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女装剤  作者: 嬉々ゆう
50/91

第49話 「10年後⋯そして夏、海へ」

ムトランティアで10年間過ごした晴蘭。

心も身体も、チョット成長できたかも?


文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。

 



 ••✼••異世界ムトランティア••✼••



 ••✼••トスター噴水広場前••✼••



 気が付くと、大きな噴水の前に立っていた。



「ワイワイガヤガヤ・・・」


「おろ?・・・ここは?」



 何が何だか解らない内に、楓はムトランティアに放り出されてしまった。


 すると、後ろから良子に声をかけられる。



「ふん 来たな!」


「あ! 良子さん ほいで、晴蘭?」


「何? そのついでみたいな言い方・・・」


「あははっ! あんまり小っちゃくて可愛いから♪」


「うっさいわ!

 せやけど、エラい似合ってるやん?」


「せやろ? ってゆーか、勝手にこんな服に決められてしもぉたんやけどね?」


「う、うん・・・そうじょな?

 アレ、勝手に決められるからな・・・」


「ほな、冒険者ギルドに行こか!

 先ずは冒険者ギルドで、試験の受け付けをしたら、次は宿屋に行くぞえ」


「「はい」」



 晴蘭と良子に合流した楓は、冒険者ギルドへと向かった。



 ••✼••トスター冒険者ギルド••✼••



「はい 冒険者登録ですね!

 では、コチラに必須事項を記入してください」


「はいはい・・・

 名前は、カエデ・・・と

 年齢55歳で・・・職業は魔女っと」


「・・・・・・え?!」


「え? なにい?」


「オカン! 魔女なん?」


「えっと、うん!

  さっき、真っ黒の部屋ん中で、魔女に進化するか?って出たから、『はい』押したら魔女になってた!」


「?!・・・・・・・・・」


「ははは・・・まあ、そうやろなぁ?

 楓もそろそろ魔女になれるはずやとは思ってたけどな!」


「マジで?!」


「そうなんですか?!」


「まあな! 魔女になれるかどうかは、ある程度魔法使いとして成長してから、魔女になるキッカケが有るか無いかにすぎんもんじゃ」


「「へえ~~~」」



 深く考えても解らないので、「へえ~~~」で終わる晴蘭と楓だった。


 晴蘭達は、冒険者ギルドで楓の冒険者(仮)登録をすると、ノービス冒険者クエストを受けて、宿屋をチェックインした。


 さあ、先ずは楓のノービス冒険者として、冒険者認定試験を受けなきゃいけない。

 でも、いきなりのぶっつけ本番では不安だし、まだレベル1だし、晴蘭達は楓のレベ上げの狩りへと向かう。

 1週間ほど狩りをすると、楓のレベルは一気に125にまで上がった!




 ■===========■

 ・⋯━☞STATUS☜━⋯・

 ■===========■

 名前 カエデ

 性別 女

 年齢 55

 種族 人族

 職業 女性魔女

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 状態

【健康】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 LV 125

 HP 225

 MP 516

 STR 16

 ATK 30

 DEF 27

 INT 95

 SPD 20

 LUK 237

 EXP 332554

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

魔法特性

【全属性攻撃魔法】

【全属性防御魔法】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得魔法

【創造魔法】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 習得スキル

【魔力制御】【魔力操作】【鑑定】【魔力量計測】【魔法薬精製】【錬金術】【魅了】【限界突破】【魔導インターネット】【茨の縛り】【御用だ!】【錬金術】【空間拡張魔法】【空間キューブ拡張魔法】【異空間収納魔法】【鷹の目】【猫の目】【悩殺なやましポーズ】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 必殺技

【ショットガン】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 称号

【あっぽけヤンキーDQN】【無自覚人たらし】【セーラの母】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 資格

【原動機付自転車】【自動車学校卒業】

 ・⋯━━☆★☆━━⋯・

 ■===========■




・⋯━☞1週間後☜━⋯・


••✼••トスター冒険者ギルド••✼••



「おめでとうございます!

 カエデさんも、今日からラピスラズリ級冒険者です!」


「ありがとう!」


「やったなオカン!」


「うむ よくやった!」


「ありがとう! ありがとう!!」



 こうして楓は、ムトランティアで冒険者となり、晴蘭を育てる生活が始める。



・・・・・・・・・

・・・・・・

・・・




・⋯━☞翌年の初夏☜━⋯・



••✼••晴蘭自宅茶の間••✼••



「「「「お帰りなさい!」」」」

 「「「「お帰りなさい!」」」」


「みんな、ただいま! うわ!」


「うんうん! 見違えたわセーラちゃん!」

 虹音が晴蘭を抱きしめながら言う。


「そう? 俺的には、チョットわからんけど」


「うぅん! やっぱりチョット成長した!って感じする!」

 負けじと千春も晴蘭を抱きしめながら言う。


「ふむ まあ、ようやく晴蘭が戻った!っ感じがするな!」

 腕を組み言う海音。


「・・・そうか?」


「でもまあ、大変やったわぁ~~~」

 テーブルに肘を付き手に顎を乗せて言う楓。


「あはは・・・」



 楓にとって、ムトランティアは何もかもが新鮮ではあるが、理不尽で無法地帯以外の何物でもなかった。

 まあ、その話はまた、別のお話で・・・



「そういや、もうすぐ夏休みやんなあ?」



 千春の言うように、もうすぐ夏休みである。

 つまり晴蘭は、ムトランティアから戻るなるやいなや、いきなり中学2年生の夏休みとなるのだった。

 なんとも晴蘭にとっては、不思議で妙な感覚である。

 また、楓と良子、そして学校では真奈美と鬼和田とで、色々と手回しをしてくれているので、晴蘭は何も心配せずに、今まで通りに通学すれば良いとの事だったが・・・



「なんか、ガッコ行き辛いな・・・」


「だいじょぶやって!

 あ、2年からは、私もミントも歩音、んで、ミチョ、サエ、レッカ、サチ、みんな同じクラスやからね!」


「へえ・・・それも、良子さんの仕業?」


「仕業って・・・言い方!

 まあ、そうじゃな

 色々面倒な事もあったが、学校の教師連中から全校生徒の晴蘭についての記憶も弄ったったわい!」


「そんな事できんのお?!」


「そこは魔法でチョチョイのチョイ!ってなもんじゃわえ!」


「良子さん・・・流石に何でもありっすね」


「はははっ! まあな!」


「流石は、800歳越えのばあちゃん大魔女!

 まさに、日本でも何でもありやわ! すんご!!」


「なんやてぇ?!

 誰が、ばあちゃん やってえ?!」


「ごっ・・・ごめんさない(汗)」


「「「「あはははははっ!」」」」

 「「「「あはははははっ!」」」」


「そう言うお前も、ゆくぞここまで成長したもんやな」


「成長? そうかな・・・よく分からへん」



 晴蘭は、まさか自分が、良子を遥かに超えるほどの大魔女になっていることになど、知る由もない。



・⋯━☞翌朝☜━⋯・



••✼••┈┈┈晴蘭自宅自室┈┈┈••✼••



「うわあ~~~なんか!

 制服着んの、めっちゃ懐かしい!」


「ああ、そうじょなあ?

 セーラちゃんは、アッチでは10年間、居ったんやもんなあ?」


「うん なんか不思議・・・

 ってゆーか、コッチの方が異世界みたいな感覚やわ」


「そっか・・・」

 そっと晴蘭を抱きしめる虹音。


「虹音姉ちゃん?」


「寂しかった」


「ええ? でも、アッチでも会ってたやん?」


「うん そうなやけどね?・・・」


「・・・・・・?」



 虹音は、何時もなら晴蘭の部屋で2人で寝るのだが、晴蘭がムトランティアへ行っていた10年間(日本では5ヶ月ほど)は1人だった。

 ロスト晴蘭に、どハマりしていたのだ。

 晴蘭と2人で寝ていたのが、急に1人で寝るようになって、とても寂しかったのだった。



「でもまた、一緒やんもんね!」

 額を晴蘭の額にくっ付けて言う虹音。


「ふっ・・・そうやね!」



 チョット、ドキドキした。

 そう言えば、10年ぶりやもんな。

 ずっとムトランティアでは、母親の楓か、良子さんと寝てたけど、2人とも『女』なんやけど、なんでか『女』って感覚なかったし。

 ふゃははっ!

 俺今、めっちゃ失礼な事、考えてたな(笑)。


 そして、久しぶりに晴蘭が戻って来たからと、海へ行こう!って事になった。



・⋯━☞月曜日の海の日☜━⋯・



••✼••加汰海の家••✼••



 『加汰』とは、和歌山と大阪の県境にある港町で、江戸時代では参勤交代でも利用された宿場町でもあったそうな。

 修験道の開祖・役行者(えんのぎょうじゃ)が大峰山での修行前に加汰を訪れ、加汰は修験道発祥の地ともいわれているんだとか。


 ほおえぇえぇえぇ~~~知らんかった!


 また、雛人形発祥の地だったり、人形供養で有名な「淡鳥神社」もある、和歌山では結構有名な場所なのだ。



 ココは、加汰海の家。

 「海の家」とは、加汰の海水浴場の砂浜に、足場材で組み立てた小屋?である。


 父親の直登から聞いた話しでは、小屋は単管と呼ばれる鉄パイプを、90°に組む『直交クランプ』と、角度を自由に決められる『自在クランプ』と呼ばれる器具で組み立て建ててるんだとか。

 床には、足場材の『足場板』と呼ばれる板を敷き詰めていた。

 へえ~~~面白いな!

 これなら俺にでも出来んじゃね?

 なんて思った。

 そんな足場材で組まれた小屋に、テント風の幕を張って、お店だとか、シャワー室だとかが設置されている。

 昔は、『丸太』と呼ばれる木の棒を使って、『番線』と呼ばれる針金で縛って作ってたんだとか。



「オトン! そんな事、よう知っとるな?」

 晴蘭が父親の直登に聞く。


「そらぁな! 俺も若い頃にアルバイトで、海の家を建てた事あるからな!」


「ほええ~~~! そうなんや?」



 流石は、300歳を超える男性魔法使い!


 この和歌山市から加汰を結ぶ街道付近には、巨大な製鉄工場があり、その周辺に昔は鉄鋼関係の子企業が沢山あったんだとか。

 なので父親の直登が魔法の国から日本のここ和歌山へ来た当時は、夜の店がズラーっと並ぶ、それはそれは賑やかな街だったらしい。

 若い頃の直登は鉄鋼関係から鳶職なんかも、手を出したと言う。

 それは何時頃の話しなのかと聞いたが、なぜか、はぶらかされた。



「セーラちゃん! 水着に着替えよ!」

「はよせな、順番待ち取られるで!」


「お、おう」



 千春と虹音が、水着に着替えようと俺を誘う。

 海の家は、何件かあるのだが、父親の直登の知り合いの人が運営する海の家を利用するので、店なら何処でも良いという訳では無い。

 父親の知り合いの人が運営する海の家は、中でも1番大きく人気が高いとか。

 シャワー室も2部屋あり、人が1番集まる店なので、早くしないと先を取られて、時間が経てば経つほどに、後に回される。


 幸い、それほど待たされる事もなく、着替える事ができた。

 問題は、帰りのシャワーだな。

 父親によると、それこそ取り合いになるのだとか。

 まあ、俺達は魔女っ娘に魔法使いだ。

 別にシャワーを浴びれなくても、魔法でチョチョイとできるのだが・・・

 

 俺の水着は、去年俺が女の子に変身したばかりの頃に虹音姉ちゃんから貰ったものだ。

 魔女なので、1年経ってもピッタリ。


 如何に、身体が成長していないか?が嫌でも理解できる。

 それは上下2つに別れたタイプで、胸のところにでっかいリボンが付いていて、下は腰の部分にはヒラヒラのスカートみたいなのが付いている。

 水色が俺ので、ピンク色が海音のだ。

 千春は、短パンに半袖シャツ風の、一見バレーボール選手のような?

 虹音は、上はカップをリングで留められ、肩は片方だけの『ワンショルダー』と言われるタイプて、下も片方をリングで留めたタイプ。

 その上に、最近『大人可愛い』と言われる、カバーを着ていた。


 ズルい・・・



「虹音姉ちゃん! なにそれ?!

 なに自分だけ隠してんの!!」

「そうじゃよ! 俺らだけこんなヒラヒラ付きって!」


「ええ~~~めっちゃ可愛いやあん!」

「うん! 可愛い!可愛い!!」


「「?!・・・・・・」」



 『可愛い』と言われて、何も言えなくなる晴蘭と海音。

 そこへ、歩音が登場!



「うをわ?!「うわわっ!!「やっ!綺麗!「へぇ~♪」


「そんなんマジマジと見んとってよ(照)」


「「「「わあ~~~!!」」」」



 歩音の水着は、何処にでも見られる普通のビキニなのだが、背の高い歩音が着ると、まるでモデルのようだ。

 胸も大きい方なので、こりゃあ野郎共が放っておかんやろ。。。


 そして、ミチョと、サエと、レッカと、サチは、なぜか4人とも同じワンピースタイプの水着で、まるでスク水みたいで、魔法使いになった4人は小学生高学年程度にしか見えない。

 でも、それはそれで可愛い!

 キャピキャピと、はしゃいで楽しそうだ。


 そして、良子は・・・



「あだっ!! うっわぁ~~~!」


「なんじゃ? 何か変か?」


「えっ?! いやいや、大胆と言うか、際どいと言うか・・・」


「ふん! 似合わんのなら、ハッキリ言えっ!」


「うぅん! 似合ってるけど、やり過ぎ?」



 良子は、シンプルに黒のビキニ。

 だが、800歳を超える大魔女なのに、見た目年齢は20代半ば?

 こりゃあ、オッサン連中が放っておかへんやろ?

 案の定、オッサン連中から声を掛けられる良子。

 でも、ギロリ!と睨むと、オッサン連中は大人に叱られた子供のように、そそくさと去ってった。

 ま! 良子さんやから、まったく心配なんかしてへんけどね。


 んで、晴蘭ママの楓とは言うと・・・


 水色に白の縞模様のビキニ。

 んだが! 晴蘭も憧れ認める巨乳なため、紐が切れたらエラい事にならんやろか?と心配なる。

 だが楓には、『羞恥心』っちゅーものを、どこかに置き忘れて来たのかと思うほどに、堂々としている。

 夫である直登ですら、目のやり場に困っていた。

 ま、元ヤンキーDQN野郎だったからなあ・・・


 今日の注目大将?対象?は、虹音、歩音、良子、楓に決定やな!

 残りの俺達お子ちゃま達は、護衛、兼、引き立て役!

 虹音達が野郎共にナンパされそうになったら、『ママー!』っ叫びながら近付けばOK!

 と、なればナンパ野郎共も、『なんだ子持ちかよ』って去って行くだろう!

 

 おぅいえす!! 作戦完璧! ええこっちゃ!


 だが、唯一の男である直登は、もう海パン一丁になって、モリと漁網持って海に潜ってるし。

 早いなおい(汗)


 さて! 海の家の近くに場所取りもしたし、遊び道具も充実!

 勿論! 遊び道具は、全てが魔導具!

 良子によると、少々は魔法を使ってもヨシ!

 との事で、何かあれが魔法で対象するから、思い切り楽しめってさ。



「ほぉら! お前達! 今日は魔法解禁じゃ!

 少々の事なら、魔法で対象するよってに、思い切り楽しんで来い!!」


「「「「「いえ━━━い!!」」」」」

 「「「「「いえ━━━い!!」」」」」



 意外だったのは、晴蘭ママの楓がめちゃはしゃいでいた事。

 魔法使いの頃は、見た目年齢20代半ばだったのに、魔女になった今の見た目年齢は17~8歳くらい。

 なのに巨乳は変わらずも、ウエストは引き締まり、ボン!キュ!ボン!な必殺悩殺鼻血ブーなナイスバディーなため、1番目立っている様にも見える。

 それに人生の半分を男して生きて来たせいか、久しぶりに思い切り楽しめるときて、素が出てしまって一人称が『俺』に戻ってるし。

 それが不思議と大当たりなのか、『オレっ娘』として、野郎共が集まる集まる。


 次に目立ってるのは、虹音姉ちゃんか!

 一見、金髪碧眼ボン!キュ!ボン!ナイスバディー・クールビューティーな虹音姉ちゃんは、見た目はJCだが、JKでも見ようと思えば見える?

 ってか、実際JKなのだが。

 とにかく俺から離れないので、俺が虹音姉ちゃんを守るぞい!


 ミチョと、サエと、レッカと、サチが、なんちゃってビーチバレーを始めたので、俺達もやってみる!

 勿論! ビーチボールは魔導具なり。

 だが、大した効果は付与しておらず、叩けば記録した効果音がランダムに鳴るだけ。


 チーム構成は、俺と虹音姉ちゃん対、千春と海音!



「ふはははははっ!!

 やっと、この時がきたようだな海音君!

 今日こそは決着をつけてやるぜいだこの野郎覚悟しろ!」


「なはははははっ!!

 片腹痛いわ! 幼女魔女め!

 お前こそギッタンギッタンにしちゃるから覚悟せいや!」


「できるもんやったら、やってみいワレゴルルァ!!」


「おおう! やっちゃらやないかえ! アホンダルルァ!!」


「「・・・・・・(汗)」」



 黒髪黒目少女と、金髪碧眼少女が、舌を転がして吐く言葉は、まるで喧嘩でもしてるかのような聞くに絶えない汚い言葉。

 ただでさえ注目を浴びてしまうのに、魔導具化されたビーチボールから放たれる効果音がまた更に注目を浴びてしまう。



 晴蘭のサーブ!


「いくぞ! 喰らええええ!!

 ウルトラ・スーパー・アトミック・スペシャル・ダイナマイト・ボ━━━ル!!」


 ドゴオ━━━━━━ン!!

 大爆発音!


「「きゃあ!!」」

「「「「ワイワイガヤガヤ」」」」




 なんと! 晴蘭がサーブで叩いたビーチボールは、まるで大爆発を起こしたかのような、もんの凄い爆発音を放った!!

 勿論これは、この魔導具ビーチボールに付与された効果音であるため、実際に爆発した訳では無い。



 海音のレシーブ!


「音の割にはショボイなおい!! 反撃っ!!

 ウルトラ・スーパー・アトミック・スペシャル・ダイナマイト・レシーブ!!」


 ドンガラガッシャ━━━ン!!

 ガラスの割れる音!


「「きゃああっ!!」」

「「「「オイオイワイワイ」」」」


「ミチョ、トス!!」


「ひゃ?! あ、はい!」

 言われるままに、トスをする千春。


 ギャア━━━オウ!!

 怪獣の鳴き声。


「きゃう?! 何よこれー!!」



 晴蘭達の使うビーチボールは、大音量で効果音を連発!

 少しの魔法は使っても良いとは言ったが、下手に注目を浴びる行為は流石に目に余る。

 するとそこへ・・・



「こんバカタレがあ━━━━━━!!」 


「「「「きぁあ━━━!!」」」」


「「「「ザワザワザワザワ・・・」」」」



 良子の怒りの声に、超ビビった晴蘭達だった。



 すると、2人の小学生高学年くらいの男の子達から声を掛けられた。



「なあなあ! そのビーチボールって、もしかして魔導具?」


「ほぇ? ああうん、そーやけど?」


「やっぱり! なんか変な音とか鳴ってたし!」

「うんうん! おもろかったなあ!」


「知ってる子?」

 虹音が俺に耳打ちする。


「いやいや、知らん知らん」

 首を振る晴蘭。



 晴蘭は、あんまりアレコレと聞かれても返答に困るので・・・



「欲しかったら、あげよーか?」

 二人の男の子達に、ビーチボールを差し出す晴蘭。


「「いらーん!」」

 本気で要らなさそうにハモって言う男の子2人。


「なんなよおい・・・」



 てっきり、ビーチボールが欲しいのかと思っていたのに、思い切り拒絶されてしまった。

 じゃあ、なんで声を掛けてきたあー?!

 と、(いぶか)しげに2人を見る晴蘭。

 すると、海音と虹音がやって来て・・・



「どうした? 揉め事か?」

「セーラちゃん! どーしたん?」


「いやいや、別に揉めてへんし」

「ははは・・・(汗)」



 虹音は、身長148cmとJCにしては低い方で、2人の男の子を少し見上げるが、晴蘭は身長130cm。

 相手が小学校とはいえ、見上げる背丈だ。

 そんな2人と2人。

 晴蘭達が、男の子達に喧嘩でも売られてるかの様に見えたのだった。



「お前ら、何処の小学校?」


「「はあっ?!」」



 面と向かって『小学生』呼ばわりされてムカつく晴蘭。



「俺、中学生なんやけど」


「「嘘やあ!!」」


「ホンマじゃよ!!

 こう見えても、中学2年なんやけど?」


「「嘘やあ━━━!!」」


「私は、高校2年やけど?」


「「嘘やあ━━━━━━!!」」

「そんなにチビのくせに?」

「隣に子も、ホンマは小学生やろ?」


「「・・・・・・(怒)」」



 沸点の低い晴蘭は、一気にブチ切れ寸前!

 流石の虹音もムカついた。



「やかましわ! 舐めとんのか!

 俺がチビやからって舐めとったら張り回すぞワレゴラァ!!」

「わっ! ちょっ! セーラちゃん(焦)」



 流石に晴蘭をなだめようとする虹音。

 虹音も、いきなり晴蘭がこの程度でブチ切れるとは思わなかったらしい。

 でも晴蘭は、別にブチ切れてはいない。

 舐められないように、威勢を張って、強がっているだけだ。



「おぃおぃ、待て待て!「ちょっと、やめなぁよ!」



 海音と千春も、晴蘭を制そうとする。

 すると・・・



「なんなぁ? お前ら! 俺らは中学3年やぞ!」

「そうじゃよ! 女ばっかり集まって来ても、怖ないからなあ!」


「「「「・・・・・・(汗)」」」」



 なんなよコイツら!

 中学生やったんかえ?!

 小学生やと思ってた!

 中学3年って、15歳くらいか?

 1個年上かよ・・・見えん!

 あまりにもガキっぽいから、年下かと思った。

 俺らがみんな、小学生だと思ったらしい。

 だからって、女の子相手にいきがって、どないすんの?

 ほん~~~まに、ガキやな。

 ってか俺は、14歳なんやけど・・・

 それに虹音姉ちゃんは、17歳なんやけど?

 まあ確かに、俺達みんな小学生に見えないこともないが・・・

 制服じゃなく水着だし。

 などと思っていたら、一気に冷めてきた。



「まっ! なんでもええわよ!

 女の子相手にしか喧嘩売れやん餓鬼相手にしてても、つまらへんし」


「「はあん?!」」



 そう言って晴蘭が、2人から離れようと回れ右して歩き出すと・・・



「待てよおい!」

 晴蘭の肩を掴む中坊男子。


「痛っ! その手ぇ放せや餓鬼!」


「お前も餓鬼やろ!」


「ちゃうゆーてるやろ!」



 それを見みた海音が割って入る!



「おい! やめろや餓鬼先輩!」


「ああん? 誰が餓鬼じゃ金髪女!」


「なんなゴラァ! それは差別か? ああん?」


「「はわわわ・・・(焦)」」



 虹音と千春は、どうしたものかとアタフタ。

 そこへ、見るに見かねたのか、晴蘭ママの楓が登場!



「ほぉーら! 何してんのアンタら?」


「「?!・・・」」


「オカン!「「楓さん!」」



 晴蘭ママ楓の登場に、一瞬焦る男の子達。



「な、なんなよ! 中学生の中に高校生が入ってくんのは反則やろ!!」

「そうじゃよ! 高校生は来んな!」


「えっ?! 私が高校生?

 あっはははははははははっ!!」


「「「「?!・・・」」」」

「「!!・・・・・・」」


「私はこう見えても、この娘の母親です!」

 後ろから晴蘭の肩を抱く楓。


「「ええええええ~~~?!」」



 男の子達は、楓が女子高生に見えたようだ。

 ま、見えないこともない。

 楓も魔女になって、身体がずいぶんと若返ったから、一児の母だと言っても、信じられないかも知れない。


 だが! 信じる信じないは別として、男の子達は楓を見て、顔を真っ赤にしていた。

 ここでもまた、楓の【無自覚人たらし】炸裂!

 男の子達は、目のやり場に困ったかのように、下を向いてモジモジしている。



「喧嘩は無しな! 仲良く! な! 仲良くぅ!」

 男の子達の肩に手を置く楓。


「「・・・はぁい」」


「「「「んんっ?!・・・」」」」



 晴蘭達は、男の子達の急変した態度に、唖然・・・



「なんなよお前ら!

 大人が出てきたら、黙りかえ?」


「晴蘭っ!! めっ!!」


「?!・・・・・・・・・ふぁい」


「んじゃあね! バイバイ」


「「バイバイ・・・」」



 こうして晴蘭達は、楓のお陰でトラブルにならずに済んだ。

 だが、このまま終わるとは思えない。

 嫌な予感しかしない晴蘭達だった。


魔法解禁とはいえ、羽目を外す晴蘭だった。

そこへ、中学3年生という男の子2人が乱入!

男の子達に絡まれて、内心ガクブルだった晴蘭。

そこへ制しに入ったのが母親の楓。

流石は元ヤンキーDQN楓!

だが、これだけでは終わらなかった。


男の子2人を、小学生から中学生へ設定変更しました。

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