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女装剤  作者: 嬉々ゆう
84/91

第83話 「ひとみちゃん⑭『男は嫌いよ』」

男は、男とは、男なら・・・無理!


文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。



 ・⋯━☞金曜日の夜10時過ぎ☜━⋯・


 ••✼••アパート仁美の部屋••✼••



「きゃあああああ~~~可愛い~~~!!」


「どおうっ!!・・・ぐるじぃ~~~(汗)」


「ひぃちゃんもお! ひぃちゃんもお~~~!!」



 仁美は今、サワサが作った冬用のピンク色のパーカーを試着していた。

 ただ、そのパーカーのフードは普通のパーカーよりも大きく、しかもクマの耳のような丸く大きな耳が付いていた。

 少し動くだけでも、その耳がピコピコ動くようにもしてあるらしい。

 それに、パーカー自体も仁美の身体よりもわざと一回り大きく作っていて、仁美がより小さく可愛く見える意図があるのだとサワサは言う。

 肩も裾も袖もガバガバで、裾は膝上10センチほどにまで長く作っていて、袖は手が完全に隠れるほどに長く作られている。

 そんなパーカーを着た仁美だが、みんなが騒ぐほどに確かに可愛かった。

 みんな順番に仁美を抱きしめたり、スマホで写真を撮ったりと、まるで『コスプレ撮影会』・・・と言うより、『仁美を愛でる会』のようだった。



「これは思ったとおり、仁美さんにピッタリでしたねえ!」


「え”っ?・・・そうかなぁ・・・(恥)」


「うん! 流石はサワサさん!」


「えへへ ありがとうございます~~~

 でも、この他にもウサギもあるんですよお?」


「「「へあはあっ!!??

 ウサギもあるだとぉおぉおぉおぉおぉ~~~?!」」」


「ひゃあっ!! 怖いんやけどお前らっ(怖)」



 和美とマコとホノカは、とぉっっっても低い声でハモった。



「仁美っ!! 今すぐウサギに着替えてっっっ!!」 


「はあっ?! 嫌じゃよおっ!!」


「嫌っ?!・・・そんな・・・私の・・・ウサギさん・・・

 そん・・・なに・・・だ、ダメでしたか?」


「「「ぁああああああ~~~!!

 サワサさんを、泣かしたぁ~~~!!」」」


「ちょちょちょおっ!! おいおいおいっ!! 迫って来るな!

 ってか、サワサさん! 首だけで近付くのは怖いからやめてえ!!」


「仁美さんが、怖いって言った~~~(泣)」


「ええええ~~~?! んもおおおおお~~~!!

 どないせぇ━━━っちゅ~~~んなよぉ~~~(泣)」



 仁美は、サワサが嘘泣きをしている事を知っていた。


 

『これやから女の子って・・・ってか今の俺も女の子やけど』



 なんて思いながら、サワサの作ったウサギのパーカーを着ようか着まいか悩んでいた。

 今、ウサギのパーカーを着たら、きっとその次もあるはず。

 だから、ここで強く止めておけば、もう着なくても済むとは思うのだが、女の子達の機嫌を損ねるのは得策ではない・・・

 さて、どうしたものか。



「で、でもよお~~~ウサギって、いかにも女の子って感じやん?

 まだクマは、着れたけどよお~~~

 そんな、女の子女の子した腹なんか着れやんよお~~~」


「何ゆーてんの! 仁美も女の子やろ━━━っ!!」


「そっ、そうやけどよお~~~(汗)」


「仁美い━━━っ!!」


 ドン!!


「きゃあっ!! な、なん、なんなんじゃよ?!」



 ホノカの壁ドン!!

 今の仁美は、ホノカよりも背が低かった。



「女の子を泣かせたらアカンやろお!!」


「ちょっと待てっ!! その言い方はおかしいやろ!?」


「あ”あ”ん?」


「いや、だからその、今の俺も女の子なんですけどお?!」


「うっさい黙れっ!!」


「きゃいん!」


「問答無用!!」


「きゃいん!」


「今こそが年貢の納め時ぃっ!!」


「きゃいん!」


「仁美ちゃん、めっ!!」


「きゃい~~~ん!」



 仁美は、皆に責められる度に『きゃいん!』と鳴いて小さく縮こまった。

 仁美は『猫派』なのに、なぜ『きゃいん』なのだろうか。(どうでもいいわ)


 結局その後も、ウサギさんに、ネコさんに、イヌさんに、キツネさん、タヌキさん、シカさん、カピパラさん、ラマさん、カエル、クジラ、マンボウ、カニ、イセエビ、ヒラメ、イカ、タコ、クラゲ、ウニ、ハリセンボン、イソギンチャク、チューブワーム、カセイジンの着ぐるみ・・・もとい、パーカーを着せられた。


 よくもまあ、そんなに仰山(ぎょうさん)作ったわね・・・(汗)

 カネモのやる事は、ホンマよぉ解らんわ。



 ※サワサは魔族なので、まる3日くらい寝なくても平気です。



 ちょっと待て! ウニ? イソギンチャク? チューブワーム?

 それの何処に可愛い要素があんのよ?!

 ・・・カセイジンってなに? なんでタコみたいなん?

 なんか、インベーダーみたい(古)

 確か、100年以上前のイギリスのSF作家の何とかって人の『宇宙大戦争』という小説に登場する火星人が、タコみたいな姿だった。


 んな事はどうでもええわよっ!!


 仁美は皆んなから着せ替え人形にされて、写真撮られまくって、勝手にSNSに投稿されたのだが、なぜか『カセイジン』も可愛いと大反響だったのが納得いかない・・・(汗)

 なにせ仁美は、足が多い生き物が苦手である。

 なので『蟹や蜘蛛』は、大の苦手である。

 だが、『カニカマ』は食べられる。(意味不明)

 でも意外にも、ウニ、イソギンチャク、チューブワームにも、少数ながらも『いいね!』が付いたのには訳ワカメだった。

 もちろん他の皆んなも、パーカーを着た写真を投稿したのだが、やはり1番反響があったのは、ひぃちゃんだった。


 負けた・・・でも、嬉しい♡

 やっぱり、ひぃちゃんは世界一!! ふんす!


 サワサは、『動画も投稿したい!』と言ってきたが、それはお腹いっぱい胸いっぱいのもう勘弁で全力で拒否した!

 でも最後には、また最初のピンク色のクマさんのパーカーに落ち着いたのだった。



 仁美は、ペタン!と女の子座りでへたり込む。



「だはあ━━━っ! 疲れたぁ~~~(汗)」


「仁美さん、お疲れ様ぁ~~~」


「ホンマによ!!」


「「「「・・・・・・(照)」」」」


「・・・なんなよ!! 何か言えっ!!」


「仁美さん? その、クマさんの可愛いパーカーを着まんまで顔を真っ赤にして瞳に涙を浮かべて怒った顔をされてもですねぇ、余計に可愛くて愛おしくて思わず抱きしめたくなるんですけど・・・(照)」


「へあっ?!」


「じゃあ次は、仁美ちゃん抱きしめ頬ずりフェスティバルする?」


「「さんせ━━━いっ!!」」


「お願いやから、もう勘弁してえっ!!」


「「「「・・・・・・・・・・・・(照)」」」」



 やっぱり仁美は、ピンク色のクマさんのパーカーを着た方が、1番似合ってて可愛かった。

 だが仁美は、恥ずかしさと、これじゃない感に、打ちのめされていた。



「こんなはずじゃ・・・こんな・・・こんな・・・

 俺は、筋肉ムキムキやったのに・・・(震)」


「ケモ耳仁美ちゃんやろ?」


「がああああああ~~~~~~ん!!」



 仁美は、涙で畳を濡らすのだった・・・

 今度こそ仁美は、色んな意味で、完全に打ちのめされた。



「あるるぇえ? ホノカさんダメですってばあ!

 仁美さんを崖っぷちから突き落としちゃあ!」


「うぅん! そんな事ない! だって、そうやろ?

 もうそろそろいい加減に、自分が女の子やと自覚して生きていく覚悟を決めやんと!

 魔法使いの一生は、女の子の時期が人の一生よりも、ずっとずうーっと長いんやから!」


「それはそうですけど・・・(汗)」


「あらら・・・仁美、完璧にプッツンいってるわ・・・」


「仁美ちゃん、踏んだり蹴ったり!」


「「「ぷぷうっ!!・・・」」」


「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」



 仁美・・・不貞寝。


 だが仁美は、皆んなからこんな扱いをされ続けなぎらも、少しずつ自覚していくのだった。

 魔法使いとして。そして、女の子として。




 ・⋯━☞次の日土曜朝6時☜━⋯・


 ••✼••アパート仁美の部屋••✼••



「ん・・・ふぅん?」


 ゴソゴソ・・・



 仁美は、珍しく自分で目が覚めた。

 まだ和美が起こしに来ていないところを見ると、まだ8時にはなっていない。

 和美が買ってくれた、アニメチックなゴリラの目覚まし時計を見ると、チョッキシ6時。

(『チョッキシ』とは和歌山弁で『ピッタリ』の意味)

 土曜の朝に何時もよりも早く目が覚めると、得したような、損したような。(仁美的主観)

 

 とにかく、せっかく目が覚めたのだから、朝の支度をする。

 布団を畳んで、クローゼット(本当は押し入れ)に押し込み、トイレに、洗面に、和美がセットしてくれた洗ったお米を炊飯器に仕込んでスイッチを入れる。

 そして、和美が買ってくれた、即席味噌汁を用意して、ヤカンでお湯を沸かす。

 和美が作ってくれた、昨夜食べ損ねた餃子を電子レンジでチンする。

 和美が買ってくれた、ティーパックの緑茶と、急須と、湯飲み茶碗を用意する。

 あっ! 箸忘れてた!

 和美が買ってくれた、ピンク色の箸を用意する。



「なんか、和美、和美、和美、ばっかりやな?

 なんで和美は、俺の物を買う時、必ず『ピンク色』を選ぶんかいな?

 俺って、そんなに『ピンク色』がイメージカラーなんか?」



 こうやって見てみると、改めて和美にどれだけ頼りっきりな生活をしていたのかを自覚する。



「これって、自分で生活できてるって言えるんかいな?」



 ・・・たぶん、今ここに居ない筈の和美の存在が大きい。

 すぐ隣の部屋に和美が居るのは判ってるのに、今自分が居る空間に和美が居ないのが、すごく寂しくて堪らない。

 これはやはり、ホノカの言うように、自分が和美無しではダメな男に・・・女になってしまう?


 そんな事を考えていたら・・・



 ブシュシュッ! ジュジュジュウ~~~!!


「へあっ?!」


 ドタドタドタドタッ! パチン!


「ふう・・・」



 ヤカンのお湯が沸いて、湯が吹き出してしまい、慌てて火を消す。

 和美なら、こんな凡ミスしないはず。

 だって、和美がヤカンの湯を吹き出させた所なんて見た事がない。

 和美は、仁美から見ると、嫉妬するくらい完璧人間。いや魔法使い。

 だからと言って仁美は、和美みたいに完璧になりたい・・・などとは思わない。

 少しくらい、和美が良くできて、自分が少しできない。

 それくらいの距離感が、なんとなく心地良い。

 でも、いつも柔らかい笑顔で、何でもしてくれる和美の顔を思い出すと、酷く申し訳なく感じてくる。



 ガサゴソ・・・コッコッ! カチャ⋯キィ・・・パタン!



 気が付いたら、部屋を飛び出して走っていた。

 和美が買ってくれたピンク色のパジャマのまんまで。


 思い起こせば、男の頃はこの道を毎朝走ってたな。


 アパートを出て、4キロ先にあるコンビニで食パンと牛乳を買って、またアパートまで走って帰って来るだけの簡単なコース。

 買い物する時間を入れて、1時間以上はかかっていた。

 片道走って30分コースと言ったところか。

 スマホも持っていないし、腕時計などの時計も無い。

 とにかく、コンビニになら時計があるから、コンビニで時刻を確認しよう。


 やっとコンビニに着いたと思ったら、コンビニの時計は7時50分を指していた。

 

 あれ・・・?


 おそらく、家を出たのは、7時チョイ前くらい。

 コンビニまで走って来たのに、片道だけで50分くらいもかかってる?

 片道およそ4キロのこのコース。

 一般人の走る速さは、約10~12キロくらいだと言う。

 今の女の子の仁美の走る速さは、おそらく8キロくらい?

 だったら、30分ほどで着いてもおかしくないのに、50分もかかっていた。


 ・・・マジ? 遅すぎやろ?

 

 とにかく、アパートへ戻ろう。

 お金も持って来なかったし。何も買えん!

 でも、また50分近くも走るのかと思うと嫌になる。


 ってか、帰るだけなのだから、別に走らなくても良いのでは?



「ふふふ・・・あははっ・・・」



 そう思うと、また走って帰ろうと思ってた事にバカバカしくなって、1人で笑ってしまった。

 男だった頃の日課だったが、今の身体では流石に無理があると自覚する。

 さあ、帰ろう。

 まったく、何しにここまで来たんだか・・・

 なんて思っていたら、不意に声を掛けられた。



「おい!」


「うん?」


「お前さっき、俺を見て笑ってたやろ?」


「・・・?」



 コイツは、いったい何を言っているのか?

 よく分からないので、とにかく無視して歩き出す。



「おいゴラァ! シカトしてんなよ!!」


「・・・」


「おいおい待てってよ!!」


 ガッ!・・・



 男は、仁美の肩を後ろから掴み、仁美を無理やり振り向かせる!



「痛っ! 何すんのよいきなり!!」


「お前さっき、俺を見て笑ってたやろがよ!」


「はあ? どんだけ自意識過剰なんやお前?」


「なんてよゴルルァ!!」


「きゃっ!」



 仁美は自分のしている事の無意味さに可笑しくなって笑っただけ。

 だが男は、自分が仁美に笑われたと思ったらしい。

 仁美は、他人様の容姿をバカにしたり笑ったりなど絶対にしない。

 だが、笑われたと勘違いした男は気が収まらない様子。

 コンビニを出たところだったので、コンビニの中の店員や客達にも男の荒らげた声が聞こえたのか、面倒くさそうな、迷惑そうな顔をするが、誰1人として止めに入る者は居ない。

 


「チッ! 面倒臭いな・・・(怒)」


「なんてよおい!」



 男は、バカなのか、それともイキがってるだけなのか、女の子の仁美相手に吠え続ける。

 男の見てくれは、仁美よりも少し歳上くらいか。

 ってかよく見たら、ソイツは仁美が男だった頃からこのコンビニでよく見る男で、噂では奥さんにばかり働かせて、自分は酒浸りで仕事もしないで、『世間が悪い』だの、『俺は優秀』だのと、コンビニに来ているお客さん達にもクダを巻いては度々お巡りさんのお世話になってる奴で、仁美にも何度も絡んで来た奴だった。

 どうやら仁美が誰なのか気付いていないようだ。

 分かる訳がないか。

 今の仁美は、筋肉モリモリ・マッチョマン・アラサー野郎ではない。

 男だった頃の仁美だったなら、男は目も合わさなかったのに、女の子になった今の仁美を、完全に見下し舐めている。

 休日だからか、こんな朝っぱらから今日も男の息は酒臭かった。



「うっ! オェッ・・・気持ち悪い・・・」


「あ”あ”ん?! なんてよこのアマァ!!」



 男の息の酒とタバコ臭さの気持ち悪さに堪らず、思わず口から出てしまった言葉だった。

 男は元々虫の居所が悪かったのか、しつこく仁美に絡んでくる。

 それでも仁美は、これ以上男を刺激しない方が良いと思い、ずっと黙っていたのだが、それがまた癇に障るのか、男はますますヒートアップ!



「なんとか言えよゴラァ! 言えってよお!

 人の顔見て笑いくさって!! 気持ち悪くて悪かったなあ!

 それでもお前に迷惑かけたかあ! あ”あ”ん?!」


 バタバタバタバタバタッ・・・


「いやっ⋯きゃっ⋯やっ⋯うっ⋯」



 男は、仁美のパジャマの襟元を掴んで、ブンブン振り回す!

 男の力には為す術なく、仁美はただ男の気が収まるのを待つしかない。



「許してくださいって言えよ!

 笑って申し訳ありませんって言えよ!

 言えってよおいゴラァ! 許さんけどなあ!!

 一発やらせてくれたら許しちゃら!! どうよ!!」


 バタバタバタバタバタッ・・・


「いやっ⋯きゃはっ⋯ひあっ⋯あふっ⋯」



 男の腕を振り解けなくて、今の自分の力の無さを痛感する。


 男の頃だったら、一本背負いでぶん投げてやるのに!

 男の頃だったら、片腕だけで振り払えるのに!

 男の頃だったら、メンチ切る(睨む)だけで追い払えたのに!

 男の頃だったら、男の頃だったら、男の頃だったら・・・


 この時、仁美にはただ絶望しかなかった。

 

 女の子の身体って、こんなにも力が無いなんて。

 男の背丈は、今の女の子の自分と、それほど変わらないのに。

 なんで自分がこんな目に遭わなければならないのか。

 ただ、コンビニまで来ただけなのに。

 変なことをしてしまった自分に笑っただけなのに。


 そして、どれくらいの時間を男に絡まれていただろう。

 男は疲れてしまったようで、ようやく仁美を解放してくれた。



 ドサッ!


「きゃふっ!」


「はあ⋯はあ⋯はあ⋯はあ⋯⋯⋯チッ!」


 タッタッタッタッタッ・・・


「ううう・・・」



 男は、仁美を突き飛ばすと、辺りをキョロキョロと見て人々の目に晒されている事に気付くと、慌てて逃げる様に立ち去った。

 すると、1人の若い男の子が心配して声をかけてくれた。



「だ、大丈夫?」


「うう・・・へあっ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・」


「起きれる? ほら、掴まって!」


「あぅぅ・・・」



 若い男の子は、仁美を起こしてくれた。

 見た目からして、まだ高校生くらいだろうか?

 


「怪我してない? どっか痛くない?」


「・・・だ、大丈夫ぅ・・・ありがとう」


「う、うぅん! ごめんな?

 俺、あのオッサンが怖くて、助けてあげられやんかった」


「ふうん・・・うぅん」



 男の子は、仁美に優しく話しかけてくれる。

 正直に、男が怖くて助けてあげられなかったと言ってくれた。

 それは、仕方ないと思う。首を振る仁美。

 普通なら誰だって、誰も傷付けたくないし、傷付きたくもない。

 怖くて何もできなかったとして、男の子を責めるつもりなどない。

 ただ、情けなくて、悲しくて、涙が出た。



「すん・・・すん・・・うっふ・・・」


「・・・大丈夫? 家まで送ってあげよっか?」


「うぅん 大丈夫 1人で帰れるから・・・」


「・・・そう? ほんじゃ・・・気をつけてな?」


「・・・うん じゃあね」


「・・・じゃあね」



 仁美は、男の子と別れを告げてアパートへ向かってフラフラと歩き出す。

 仁美は、本当に怖かったから、今も全身がプルプル震えていた。

 正直なところ、このままアパートまで1人で帰れるのか不安だった。

 でももし、またあの男が来たら、男の子を巻き込み迷惑をかけてしまう。

 そう思って、なんとか1人で帰らなきゃと思っていた。


 ところが、先程の男の子が仁美を心配してか、仁美に追い付いて来た!



 タッタッタッ! タタッ!


「え?」


「はあ⋯はあ⋯はあ⋯⋯やっぱり・・・送ってくわ!」


「え?・・・え?・・・」


「家、コッチ?」


「・・・うん」


「そっか・・・ほな、行こか」


「・・・・・・うん」



 男の子は、仁美の横に並んで歩いてくれた。


 しばらくは、互いに何も話さず歩いていた。

 でも、無言で歩き続ける事に居た堪れなくなって、仁美から男の子に話しかけてみた。



「あ、あの・・・ごめんね?」


「えっ? あ、うぅん! 俺こそ、ごめんな?

 オッサンに絡まれてる女の子を助けるのは当たり前やのに、何もできへんくって・・・」


「そんな・・・でも、他の人らも俺がオッサンに絡まれてるの見てたのに、誰も助けてくれやんかった

 でも・・・ほら、アンタは違う

 アンタは後で俺を助けてくれたやろ?」


「・・・うん」


「・・・」


「・・・・・・」



 仁美は、これも何かの縁だと思い、男の子に名前を聞いてみた。

 高校生くらいだろうか。



「・・・えっと、名前は? 俺は、大川 仁美・・・

 大きい川に、仁義の仁って字に、美しいって書くんよ」


「え? 俺っ娘?」


「・・・ぷっ! 名前より、そこ?」


「あははっ ごめん! つい・・・」


「うぅん! かまへんよ?

 あは・・・確かに俺っ娘かも? 変・・・かな?」


「うぅん! 可愛いと思う!」


「かわっ・・・・・・(照)」



 思わず、『可愛い』と言われて顔がポワッと熱くなるのを感じた。

 和美達以外の人に、面と向かって可愛いなんて言われたのは初めてだった。

 とは言え和美達は、わざと茶化して『可愛い』と言ってくるのだとは思うが・・・

 だが男の子は、仁美が可愛くて言ったのではなく、女の子なのに俺と呼ぶのが可愛いと言ったのだと、仁美は心の中で自分に言い聞かせた。


 そして、後になって焦ってきた!

 30前のオッサンが、男子高校生にアレコレ聞くのは倫理的に行けない事では・・・?

 でも、今の俺は見た目JKだし問題なし?

 ってか、何を考えてんじゃ俺!!


 などと、頭の中でグルグルと考えが回った。



「俺、森川(モリカワ) (リョウ) 高校3年・・・

 漢字は、森の川に、リョウは涼しいって書くんよ」


「なるほど・・・リョウ君か ふぅん」


「・・・ねえ?」


「なに?」


「今、付き合ってる人とか()る?」


「へあっ?!・・・べっ、別に()らへんわよそんなん!

 でも・・・なんで?」


「いやっ・・・えっと・・・」


「・・・・・・・・・」



 リョウは、その先は言わなかった。

 仁美は、何を期待しているのか?

 その先の言葉が気になってしまう。

 その時点でもう、リョウが自分に気がある事に気付いてしまった。

 更に顔が熱くなるのを感じた。

 首の動脈に血液がドクドク流れる音が頭に響いて聞こえるくらいに、心臓がバクバク言ってる。

 いやいや、おかしいやろ! なんやこの感情?!

 相手は高校生やぞ!

 しかも、男やぞ!男!!

 俺は女やけど中身はオッサンや!

 男なんか大っ嫌いじゃ!!

 何かを言わなければ!とは思うものの、思うように気の利いた言葉が見付からない。

 その後からリョウから言われるだろう言葉は、だいたい察しがつく。

 なので、自分がリョウにかける言葉ももう決まっているだけに、リョウを傷付けてしまうのは必然。

 その後は、ポロッ⋯ポロッ⋯と一言二言を話す程度で、ただ2人は並んでアパートへ向かって歩き続けた。

 そして、ようやくアパートに辿り着いた時、リョウは意を決したように、仁美に向かってこう言った。



「ふぅ・・・やっと着いたか

 ここが、俺が住んでるアパートなんよ!」


「ひ・・・仁美ちゃん!」


「わっ! な、なに?」


「も、もし! もし、良かったら、俺と・・・」


「!・・・」


「俺と、つき、付き合って・・・くれへんかな?」


「!!・・・・・・」



 やっぱりか・・・

 そう言われると思ってた。

 言われる前から、リョウの気持ちは嫌と思うほどに解る。

 こんな時って、男には男独特の匂いがあり、その匂いがフワッと感じた。

 自分の居る環境は、女ばかりだから良く解る。

 この匂いこそ、男が女に対して恋心を燃やしている時の匂い。

 所謂、フェロモンっていう奴か・・・?

 リョウが、なぜか凛々しく見えてしまう。

 迂闊にも、リョウをカッコイイと思ってしまった。

 思わず、リョウに見つめられると恥ずかしくなり、リョウの目から目を逸らしてしまう。

 瞬きが激しくなる。 めっちゃ恥ずかしい!

 耳の近くの血管を通る血液の音、心臓の音がうるさい。


 いかんいかん! なんじゃこりゃ?!

 俺は何をしとるんじゃ?!

 こんな態度とったら、満更でもないと思われてしまうのでは?!


 でも、無理・・・ごめんリョウ。

 断る理由を考えなきゃ!

 断る理由・・・断る理由・・・


 リョウも、悪い奴じゃないし、良い子だとは思う。

 でもやっぱり俺は、和美がいい!

 って、今の和美も女だけど・・・



「ごめんな? リョウ」


「えっ?・・・そ、そうか・・・やっぱり・・・無理か」


「俺、実は魔法使いなんよ」


「えっ?! 魔法使い?!」


「うん・・・こんな見た目してるけど・・・

 本当は成人なんよ!・・・大人なんよ俺!」


「は?」


「んで、俺の実年齢は、28歳なんよ」


「えええっ!! 28歳っ?! う、嘘ぉ!!」


「いや、ホンマに・・・28歳なんよ

 んで、こう見えても中学校の先生してるんよ」


「えっ?・・・中ガッコの先生?! ま、マジ・・・で?」


「う・・・うん だから、ごめんな?

 だから・・・だから、気持ちは嬉しいけど・・・

 付き合う事はできへん・・・かな」


「!・・・そ・・・そうか・・・付き合えやんか・・・」


「・・・うん」


「でも、ガッコの先生って、ホンマなん?」


「ホンマやよ! 嘘なんか吐いてへんよ!

 ってか、こんな格好してるから、信じられへんかも知れへんけど」


「・・・ふぅん んじゃあ、なんの先生してんの?」


「え? ああ、保健体育・・・」


「!・・・ホンマにぃ?」


「ホンマやって!」


「・・・」



 リョウの仁美を疑う眼差し・・・痛い・・・(汗)

 本当なのに・・・嘘じゃないのに・・・

 でも、今は何も証明できないのがもどかしい。


 するとそこへ・・・



「あっ! 仁美さあん!!」


「「えっ?!・・・」」


「ああっ! ホンマや! 仁美ぃ!!

 今まで何処に行ってたんよ! 皆んな心配してたんやでぇ!!」


「あ、ああ・・・ごめぇん! ちょっと散歩してて(汗)」


 バタバタバタバタバタッ!



 和美達が、居なくなった仁美を探していたようだ。

 アパートからではなく、アパートから離れた所から駆け寄って来た。

 アパートの周囲を探していたのだろう。

 そりゃそうか。 心配するわな。


 ところが、仁美の疲弊した様子や、パジャマのボタンが千切れているのと、襟元が不自然に伸びているのを、和美達は見逃さなかった。



「ちょ、仁美! 何その格好!! 何かあったん?!」


「え? ああ・・・えっと・・・(汗)」


「すんごい服乱れてるし、ボタン千切れてるやん!!」


「これは・・・その・・・(汗)」


「喧嘩?」


「ちゃうちゃう!!(焦)」


「それで? そっちの男の子は誰?」


「え? ああ、この子は、俺がコンビニで変なオッサンに絡まれてるところを助けてくれた、森川 涼君・・・」


「え、いやいや! 助けたんとちごて・・・俺は・・・(汗)」


「「「「変なオッサンに絡まれたあ?!」」」」


《《ビクッ!・・・》》



 和美達は、リョウの事よりも、仁美が『変なオッサンに絡まれた』という事に驚いていた。

 そしてまた、何時ものように仁美を叱るのだった。



「まったく仁美さんわあ!!

 また後先考えずに行動するからあっ!!」


「え?・・・え?・・・」


「すまん・・・(汗)」


「そうよ! 今の仁美は女の子なんやで!!」


「お、おう! 分かってるよ(汗)」


「今の仁美・・・???」


「そうですよ? パジャマ姿の女の子が1人でコンビニに行くだなんて、無防備にも程があるでしょ!!」


「え? それは別に、おかしい事じゃないやん?

 普通やろ? 普通・・・」


「・・・」


「「「「普通じゃない!!」」」」


「ひぃええっ! ご、ごめえん!!(汗)」


「・・・」


「まったくもお! 何度も言うようですが、仁美さんは、教育者である以前に、女の子だって事をもっと自覚してください!!」


「?!・・・」


「おっ、おうっ! すまん・・・(汗)」


「仁美・・・ちゃ・・・さん?」


「「「「?!・・・」」」」


「ん? なに、リョウ?」


「ホンマに・・・ホンマに先生してたん?」


「お、おう! だから俺は、中学校の保健体育の先生してるって!

 これは、ホンマ! 嘘ちゃうから!」


「・・・そう・・・なんや? はは・・・

 そらあ、付き合えやんわな・・・

 てっきり断るための嘘やと思ってたのに・・・」


「え?「うん?「は?「はい?」


「「「「付き合う・・・???」」」」


「ああ、いやいや! コッチの話し!

 なっ? リョウ? な? な?」


「・・・! ふふん~~~」


「な、なんなよ?」



 和美達は、付き合うだの、なんだのと、仁美とリョウの間に何があったのか理解できなかったが、ホノカだけは察したのだった。

 ホノカは、今度はリョウに話しかける。



「えーっと、森川くんやったっけ?」


「え? あ、はい」


「この人ねえ、ホンマに先生なんよ?

 い・ち・お━━━ね! 見えへんやろう?」


「あはは・・・(汗)」


「一応ってなんな!! ほっとけ!!」


「でも、魔法使いでもあるんよ? 魔法使いやで? わかる?」


「!!・・・それって、ホンマやったんですか?」


「うん! ホンマホンマ! 私らも魔法使いやもん!

 ・・・ほらっ!」


 ピカッ!


「うわっ!! な、なんか光った?!」



 ホノカは、右腕を前に出し、掌を上に向けて、光の玉を出してみせた!

 その光は、ピカッと光って、すぐに消えた。

 この程度の事なら、手品(マジック)でもできそうだし、リョウは半信半疑だった。



「今の、魔法?」


「そ! 魔法! 他にも色々できるよ!

 それより何となく思ったんやけど、森川君って、仁美の事が好き?」


「?!・・・ああいや、えっと・・・は、はい! 好きです!」


「ふぁい?!」


「「「ええっ?!」」」


「やっぱり!!」


「「「ええええっ?!」」」



 リョウは、仁美が学校の先生だの、仁美と他の女性達が魔法使いだのなんだのと、正直信じられない事ばかりで頭が混乱していた。

 だからなのか、ホノカの『仁美の事が好き?』の質問に、思わず反応して正直に答えてしまう!


 突然現れた男の子 森川 涼が、仁美が好きだと言うので驚いた和美達だが、ホノカだけは勝ち誇ったかのような顔をしてニヤけている。



「ま、正直なところ、ホンマに仁美と森川君が付き合うのは難しいとは思うで!

 でも、歳の離れた友達には、なれると思うよ?」


「友達・・・ですか」


「だってほら! たとえ他校とはいえ、教師と1生徒が必要以上に関わるだけでも問題視されるのに、ましてや女性教員と未成年の男子が恋仲になるのは社会的にもっと問題やとは思わへん?」


「それは・・・確かに・・・はい」


「せやからね、森川君が社会人になったら、もっかい仁美に告白するってのはどう?」


「おいホノカ! 何を勝手な事を言うてんのな!!

 余計に話がややこしくなるやろが!!」


「いいから!」


「?!・・・はあん? なんなんよまったく・・・」


「!!・・・あうう・・・社会人・・・か」


「うん! せめて、高校卒業してから、付き合うかどうかを考えたらええと思う! な? 仁美!」


「お前なあ! さっきから勝手な事ばっかり言うて!

 だいたい俺が男と付き合う訳がないやろ!!」


「へっ?・・・な、なんで?」


「あ、いや・・・別にリョウが嫌とか嫌いとかじゃなくて(汗)」


「ああ、そうそう! もう1個言うとかなアカン事あったわ!

 この人、以前は男の人やったんよ!」


「はあっ?! 仁美さんが男やった?!」


「そっ! 『女装役剤』ってゆう『女に変身する魔法薬』を知人に飲まされてしもて、女になってしもたんよ!」


「え? は? え? それ、それは、どう言う???」



 その後ホノカは、仁美の女になった経緯をざっくりとリョウに話した。

 リョウは、最初は信じてはいなかったが、ホノカや和美達もちょっとした魔法を発動して見せたり、ミサンガで姿を変えたりして、リョウは今ここに居る女性達が魔法使いだと信じざるを得なかった。



「はあ・・・なんか夢でも見てるみたいやな(汗)」


「「「現実です!」」」


「そ! げ・ん・じ・つ!」


「こんなに可愛い女の子仁美さんが、以前は筋肉モリモリ大男のマッチョマンだったなんて・・・」


「んな?! かっ・・・(照)」


「うん! マジほんまにほんまです!」


「はあ~~~・・・(汗)」



 リョウは、その場にヘナヘナと座り込んでしまった。

 まあ、仕方ない事だ。

 教師と1生徒がとか、 社会的とか倫理的とかそれ以前に、仁美とリョウが付き合うのは、本当に難しそうだ。

 なにせ仁美は、男と付き合うなんて考えられない。

 相手が男の和美だったなら・・・話は別か。

 リョウは、仁美が自分と付き合う事が無いとしって、この世の終わりのような顔をして項垂れる。

 だが、1度好きになったしまったのは、もう止まらない!

 これも若さ故か。



「でも、俺・・・仁美さんを諦めきれやん!!」


「にやあ?! にゃ、にゃにを言って・・・(汗)」


「「「「おおおお~~~!」」」」


「おお~~~ちゃうわお前ら! ちょっと何とかフォローしてくれよ!」


「「「「ううう~~~む・・・」」」」


「・・・何とか言え━━━っ!!」


「仁美さん!!」


「ぴゃあい!!・・・な、なに?」


「俺、高校卒業したら、もっかい仁美さんに告白します!」


「はにゃあ?!・・・ちょっ・・・」


「その時にまた、考えてくれませんか!?」


「ひいえっ?!・・・そ、そん、そんな事言われても(汗)」


「お願いします!! 俺は本気ですから!!」


「「「「おお~おお~おお~~~!」」」」


「お~お~って! お前らなあ!!」



 この時仁美は、もうハッキリと言わなきゃいけないと思った。

 なので・・・



「あ、あのなリョウ?」


「はい!」


「うっ!・・・急に腹括ったみたいにハキハキしだしたな・・・

 えっと、ここでハッキリ言わせて貰うけど、俺は元男やったのは信じてくれてるんか?」


「あ、はい! 信じます! 信じますから!」


「『信じます』・・・か って、ホンマは信じてないやろ?」


「信じますから!!」


「ぐぬう・・・そ、そうか・・・まあ、だからやな?

 俺は男を相手に恋愛感情は抱けやんのや!

 この、俺の言ってるの意味、解るわな?」


「はい! だから仁美さんは、自分を俺と呼ぶんですね!」


「そこっ?! ちゃうちゃう! 一人称の事言うてんとちゃうがな!!

 だから、今の俺の身体は女になったけど、俺は元は男やったから、俺の心は今も男のまんまなんよ!

 だから、男を相手に付き合うとか、好きになるとかは、ちと考えられへんのや

 ズバッと言えば、俺は男が嫌いなんじゃよ!

 だから今は女の俺やけど、今でも女しか恋愛対象にならんのや

 ・・・解るやろ? な? せやから・・・ごめんな?」


「ほな、俺が女やったら好きになれる、付き合えるんですか?」


「はあい?! なんでそうなる?!」


「「「「ほほお・・・」」」」



 本当に、『なんでそうなる?!』だわ。

 だが、リョウのその言葉を聞いた和美達は、ある事を企んだのは言うまでもない。

 和美もマコもホノカもサワサも。

 これを、『阿吽の呼吸』と言うのか。


 ホノカは・・・

『今は女の元彼とはいて、他の男に取られるくらいなら、女にしてやれ!』と思った。


 和美は・・・

『仁美さんは僕のものだ! お前が変な気を起こす前に女にしてやる!!』と思った。


 マコは・・・

『新しい女性化仲間が増えるかも? これは確保しなければ!!』と思った。


 サワサは・・・

『うふふ♪ また1人、着せ替え人形ができるかも? なかなか可愛い()になるかも?』と思った。


 ってのは、今はどうでもいい。

 その時サワサは、ポッケからある物を取り出した。

 実はサワサの着る服のポケットは、マジック・バッグと同様の効果を持つ。

 サワサが取り出したのは、『女装役剤』だった!

 サワサは、不敵な笑みを浮かべながら、リョウに女装役剤を手渡した。

 リョウも先程のホノカの話しから『女装役剤』について聞いていたので、瞬時に理解した!


『男でダメなら、女にればいい!!』


 そしてリョウは、サワサから受け取った女装役剤を、一気に飲んだしまったのだ!



「あっ! ちょっ、それって?!」


「んぐっ⋯んぐっ⋯んぐっ⋯⋯」


「ああっ! ああ~~~・・・(汗)」


「んぐっ⋯んぐっ⋯⋯ぷわはあ!」


「ああああ~~~~~~・・・飲んでしもたわ・・・(汗)」


「「「むふふふふふ・・・(笑)」」」


「お前ら~~~(怒)」



 そして、仁美達がリョウを見守るなか約1分後には、もうリョウは完全に女の子に変身してしまっていた。

 仁美は、額に手を当て、唸る事しかできなかった。



「・・・なぁ、サワサ?」


「なんです?」


「リョウが今飲んだ女装役剤って?」


「あ、はい! 女装役剤100yearですよ!」


「ひゃくいやあ~~~?!」


「はあい♡」



 終わった・・・やってしまったなコイツら・・・

 また、女装役剤の被害者が現れてしまった・・・

 もう後戻りはできない・・・どうすんのこの始末!!

 とりあえず、仁美はリョウを自分の部屋に入れるのだった。


暴走するホノカ達。

また面倒な事が増えた仁美だった。

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