第39話 「天使のお仕事6」くせ者神官
大浴槽は大成功!
でも、神官は晴蘭に黙っていた事があった。
それを知った晴蘭は・・・
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
••✼••ネチコイ大浴槽••✼••
「神官さん! なんでですか!?」
「なんですか、藪から棒に・・・」
「「・・・・・・(汗)」」
教会敷地内に開設した大浴槽。
営業開始から、たったの3日で大繁盛!!
浴場前には長蛇の列!
入った人は快適さのあまりに、制限時間ギリギリまで出てこない!
ってな事が起きてしまった!
でも、それは仕方ない事。
想定内だ。
お試し期間の3日経ったので、明日からは1人1時間までと設定。
金があり、もっと長い時間入浴したいなら、自分の家に風呂作れ!ってなもんだ。
商業ギルドに、風呂の作り方、魔導ポンプの作り方、手押しポンプの作り方の特許取得してっから!
んで、特許使用料バンバン支払ってくれ!
そしたら、俺の借金もバンバン減るから!
などと考えて、この教会から出られる日も早まるとホクホクしていた。
ところが・・・・・・
「セーラちゃ~~~ん!」
「んげっ?! 出たぁ!!」
「「え?」」
「おやおや、また来たのですか、メススキー殿」
「これはこれは神官様、ごきげんよう!」
「神官さん!」
パタタッ!
神官の後ろに隠れる晴蘭。
「メススキー殿、セーラはお渡し出来ないと、再々申してるではないですか」
「いえいえ!
今回は、是非我が屋敷にも、風呂のなる物を設置して頂きたく、お願いに参った次第です」
「それなら、商業ギルドに直接風呂の設置依頼をすれば良いこと
セーラは私どもの教会の修道女ですよ!
風呂の設置業務は致しておりません!」
「またまたぁ~知ってるんですよお!
この大浴槽を設置したのは、そのセーラちゃん本人だということを」
「!!・・・・・・」
「神官さん・・・」
「「・・・・・・」」
やっばいなぁ。
どこで情報が漏れた?
俺は、一歩たりとも外へ出ていないし、人目に触れる事もしていない。
なのに、メススキーが知ってるって事は、内通者が居るってこと?
神官さんは、いつも俺を庇ってくれる。
リヨンとナタリーは、いつも俺も行動を共にしていた。
だとしたら、他の天使達にスパイが居た?
「とにかく、今日のところは、お引き取り下さい」
「・・・・また来ますよ」
「はぁ━━━・・・・・・」
「「ふぅ・・・・・・」」
これは、良子さんの力を借りた方がいいかも?
良子さんは、魔女であり、遺族でいうと「侯爵」同等の地位にあるという。
良子さんは、イスヤリヤ王国の、セルシオ国王とは昵懇で、良子さんは国王に向かって「小僧」と呼ぶ間柄だ。
実は、このイスヤリヤ王国が建国する時にも、良子さんは深く関わっている。
もちろん、晴蘭達は知る由もないが。
ただ、セルシオ国王とは、仲が良いことは聞いていた。
セルシオ国王がまだ若くて王太子の頃、むりやり城を抜け出させて、酒を吐くまで呑ませたとか話していたのを思い出す。
無茶苦茶やっとるなぁ。
まあ、そんな仲だと言っていたので、もしかしたら良子さんが、なんとかしてくれるかも知れない?
もしかしたらもしかしたら、国王まで出てきて、なんとかしてくれるかも知れない?
いやいや、そんな事より。。。
「神官さん! どういうことですか!
なんで、貴族が大衆浴場を利用しているんですか!!」
「そうなんですよねぇ~
ここは、平民達と貧民達のための公衆浴場のはずなのですが」
「でしょう? じゃあ、なんで貴族を入れるんですか!
貴族には自分の屋敷に立派な風呂があるんでしょう?
でも平民や貧民街には風呂が無いから大衆浴場作ったのに、そんな大衆浴場を貴族なんかに使われたら意味が無いじゃないですか!」
「貴族なんか・・・は、不敬ですよ」
「不敬もなにも!
平民や商人の裾や袖にぶら下がってぬくぬくと暮らしてるくせに何様のつもりじゃ!!」
「セーラさん! 言葉には気を付けてくださいね!」
「!・・・解ってますよ でもねえ!
私は、平民や貧民の暮らしを少しでも楽にできたらって思ってやってることやのに!
本来貴族ってものは、平民の平和や暮らしや命を守るために存在してるはず!
平民は国そのものでしょ!
そんな貴族が平民の暮らしの一部を奪ってどうするんですか?!」
「そう言われましてもねぇ
貴族だからって追い返すわけにも・・・」
「ああーそーですか!
じゃあもう、大衆浴場は閉鎖ですね!」
「ちょっ、ちょっと、お待ちなさい!
セーラさん、落ち着きなさい!
なぜ、そのような事になるのです?」
「だから! 平民や貧民の為に作ったものも、みんな貴族の好き勝手にされるくらいやったら、ハナっからなにもせん!
魔法もかけへん! 魔法薬も作らへん!
もう何も作らへん! 作るだけ無駄や!!」
「ちょっと、ちょっと待って下さい!
いきなり閉鎖だとか何も作らないなんて話が極端過ぎます!」
「俺が作ったんやから、俺がどうしようと、俺の勝手やろ!」
「そんな無茶苦茶な!」
「無茶苦茶なんは、貴族のアホ共やろ!」
「なんと言う事を!!
そんな発言がもし貴族様の耳にでも入ることになれば、貴女は処刑されてしまいますよ!」
「これはコッチのセリフじゃあ!!
俺はこの世界の創造神キキティの双子の姉の子孫やぞ!
貴族ごときが、何様のつもりじゃ!」
「えっ?!」
「つまり俺は、神の使徒も同然じゃ!
もし俺に危害を加えようもんなら、魔法で返り討ちにしちゃわあ!!」
「な、なんと!!」
「!?・・・ちょっと、頭を冷やしてきます」
「そうですね 是非、そうして下さい」
俺は、自室へ戻った。
••✼••┈┈┈教会セーラの自室┈┈┈••✼••
やっちまった・・・
怒りに任せて、つい口走ってしまった・・・
以前、良子さんから聞いた事がある。
この世界ムトンランティアの創造の女神キキティは、魔法の国の創造の女神の双子の妹なのだと。
そしてまた、サクラ婆ちゃんから聞いた話では、俺は、魔法の国の創造の女神であり女装剤の開発者の大魔女の子孫なんだとか。
なら、俺は神の使徒と言っても、嘘ではないよな。
ああ~あ・・・
また面倒な事になったなぁ~
勢いとは恐ろしいものやな。
つい、口走ってしまった・・・
はやく、ここから出たい!
はやく、借金完済せーへんかなあ?
ってゆーか、あと幾ら借金残ってんのやろ?
そう言えば、俺ってば自分の借金について、なーにも知らない。
なので、神官のさんに聞いてみた。
••✼••┈┈┈教会ホール┈┈┈••✼••
「神官さん!」
「はい なんでしょう?」
「私の借金って、あと幾ら残ってます?」
「はい お答えします」
「はい・・・・・・」
「・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・もう完済していますよ」
「・・・・・・へっ?」
俺は、一瞬頭パーになった。
ブラックぅ~~~~~~!!!!
ちょと待てゴラァ━━━!!
もう借金は完済してるぅ~~~???
なんで言わ━━━━━━ん!!??
「実は、リオリオさんとお話させて頂きまして、しばらくセーラさんをお借りできないか?と」
「んがあああああ━━━━━━━━ん!!」
もう、何が何だか解らなくなったけど、次の瞬間には猛烈な怒りが沸いてきた!
でも、神官さんの気持ちも解る
それに神官さんは、俺を助けてくれた。
神官さんは、ただ純粋に、今俺に抜けられたら困るからと、俺には気を引めながらも、良子と話し合って決めたんだろう。
「そ、そうですか
ほんなら、もう出て行ってもいいですよね?」
「・・・・・・そうですね 確かに、『出て行ってもいい』ですね」
「な、なんで、『出て行ってもいい』だけ強調して言う?」
「今セーラさんに出ていかれましたら、正直なところ、とても痛手です!
お風呂も畑をも、今は天使達だけで行っておりますからね
その内に、人を雇いたいとは思っているのですが、すぐには無理でしょう」
「むっ?!・・・確かに」
「どうでしょう?
人を雇い、上手く回せるようになるまで、どうか手を貸して頂けませんか?」
「ううむむむ・・・・・・」
「でほ、こうはどうでしょう!
もう借金は完済しているのですから、護衛付きでしたら、街の中までなら出ても構わないという事にしましょう!
どうでしょうか?」
「んんんん~~~ああもう!
分かったよ! それで、ええよ!」
「それは良かった!
ですが、口調が戻ってますよ!」
「!・・・・・・わかりました」
仕方ない。
俺だって、やるだけやって、はい!さいなら!って無責任な事はできない。
それに、護衛を付けてなら、教会の外に、街の中までなら出ても構わないと言う。
護衛を付けるというのは、それほど俺を心配してくれているという証拠。
人を雇い、その人達が慣れてくるまで、教会に居る事にしよう。
しかし、神官さんって、けっこう食えん人やな。
これからは、「くせ者神官」って心に留めておこう。
仕方なく、浴場仕事の人を雇い入れて、その人達が仕事に慣れるまで、教会に居ることにいた晴蘭。
既に借金は完済されていた事を黙っていた事には頭に来たが、恩人でもある神官の頼みには、断れなかった。