第75話 「ひとみちゃん⑥『いい事なし!』」
奴が来た!
仁美を女にした張本人!!
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
・⋯━☞2週間後☜━⋯・
・⋯━☞朝のHR前☜━⋯・
••✼••北側中学校職員室••✼••
ピロリン♪
「うん?・・・なっ?!・・・チッ!」
仁美は、何時ものように学校へ来て、何時ものように朝の職員室で、何時ものように朝のホームルームへ向かおうと準備しをしていたら、こんな時間にLIMEにメッセージが入った。
こんな、何時ものように何事もなく、もはや日課のように事柄が進んでいたはずの流れに、何時もと違う些細な事でも何かがあると、きっと何か困った事が起こる前触れって気がするのは俺だけだろうか。
仁美は、何時ものように、デスクの中にスマホを仕舞う前に、ちょっと見てみた。
相手は、仁美を女にした張本人の『ショウ』だった。
俺を女にしてからずっと俺を狙ってる奴である。
ショウは、中学生の頃からの悪友で、後藤 翔という名の、超女好きの遊び屋である。
昔は、親友だと思っていた。
1年近く前までは某大手企業の現場監督をしていて、日本全国出張の雨嵐で、金はあっても遊ぶ暇など無かったらしいが、今は和歌山市の大手電機メーカーの1作業員として、実家通いで定時終了の規則正しい生活をしているとのこと。
なので、家賃や飯代も要らない訳だ。
それはつまり、遊び時間と小遣いが多く取れるという訳だ。
なので、しょっちゅう俺を飲みや遊びに誘う。
その頃から、奴は変わってしまった。
奴は、ちょっと変な性癖があるようで、普通の女よりも、俺のような『男→女』へ変身したようなのが興奮するらしい。
俺が女に変身してからと言うもの、『1回だけ!』とか、『本気じゃなく遊びやから!』とか言って、しつこいのなんの!
『本気じゃなく遊び』って、なんやねん!!
余計、タチが悪いわ!!
これまでも、何度も飲みに誘われたが、ずっと断っていた。
そんな中、一度だけ失敗した事があった。
また仲間達と一緒に飲もうと言われて、『奴と2人きりでなければ大丈夫か』と、たまには良いかと油断したのが悪かった。
とある夜の店で、奴と2人だけで、ずいぶん飲んでいい気分になってしまっていたのに、待てども待てども他の奴らが来ないので、『奴ら遅いな?』と聞いたら、『実は俺ら2人きりや!』と言われて、サァーっと血の気が引いた!
『騙された!』と思い、店を出ようとしたら、もうその時の俺は既にヘベレケだった。
そして、タクシーに乗ったまでは覚えていたが、それからが記憶が無い。
気が付いたら、ホテルへ無理やり連れ込まれた後だった。
流石にその時は、キレた!
無駄にフワフワなベッドの上で服を脱がされている時にハッ!と目が覚めて、ガバッと起き上がったら、奴のICBMが目の前にそそり立っていた!
咄嗟にマクラで奴の頭を何度も何度も叩いてやって奴が怯んだ隙に、思い切り奴のICBMを蹴飛ばしてやり、奴が股間を抑えて蹲って唸ってる間に、急いで服を着て精算(4000円だった)して徒歩で逃げ帰ったのだった。
幸い未遂だったとは言え、奴のICBMを思い出してはゾゾゾっとして、もし金が無かったら奴が精算するまで部屋を出られなかったぞと思ったら、もっとゾォォォォ・・・っとした。
4000円返せぇ━━━っ!!
なぜだろう? 奴のICBMからは悪意を感じた。
また、和美の大魔王とはまるで違った。
俺も、生の他の男のモノをマジマジと見た事は無いが、奴のICBMはエッチビデオの男優のモノみたいで、赤くて黒いし、血管が浮き出てるし、気持ち悪いし、奴のICBMは、『女好きの遊び好きのゲス野郎』だと思った。
身の毛がよだつのと同時に、吐き気がした。
あんなの入れられたら、俺の女の子が穢れてしまう!そんな気がした。
もう奴には騙されない!
もう奴には二度と逢わない!
もう奴の誘いには二度と乗らない!!
そう思っていたのに・・・
・⋯━☞夜7時過ぎ☜━⋯・
••✼••学校玄関••✼••
「仁美さ・・・大川先生!」
「おお、か・・・新谷先生 今帰りですか?」
「はい! 今日は早く帰れそうです 一緒に帰りますか!」
「おう・・・」
学校では、ちゃんと苗字で呼び合うのだが、時々名前呼びしてしまう仁美と和美。
久しぶりに、早く帰れそうなのと、たまたま和美とも一緒だったので、気分はウフフだったのに、2人で校門前まで出た時に、見たくもない顔を拝む事になった。
••✼••学校校門前••✼••
「よっ!」
「ひゃあっ!!・・・な?!・・・え? し、ショウ?」
「ビックリしたあ! え? 誰です?」
なんと!!
奴が! ショウが目の前に居るではないか!!
突然、校門のコンクリート壁の陰から飛び出すものだから、オシッコをチビりそうなくらいに驚いた!
『しくった! あの時、勤務先の学校名を話さなきゃ良かった・・・』
今更、後の祭りである。
例のホテル連れ込み事件を一気に思い出して、全身が震えた!
「なん、なんなよ? こんな所まで来てっ!!」
「いやいや、そんなに警戒すんなよ?」
「警戒するわっ!! お前、俺に何をした!!」
「おぃおぃ! 人聞きの悪い事をゆうなよ!
結局あの日は、俺はなんもしてへんやんかよ」
「しようとしたわな? 俺を裸にして!」
「ええっ?!」
「言うなっ! どうせ未遂やったやんかよ?」
「んぐぐ・・・とにかく! ここに居られたら困る!
俺はお前とは金輪際関わるつもりわない!!
今すぐに帰ってくれ!!」
仁美は、ショウに学校の前で騒がれたら困るので、ショウを追い返そうと無理やり振り向かせて背中を突き飛ばした!
すると奴は、突然大声で騒ぎ始めたのだ!
「うわっとととっ!・・・ふぅん そんな事すんの?」
「なんなよ?」
「・・・(汗)」
❴❴そお━━━んな事するかあ━━━っ!!❵❵
「きゃっ!」
「いやっ! アホっ! デカイ声出すな!!」
❴❴そお━━━かあ━━━っ!
この女あ━━━っ! 男に恥をかかせて━━━っ!❵❵
「やめろってえ!!」
❴❴おまっムゴッ!・・・❵❵
「いい加減にせえ!!」
「あわわわわわ・・・(焦)」
仁美は、慌ててショウの口を手で塞いだ!
そして、職員用の駐車場へ、ショウを追いやった。
ショウは仁美に口を塞がれながらも、ニヤリと笑みを浮かべて、大人しくはしていた。
和美は、オドオドしながらも、2人の後をついて来た。
••✼••職員用駐車場••✼••
「はぁ⋯はぁ⋯はぁ⋯ああ~~~もお!
なんなんじゃよお前わあ!! 俺に恨みでもあんのか!?」
「恨みは無い!」
「ほな! なんのつもりじゃ!! 不審者みたいな真似して!
また、タマ蹴られたいんかえ?!」
「おおっと! いやん! するなら優しくしてん!」
「チッ!・・・」
「・・・(汗)」
ショウは、股間を抑えてそう言う。
そんな風に、一々おちょける奴が頭にきて仕方がない。
本気で奴の股間を思い切り蹴飛ばしてやりたい!
「で? なんの用じゃ? 俺はお前とは二度と関わらんと言うたやろ!
正直、顔も見たくないわ!!」
「まあまあ、そんなん言わんと~」
「だから、何しに来た!?」
「まてまて! まあ、落ち着いて聞いてくれ!
俺はもう、ひとみちゃんには手え出せへん! これはホンマや!」
「あん? せやったら、なんで今ここに居るんや?」
「おお、実はな? 今日これから、合コンすんのやけどな!」
「「合コン?!」」
合コン・・・
男女合同コンパの略で、男女が集まり出会いを求めるってやつ。
ハッキリ言って、今の俺には筋違いなものだ。
なにせ今の俺は女だから。
なのに、なんで女の俺に、男のショウが合コンの話しを持ちかけたのか?
男なんだから、声をかけるなら、やっぱり男のはずだろう?
意味が解らない。
だが、このまま奴は帰ってくれそうもないので、仕方なく和美を先に帰らせて、ショウの話しを聞こうとしたが・・・
ショウが言うには、ショウの働いている工場の仕事仲間とで、『合コンをしよう!』って事になったそうな。
ショウはこんな女好きで女の敵なアッポケ馬鹿野郎なのだが、なぜか職場では女性にモテるらしく、女性陣に合コンの誘いに声を掛けたら、5人集まったらしい。
だが、いよいよ今夜が合コンって時に、5人のうち2人がドタキャンしたんだそうだ。
仕方なく、女性陣の抜けた穴埋めとして、仁美を入れてやろうと思っていたら、和美にも目が行ったようだ。
「あっ! ソッチの可愛いお姉さんも、俺の話しを聞いてくれ?」
「えっ?」
「はあっ?! ちょい待てっ!!
和美・・・いや、新谷先生は関係ないやろ!!」
「ほおおん? 新谷 和美って名前なんや?」
「んなっ?! チッ! 人の話しを聞けよお前ぇ!!」
「ふぅん? 可愛いね?」
「え?・・・(照)」
「?!・・・(焦)」
『って和美のバカ! コイツは敵や! 照れてる場合かっ!!』
和美は、ショウに『可愛いね』と言われて照れていた。
って、アカンやろ!!
コイツだけはダメだ!!
コイツは、女の敵だ!!
女好きで、女の敵で、夜遊び好きで、女を酔わせて持ち帰り癖ありの、赤黒くて気持ち悪くて見たら吐気がするICBM持ちの、不気味で不愉快で不快なコンチクショーのアッポケ独身糞野郎のショウに、和美まで関わらせては絶対にいけない!!
「アホかお前!! 何を考えてんや?!
この人は、関係ないやろ!! この人を巻き込むな!!」
「え?・・・あの・・・ど・・・どうしよう?」
「どうしようとちゃう!! ええから新谷先生は帰りな!」
「え? あ、うん・・・」
仁美は、和美の背中を押して帰らそうとしたが、ショウが和美の手を掴み、強引に引き寄せて腰に手を当て、和美の顔に自分の顔を近付ける。
パシッ! グイッ!
「きゃあ!」
「おおっと! 丁度2人が足らんのよ! アンタも来て!」
「やめよろアホぉ!! その人を離せっ!!」
「ただ、合コンに参加して、1時間ほど野郎達と話しをするだけでええから! ね?」
「え・・・と・・・でも・・・(焦)」
「ショウ! お前、いい加減にせんと・・・(怒)」
仁美は、もう堪えきれなくなり、ショウの襟首を掴み上げる。
流石に手を出すのはダメだと理解していても、マジで頭にくるし、せめて和美だけは帰してやりたい気持ちで、思わず握った拳を振り上げてしまう。
それに、仁美と和美の『変身ミサンガ』の魔力が、後1時間半ほどで尽きる頃だ。
このままでは、2人とも奴の目の前で変身が解けてしまい、身体が少女になってしまう!
ヤバい・・・ヤバい・・・ヤバいヤバいヤバい!
仁美の気は焦るばかりだった。
「そないに怒んなって! 俺が狙ってる娘は、他に居るんやから」
「!・・・それ、ホンマか?
俺とこの人に、絶対に手え出せへんって誓えるか?」
「おお! 誓っちゃる! 誓っちゃる!
神様にでも、悪魔にでも、誓っちゃるがな!」
「悪魔は余計や! ホンマやろなあ?
もし、また俺らを騙したら、今度こそ二度と女抱けやん身体にしちゃるからなぁ!!」
「ふははっ! なんやそれ?」
「お前が俺に飲ませた『女装役剤』を飲ませちゃるってゆーてんじゃよお!!」
「それは勘弁してくれ! 俺は男がええわ!」
「せやったら、その人を離せっ!
今日は仕方ないから、俺が合コンに付き合っちゃるから!」
「おおっ! 他の女に見向きもせーへんくらいに、ひとみちゃんが今夜一晩、俺の相手をしてくれるって事か?」
「ちゃうわっ! 誰がするかっ! 頭噛んで死ねっ!!
お前に抱かれるくらいやったら、オークに抱かれた方がまだマシじゃ!!」
「ぎゃはははははっ! 俺って、オーク以下かよ?」
「和美さん・・・」
「まあええわ! もう時間無いさけに、はよ行こ行こ!
すぐそこに、車待たせてるから!」
「「ええっ?!」」
「ちょっと、待て! まだ行くって言うてへん!」
「ああ~! 金の心配はせんでもええぞ!
ぜーんぶ俺らが出しちゃるからな!」
「そら、金は無いけど・・・って、金の心配とちゃうわ!」
「大丈夫やって! 運転手は、ハンドルキーパーやから!」
「いやいや、その心配もしてんのとちゃうがな!!」
ハンドルキーパーとは、飲食店などに数人で飲みに行くときに、送迎のための運転手としてアルコールを飲まない人の事を言う。
運転手が居ると言うことは、帰りも同じく車でって事?
それじゃあ、益々お持ち帰りのリスクがあるじゃないか!?
しかも金も、チャリ銭しか持っていない。
自分達だけで、タクシーで帰るのも無理っぽい。
いや、タクシーを呼んだとしても、途中でコンビニに寄ればATMがあるのか?
いやいや、それ以前に、魔法使いになった今の俺と和美は、変身ミサンガの魔法の力で今の大人の身体を維持している。
もし、変身ミサンガの魔力が切れたら、身体が若返ってJKにしか見えない容姿に。
それは、絶対にヤバいやいっしょ!!
ヤバいヤバいヤバい!
このままだと、奴の餌食どころか、子供だと思われて補導されてしまう?
そんな事になれば、教諭として失格?! 懲戒解雇?!
週刊誌や新聞やテレビのニュースで報道されてしまう?!
色んな不安要素が次から次へと浮かんで出てきて、もうパニック寸前だった。
気が付いたら、奴の仲間の車が、仁美達の前まで来ていた。
キュウゥウゥウゥ~~~ン・・・
「「?!・・・」」
「ほら! 迎え来たぞ! 乗って乗って!」
「いややっ! やめろっ!! 離せゴラァ!!」
「やっ、やめてください!! 離して! 離してえ!!」
「おい! お前も手伝えっ!」
「はあ? おお・・・」
カチャ!・・・
ショウは、運転手に声を掛け、仁美と和美を強引に車に乗せようとする!
頭を押さえつけられ、背中をグイッと押される・・・
マズイ! マジヤバい!!
仁美は心の中で『リオリオさん助けて!!』と叫んだ!
こんな時、リオリオさんが居てくれたら・・・
そう、思った時だった!
シュパァン!
「おう?!「うわっ!!」
「「リオリオさん!!」」
仁美が心な中で、『リオリオさん助けて!!』と叫んだ時、本当にリオリオが来てくれたのだ!
突然目の前にリオリオが現れたものだから、ショウと運転手の男は驚き混乱している!
そしてリオリオは、瞬時に仁美と和美が置かれている状況を把握!
「こらこら! このクソガキも共!
私の可愛いバカ娘達に、なにをする気じゃ?」
「「リオリオさん・・・!」」
「はあ? なんやお姉さん! 何をゆって・・・」
「可愛いバカ娘達? お前は何モンや?」
「このバカ娘達の保護者じゃよ!
なんでもいいが、この娘らは嫌がってるやないか?
とにかく、返してもらうぞえ?」
「「はあ~~~???」」
リオリオは、野郎共に向かって手の平を差し出すと、なにやらブツブツと口ずさむ。
すると! リオリオの手の平が青白く光った!
「ん?!「な、なんや?」
「んん・・・お前達! 今夜の、この娘らに関しての一切の記憶を消去する!!」
フォン・・・
「「なっ・・・」」
バタバタッ・・・トサトサッ!
「「えっ?!・・・」」
「ふっ・・・」
リオリオが、なにやら呟くと、ショウと運転手の男は突然、操り糸が切れたマリオネットのように、バタバタと崩れ落ちるように地面に横たわった!
「おおお?!・・・リオリオさん、コイツらは?」
「安心せい 眠らせただけじゃ!」
「「へえ・・・」」
「それに、今夜のお前達に関しての記憶を消しておいたからな
しばらくは、コイツらは来ることもないじゃろ」
リオリオの忘却魔法は、完全に記憶を消す訳では無い。
人の記憶とは、どんなに些細な事柄でも全てがアカシックレコードに記録させるので、完全に消すのは不可能である。
なので、記憶を消すのではなく、厳密には『思い出させない』のである。
「「えええ・・・(汗)」」
「そんな事ができるんですか?」
「当たり前じゃ! 私は大魔女じゃぞ?
このくらいの事、お茶子のさいさいじゃわえ!」
「「はあ~~~・・・(保)」」
仁美と和美は、リオリオの魔法の凄さに、圧倒されると言うより、呆れてしまった。
「ほら! ボォーっとしとらんで、サッサと帰るぞ!」
「あ、でも! コイツらは・・・?」
「放っておけ! そのうち目が覚めたら、勝手にどこかへ行くじゃろう?」
「「ははは・・・(汗)」」
「はらほら! もう行くぞ! 私も暇じゃないんじゃぞ?」
「「は、はい!」」
流石は、大魔女である。
そしてリオリオにとっては、仁美と和美は魔法使いの弟子であり、眷属でもあり、可愛い我が娘達でもある。
また、仁美と和美も、リオリオの事を、頼りになる姉や母親みたいな存在として認識していた。
仁美と和美は、リオリオが大好きだ。
また仁美にとってのリオリオは、母親代わりでもあった。
「ほら、お前達! 私につかまれ! 転移するぞえ!」
「「はい!」」
ガバッ!・・・
「ん? なんじゃ? くっ付きすぎじゃ!」
「えへへ・・・「うふふ・・・」
「?・・・まあ、いいがな ほら! 行くぞ!!」
「「はい!!」」
シュパァン!
こうして仁美達は、リオリオの転移魔法によって、仁美達の住むアパート前に転移した!
••✼••アパート前••✼••
シュパァン!
「「おおっ?!」」
「よし! ほんなら、今日はもう外出なんぞせんと、さっさと寝るんじゃぞ?」
「「はい!」」
「ほなな!」
シュパァン!
「「ふう・・・」」
リオリオは、そう言うと、また転移魔法で姿を消した!
本当に、まったくもって、神出鬼没である。
だが、そんなリオリオに助けられた。
仁美と和美は、空に向かって、リオリオにお礼を言うのだった。
「リオリオさん! ありがとう!」
「ありがとう!」
「さ、家に入るか」
「はい!」
こうして仁美と和美は、無事に家に帰る事ができたのだった。
だが・・・
「ああっ!!・・・」
「え? なんです?」
「バイク・・・忘れてた!」
「あ・・・ああっ!! 僕もですよ!!」
「あっちゃあ~~~(汗)」
「たはは・・・やってしまいましたね?」
「仕方ない・・・明日、タクシー呼んで学校までバイク取りに行くかぁ~~~」
「あ、僕も! タクシー代、割り勘しましょ!」
「せやな」
「はい!」
仁美と和美は、リオリオの転移魔法で帰って来たので、学校にバイクを忘れて来ていたのだった。
仁美は、面倒だわ、余計な出費だわで、ほとほとていたが、和美は仁美とお出かけできるので、内心喜んでいた。
翌日、仁美と和美はタクシーを呼んで、学校までバイクを取りに行くのだった。
・⋯━☞翌日朝8時過ぎ頃☜━⋯・
••✼••北側中学校前••✼••
仁美のバイクは、YAWAHAのJOBである。
でも和美は、『普通自動二輪車』の免許も持っているので、PONDAのPOX160CCである。
仁美は、和美の自動二輪スクーターを見て羨ましい。
「いいなぁ~~~おい(汗)」
「え? ふふん! いいでしょお?」
「なあ? ちょっとだけ乗らしてよ?」
「ダメですよぉ! 仁美さん、自動二輪の免許持ってないじゃないですかあ!」
「でも・・・ちょっとだけ? な?」
「ダメですう!!
人に教える立場の人間が、そんな事では示しが付きません!」
「ちぇ~! お堅いなぁ?」
「当たり前ですぅ! もっと教職員という自覚を持ってください!!」
「はいはい・・・んじゃ、帰りますか」
「ねえ、仁美さん?」
「あん? なんや?」
「せっかくですから、今日はこのままツーリングにでも出掛けませんか?」
「ツーリングかぁ・・・って!
俺は原付やぞ? でもお前は自動二輪やんか!」
「そうですよ? それが何か?」
「それが何かって、あのなあ?
原付は最高30キロしか出せやんのやぞ?
でもお前は50キロ出せるやんか! そんなん不公平やわ!」
「60キロです! ちゃんと道交法を勉強してください」
「あうっ!・・・すんすん・・・ええもん・・・どうせ俺は・・・」
「あははっ・・・そんなに拗ねないで?
じゃあ、一旦帰ってから、これで2人乗りで出掛けますか?」
「ホンマ?! やったあ!! 行こ行こ!!」
「ふふふ 分かりました! では、いったん帰りましょう」
「おうおう! ふふん~~~♪」
「ふふふ」
仁美と和美は、一旦帰ってから、和美のバイクで2人乗りで出掛ける事になった。
そして・・・
・⋯━☞午前11時頃☜━⋯・
••✼••マリーンシティ前••✼••
プロロロロロ・・・
びょおおおおおお~~~!!
「うおおおお~~~さっむぅ~~~!!」
「え? なんですぅ?」
「寒い~~~!!」
「ええ~~~?」
仁美は、和美の運転するバイクの後ろに乗り、和美の腰にしがみ付きながら和美に向かって叫ぶ!
だが、エンジン音と風の切る音が邪魔して、仁美の声は和美には届かない。
そんな仁美は、パーカーにスカート。
風に吹かれてスカートはマントのようにビラビラと羽ばたくのだが、横を走る車の運転手は、そんな仁美のスカートから覗く生足にえらくご注目!
それに気付かない仁美は、幸か不幸か・・・
そして、信号待ちで停車した時に、仁美は和美に言う。
・⋯━☞信号待ち停車中☜━⋯・
トットットットッ・・・
「和美ぃ~~~! 寒い~~~!!
あうあうあうあうあうあうあうあう・・・((震))」
ガチガチガチガチガチガチ・・・
仁美は、和美の背中に自分の身体をピタァ〜!と密着させて、ヘルメット越しに顔を和美の背中にくっ付けながら、歯をガチガチと震わせ鳴らしていた。
そりゃあ、もうすぐ11月になろうと言うこの時期に、パーカーとスカートだけでは寒いに決まっている。
「ええ~? だから言ったじゃないですかぁ!
なんで、バイクに乗るのに、パーカーにスカートなんですか!」
「だって、これしか持ってないもん・・・(泣)」
「ああもお・・・仕方ありませんね~~~(汗)
今日はもうこの辺で帰りましょう?」
「えええ~~~ん! いややぁ~~~!
もっと、どっか走ってほしい~~~!
・・・へっ・・・へっ・・・へぶしっ!!」
「ほらほら! 風邪ひいちゃいますよ?」
「じゅるる・・・お、おう(汗)」
「ね? もう、帰りましょう?」
「あうう・・・すんすん・・・ごめん(泣)」
「ふふふ・・・仕方ありませんよ」
グローブもしないで手はキンキンに冷え握力が無くなり、足は肌の感覚が無いほどに痺れ、足の指なんて千切れて無くなってるのでは?と思うほどに痛くて堪らなかった。
仁美は、男の頃のダウンジャケットやスタジャンなどは持っているが、今の女の子の身体には大きすぎる。
それに、下はカーゴパンツやスウェットしか持っていなかった。
この季節にパーカーにスカートだなんて寒いのは解ってはいたが、和美に見てもらいたかった気持ちもあった。
今の和美も女の子なのに・・・
結局、せっかくのバイクのお出掛けは、オジャン。
そのままUターンして、帰ったのだが、仁美の身体は完全に冷えきってしまっていた。
••✼••アパート仁美の部屋••✼••
和美は、仁美の部屋に入ると、エアコンの暖房を入れる。
そして仁美をササッと手早く着替えさせて、押し入れから、敷毛布と、掛け毛布と、冬用の掛け布団を取りだし敷いて仁美を寝かせると、毛布と掛け布団を掛けてあげた。
この布団達は、以前から世話好きの和美が天日干ししてくれていたので、とってもフカフカだ。
そして、自分の部屋から持ってきた紅茶とレモンで、暖かいレティ(レモンティー)を作って仁美に飲ませてあげた。
「はい、レティです 飲んでください 温まりますよ?
ビタミンとって、早く良くなってくださいね」
「お! おお・・・あり・・・ああり・・・ありが・・・
へっぶしっ!! へっ! へうっ!・・・へっぶしっ!!」
「いやっ!!」
仁美は、和美から渡されたレティを持ったまんまクシャミをしたものだから、身体がクシャミの衝撃でガク揺れしてレティを少しこぼしてしまった。
「ああんもお! こぼしちゃってもお~~~
やっぱり風邪ひいちゃてるじゃないですかぁ!
もう何度も言いますけど、仁美さんは後先考えないで行動しすぎですってば!」
「っへぇえぇえぇえぇ~~~ん(泣)
・・・はっぶしんっ!! ぷりゃっくしん!
ぴゃっ・・・ひゃあっ・・・びゃあっくょおん! グシュシュ!」
「なんですか、その変なクシャミは? ぷぷっ♪」
「うっ・・・うっひゃわい! へうっ・・・へへうっ・・・
へっ、へっ、へええうっ・・・へっっっっぷしゃあん!!
いやあああ~~~んもぉおおおお~~~!!(泣)」
「あははははははははっ!!」
「うわっ・・・笑うらあ~~~ ははうっ・・・
へあはっ・・・はっっっくっしゃあん!!
ふぃやあはあぁあぁあぁ~~~ん! クシャミ止まらへん!」
「あぁあぁもお~~~! 鼻水が出てますよ? ほら!」
和美は、ティッシュ箱から、ティッシュを数枚引き出す!
そして、仁美の鼻にティッシュを押し付けた!
スコッ!・・・スコッ!・・・ぶにゅ!
「ぶぅわむっ! えぶぇっ! えぶえぶえぶぇっ・・・ぷわはっ!」
「はい! 綺麗になった!」
「・・・ありあろぉ~グシュ!」
「いえいえ」
和美は、ティッシュで仁美の鼻水を拭いてあげるのだった。
どこまでも、世話好きな和美である。
「ティッシュと屑籠、ここに置いておきますからね!
じゃあ僕、風邪薬を買って来ますから、ちゃんと大人しく寝てるんですよ?」
「・・・ふぁい えうう・・・すんすん・・・
ひぃいぃいぃいぃ~~~ん・・・すんすん・・・グスン!」
「あはは なにも泣かなくても」
仁美は、和美の前で泣いてしまい、恥ずかしくて布団を頭まで被った!
せっかく和美がバイクに乗せてくれたのに、こんな失態を犯すなんて・・・
和美に申し訳なくて、情けなくて、泣けてくるのだった。
そして、目まで布団から顔を出して・・・
「和美・・・」
「はい、なんですか?」
「・・・ありがとう」
「ふふ いえいえ では、行って来ますね!」
「はぁう・・・いっれらっひゃい グズズッ・・・」
トットットット・・・ガサゴソ・・・カチャ・・・パタン!
「・・・ありがとう」
仁美は、涙を流しながら和美を見送った。
そして和美が出て行ったドアを見つめ続けるのだった。
こんなに優しくされたのは、何時以来だろうか?
仁美は、和美に心から感謝したのだった。
もうこの頃には、仁美にとって和美は、無くてはならない存在になっていた。
『和美は、ええ奥さんになるわ
・・・でも、誰にもやらんけどな!』
などと、考えていた。
でも・・・
結局、仁美は風邪をひきました・・・
いっこも、いい事なし!!
和美! 早く帰ってきてん!!
ひとみちゃん・・・風邪をひいちゃいました。
あれれ?『バカは風邪をひかない』はずでは?




