美が大怪我をして死にかけていた。
だから、『女装役剤』を使うのは仕方が無かった。
でも、そのお陰で和美は命が助かったのだが、結局男を捨てる事になってしまった。
もし、落ち着いていたなら・・・
『女装役剤1day』を選んでいたなら・・・
仁美は今でも、和美に対して申し訳ないと思っていた。
それに今思えば、仁美は男の頃の和美を女性として愛していたのだと思う。
あの事故さえなければ、仁美は今頃 和美と・・・
「ひっく!・・・ごめぇん! 和美ごめぇん!!」
「仁美さん! どうか泣かないで!」
「ごめんよぉ~~~! うわあぁあぁあぁ~~~ん!」
「仁美さぁん!!」
仁美は、とうとう泣き出してしまった。
和美は、そんな仁美を力いっぱい抱き締めた。
そしてまた、仁美の唇と自分の唇とを重ねた。
結局、仁美が泣き止んだのは、11時前だった。
和美が女になってしまった事に、仁美は今でも自分のせいだと自分を責めていたのを和美は知ったのだった。
普段は何も考えていないような、悩みの一つも無い振りして、毎日バカばかり言ってはいるが、本当は和美に対して負い目を背負っていたのだ。
「・・・すん・・・すん・・・」
「仁美さん、そろそろ服を着ないと」
「うん・・・へっ・・・へぶしっ!! じゅるる」
「ほぉら! また風邪ひいちゃいますよ?」
「えう・・・ぐじゅるる」
「ほらほら! 鼻水が出てますよ!
もう、本当にだらしないんだから・・・って、え?」
「・・・和美 好き」
「えっ?!・・・えええええ~~~?!」
仁美は、真っ裸なまま和美に抱き着いていた。
そして、和美に『好き』と言ったのだった。
それは、今の仁美の本当の気持ちだった。
「ひと、仁美さん? そ、それって・・・?」
「俺・・・和美が好きや! 大好きなんよお!」
「仁美さん・・・」
「もうアカンのじゃよぉ~~~!
和美無しじゃ、アカンのじゃよぉ~~~!
和美じゃないとぉ~~~! 和美じゃないとぉ~~~!」
もう仁美の顔は、涙と鼻水とヨダレで、ビシャビシャだった。
「!!・・・ふふふ 熱烈ですね? 僕もです!
僕も、仁美さんが大好きです♡」
「うん・・・ありがとう・・・ぐじゅるる・・・
へっ・・・へぶっ!・・・へあっぷしっ!!」
「ぶっ!! いやあ━━━っ!! 鼻水が顔にっ!!」
「あ、ごめぇん! ひゃっひゃっひゃっ♪」
「ひゃっひゃっひゃっじゃ、ないですよお!」
「あははっ ごめんして? ぐじゅる」
「まったくもぉ~~~しょうがないですねぇ~~~
はら、はやく服を着てください!
また、風邪をひいちゃいますよ?」
「えぅ・・・ぶぶう━━━っ!!」
「んもお・・・(汗)」
仁美は、テイッシュで鼻をかむ。
何度も鼻をかむもんだから、仁美の鼻はサンタのように真っ赤になっていた。
「へあっ・・・へっ・・・へあっぶしょん!!」
「ああーもお!! 結局 湯冷めしているじゃないですかあ!!
もう一度、お風呂に入って来なさい!!」
「・・・はう(汗)」
「ちゃんと肩まで浸かって100を数え終わるまでは、出ちゃダメですからね!」
「・・・はぁう(汗)」
結局仁美は、もう一度お風呂に入る羽目になるのだった。
仁美は、まるで母親に叱られた子供の様に、トボトボとお風呂場へと向かうのだった。
この時には、仁美の身体は少女へと戻っていた。
だが和美は、嬉しさでニヨニヨしていた。
仁美もまた、嬉しさでニヨニヨしていたのだった。
そしてこの時の仁美と和美のステータスの『称号』の【百合予備軍】が、【真性百合っ娘】へと変化していた。
そして実の所、ホノカと、マコと、ひぃちゃんと、サワサと、リョウは、そんな仁美と和美に気を使ってくれていたとは、仁美と和美は知らない・・・
そして、仁美がお風呂から出て。
「はは・・・2人とも真性百合っ娘か・・・
これは皮肉か、それとも運命なのか宿命なのか・・・」
「はぁん? なんか、ゆーたぁ?」
「いいえ! 別にぃ~~~」
「ふぅん・・・あっそ!」
「ふふふ・・・♡」
和美は、男には戻れなかったが、今は幸せだと感じていた。
とうとう『真性百合っ娘』になってしまった仁美と和美。
でも2人には、後悔も悲しみなども無かった。




