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女装剤  作者: 嬉々ゆう
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第44話 「良子と貴族」

ソフィー危うし!!

ソフィーを手に入れようと、貴族の汚い部分が見え隠れする。

晴蘭は、ソフィーを助けられるか?


文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。




••✼••ネチコイ教会ホール••✼••



「ごきげんよう ところで貴方様は、どちら様でしょうか?」


「僕は、ゴーマン・ナール・ガングロ伯爵家の嫡男、

 ナルシス・トール・ガングロと申します

 ここにご厄介になっている、ソフィーの婚約者なのだよ!」


「なんと!! ソフィーさんの婚約者?!」



 なんとまあ、ソフィーの婚約者と言う、ゴーマン・ナール・ガングロ伯爵家の嫡男、

 ナルシス・トール・ガングロ

 とかいう奴が現れた!


  勿論、ソフィーには婚約者など居なかった。

 毎世代毎に、聖女を輩出しているコチマナマーチ男爵領は、ポーションの製造が主な収入源である。

 だが、今年になって晴蘭が聖女となった時、「新しいポーション精製法」が確立され、効果も品質も味も素晴らしいとのことで、聖女の価値がグンと上がったのだ。

 今では主流は、晴蘭の開発した新しいポーションとなっている。

 一応、コチマ領での既存のポーションも販売数は爆発的に増えたものの、価格が破壊的に下がってしまったので、利益はほとんど変わらないとのこと。

 なので、新しいポーションを精製する聖女となったソフィーの価値も、当然上がった事になる。

 それを知ったコチマナマーチ男爵は、今現在のソフィーの価値を知り、1度は除名追放したものの、恥知らずな事に手の平返しで、ソフィーを取り戻そうとした。


 だがソフィーは、断固拒否した!


 コチマナマーチ男爵は、なぜそう思ったのか、ソフィーは喜んで戻って来ると思っていたらしく、拒否された事に激怒。


 なぜ、そう思う? バカなの?


 男爵としては、伯爵位同等の地位となる聖女になってしまったソフィーを思い通りにできないからと、婚約者を勝手に決めてしまったのだ。

 伯爵位の婚約者を宛がえば、ソフィーは喜んで戻ってくると思ったのだ。


 やっぱり、バカだよね。

 そんな訳ないでしょ。


 しかし、ソフィーが聖女になった時点で、ネチコイ教会の神官は、既にソフィーはコチマナマーチ男爵家から出家し、正式にネチコイ教会の聖女として、イスヤリヤ国王に報告していたのだ。

 なので、今更コチマナマーチ男爵の計らいは、もう意味を成さないのだ。


 だが、コチマナマーチ男爵も考えた。

 「既成事実」を作ってしまえば、誰も何も言えまいと。


 勝手にガングロ伯爵家と企み、ゴーマン・ナール・ガングロ伯爵家の嫡男のナルシス・トール・ガングロをけしかけたのだ。


 ナルシスも、始めはソフィーに興味など無かった。

 だが今は違う。

 「聖女を嫁にする」という事は箔が付くのだそうだ。


 コチマナマーチ家では女の子が生まれたなら、先ず「聖女適正」を測る。

 聖女適正での適正基準は、5歳に教会で鑑定されるのだが、先ず確認されるのは、コチマナマーチ家代々嫁入りする母親から受け継いだ「回復魔法」が使えるかどうかだ。

 だがソフィーは、5歳の頃には「回復魔法」は受け継いでいなかった。

 なら、次の子供に・・・と期待されるのだが、不幸にも母親は獣車の事故で亡くなってしまう。

 その後ソフィーは、14歳まで回復魔法は習得していなかった。

 なぜならコチマナマーチ家では、回復魔法は習得するものではなく、母親から受け継ぐものだからだ。

 だからソフィーは、母親の残した魔導書を基に、必死しに勉強したが、「プチ・ヒール」を習得するのがやっとだった。

 魔法とは、使わなければ上達しない。

 魔法を使える環境に居なかったソフィーは、当然実力を上げる事など叶わなかった。

 ソフィーは元々、聖女の素質など無く、支援僧侶に向いていたのだ。


 結局、15歳になる成人を向かえる前に、コチマナマーチ家を追放され、家を追い出されてしまった。


 だがソフィーは、晴蘭の下で修行して、本物の聖女になったのだ。

 実の子としてもまともに育てもせず、聖女の素質が無いとぞんざいな扱いをしたコチマナマーチ男爵家なんかに、義理立てて家に戻る必要など無い。

 捨てたのは、コチマナマーチ男爵の方だ。

 今更戻って、政治のコマになる筋合いなども無い。


 なので、神官はソフィーを徹底して守るつもりだ。


 

「ソフィーさんからは、そんなお話しなど、聞いた事はありませんが?」


「そんな事など、どうでもいいんだよ

 僕はソフィーの婚約者なのは事実なのだから」


「そんな事は有り得ません!

 なぜならソフィーさんは、コチマナマーチ家を追放された身

 もう、コチマナマーチ家とは縁を切っているのですから、貴方の言う婚約話は無効です!

 どうぞ、他を当たってください」


「ちょっと何を言ってるのか分かんないなぁ?

 ソフィー! 何処に居るんだー!」


「ダメです! これ以上はっ!!

 ここは神聖な天使と聖女の聖域なのです!」


「放せ! 愚民めっ!!」

 バキッ!

「ぐあっ!」

 ドサッ!



 神官は、ナルシスに殴られ、激しく転倒!

 

 この時! 晴蘭のアニマル・ストラップに反応があり、神官の身に危険が及ぶ事を晴蘭は確認する!




••✼••トスター商店街••✼••



 ニャー! ニャー! ニャー!


「あっ!」

 晴蘭のアニマル・ストラップがけたたましく警告音を放つ!


「なんじゃ! 何ごとじゃ?!」

 突然の警告音に驚く良子。


「セーラちゃんのネコストが鳴ってるぅ!」

 千春も慌てて晴蘭を指差して言う。


「晴蘭! これは、どういう事や?」

 なぜ、晴蘭のアニマル・ストラップが鳴るのか、晴蘭に聞く海音。


「セーラちゃん、守りたい人には、『守りの指輪』を渡してるんよね!」


「そうなんか? んで、呼んでんのは誰なんや?」


「ネチコイ教会の神官さん」


「「「「えっ?!」」」」


「ネチコイ教会の神官からと言うんやったら、ソフィーの身も危ないってゆー事じゃな?!」


「そーゆーとこになりますよね!」


「「「「!!・・・」」」」



 流石は良子さん!

 お察しがよろしいようで。

 

 晴蘭達は、ネチコイ教会へ転移するのだった。




••✼••ネチコイ教会ホール••✼••



「ぐっ・・・ぐふっ・・・

 な・・・なんて事を・・・」



 床に倒れながらも、ナルシスの脚を掴み、ソフィーに近付けまいとする神官。



「しつこいなぁ?

 僕はガングロ伯爵家の嫡男だよ? 婚約者だよ?」


「そんなはずは、有り得ません!」


「何を根拠に、そんな事を言うんだい?」


「ソフィーさん! お逃げなさい!

 他のみんなも!!」


「「「「はっ、はい!!」」」」

 バタバタバタバタッ!


「なっ?! あっ! おい、放せっ!」


「放しません!!」



 神官は、ナルシスの足を掴んで放さない!

 その隙に、ソフィー達は教会内の奥へと逃げる!



「ソフィーさんは、コチマナマーチ家とは、もはや無縁で関係の無いお人

 婚約者などと、何を世迷言を・・・」


「放せっつってんだろ!!」

 ガキッ!!



 神官の左頬を蹴飛ばすナルシス。



「がっ!・・・」

 ・・・パタッ



 パタリと倒れて動かなくなる神官。



「ふん! 伯爵位同等の地位とはいえ、所詮は平民

 本物の貴族の伯爵の嫡男様に向かって、偉そうな事を言うんじゃないよ」



 ナルシスは、背中越しに倒れた神官に向かってそい言う。

 そして、ソフィーを探し始める。



「ソフィー! 何処に居るんだい?」


 カチャ!・・・


「ふむ ここには居なぁい」


 パタン!



 ナルシスは、まるでホラー映画の殺人鬼のように、虱潰(しらみつぶ)しに教会内のドアというドアを開けて回る。

 この時ソフィー達は、1番奥から2番目のソフィーの部屋に居た。

 実はソフィーは、このネチコイ教会では良待遇で、ソフィーの部屋は神官の部屋よりも広かった。

 各部屋には鍵が設置されているのだか、1人ずつ各部屋に逃げ込んだ所へ奴に侵入されたら、どんな目に遭うか分からない。

 それとソフィーは、護身のために「サンダー」を習得していた。

 なのでもし危害を加えようとする者に襲われたら、精霊の倫理に反する事無く反撃ができるのだ。

 ソフィーは、自分だけでなく、他の天使や聖女達も守るつもりだった。



「ソフィー? 我が愛しき婚約者よ~」


 カチャ!・・・パタン!


「ソフィ~~~」



••✼••ソフィーの部屋••✼••



「ううう・・・嫌だぁ・・・気持ち悪い・・・」


「ソフィー様「聖女様・・・」


「大丈夫! きっと、あの方が助けに来てくれるはず!」


「「あの方?!」」


「助けにって、誰ですか?」


「このネチコイ教会初代の聖女様ですわ」


「「「初代の聖女様?!」」」




「初代の聖女」とは、まさに晴蘭の事である。



「初代様! セーラ様! どうか助けてください!」


「「「初代様! セーラ様!」」」



 みんなが晴蘭に助けを求めて祈っていたその時!



 バンバンバン!

「「「「きゃあ!!」」」」

 恐怖の余り、悲鳴をあげてしまうソフィー達。


「ソフィー! ここに居たんだねぇ~~~」


「ひぃいぃいぃいぃ~~~(汗)」


「「「きゃあ~~~!」」」


「出ておいでぇ~~~ソフィー!」


「いっ、嫌です!

 私は、貴方と婚約などした覚えなどありません!」


「うぅ~~~ん?

 そんなこと関係ないんだよぉ!

 僕はもう、君の父上殿と契約をしたんだからねえ」


「そ、そんな事など知りません! 無効です!

 私は、コチマナマーチ男爵家とは、もう何の関係もございませんから!!

 どうか、お引き取りくださいませ!!」


「ううん? 何を言っているのか分かんないなぁ?

 とにかく、ここを開けてよぉ?」


「い、いやあ! ダメですぅ!」


「聞き分けのない娘だねえ?

 じゃあ仕方ないから、ドアを壊すしかないねえ?」


「ええっ!! ダメですぅ!!

神官様! 神官様助けてください!!

 神官さまぁ━━━━━━!!」


「「「ひぃいぃいぃいぃ~~~(泣)」」」



 ソフィーは神官に助けを求めるが、神官はナルシスに手を掛けられ意識を失い倒れたまんまだ。


 絶体絶命!


 と、その時!

 晴蘭の部屋に、晴蘭達が転移!



 シパァ━━━━━━ッ!


 1番奥の部屋は、元は晴蘭が使っていた部屋であり、今も晴蘭のために残されていて、その部屋には転移魔法陣が設置されていた。

 晴蘭が何時でも教会内に転移できるようにと、晴蘭自身が教会に居た頃に設置していたものだ。



「よっと! 上手く転移できたみたいやね!」


「うむ そのようじゃな」


 パンバンバン!!


「「「「?!」」」」


「なんか、隣が騒がしいぞ!!」

 海音が叫ぶ!


「あ、もしかしたら!」


「なんじゃ、セーラよ?」


「たぶん、神官さんか誰かが、襲われてるんかも?!」


「それ大変!」

 千春が晴蘭の部屋から出ようとする。


「待って!」

 千春を止める虹音。


「絶対おかしい! これ絶対普通じゃないから!」


「なんで分かんの虹音姉ちゃん?」


「だって! 女の人の悲鳴も聞こえるもん!」


「「「「ええっ?!」」」」


「なんでもいいから、お前達!

 早く離れてくれ! 暑苦しゅうて堪らんわい!」


「「「「!!・・・・・・」」」」



 晴蘭達は、魔法陣の上でぎゅうぎゅう詰めだった。

 そりゃあ、良子の言うように暑苦しいわな。

 晴蘭達は、無言でわらわらと離れる。



「ほら、お前達! 緊急事態じゃ!

 声から察するに、敵は男で、被害者達相手はソフィーとその他大勢とみた!」


「「「「はい!」」」」


「相手がたとえ王だろうと誰だろうと構わん!

 襲って来る奴なら、やっつけてしまえ!」


「「「「はあい!!」」」」


「あ、じゃが、殺すなよ?」


「「「「殺しませんよ(汗)」」」」



 ってな訳で、晴蘭達はソフィー救出のため、晴蘭の部屋から飛び出した!

 


 バタァン!


「おわっ!! なんだ?」


「おっちゃん、誰?」

 晴蘭がナルシスに問う。


「は、はあ? 君は誰に向かって言ってるのかな?

 僕はこう見えても伯爵家嫡男の・・・」


「どー見ても20歳過ぎのオッサンやん!」


「んぐっ!!・・・き、君ねえ・・・」


「なんでもええけど、ここは教会関係者以外は立ち入り禁止のはずやけど?」


「「「「・・・・・・(汗)」」」」



 この時、海音達は思った。



「俺らは、どうなんの? 無関係じょな?」


「「「「・・・・・・(汗)」」」」



 と、海音達は疑問に思うが、この際仕方ない!



「ふっ・・・何を言うかと思えば、そんな事かい?

 僕は貴族なんだよ?

 貴族ならば、平民のいかなる場所にさえ入っても構わないんだよ?」


「こらこら、勝手に決めるなよオッサン!

 平民様は王侯貴族にとって神様やぞ!

 平民様はなあ、王侯貴族に飯や金や住む建物を恵んでやってるやろがえ!

 せやのに何を偉そうにしてんのやこのアッポケが!」



 晴蘭は、わざとナルシスを怒らせるように(あお)る。

 晴蘭の煽りにナルシスは、みるみる顔が赤黒くなり、怒りをあらわにする。



「貴様! 黙って聞いていれば良い気になりやがって!

 不敬罪で捕え、性奴隷にしてやる!!」



 ナルシスが、晴蘭を捕まえようと襲いかかった瞬間!

 虹音の「御用だ!」が炸裂!!



「御用だ!!」

 シュルルル・・・バシイッ!!

「ぐわっ!! な、なんだ?!」



 そして続いて、千春の「茨のムチ」が炸裂!!



 ビシィーン! ギュルルル・・・グィーン・・・

「ぎゃあ!! なっ?!

 こら! 何をする!! 下ろせ!!」



 千春の茨のムチは、ナルシスの身体に巻き付き、そして天井へと引き上げナルシスをミノムシのように吊り下げた!

 流石は茨のムチの本家!

 使い方が、斬新!!



「な、な、何を・・・き、貴様らぁ!!

 僕はガングロ伯爵家の嫡男だぞ!!

 こんな事をしてタダで済むと思うなよ!!」


「ほおほお、ガングロ伯爵家のお坊ちゃんかえ?

 なら、私が誰だか判るわなあ?」


「は、はあ? 知らないよ!

 いいから下ろせ!! この無礼者お!!」



 するとそこへ、神官が杖をついてやって来る。



「おやおや、ガングロ伯爵家の嫡男ともあろう者が、大魔女リオリオ様を知らないとは・・・」


「なんっ?! 大魔女リオリオ様だとお?!」


「「「「ふぁあい?!」」」」

 驚く晴蘭達。



 実は良子は、この世界では「大魔女リオリオ」という名でめちゃくちゃ有名だったのだ。

 なぜなら、このイスヤリヤ王国建国に関わった大魔女であり、ある意味このイスヤリヤ王国の、イスヤリヤ国王よりも偉いのだ。

 なので、時々良子はイスヤリヤ王国と密会し、イスヤリヤ国王に対して「小僧」呼ばわりである。

 それに、このイスヤリヤ王国では、「大魔女リオリオには絶対に手を出してはいけない」と言う王命が下されている程だ。

 この、イスヤリヤ王国を建国させたくらいなのだから、またこの、イスヤリヤ王国を崩壊させるのも、これまた容易いことなのだ。

 もし下手に手を出そうものなら、国王の命なしで良子の権限で、爵位剥奪に国を追放された例もあるくらいだ。



「あっ、貴女様が、だ、だ、大魔女リオリオ様っ?!

 こっ、これは! とんだ御無礼を!

 しっ、しつ、しつれ、失礼致しました!!

 ど、どどど、どうかっご慈悲をっ!!」

 思いの外ビビるナルシス。


「・・・と、言っているが、ネチコイ神官よ

 どうするんかえ?」


「あ、はい! そ、そうですね・・・

 実はこの方は・・・」



 ネチコイ教会神官は、これまでの起こった事の次第を良子に話した。



「ふむ・・・なるほどのお?

 コチマナマーチ男爵は、自分の娘ソフィーを既に除名追放させたにも関わらず、そんなバカな事をしておるのか

 これは、しておけんな!」


「はっ! まったく、その通りで」


「「「「・・・・・・???」」」」



 急に話がややこしくなり、訳が分からなくなってきた晴蘭達。

 とにかくここは、良子に任せようと思ったのだった。


 とは言え、良子も特にまあ、ナルシスもコチマナマーチ男爵を、どうこうしようとは思ってはいない。

 勿論、コチマナマーチ男爵とナルシスとの契約なんて無効だし、今更ソフィーをどうこうする事も不可。

 今となっては、ソフィーはネチコイ教会の正式な聖女であるため、貴族とはいえ個人が好き勝手にはできない。

 もし、今後もソフィーに対して何かをしようものなら、良子が大魔女リオリオの名において、処罰を与えると厳命。

 ナルシスは、尻尾を巻いて逃げてった!


 コチマナマーチ男爵にも、今後は一切ソフィーに手出ししないようにと、良子から一報を送り付け知らせた。

 そんな警告を受けたコチマナマーチ男爵は、怒りでテーブルを蹴飛ばしたときに、足の骨を折ってしまったとか。


 ぷっ! 自業自得だな。


 まあ、聖女見習いの現コチマナマーチ男爵令嬢が居るのだから、なんとかしてもらえ。

 その後、現コチマナマーチ男爵令嬢は、一応は他の町の教会の聖女として活動を始めたらしく、コチマナマーチ男爵は爵位存続の危機から脱したとか。


 だが、噂は噂を呼び、コチマナマーチ男爵が見捨てた実の娘であるはずのソフィーは、ネチコイ教会で立派な今世紀最強の聖女として世に知られるようになるが、なぜコチマナマーチ男爵は、そんなソフィーを見捨てたのか?

 なんとも、ある事ない事を噂され、身の狭くなる思いをしているとか。


 やーい! ざまぁーみろぉー! ってなもんだ。


 これも、大聖女と呼ばれた晴蘭が関わってる事がまた、世に知られる事になり、晴蘭は仲間達からからかわれる羽目に。


 とまあ、聖女なんて呼ばれるのは、晴蘭にとって黒歴史以外の何物でもないのだが、「聖女の定義」が、回復魔法が使えて、回復魔法薬を精製できて、教会で「天使」として働いている「女性」という事らしいのだが、たまたま晴蘭がその聖女の定義に適当だっただけである。

 たまたま死んでしまったときに、たまたま「魔晶石」を持っていて復活ができて、たまたま教会で働く羽目になったが、たまたま回復魔法が使えて、たまたま回復魔法薬を作れたのが災い?した。

 でもそのお陰で、魔女として覚醒し、レベルアップできたのだった。

 まったく、運が良いのか悪いのか・・・

 晴蘭自身は聖女だなんて自覚など無いし、聖女なんて呼ばれて正直迷惑していた。


 なにせ、男爵、子爵などの下級貴族にとって、聖女を嫁にすると箔が付くだけでなく、上位貴族とのコネクションも自然と増えるのだそうだ。

 つまりは、強力な後ろ盾や王族とのパイプも作れるとのことで、是が非でも貴族にとっては「聖女」とは欲しい存在なのだそうだ。

 なので伯爵ともなると、更に王族とのパイプができ、より一層王族に手の届く位置になるのだろう。


 晴蘭にしたら、冗談じゃない!

 貴族なんて面倒な人生なんて、絶対にしたくない!


 でも、貴族にしたら死活問題だ。

 貴族として生まれた以上、貴族のしがらみから逃れられないのなら、少しでも優位に立ちたいだろう。

 でも、貴族にも少なからず弊害がある。


 ある貴族は、平民の自由な暮らしに憧れるとか。

 ある平民は、貴族の優雅な暮らしに憧れるとか。


 なんだかなぁ・・・

 でもまあ、一件落着だな。

 


晴蘭はソフィーを助け出し、やれやれだったが、

良子の思いもよらぬ存在感に圧倒される。

良子、あんたいったい何者?!

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