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女装剤  作者: 嬉々ゆう
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第85話 「ひとみちゃん⑯『男はきらいよ」』

なにがアイドルだ!

どんなにイケメンであろうと、男は大っ嫌いな仁美です。

『男は嫌いよ』

チャ~~~チャラララララ~~~♪


文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。




 ・⋯━☞日曜日午前7時☜━⋯・


 ••✼••アパート仁美の部屋••✼••



 ボソボソ・・・ボソボソボソボソ・・・


「うん? なんやあ?」


 ススッ・・・パサッ・・・トットットットッ・・・



 仁美は、アパートの外から、数人の聞き慣れない人達の声がする事に気付く。

 微かにしか聞こえない小さな声なのに、なぜだか目が覚めた。

 胸騒ぎがしたので、布団から起き上がり、眠い目を擦りながら玄関へ向かう仁美。

 妙に危機感を感じたので玄関先で立ち止まり、ちょっと考え込む。

 


『何人かの野郎達の声がする・・・

 下手に飛び出したりして、また変な男に絡まれたりせんやろか? 

 複数の男に絡まれたりでもしたら、それこそ恐怖で何もできへんかも・・・

 今の女の俺では、男の力で押さえ付けられたら、どうする事もできへん

 でも、俺より先にアパートの誰かが絡まれてたりでもしたら?』



「・・・・・・・・・」



 仁美は、意を決して外へ出てみた。



 ガサゴソ・・・カチン! カチャ⋯キィ・・・



 玄関の鍵とドアを開けて外に出てみた。

 そして外廊下の手摺に手を掛けて、ふと見下ろしてみた。

 なんだか物々しい雰囲気のワンボックスカー数台が、乱雑に輩止(やからど)めされていた。

 その車達のドアやハッチらが全て開けられ、何人もの見知らぬ男達がワラワラと勝手に我が物顔でアパートの敷地内を歩き回っていた。



「なんじゃコイツら?」


「ん? あっ! どうも、お騒がせして、すみませぇん!」


「?!・・・はあ・・・いえ」



 2階の外廊下から見下ろしていたら、下に居た奴らの1人の男が仁美に気付き、声を掛けてきた。

 思わず、生返事をしてしまったが、その男が声を発したのを合図かなように、下に居た奴らが一斉に仁美に視線を向けた!

 思わず、ギョッとして、そして直感的に『しまった!』と、思った。

 なんとなくだが、『面倒な事が起きそう』と思ったのだった。



「ほお? なかなか・・・」

「おお~可愛い」

「こんな()居たんだ」

「まだ女子高生?」

「中学生かも?」

「まさか?」

「男と一緒じゃね?」

「でもこのアパートって、独身女性専用じゃなかったっけ?」

「じゃあ入居者全員独身女性?」

「おお! サイコーじゃん!」

「夜這いレッツゴー!」

「いいねえ!」

「美味そう」


「・・・・・・コイツら(怒)」



『言わせておけば好き勝手言いくさってからに!

 お前ら全員、社会的に消したろか!!

 リオリオさんにお願いして・・・』


 と、思った。

 何処までも、他力本願な仁美だった。


 なんだか他にも好き勝手な事を言われていた気がするが、聞こえない振りをした。

 とにかく、面倒事は勘弁。


 だが・・・



「ちょっと、すみませんが、お話し聞かせてもらえませんか?」


「・・・ふん」


「ああ、ちょっと!!」


 パタン!・・・ジャララ・・・ガチャガチャ・・・



 仁美は、何も無かったかのように、部屋の中へ戻った。

 そして、玄関のドアに鍵を掛けた。

 そして念の為に、ドアチェーンも掛けておいた。


 なんなんだ、あの連中は?


 まるで、ドラマか何かの撮影スタッフのような感じだった。

 この付近で、何かの撮影でもするのだろうか?

 何にしても、色々と質問されても面倒だし、誰かが訪ねて来ても、完全無視しようと思った。 

 

 すると、不意にドアをノックされた。

 最初は、下の奴らかと思って身構えた!



 コンコンコン!


「?!・・・(汗)」


《仁美さん! 僕です! 和美です!》


「和美っ?!」


 ドタドタドタドタッ!



 仁美の部屋の前に来たのは和美だった。

 仁美は、慌ててドアを開ける。



 ジャララ・・・カチン! ガチャ!・・・


「早く入って!」


「はい!・・・」


 バタン! ガチャガチャ・・・ジャララ・・・


「はあ⋯はあ⋯はあ⋯⋯」


「だいじょぶか?」


「はい・・・(汗)」



 和美は、誰かに追われていたかのように慌てていた。

 そりゃあ、あれだけの数の野郎達だ。

 今の和美は女の子である。

 恐怖を感じるのは当たり前だ。

 


「なんなんやアイツら?」


「さあ?・・・でも、すぐには帰りそうもなさそうですよ?」


「・・・そうか」



 和美にも、下の奴らが何者なのかは分からないらしい。

 だとしたら、管理人をしているマコなら、何か知っているかも知れない?

 そう思って、マコに電話してみた。

 


「ちょっと、マコに電話してみるわ

 アイツやったら、何か知ってるかも知れへんし?」


「はい そうですね」


《ピッ・・・ピッ・・・ププッ・・・ププッ・・・

 プルルルルルルル・・・ブブッ!》



 マコは、すぐに電話に出た!

 しかし・・・



「あ、マコ? あのねぇ? 下に・・・」


《仁美さん! 助けてぇっ!!》


「へっ?!・・・」



 マコに、『下に沢山居る男達が何者か知らないか?』と聞こうと思ったら、マコから驚く言葉が・・・!



「は・・・はあっ!! どーした!?」


「えっ?!」


《ワイワイガヤガヤ・・・》


「なん?!・・・」



 電話越しに、何人かの男達の声が聞こえる!

 もう既に、マコの部屋にも何人かの男達が押し掛けているようだった!

 これはマズイ事になっているかも?!



「あん?! 部屋に誰か居るんか?!」


《困りますぅ! 私、何も聞いてませんから!》


「おいおい!! どーしたんじゃよ!?」


「マコさんが、どうかしたんですか?!」


「なんかあったみたいや!!

 下の奴らがマコの部屋に押しかけてるんかも?!」


「たっ・・・大変っ!!」


「行くぞっ!!」


「はいっ!!」


 ドタバタドタバタッ!!



 仁美と和美は、慌てて部屋から飛び出して、1階のマコの部屋に急いだ!

 だが、外にはまだ何人もの男達がワラワラと居て、2階から降りてきた仁美と和美に、獲物に群がる蟻の様に一斉に集まって来た!



「ちょっと、お話しを聞かせてくれますか?」


「邪魔やお前らっ! どけっ!!」


「どいてください!!」


「まあまあ、そう言わずに、ちょっとお話しを聞かせて欲しいだけですから」


「邪魔やって、ゆーてるやろ!!」


「いやっ! 手を離してください!!」


「ゴラァ!! お前ら女性相手に失礼やろ!!

 手ぇ離せよ! 警察呼ぶぞっ!!」


「ああ、これは失礼しました・・・実はですねえ・・・」


「だから、邪魔やってゆーてるやろがよ!! どけって!」


「はいはい 良い子ですから、大人しく話しを聞きなさい」


「痛っ! 痛いってよおい!! 離せっ!!

 その手ぇ離せっちゅーとるんじゃ! 泣かすぞワレゴラァ!」


「あはっ! なかなか威勢の良い()だねえ♪」


「くっ!・・・(怒)」



 ダメだ・・・全然マコの部屋に近付けない。

 大の男共に両腕を掴まれては、女の子の仁美や和美には、為す術がない。

 マコの部屋のドアは開けっぴろげられて、部屋の中でマコが何人もの男達に囲まれ質問攻めにされている様子だった。

 仁美はマコを助けに行きたいのに、外に居た連中に囲まれてしまい、まったく身動きすらできなかった。


 そんなゴチャゴチャした騒ぎが数分続き、困った顔した責任者っぽい男が、黒い高級車に向かって歩き出し、車の窓越しにゴニョニョと話していたら、その高級車から周囲の男達とは違った雰囲気の、スラリとした背の高い優男が出て来た。

 そして、その優男は、仁美に向かって歩いて来て、他の連中は、その優男の進路を開けるように両サイドへ避ける。


『なんやコイツ? エラいさんか?

 いや、たぶん・・・テレビで見た事が・・・』



 そう。 仁美にはその優男の顔に見覚えがあった。



「やあ、可憐なお嬢さん お騒がせして申し訳ない」


「?!・・・なんじゃいお前は?

 ・・・あん? お前の顔・・・どっかで・・・?」


「あれ? 気付きました?」


「・・・はっ!」


「仁美さん ソイツ、今大人気の男性アイドルグループのリーダー福原(フクハラ) 海翔(カイト)ですよ!」


「!・・・ああ・・・なるほど」



 そう。 和美の言うように、ソイツは今人気絶頂の男子アイドル、名前は『福原(フクハラ) 海翔(カイト)』という名の『キラメン組』という名のグループのリーダーだった。

 何がキラメンじゃ? ダッサイ名前やな!

 確かに、仁美から見ても、ソイツはイケメンではあった。

 だからどうした?

 仁美は、たとえイケメンであろうと、男は大っっっ嫌いなのだ。

 仁美は、身体は女の子だが、心はアラサーのオッサンである。


 なるほど。そういう事か・・・。

 ならば、他の野郎達は、なんらかの撮影スタッフ達なのだなと、仁美と和美は理解した。



「ふぅん・・・君、可愛いね! 震えているね

 緊張しているの? ふふっ、大丈夫?

 名前は? 年は幾つ?」


「うっぷ・・・うえぇ・・・気色悪い・・・(震)」


「・・・?」



『緊張しているのではありません!!

 生理的に野郎が受け付けなくて気持ち悪くて震えているのですう!!』


 と、心の中で叫ぶ仁美。


 確かにカイトは、仁美が見てもイケメンの分類の属性だとは思う。

 顔小さいし、逆三角形な体型だし、足長いし。

 普通の女の子なら、ここで落ちるのだろうか?

 だが、元筋肉ムキムキ・・・(以下省略)で男嫌いな仁美にとっては、カイトの言動が一々気色悪くて、顔を近付けられるとカイトの息臭い息が顔にかかり思わず顔を背けたくなるし、吐き気がして胸焼けがするし、ゲップが出そうになるし、鳥肌モノで全身を掻きむしりたくなるし、全身の皮膚の内側に虫が這いずり回るような超不快な感覚が走る!

 カイトのドアップな顔を見るだけでも、全身鳥肌モノだ!

 これを、『虫唾が走る』と言うのだろうか。

 嫌で嫌で吐き気がするほど気持ち悪くて仕方がない。

 なにせカイトは、仁美の顎を指でクイッと持ち上げ、ジト目で顔を近付けてくるのだ。

 もう、気持ち悪さはカンスト寸前!!

 胃袋を締め付け持ち上げられるような不快感が、一気に膨れ上がってくる!

 イケメン性逆流性食道炎だろうか?(なんだそりゃ?)

 目がショボショボする。男性疲労か?(眼精疲労?)

 治療費を請求したいくらいだ。



「ねえ、ちょっと頼みたい事があるんだけど、このアパートの管理人さんを説得してくれない?」


「いやっ! やめろ! 離せ気持ち悪い!! 顔を近付けるな!」


「え? 何だって?」


 ドンッ!


「うっ!・・・」


「い”や”あ”あ”あ”あ”~~~!! 近づかないでぇ!!」


「えっ?!・・・・・・」



 仁美は、アンデット系モンスターでも見たかの様に、カイトを力いっぱい両手で押し退けた!!

 仁美がそんな態度を取ったものだから、カイトは思考停止したかのように、目が点になっていた。

 おそらく、仁美のような対応をされたのは初めてだったのだろう。

 思いがけない仁美の反応だったからか、カイトからは驚きと戸惑いを感じた。

 カイトはきっと、仁美が自分のイケメンぶりに、トロ~ンとなって、顔を赤くして、『はい』と二つ返事で自分の頼みを聞いてくれると思っていたのだ。


 他の女の子達のように。


 ところが仁美は、カイトを完全に拒絶!

 仁美の言動もそうだが、和美も似たような反応だった!

 今現在超人気アイドル福原 海翔は、女性からこれほどまでに拒絶されたり、また汚物を見るような顔をされたのは初めてだった。

 それも仕方がないこと。

 仁美は、元は全身筋肉ムキムキ日焼け真っ黒黒助黒光り脳筋バカのアラサー独身大男のこの野郎だったので、女の子になった今でも男が大嫌いなのである。(仁美に限った事です)

 仁美の態度と投げ付けられた言葉に理解できないカイトの思考回路内では、『エラー!理解不能!エラー!理解不能!エラー!理解不能!』と、脳内アナウンス連呼していて、前例の無い反応に身体はフリーズしていた!

 しばらく、フリーズしていたカイトだが、仁美の態度と投げ付けられた言葉を、カイトの思考回路内にフォルダ化された『女子の好反応データ内』で必死に非常時バグ改善的模範回答を検索していたが、何一つとして見付けることはできなかった。(?)

 だが、これだけでは終わらなかった。


 そして更に・・・

 


「そ・・・それは申し訳なかったね・・・(汗)

 それで? そちらのお嬢さんは、僕のことは知ってるよね?」



 カイトは、仁美がダメならと、隣に居た和美に聞いてみた。

 そして和美からの、希望通りの返答を期待した。

 が・・・



「やめてください! 気持ち悪い! それ以上近付かないで!!」


「は?・・・今、なんて・・・」


「うわっ! いやだっ!!

 気持ち悪いから、近付かないでって言ってるんですう!!

 うえぇぇっ! 吐きそう! 嫌い嫌い男大っっ嫌いよぉ!!」


「!!・・・・・・・・・il||li_| ̄|○ il||li」



 やっと仁美と和美が言う言葉を完璧に理解したカイト。

 カイトの目はみるみるうちに、死んだ魚のようなビー玉に変わっていく。

 カイトの思考回路内では、エラー発生時のビープ音が鳴り響く。

 そしてとうとう、思考回路をシャットダウン!


 カイト、女の子相手に初の撃沈・・・


 呆けてフリーズしているカイトを他所に、仁美と和美はマコの部屋へ急ぐ!!




 ・⋯━☞マコの部屋の前☜━⋯・



「ちょっとアンタら、何をしてんの!!」


「なんなんですか、あなた方は!!」


「いやあ、突然すみませぇん

 実は、福原 海翔主演のドラマ撮影のため、このアパートを撮影場所として最もイメージに合うと言う事でしてね?

 突然ではありますが、今から撮影に入りたいので、このアパートの管理人さんに許可を得るために、お話しをさせて貰っていたんですよ」


「「今からあ?!」」



 突然ってあーた、ホント突然すぎるわ!

 しかもこのアパートの住民は、全員が女性である。

 昭和から平成にかけて人気のあったプライバシー皆無の突然アポ無し番組の『激突!隣の晩飯食わせろ!』じゃあるまいし、今日日そんなの許される訳が無い!

 仁美はとうとうブチ切れて、ホノカ、サワサ、リョウも呼んで、皆んなで撮影なんか絶対にさせるか!と、スッチャカメッチャカの大騒動に!!


 その後は、もう修羅場だった・・・


 スタッフ達は怒り出すし、暴言を吐く者も居たし、誰が通報したのか警察までやって来るし、何処から聞き付けてやって来たのか野次馬でごった返すしで、一時はアパート周辺が騒然となった。


 

『いや、怒っているのは、コッチなんですけど?』



 結局、仁美達は誰1人として撮影に対して許可を出さず、撮影機材は既にスタンバっていたのに、当然撮影は中止となった。(追い込んだ)

 やっと静かになって暫く経ってから、また撮影スタッフの関係者か何者かは知らないが、スーツ姿の身なりのビシッとした1人の男がやって来て、その男が訴えるだの何だのと言い出した。

 だが、いつの間にかリオリオが来ていて、男に向かってこう言った。



「そうかえ? では、トコトンやり合おうやないかぇ?

 お前さんは、私を誰だか知らないのかえ? ううん?

 お国の首相さえ縮こまるこの私を相手に、お前さん達も命知らずじゃわえ

 ま、せいぜい、覚悟しておくんじゃな!

 明日から、暖かい飯が食えるとは思うなよ?」



『リオリオさん、その発言ギリギリです・・・(汗)』



 と、リオリオが凄むと、男はようやくリオリオが誰なのか気付き、顔を真っ青にして、海底に揺れるチンアナゴのようにフラフラと揺れながら帰って行ったそうな。



 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・


 どうやらリオリオは、テレビ界やら、芸能界やら、政界やら、医療界やら、魔管保省やら、裏社会やら、秘密結社やらと顔が広いのは本当のようで、初代総理大臣も、リオリオのもとによく相談に訪れていたらしい。

『〇の国との〇〇は、百害あって一利なし』と助言したのもリオリオなんだそうだ。


 第二次世界大戦中でも、『この戦争を終わらせなければ、日本だけでなく世界(人類)が終わる』と、とある人物に助言したのもリオリオなんだとか。

 なにせ日本は、原〇を落とされたあと自ら戦争を終わらせたとなってはいるが、実は後日談がある。

 原〇よりも恐ろしい中〇子爆弾と、超高性能反重力長距離型爆撃機と、反重力ドローン型爆撃機の開発にも既に成功して、量産型の生産の準備も整っていたらしい。

 その頃には日本は既に数十機ものGPS軍事衛星が密かに宇宙空間に打ち上げられていて、インターネットも既に軍事目的で現在と遜色ないレベルで運営していたという。


 そればかりではなく、もっと恐ろしい『秘密兵器』があるという。

 人気ロボットアニメの、『起動戦士ガンガム』のようなものまで!

 それは当時の科学の概念を一変する革新的なものだった!

 現在のAIの前進となる当時の最新技術によって、戦えば戦うほど戦闘力が増すというもの。

 またその秘密兵器(ロボット)は、撃つ!斬る!殴る!蹴る!歩く!走る!飛ぶ!潜る!などの何でもござれで、水中や宇宙空間でも対応でき、大気圏突破能力もあると言われていて、月や火星にもその秘密兵器の研究開発製造基地が建設される計画まで出ていたという。

 その秘密兵器は身長140cm以上の体格なら、子供でも機体に搭乗して操作操縦できるという設計。

 また、専用操作用の現在で言うVRゴーグルで、まるでゲーム感覚で遠隔操作もできるんだとか。

 そんな、二足歩行型巨大人型兵器のプロトタイプが完成していたという。

 それだけではなく、空飛ぶ戦艦、つまり宇宙戦艦までも!

 それは、宇宙人の技術なのだとか。

 およそ80年前の日本に、既にこんな技術があったなんて・・・

 驚きを通り越して、恐怖しかない。

 そんな、バカなのか?と言いたくなるような事まで、リオリオは手を貸していたんだとか?

 最終的には、リオリオがお国の『大人の遊び』に関与する事が『精霊の倫理に反する』となると判明。

 そこでリオリオが突然沈黙し手を引いたことにより、全ての計画はポシャったらしいが。


 ※パラレルワールドの日本のお話しです。


 ・・・怖っ!


 今では、リオリオとは関係の無いヤバいモノが、日本のどこかの山奥と太平洋の海底のどこかに、中〇子爆弾と宇宙人の技術で開発した秘密兵器とを一緒に隠しているのだとか。

 また、その宇宙人の技術によって日本が開発した秘密兵器は、あと5000年は生きているとも云う。

 流石に宇宙人の技術なので、リオリオでは解放も封印もできないらしい。

 下手をしたら、これも精霊の倫理に反するからとか?

 良く解らないが、とにかくヤバい代物なのだそう。

 いやいや、たとえ解放できたとしても、触らないでね(汗)


 その話しをリオリオから直接聞いた時は、仁美達は震えた。

 あまりの恐ろしさに仁美達は、二度と思い出せないようにと、リオリオに記憶の隔離魔法を施してもらった。

 また、世界最古の日本の秘密結社弥太烏(ひみつけっしゃよたがらす)の幹部達なども、リオリオのもとへ相談に訪れていたというのは有名な話しらしい。


 どこまで顔が広んだ?


 もしかしたらリオリオこそが、この世界の真の支配者なのでは?

 もし今そう言われても、『なるほど』と、一言で信じてしまいそうだ。

 仁美達がそう言うと、リオリオは『んな訳があるか!』と一笑したが・・・

 仁美達は、心底からは笑えなかった。


 まあ、それはそれとして・・・



 ・・・・・・・・・

 ・・・・・・

 ・・・



 テレビ局とカイトの所属事務所は、そんなリオリオへ喧嘩を売ったんだ。

 どちらが象で、どちらが蟻なのか?

 どちらがクジラで、どちらがプランクトンなのか?

 きっと、思い知る事になるだろう。

 その後もリオリオが陰で動いてくれていたらしく、その後は仁美達には何も音沙汰もなく無事に何も起こらなかったが、忘れかけた頃にまた1人の男がアパートのマコの部屋へ菓子折を持ってフラッとやって来て、マコに向かって五体投地で謝罪したらしい。

 その時のその男は、気の毒なくらいに心ここに在らずで顔面蒼白でガタガタと震えていたとマコは言う。

 ちょっと可哀想な気もしたが、見てみたかった(笑)


 そして、例のアイドルの福原 海翔は、無期限で活動停止したと言うニュースが流れた。

 なんでも週刊誌では、女性関係トラブルで精神的に追い詰められて、カウンセリングを受けているとかいないとか。

 まあ、週刊誌というものは、ある事ない事を書くものだ。

 だが今回は、『女性関係トラブル』とは仁美達の事であり、ある意味間違いではないのか? 知らんけど。

 ある日都内の某所で、無精ヒゲを生やし、やつれて目の下に青黒いクマを飼ってる福原 海翔に似た人物が、ヘロヘロに伸びきったスウェット姿で街中を徘徊していたのを見たという記事がSNSに写真付きで投稿されたが、その姿は余りにも福原 海翔とは懸け離れていていて、それが本当にカイト本人なのかどうかは不明。

 カイトが復帰するのは、もうしばらく後になりそうだ。


 それにしても、リオリオの偉大さには底が知れない。

 それでもリオリオは、仁美達には、いつも通りのリオリオだった。

 嬉しいやら、恐れ多いやら、仁美達は複雑な心境だった。


 そして、今後もし身に危険を感じた時、仁美達に危害を加えようとする者や、敵意を剥き出しの者に対して、『電撃魔法』で相手を無力化させる護衛魔法をリオリオから習った。

 護衛、正当防衛の場合は、精霊の倫理には反しないらしい。


 もっと早く教えてよ・・・(汗)


 なんにせよ仁美達は、リオリオに対して一層信頼感が増したのだった。

 だが、この騒動の後、仁美達の住むアパートには、可愛い女の子達が住んでいるという噂が広まり、暇を持て余した野郎達がワラワラとやって来るようになってしまった。

 これでは平穏な暮らしどころか、仕事にだって影響しかねない。

 そんな時の、ある夜のことだった。




 ・⋯━☞ある日の深夜☜━⋯・


 ••✼••アパート・マコの部屋••✼••



 コンコンコン!


《失礼します⋯恐れ入ります⋯》


「!・・・こんな時間に・・・誰かな? はい!」


 カチャ!⋯キィ~~~


「はい?・・・!!」


「夜分に恐れ入ります・・・

 コチラは魔族も住むことのできるアパートだと噂に聞いたのですが」


「!・・・えっと~~~貴女は???(汗)」



 夜な夜なマコの部屋に現れたのは、めちゃくちゃ美人なノーライフ・クイーンだった。

 流石に一見した時は、ドキッ!として身構えたマコだったが、彼女のあまりの美しさに見惚れてしまうのだった。


 

「あの・・・もしもし?」


「へっ?・・・ああっ! ああ~~~はいはい!

 そうですよ? その認識で間違いありませんよ(照)」


「ほっ・・・良かった!

 あの、こんな夜中に突然押しかけて申し訳ありませんが、私もこのアパートで住まわせてもらえませんか?」


「はい! いいですよ?」


「・・・そうですか・・・そうですよね?

 いきなり夜中に訪れて、虫が良すぎる・・・って!

 ええええええ~~~?! いいんですか?!」


「ぷぷっ! はい、いいですよ? 歓迎します!」


「あ、ああ、あり、ありがとうございますぅ!!」



 と、こうしてアッサリと、不死王(不死女王?)ノーライフ・クイーンが新たにアパートの住民になったのだった。

 彼女は、1階の一番端っこの5号室に住むこととなった。

 てな訳で、このアパートには・・・

 1階は、1号室にマコとひぃちゃん、2号室にサワサ、3号室にリョウ、5号室にノーライフ・クイーン。

 そして2階では、6号室には和美、7号室に仁美、8号室にホノカ

、10号室にはリョウが住んでいる。

 アパート全室が埋まった事になる。

 

 マコは、ノーライフ・クイーンを部屋に招き入れた。



「よろしくお願いいたします

 わたしく、日本のノーライフ女王(クイーン)をやらせて頂いております、名前をマリー・タラバと申します」


「日本の?・・・タラバ? ぷっ・・・クスクス・・・」


「あの・・・どうかされましたか?」


「あ、いえいえっ! 失礼致しました!!」



 マコは、ノーライフ・クイーンの名前が、日本風であり、また西洋風でもあり、またまた『日本のノーライフ女王(クイーン)』というのも可笑しくて、思わず笑ってしまった。

 だとしたら、海外にも各国にノーライフキングだのクイーンだのが居るのだろうか?と考えてしまうマコだった。

 だがそんなことよりも、今現在このアパートでは、ある問題を抱えていた。



「それよりも先にお話しをしておかなければならない事柄がありまして・・・」


「それは・・・どのような?

 もしかして、やっぱりわたくしはこのアパートに住めない・・・とか?」


「いえいえ! そういう訳ではなくてですね(汗)

 実はこのアパートには、ある人為的な被害と言いますか、問題を抱えておりまして・・・」


「人為的な被害? それは、どのような?」


「実は・・・」



 マコは、今現在このアパートでは、独身女性だけが住める条件となっており、それがある事件により周囲に知れ渡り、野郎共が集まって来るようになってしまった事を話した。




「なるほど・・・では、わたくしが防波堤になりましょう!」


「は? ぼーはてー???」


「はい! わたくしが、貴女達を必ずお守りしましょう!」


「はい? 守る? ぼーはてー? それは、どうやって?」


「はい! それは、あれこれそれどれ、かくかくしかじか・・・」



 マリーが言うには、マリーがアパートの裏手の霊園に住む幽霊として、夜な夜なこのアパートにやって来るという設定で、集まって来る野郎共を怖がらせてやろうと言うもの。

 まあ、単純な発想だが、マコは面白いと思った。

 なにせ、ノーライフ・クイーンとは、お化けに近い存在かも?


 そしてマリーは、300歳くらい?だという。

 『くらい?』とは、マリー自身も自分の年齢がよく分からないそうだ。

 300年前と言えば、江戸は徳川吉宗の時代か。

 マリーは、気が付いたら何時の頃からか日本中を津々浦々歩く旅をしていたそうな。

 ただ、これと言った得意とする事柄が無く、人を怖がらせる事しか何もできないんだとか。

 マリーを見たら皆んな逃げてくんだから、しょーがない!

 できる事と言えば、『非物質化』だそうだ。

 つまりは、物質的な身体から、非物質的な存在に変化できるのだそうだ。

 なので、普通に人と同じように物理的な行動もできるし、非物質化すれば壁もすり抜けられるし、空も飛べるし、瞬間移動もできるんだとか。

 人で言えば、『体外離脱』みたいなものか? 何か違うか。

 また、対象とする物を物質化と非物質化を融合化し、重さや大きさに関係なく物や人を持って空を飛ぶ事も可能とか。


 いや、普通に、いやいや、めっちゃ凄いし・・・


 むかしむかし、今からおよそ200年ほど前に、茨城県の海岸に美しい女性の乗ったUFOのような円盤が漂着したという伝説がある。

 実は円盤とは、マリーが日本へ来るときに外国(国は不明)から空を飛んで運んで来た物で、たまたま海の上で円盤の中に入り休んでいたら、日本の茨城県の海岸に流されてしまったんだとか。


 何してんですか?


 その頃から日本に住み着き後に、名前も『マリー・タバラ』と名乗るようになったとか。

『マリー』とは、マリーが円盤を持って空を飛んでいたら、『空飛ぶ手毬』として大騒ぎになったらしく、それを人々が地上から見ると『手毬(てまり)』に見えたと言うので名前を『マリー』に。

『タラバ』とは、ただ単にタラバガニが美味しかったからだそうだ。


 工夫が無いと言うか単純だな・・・それでいいのか?(汗)


 そして20年ほど前に、この和歌山に定住。

 誰もが察したとは思うが、住処はこのアパートの裏手の霊園である。

 元々引っ込み思案な性格。

 今の今まで、このアパートに住むようになった住民に、なかなか声をかける勇気が無かったとのこと。


 とにかくマコは、マリーの案に大賛成!



「面白そうですね! では、それで お願いできますか?」


「はいいいっ!!」



 こうしてマリーは、夜な夜なアパートの裏手の霊園から、フワフワと宙に浮き揺れながらアパートへやって来るようになる。  

 実演してみたマリーを見た仁美達は、皆んなして一瞬でフリーズ!!

 そんな彼女の姿は、マリーだとは解ってはいても、それはそれはオシッコをチビりそうなくらいに、マジで怖かった(震)



 ・⋯━☞とある夜中☜━⋯・


 ••✼••アパート仁美の部屋••✼••



《ぎゃあああああああああ~~~!》

《でたあああああああああ~~~!》

《ひゃあああああああああ~~~!》


「うっさいなぁ~~~アホ共が! 寝れやんやんか(怒)」



 こんな風に、夜中に野郎共の悲鳴が聞こえてくる夜が暫く続いたが、それも1ヶ月ほど続いて、ようやくそれも終わった。

 かつてはこのアパートはボロボロで、『お化け屋敷』とまで言われていたが、またその呼び名が復活。

 首なし女が出るとか、西洋風の女幽霊が出るとか噂が広まって、また人が寄り付かなくはなったが、またまた心霊スポットとして有名になり、時々馬鹿者達が・・・いや、時々若者達が怖いもの見たさで心霊スポット巡りで来るくらいだ。

 どんな噂が飛び交おうと、静かになれば何でもいい。 

 まあ、幽霊が出ると言うのは、ある意味本当だがな。


 そして言い忘れたが、仁美達の住むこのアパートの名前は、『めぞん・刻一刻(こくいっこく)』という。

 むかしの、人気恋愛アニメのタイトルに激似しているが、アパートの外見はまったく違うし、住む人間は1人も居らず。

 住んでるのは元男の女性魔法使い達と、ホムンクルスの女の子魔族と、元男の女性魔法使いの元カノ女性魔法使い(ややこしい)と、魔族の女性と、女幽霊ときたもんだ。

 なんとも、ヘンテコリンなアパートだとこ!


 アパートの名前の由来は、謎である。

 マコの部屋(1号室)に地下倉庫が有るのをマコが発見し、マコと仁美達が調べた結果、古びた看板らしき物が出てきて、それには、『めぞん・刻一刻』と書かれていた。


 仁美が住む前は誰1人住む者は居らずでボロボロで、『このまま誰も住まないのなら解体する』と、予定されていたという。

 ところが、ある日フラッとやって来て住み始めたのが、当時筋肉ムキムキ⋯(以下省略)独身野郎の仁美だった。

 その頃にはアパートに看板などは当然無かった。

 仁美も、ただ普通に『アパート』と呼んでいた。

 なにせ仁美は、このアパートに住むようになったのは、たまたま安物件を探していてアパート前を通りかかった時に、当時はアパートの管理人さんがたまたま居たので、その管理人さんとその場で賃貸契約を結んだのだ。

 実は、その管理人こそ、リオリオだったのだ。

 賃貸管理業者などには行っていない。

 当時の仁美は、まさかその管理人がリオリオだったなんて知る由もないし、未だに気付いていない。

 実は仁美は、女になる前から、リオリオと出会っていたのだ。


 その後に、新しくマコが看板を設置したが、今でも仁美達は、『めぞん・刻一刻』などとは呼ばず、『アパート』と呼んでいる。


 そんなので、今までよく郵便物などが届いていたな・・・

 日本の郵便屋さん、運送業者さん、流石っす!

 人は1人も住まないアパート。

 住んでいるのは女性魔法使い達と、女の子ホムンクルス魔族と、女性魔族と、幽霊との、不思議な組み合わせな、そして男を寄せ付けない、なんとも奇妙な住民が住むアパートとなったのだった。



能面、覆面、彼イケメン? OK?

リオリオ、色々と怖いです・・・

最初の設定よりも、人格変わってしまいました(汗)

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