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女装剤  作者: 嬉々ゆう
51/91

第50話 「病気と女装役剤」

なぜか、執拗に晴蘭に絡んでくる男の子2人。

だが、1人の男の子には秘密があった。


文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。




••✼••加汰海水浴場••✼••



 ビーチボールで遊んでいたら、男の子2人の乱入により興醒めとなってしまって、ビーチバレーはお終い。

 相変わらず、ミチョ達4人魔法使いっ娘達は、今もビーチバレーを楽しんでいる。

 あまり、社交的でない歩音は、海の家の椅子に座って、みんなを見ている。

 晴蘭ママ楓は、良子と2人でグラサン掛けて身体の天日干しの日光浴。

 とは言っても、魔女なので、日焼けはしないが。


 そして俺達は、仕方なく浮き輪を持って海へ。


 勿論、浮き輪にも魔法を施してあり、空飛ぶ箒と同じ魔法をかけてある。

 万が一の場合は、空飛んでスイ~~~。

 たとえ人に見られても、後で良子が忘却魔法でチョチョイのチョイってなもんだ。


 晴蘭達は4人で、浮き輪を持って海へ入る。

 しばらく海の中で、ワイワイキャッキャッしていたら、またあの男の子2人が近付いてきた。

 性懲りも無く、アッポケ共が。



「よおよおー!」

「なんなお前ら、浮き輪無かったら海に入れやんのか?」


「「「「・・・・・・(怒)」」」」



 男の子達は、浮き輪を使って遊ぶ晴蘭達をバカにする。

 泳げないんだから、浮き輪を使って何が悪い?

 


「泳げやんのやから、浮き輪使うの当たり前やろ!」


「はーん! なっさけないなあ!」


「泳げやんのやったら、河西公園プールでも行けよ!」


「虹音姉ちゃん、無視しよ?」


「そやね!」


「ほっとけほっとけ!」


「うん! 無視無視!」


「おいこら!「無視すんなや!」


「「「「・・・・・・・・・」」」」



 一々突っかかって来るアッポケ共。

 なんでこんなにも俺達に構う?

 もしかして、虹音姉ちゃん狙いか?

 虹音姉ちゃんは、超絶美少女やもんなあ。



「うるさい! 付いて来んな!」


「へへーん! 俺が浮き輪なしで泳げるように教えちゃらよお!」


「大きなお世話じゃ!!」


「ええから、遠慮すんなよ! ほらあ!」


「うわっ! コラ放せっ!」

「何してんのなお前ら!!」

「やめさない!」

「放して!」


「ええから! 浮き輪放せよ!」

「おらおらおら!」



 男の子達は、なぜか晴蘭の浮き輪を掴み、ブンブン揺さぶる!

 晴蘭は本気で泳げないのだ。

 だから、足の届かない海へ浮き輪なしで放り出されたら、海中へ真っ逆さま!

 ヤバいぞ!

 コイツら、イタズラの域を超えてる!?

 もしも俺が溺れる事になったら、殺人未遂だぞ!

 晴蘭は、堪らず大声で助けを呼ぶ!



「きゃああああ━━━助けて━━━!!」


「わっ!「コイツぅ!」



 すると、虹音達も負けじと叫ぶ!!



「きゃああああ━━━!!」

「誰かあ━━━助けて━━━!!」

「人殺し━━━!!」


「なんっ?!「やめろお前ら!」



 やめるのはお前達だ!

 バカか? アホか?

 それでもやめようとしない男の子達。

 もう、意地になってるようだ。



「ええから浮き輪放せよ! ほいだら、やめちゃるわ!」


「意味分からへんわ! 浮き輪無かったら泳げやんってゆーてるやろ!!」


「浮き輪があるから泳げやんのやろ!」

「そうじゃよ! 浮き輪無かったら泳げるよーになるわい!」


「そんなん無茶苦茶や!!」



 すると、丁度海から顔を出した晴蘭パパ直登が、晴蘭達の異変に気付く。

 どう見ても男の子2人が、晴蘭の浮き輪を奪おうとしているのは一目瞭然だった。




「コオルルルア━━━!!

 お前ら、何しとんじゃ━━━!!」


「オトン!! 助けて━━━!!」


「うわ!「やべっ!!」

 バシャバシャバシャ・・・!



 男の子達は、直登を見て慌てて逃げてった!



「どないした?! 何でこうなった?!」


「オッチャン! アイツら晴蘭の浮き輪を奪おうとしてたんじゃよ!」


「はあ? なんでそんな事?」


「分からへん! でも、あの子らはセーラちゃんばっかり虐めるんよ!」


「チッ! クソガキ共め!

 メダカにでも変えちゃろか!?」


「「「「やめてっ!!」」」」


「?!・・・そうか?」


「もうええから・・・」


「そうか・・・そうか・・・・・・

 それより、せっかく魚とかタコも捕ったのに、モリも網も全部放り出してしもたやんか!」


「「「「あぁ~~~あぁ~~~(汗)」」」」


「まあ、しゃーない!

 お前らが無事で良かった!」


「「「「うん!」」」」


「とにかく、もうみんな海からあがれ!」


「「「ええええ~~~!!」」」


「みんな! 今日はもう、オッチャンの言う通りにしよ?」


「「「はあ~~~い・・・」」」



 こうして晴蘭達は、直登のお陰で難を逃れた。

 しかし、イタズラにしても、やり過ぎだ。

 せっかく楽しんでたのに、奴らのせいで台無しだ。


 そして、海からあがり・・・



••✼••海の家••✼••



「あれ? もう戻って来たん?」

 不思議そうに楓が言う。


「「「「うん・・・・・・」」」」


「「うん?」」



 楓と良子は、???だった。

 そこへ、直登がアレコレと説明する。




「ああ~~~あの子らか!

 やっぱり、メダカに変えとくべきやったな!」


「「「「ええっ?!」」」」


「しょーもない奴らやな!

 なんやったら私がアイツらを、魔法でクラゲにでも変えちゃろかえ?」


「「「「やめて━━━!!」」」」


「?!・・・そうかえ?」



 おぃおぃ・・・(汗)

 良子さんも、晴蘭パパ直登も、物騒やな(焦)

 勿論この場合も、晴蘭が命の危機だったのだから、魔法を使って奴らを懲らしめても、精霊の倫理には反しない。

 だからと言って、魔法で奴らをメダカやクラゲに変えてしまうのは、ちとやり過ぎだと思う。

 この時、晴蘭達は、根っからの魔法使いや魔女の思考は、容赦なく怖いと思った。



「さあっ! いらん事は、もう忘れて!!

 お昼にしよ! 何が食べたぁい?

 あ! 言うとっけど、1人1000円までな!」


「「「「1000円まで・・・」」」」



 ココは、海の家。

 普通の見せとは違って、メニュー全ての品の値段は高めに設定されていた。

 だが、晴蘭は・・・



「オムライス━━━!!」


「「「「はあ!?」」」」


「アホかお前? そんなもん、こんな海の店に有る訳ないやろがよ!」



 と、海音が言うと・・・



「ちょー!ちょー!ちょおおー!

 なんやソレ、お嬢ちゃん!?」


「えっ?!」


「”こんな海の店”は、ないやろ?」



 強面(こわもて)の海の店の主人が言う。

 見た目は、海の店の主人と言うよりも、タンクトップに、派手なビーチパンツを穿き、首と頭に手ぬぐいを巻いて、真っ黒に焼けた、ナンパなチャラ男みたいなオッサンだった。



「うわっ?! ご、ごめんなさい!!

 そんなつもりと、ちゃうんです(焦)」

 焦る海音。


「わっはっはっ! 解ってるよ!

 そやけど、小っこいお嬢ちゃん

 オムライス、作れん事もないで?」


「ホンマ?! オムライス作れんの?」


「おうよ! 任せとけ!!」


「おおおおっ! んじゃ、オムライスお願い!」


「おうよ!」



 なんと!

 海の店の主人は、オムライスが付けれると言う。


 そして、しばらく経って・・・



「ほら! お迎え一丁!」


「おおおおおお━━━っ!!

 本物の、オムライスやあ━━━っ!」


「特別価格で、1500円やなっ!」


「高あっ!!」

「「「「ええっ?!」」」」


「そらそーやがなっ!

メニューに無いもん作ったんやから、特別価格やっ!」


「普通、特別価格ってゆーたら、安くなるんとちゃうん?」


「チッチッチッ! 甘いな、お嬢ちゃん!

 特別にも色々あるっちゅーこっちゃ!

 ええベンキョーになったやろ?」

 人差し指を立てて言う海の店の主人。


「ホンマじょ・・・ぇぇベンキョーになったわ

 大人って、子供を騙す生き物やって・・・」


「なはははははっ!

 別に、騙してへんがなぁ~~~」


「ゔゔゔゔゔ~~~予算オーバーやんかよぉ!」



 オムライスを目の前にして、悔しがる晴蘭。



「ふふふ 晴蘭の負けやな?」

 と、言う晴蘭ママ楓。


「ふぇ?」


「晴蘭は予算オーバーやから、ジュースは無しやな

 ポットに持って来た、麦茶でガマンしとき!」

 と、晴蘭パパ直登が言う。


「∑( ̄□ ̄Ⅲ) がぁぁあぁあぁ━━━ん!!」



 この世の終わりみたいな顔をする晴蘭。

 すると・・・



「うそうそ! 800円でええわよ!

 特別出血大サービスや!!」


「ホンマ?! ありがとうーオッチャン!!」


「その代わり、うちの息子らと仲良くしちゃってな?」


「息子・・・???」


「ほら! コイツらや

 俺の息子と、従兄弟のガキンチョや!」


「「「「あああああ~~~!!」」」」


「「・・・」」


「「「「ザワザワザワザワ・・・」」」」



 突然大声を出したものだから、周囲がざわめく。


 店の主人は、オムライス代を800円にする代わりに、息子達と仲良くしてやれと言う。

 ところがなんと!!

 その息子と言うのが・・・



「お前らっ! さっきの浮き輪泥棒!!」


「「誰が浮き輪泥棒じゃー!!」」


「なんやお前ら、もう知り合いになったんか?

 我が息子ながら、なかなか手が早いなぁ?

 こんな可愛い娘、早速捕まえてからに!」


「「可愛くない!!」」

 

「むむっ!!・・・(怒)

 オッチャン! ちと教育が出来てへんみたいやな?」


「あん? なんのこっちゃ?」


「オッチャンの息子、足の届かへん海の中で、俺の浮き輪取ろうとしたんやで!

 溺れてまうっちゅーんじゃよ!!」


「はあ? 何をしとんじゃお前ら?

 いつも、女の子には優しくしちゃれってゆーてるやろが!」


「違う違う!!」

「俺らはこのチビに、浮き輪なしで泳げるよーにしちゃろうと思っただけじゃ!!」

「そうじゃ!そうじゃ!」


「だから! 大きなお世話やっちゅーんじゃ!!」


「お前らなぁ・・・女の子泣かしたらアカンやろ?」


「「泣かしてへんしっ!!」」


「泣いてへんしっ!!」


「嘘つけ! 泣いとったやんか!」


「そうじゃよ! 泣いとったやんか!」


「だから、泣いてへんってっ!!」


「はっ! 女のくせに生意気な!」


「そうじゃ! 女のくせに生意気なんじゃよ!」


「なんやとゴラワレェ!!

 女 女って、女をバカにするなよ!!

 男のくせに! 女の子虐めて何がおもろいんじゃ!

 なんやったら、女になってみるかー?!

 男に虐められる気持ちが解るっちゅーもんじゃ!」


「何を訳の分からんことを言うてんじゃ?」


「やれるもんやったら、やってみー!!」


「ほお?」


「「「「「?!・・・・・・」」」」」

 「「「「「?!・・・・・・」」」」」



 この時、俺達はニヤリと笑った。

 俺達は互いに顔を見合わせて頷いた。

 晴蘭は、マジック・バッグから、『女装役剤1year』を2本取り出した。


 『女装役剤』とは、晴蘭が『女装剤』の解毒剤を研究開発する過程で失敗作として出来てしまった、女装剤の下位互換的な魔法薬である。


 飲むと1日女の子に変身する『女装役剤』と、

 飲むと1年間女の子に変身する『女装役剤1year』と、

 飲むと100年間女の子に変身する『女装役剤100year』とがある。

 しかも、身体の欠損部位の再生や、どんな怪我でも、どんな病気でも瞬時に治せるスグレモノだ!



「ほんなら、これを飲んでみるか?

 女に変身するから!」


「「っはあ?!」」


「「「「ザワザワザワザワ・・・」」」」


「それにな! それを飲んだら、どんな病気でも、どんな大怪我でも、あっという間に治るスグレモノやぞ!」


「「?!・・・」」



 男の子達は、女装役剤を目の前にして、考え込んでいる。

 信じている様子は無いが、何か思うところがあるようだ。

 そると、そんな俺達の話しを聞いていた店の主人が・・・



「お嬢ちゃん・・・ソレって魔法使いの薬か?」


「ん、んん~~~まあ、そうですね!」


「やっぱり!! ほなソレ飲んだら、どんな病気でも治るっちゅーのはホンマか?」


「え? ああ、うん! ホンマですよ?」


「!・・・そう・・・なんや」


「・・・・・・ふぅん?」



 店の主人は、眉間に皺を寄せ、なにか考え込んでいた。

 すると、男の子の1人が女装役剤の1つを持ち・・・



「おとーちゃん! コレ飲んだら、俺の病気も治るんか?」


「え? ああ、いや・・・それは・・・」


「ふぅん? 病気って、なんですか?」


「・・・クローン病なんよ」


「「「「「?!・・・」」」」」

 「「「「「?!・・・」」」」」



 クローン病・・・

 詳しい事はよく分からないが、とても辛い病気だとか。

 胃や腸などがただれる難病とも言っていた。

 肉とかガツガツ食べられなくなるし、お腹が痛くて動けなくなる事もあるとか。

 症状が悪化すれば、即入院だとも言う。

 そう言えば、奴は普通の子達よりも痩せている気がする。

 そんな子供が、海になんか入ってもいいのか?

 もし、海の中で症状でも出たら、それこそ大変やろ?


 

「どんな病気も治る・・・でも女の子になる・・・か」


「おとーちゃん・・・?」


「・・・うん! 1年間やろ? 女の子に変身するのは」


「え? ああ、うん

 仮に今日飲んだとしたら、来年の今日には元の男の身体に戻ると思うけど・・・」


「!・・・そうか 戻れるんやな?」



 店の主人の表情が、少し明るくなった。

 意を決したかのように、店の主人は子供に言い放つ!



「ヒロノブ! お前、ソレ飲めっ!」


「「ええっ?!」」


「「「「「?!・・・」」」」」

 「「「「「?!・・・」」」」」

「「「「ザワザワザワザワ・・・」」」」



 奴の名前は、ヒロノブと言うんか。

 まあ、そんな事なんてどうでもいい。

 奴の父親である店の主人は、息子ヒロノブの病気を治したいがために、女装役剤を飲めと言う。

 眉間に皺を寄せ、怒りにも似た表情の父親。

 どうやら、本気のようだ。

 ちと、簡単に考えすぎでは?とは思うが・・・

 当人がそう言うのなら、何も言うまい。



「どうする?」


「どうするって、なんで俺に聞くんなよ?」


「だって、俺だけ飲むの嫌やろ?」


「はあっ?! 俺も飲め言うんか?!」


「頼む! お前も飲んでくれ!

 俺だけ女になるんは嫌やしよ!」


「お前、俺を巻き込むなよ!!

 俺は、どこも悪くないし、病気ちゃうのに、飲む必要なんかないやんかよ!!」


「そんなん言わんと! な?」


「ええ? お前ねぇ・・・」


「コウキ! 俺からも頼むわ!

 ヒロノブのために、1年間付き合ってくれへんか?」


「ええええ~~~?!・・・ええ━━━・・・」


「「「「「?!・・・」」」」」

 「「「「「?!・・・」」」」」



 店の主人は、自分の息子が女の子になる事以上に、息子の病気を治したいようだった。

 でも、奴の家族は?

 母親は? 勝手に決めてええの?



「あ、えーと・・・飲むのはかまへんけど、自己責任でお願いしますよ?

 飲んだ後になって、何か不具合やトラブルがあって責任取れ言われても、何も出来ませんからね!」


「ん、ああ、解ってる・・・

 なあ、ヒロノブ?

 1年間や! 1年間ガマンしたら、健康な男の子としてまた暮らせるんやぞ?

 肉も腹いっぱい食えるようになるぞ!

 大人になったら、酒も飲めるぞ!!」


「おっちゃん・・・(汗)」


「そうかも知れへんけど・・・

 女に変身するんやろう? ええ~~~・・・」



 すごく悩んでる様子・・・

 息苦しささえ感じる静寂・・・


 こりゃあ、ダメだ。



「やっぱり、返して!」


「「「ええっ?!」」」

「ちょっと待ってくれよ、お嬢ちゃん!」


「アカンよ! やめやめ! やめときって!

 そんなに悩むんやったら、やめた方がええよ!

 後悔するのは目に見えてる!」


「いや、待ってくれって!

 なあ、ヒロノブ! 病気が、クローン病が治るんやぞ?

 入院もせんでもええようになるし、点滴もせんでもええようになるんやぞ!

 なにより、痛い目に遭わんでも済むんじゃ!」


「解ってるよ!

 でも! ホンマに治る保証も無いやろ?」


「うぐっ・・・それは・・・」


「ほやから、返してって、ゆーてんの!

 信じられへんのやったら、もうええやろ?

 ほら、返して! ホンマはタダやないんやから!」


「ちょっと待って! もし()うたら幾らするんや?」


「10万円・・・くらいかな?」


「「「じゅうまんえん?!」」」


「うん! そらそーよ!

 どんな病気も怪我も治るんやで?

 滅多に手に入るモンでもないし?(嘘)

 これからも何十年も病気と戦う事を考えたら、10万って安いもんやと思うけどね?

 こうやって知り()うたんも、なんかの縁!

 それを今回は、タダであげるってゆーてんのやから!」


「「「!!・・・・・・」」」



 本当なら、『女装役剤1day』を出せば良い話。

 1日だけ女に変身するだけだからな。

 でも、奴らには海でやられた仕返ししたい気持ちもある。

 だから、1年間女として生きろという俺からの罰だ!

 この程度なら、精霊の倫理にも触れやんやろ。



「分かった! 俺も飲む!」


「ホンマか?!「ホンマかコウキ!?」


「うん! 俺もヒロノブが苦しんでるの知ってるし、1人だけ女に変身させるのも可哀想やし?

 それに、1年間だけやろ?」


「ああ、うん! そうや、1年間だけや!

 なっ! せやろ? 嬢ちゃん!!」


「え? あ、ああ、うん! 1年間だけね」


「よし分かった! 俺、飲むわっ!」


「お前・・・すまんなあ」


「ええよ! その代わり、俺の両親にも上手に話し通してくれよ! おっちゃん?」


「おうよ! 任しとけ!」


「ええか!?」


「おお・・・ほな、いちにのさんで飲むぞ」


「おう!」

 すぽぽん!



 2人は、同時に女装役剤の栓を抜いた!

 そして同時に、女装役剤を一気に飲み干した!!



「「ぷはぁ━━━!!」」


「甘いな・・・コレ」


「あ、うん 桃味?」


「どうや? なんか変わったか?」


「え? いや・・・特に・・・おごっ!!」


「なっ?! どーした? んぎゃう!!」


「おっ!? なんや? どうしたんな?!」



 女装役剤を飲んだ2人の身体が、淡く青白く光っている。

 そしてその光がゆっくりと消えたかと思うと・・・



「なんや? なんか変わったか?」


「お前!! 変わってる変わってる!!」


「ああっ! ホンマや! 声も変わってる!!」


「あれ? なんか身体がスッキリ・・・楽になった気がする?」


「うわー!! お前の乳、三角にとんがってる!」


「お前もやんか!!」


「おい! お前ら! 下っ! 下見てみい!!」


「「した?」」


「〇ン〇ン、付いてるか見てみーて、ゆってるんじゃ!」


「「〇ン〇ン?・・・」



 2人は、パンツを広げて中を見てみた。



「ああああ━━━ない!!」


「うわあっは! 何コレ不気味~~~!!」


「マジか?!」


「ほら! 見てん! おとーちゃん!」

「ほらほら! 俺んもの!」

 パンツを大胆に膝まで下げるヒロノブとコウキ。


「うわ! み、見せんでもええよ(汗)」



 この日、男の子2人は女の子に変身した。

 彼らは今日この日から1年間、女の子として生きてゆかねばならないのだった。


 だが、海の家の主人は、どこか嬉しそうだった。

 実はこの男、女の子が欲しかったのそうだ。

 だがまさか、そんな事など今ここで言えるはずもなく・・・


 家に帰ってからというもの、母親までも息子の病気が治ったことよりも、女の子に変身した事を喜んだ。

 もうし1人の男の子コウキの両親は、かなり動揺して、ヒロノブの両親とも激しく言い争いになったそうだが、ヒロノブの両親からの相談と説得により、渋々受け入れたとか。


 ただ、ヒロノブの父親が、ここまで強く女装役剤を飲むよう勧めたのは、医療費が浮くからと言う自分のためなのか、それとも本当にヒロノブのためなのか、はたまた両方か、それは定かではない。

 難病指定なので、入院しても部屋代と食事代だけしか請求されないが。


 そしてこの1年後。

 2人の両親が晴蘭の自宅へ、『女装役剤100year』を求めに来たのは、また別のお話し。




小児糖尿病という病気のヒロノブ。

そしてその従兄弟のコウキ。

2人は、ヒロノブの父親の強い希望もあって、『女装役剤1year』を飲むことに。

そして、女の子に変身した2人は、今後どうなるのか?

それはまた、別のお話し・・・

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