第34話 「天使のお仕事1」教会のアイドル
死に戻りで再インしたら、見知らぬ建物の中だった!
しかもそこは、今まで無かったはずの、「教会」だった!
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
••✼••ムトンランティア••✼••
ムトンランティアへインすると、知りない建物の中だった。
「はあっ?! ここどこ???」
晴蘭は、キョロキョロと周囲を見渡すが、明らかに「始まりの地の噴水前」ではなかった。
では、ここは何処なのか?
「目が覚めたか?」
神官らしき服装の大男に声を掛けられた。
「でかっ!! 誰っ?!」
「私は、この教会の神官ですよ」
「きょーかい?! しんかん?! トスターの街に、教会なんてあったかな?」
「トスター? この街はトスターではありませんよ? 毛皮の街ネチコイですよ」
「へっ?! ね、ネチコイ? へぇ~ネチコイか・・・って!! ネチコイに教会あったっけ?!」
「そうですね まだ教会が出来て数ヶ月ですね 私もこのネチコイ教会に派遣されて間もないのですが、下級回復魔法には自信がありますよ」
「へ、へぇ~~~」
へぇ~~~そーなんや?
俺、何にも知らないんだけどお!!
この神官から聞いた話によると、このネチコイに教会が出来たのは、ほんの数ヶ月前だとか。
それまでは、王都にあるくらいで、それ以外の街に教会ができたのは、ここネチコイが初めてらしい。
いや、無かったよ! 知らねーよ!
いつの間に教会なんて出来た?
数ヶ月前? 嘘つけ!!
絶対、無かったってば!!
だって、俺達がネチコイの街に入ったのは、ほんの数日前だぞ!!
数日前には、教会なんて無かったんだってば!
ってことは、俺が死んでから変わったのか?
世界軸が1本ズレたとか? どーなってる?
いやいやいや!
とにかく、海音と千春と虹音に会ってみよう!
なら、何かこの変化について、解るかも知れない。
晴蘭は、教会から出ようとした。
すると・・・・・・
「これこれ! 忘れ物ですよ!」
「はい? 忘れ物?」
「まだ、処置代を頂いてませんよ」
「処置代? って、なんの?」
「もちろん、復活代ですよ!」
「復活代???」
復活代? なんのこっちゃ?
この神官は、何を訳の分からない事を言っているのだ?
俺は自分で復活したのであって、アンタに復活させてもらった訳では無いのだが?
などと思っていたら、突然隣のベッドが光り輝いた!
ペカ━━━ッ!
「うわっ! まぶしっ!!」
「おやおや、また復活された人が来ましたね!」
「はぁい?」
なになになに? また来た? 誰が?
見ると、さっきまで誰も寝ていなかった隣のベッドに、見知らぬ人が現れた!
なん━━━じゃこれ━━━!!??
晴蘭が、驚いていると・・・
「お目覚めですか?」
「うっ、おお、どうやらまた復活できたようだな?」
「そのようですね」
「んん・・・・・・はい、これを」
「はい! 確かに頂きました」
「世話になったな!」
「いえいえ またのご利用をお待ちしております」
「あっはっは! 冗談はよしてくれ! ではな!」
「はい お気をつけて」
・・・・・・パタン!
「・・・・・・???」
そう言って、先程突然現れた人は、ベッドから起き上がると、さも当たり前かのように、幾らかお金を払って教会から出て行った。
チラッと見えたが、凄く大きな硬貨だった気がする。
もしかして、大金貨だったのかも?
いやいやいや!
大金貨って、1枚1000万Tiaだったはず?
いったい復活代って、幾らだよ?!
なになになに? どーゆーこと?
もしかして、そーゆー仕様?
ゲームで言うところの、教会の復活の儀式ってやつ???
それに、さっきの人「また」って言ったよね?
またって何?!
何回死んでるのアータ?!
「えーと・・・この世界・・・じゃなくて、人は死ぬと、この教会で復活できるんですか?」
「そうですよ! 知らずに復活されたのですか?」
「知らんがな!!」
「それは可笑しいですね? 確か貴女にも、『復活の魔晶石』の発動した痕跡があります」
「復活の魔晶石い?!」
神官から詳しく聞くと、「復活の魔晶石」なるものが有るらしい。
それを持っている時に「死ぬ」と、身体は魔力に変換されて「復活の魔晶石」に吸収されて最寄りの教会に転移し、復活の魔晶石に吸収されていた魔力から情報をもとに新しい身体が造られ、その身体に精神が宿り復活するのだそう。
初めて聞いたわ。
つまりこの世界では、金さえあれば「復活の魔晶石」なるものを買えて、どんな死に方をしても、また新しい完全な健康な五体満足の身体で復活できるのだそうだ。
ほへ━━━っ!!
そーだったのねぇー?
そーゆーわけで、金のある商人や王侯貴族なら、大概「復活の魔晶石」を1人に一つは持っているんだそうだ。
でも、復活の魔晶石は、ただ持っているだけでは効果は無いらしい。
創造神を崇め、教会で洗礼を受けた者しか復活はできないんだとか?
なにしろ、悪さをして死刑になるか、奴隷にさえならなければ、復活の魔晶石を持ち、洗礼者でありさえすれば、この世界の人でも生き返るってわけだ。
なんとも面白くないってゆーか、金持ちにしか優しくない世界だこと。けっ!
ちなみに、この世界の教会が崇める神とは、創造の女神「キキティ」だそうだ。
キキティとは、「魔女の国」の創造神である聖魔女の双子の妹の名前なんだとか。
だが、魔法の国の創造神である聖魔女の名前は伝えられていないらしい。
おい! そこ、俺達魔女や魔法使いにとって一番肝心なところやろ!
なんで、伝わってないんだー?!
んで、お金の単位の「ティア(Tia)」も、創造の女神キキティからきているとか。
それはそうと、復活代って幾らなんだ?
「・・・・・・で? 幾らなん?」
「はい 1億Tiaですよ」
「いっ、いっ、いちおくてぃあぁあぁあぁ~~~?!」
バカな! なんと言うことだ! 直撃脳天パー!になりそうだ!
なんで、そんなに高いんだ?
聞くと、先ず魔晶石だ。
とても希少な物であること。
復活に使える大きさとは、まさに拳大の魔晶石が必要な事。
一度復活に使ってしまうと、クリスタルに変化してしまい、魔石となってしまうらしい。つまり、一回きりだという。
そして、復活の魔晶石を作れるのは、名前は非公開だが、大魔法使いしか居ないと言うこと。
また、量産ができないこと。らしい。
とはいえ、晴蘭は魔晶石を使ってしまっていたのた。
たまたま持っていたしな。
それよか、晴蘭は洗礼など受けていない。
ではなぜ?
恐らく、洗礼とは精霊の加護を受ける事になるらしいので、魔法使いの晴蘭は洗礼を受けたと同じになるのかも知れない。
でも、復活の魔晶石を使った事にしなければ、異世界人だとバレてしまう。
もし、復活しなければ、今のアバターは廃棄され、たま新しく作り直さなきゃいけない。めんどー!
この強引的な辻褄合わせが、いわゆる「強制力」なのだろうか。
仕方なく、話を合わせるしかなかった。
そこで、教会から冒険者ギルド伝いに海音達に連絡してもらったら、海音達が1億Tiaを稼いで払い終えるまで、晴蘭は教会で下働きをする契約をさせられる羽目になってしまったと言う。
なので、海音達が1億Tia払うまで、外部との接触もできず、晴蘭は教会での「天使のお仕事」をする事になったのだった。
一旦、ログアウトして、事の次第を皆に話したときは、それはもうこっ酷く叱られたものだ。
「そ、そんな・・・1億Tiaなんて・・・」
ポンッ!
ショックのあまり、ケモ耳に変身する晴蘭。
「んみゃあぁあぁあぁあぁ~~~ん! なーんで俺がこんな目に遭わなきゃならんのにゃあ━━━!!!!」
「なんと?! これはケモ耳の呪い!! これこれ! 猫っ娘よ! 泣いてばかりいても、何も変わりませんよ? ちゃんと、天使のお仕事をしてください! しっかりとお仕事をしたなら、そのケモ耳の呪いも解けるでしょう!」
そんな訳がない。テキトーな事言ってんじゃねーよ!
「にゃんこっこ言うにゃー! うにゃぁあぁあぁあぁ~~~ん!!」
また借金こさえて、泣き叫ぶ晴蘭。
ケモ耳が呪いだってぇ?!
嘘つけ! ケモ耳は、良子さんに掛けられた呪いの魔法であって、良子さんにしか解けない呪いなのだ。
だが、晴蘭のケモ耳を、「ケモ耳の呪い」だと信じる神官だった。
と言うのも、実際にケモ耳の呪いで、ケモ耳に変身する者が居るらしいのだ。
へぇ~~~ふぅ~~~ん・・・(興味なし)
教会で行う晴蘭にとっての天使のお仕事とは、主に教会に助けを求める怪我人への回復魔法の施しだ。
怪我や病気で教会に助けを求めに来た人達からお布施を貰い、回復魔法の施しや、回復薬を出すこと。
そして、教会の掃除と、神官の世話だった。
怪我人の世話じゃないの?!
神官に、世話なんて要らなくね?
晴蘭は、シスターの着る服、いわゆる修道女が着る服を着せられた。
その紺色と白の服を着る姿は、まるで紺色のペンギンのコスプレだった。
だが、めちゃ似合ってて我ながら可愛かった。
これはもう、本気のコスプレだな。
そう思わなければ、やってらんねえー
ってか、なんで俺、こんな、こんな、こーんな体型にした━━━?!
なにこのコーラ瓶体型?!
我ながら思わず抱き付きたくなる容姿!
もう、母親の楓にソックリ!!
そりゃあ、親子ですから?
これでもう、お子ちゃま扱いはされない?
って、ちがあ━━━━━━う!!
晴蘭は1人絶叫した。
••✼••2週間後••✼••
慣れとは恐ろしいもので、どんなに嫌だ嫌だと言っていても、何日も続けていると、人間、慣れてくるものだな・・・
「おおお! 天使様っ! どうか、この子の足を治してください!」
足に大怪我をした子供を抱えて教会へやって来た母親。
「はいはい まず診てみましょう? そこのベッドに寝かせてあげてください」
「お願いします! お願いします!!」
晴蘭は、治療費として、10万Tia受け取った。
「これだけでは・・・お支払い頂いた額では、治しきれません」
「そんな!! どーして! どおーしてえ!!」
「・・・・・・」
教会での回復の施し代金は高い!!
「医療」という概念が無いこの世界では、怪我や病気を治すには、回復魔法か回復薬に頼るしかない。
それ以外では、怪我をしたら薬草をすり潰してベタ塗り。
裂傷なら針と糸で縫う。
骨を折ったら、添え木して紐か布をグルグル巻き。
病気になったら、自分で薬草を煎じて飲む。
それだけである。
それすらできない場合は、民間医療の「怪しい儀式」で、拝み倒すだけ。
治るもの治らないわな。
病気になったら、薬草の煎じ薬。
それでダメなら、大金を払って回復魔法を重ねがけするか、魔法薬を飲み続けて、当人の治癒力で病気が自然に治り回復するまで待つしかないのだ。
でも、晴蘭の魔法薬や回復魔法は完璧である。
ちょっとした怪我なら、下級回復薬ロー・ポーションか、下級回復魔法プチ・ヒールで十分だ。
重症なら、中級魔法薬ポーションか、中級回復魔法ヒールでOK。
身体の各位パーツの欠損の場合は、高級魔法薬ハイ・ポーションか、高級回復魔法ハイ・ヒールだ。
最悪の場合は、男性なら女装役剤、女性なら男装役剤だな。
女装役剤、男装役剤で身体が異性に変わる時に、病的疾患もフォーマットされて消えるからだ。
その代わり、1日異性に変身するが。
病気の場合は、鑑定魔法スキルで、身体の中の何処がどう悪いのかを鑑定し、晴蘭のような中学生レベルの一般人の医学的知識レベルでも十分に治せる。
たとえ、ガンでも、悪性腫瘍やがん細胞を消すイメージで回復魔法を施せば治せた。
問題は、その費用だ。
下級回復魔法プチ・ヒール、下級回復薬ロー・ポーションは、10万Tia。
中級回復魔法ヒール、中級回復薬ポーションは、100万Tia。
高級回復魔法ハイ・ヒール、高級回復薬ハイ・ポーションは、1000万Tia。
つまり、大怪我をした子供の足は、魔法なら中級回復魔法ヒール、魔法薬ならポーションが必要であり、母親は10万Tiaをなんとかかき集めて来たらしいが、実際は100万Tia支払わなければ、教会では治療を施してもらえない訳なのだ。
「あああ・・・どうして・・・どうして」
「・・・・・・とにかく、下級回復魔法のプチ・ヒールを施し、下級回復薬のロー・ポーションをお渡ししておきます」
「は、はい・・・お願いします」
「では・・・・・・」
ポロポロと大粒の涙を流す母親。
そんな様子を見ていると、何とかしてあげたいと思う晴蘭。
晴蘭は、下級回復魔法プチ・ヒールと言いながら、中級回復魔法のヒールを施してあげた。
晴蘭は魔女っ娘なので、無詠唱で魔法を発動できる。
だから誰にもバレずに、プチ・ヒールと言いながら、ヒールを発動できたのだ。
そして、下級回復薬の、ロー・ポーションを母親に渡し、もう1つ別の物を密かに渡した。
それは、「回復の指輪(HP回復(1/10秒)、状態異常回復)」のダブル・ユニーク。
自室で、こっそりと量産していたダブル・ユニークのひとつだった。
自分達で使うのも良し、売って金にするのも良し。
売れば、500万Tiaにはなるだろう。
「あ、あ、あり、ありが・・・」
《もっと、悲しそうにして!》
母親に耳打ちする晴蘭。
「え?・・・・・・ああああ~~~! どうして! どうして~~~!!」
「お気を付けてお帰りください」
「はいぃいぃいぃ~~~!! わぁ~~~ん!!」
《あはは・・・ちょいと、演技が下手過ぎるのでは?》
ボソッと呟く晴蘭だった。
当然、子供の足は跡形もなく完全回復!
ロー・ポーションを貰えただけでなく、500万Tiaもする指輪まで貰えた母親は、泣いて悲しむ演技をしてはいるが、どこか歪な笑顔にしか見えなかった。
・・・・・・神官にバレてなきゃいいが。
「今日は、これまでにしましょう!」
「あ、はい 分かりました」
「では、片付けが終わりましたら、教会内と玄関先も掃除しておいてくださいね」
「はいはい」
「返事は、一度で結構です」
「はい!」
「よろしい」
「ふぅ・・・・・・」
晴蘭は、処置室を片付け掃除をすると、次に玄関先を箒で掃除する。
シャッ! シャッ! シャッ!
「はぁ・・・周囲が木に囲まれた教会の玄関先の掃除なんて、なんて無意味な掃除なんやろ?」
マジ、そう思った。
いくら掃除をしても、終わった頃には、また木の葉がどこからともなく飛んでくる。
やってらんねぇー
だが、もっと「やってらんねぇー」な理由がもう1つある。
それが、コイツだ!
「やぁ~セーラちゃん!」
「ひっ! で、でた!」
「ひっどいなぁ! 僕からわざわざ逢いに来てやったのにぃ~♡」
「うげぇ━━━・・・・・・(吐)」
寄りにも寄って、ネチコイ子爵のアホバカクソボケ令息のメススキーだ。
今の俺は、男から見れば少しは魅力はあるだろう。
以前よりも背は高いし、胸はボン!だし、ビジュアルもそこそこイケてると自負してる。
俺が教会のご厄介になってる事を知り、毎日のように2人の護衛を付けてやって来る。
当然ながら護衛は2人とも女性だ。
「今日こそは、『はい』と言ってくれよお? 身請け金の1億Tiaくらいなら僕が払って、教会の遊女生活から救ってあげるからぁ~」
「いいえ結構です! 遊女ちゃうし! それに、俺・・・私が教会に支払わなければならないのは『借金』であって、『身請け金』なんかではありません!」
「だーかーらー! その借金を肩代わりしてあげようって言ってるんだよ?」
「だ~か~ら~! 結構ですって! そもそも身請けは、双方とも同意のもとで成り立つもの! それくらいご存知でしょ?」
「え? あー! も、もちろん知ってるよおん! だからこうして毎日交渉に来てるんじゃないか~~~ん♡」
ちゅっ!
「おぅえぇえぇ~~~(吐)」
投げキッスなんてするメススキー。
まるでオークみたいな顔して、よおーやるわ!
自分で鏡見てそれしてみー!
鏡が割れるか、お前が極度の吐き気で倒れるかやぞ!
・・・いや、コイツならどちらも無いか。
こんな成で、ナル(ナルシスト)入ってるからな。
ってゆーか、なんで俺なんだ?
他にもっとええ娘くらい、何処にでも居るやろう!
なんで俺みたいな、チビっ娘なんじゃよ?
あ、今はもう、ちびっ娘じゃないか。
どーせ俺が、回復魔法使えて、回復薬が作れる魔法使いだからだろう。
こんな奴に身請けなんかされたら、薬漬けにされて、毎日のように弄ばれて、回復魔法薬製造マシーンにされるのがオチだ!
でも、幸い教会の神官は、「伯爵」同等の地位なので、神官の方がメススキーよりも位は上であり、子爵家の令息であるメススキーには手出しはできない。
「また来たのですか、メススキー子息」
「これはこれは神官様、御機嫌よう! 僕は、セーラちゃんを身請けしてあげるって言ってあげてるのに、まったく聞き入れてくれないんだよぉ! なんだったら、倍の額を払うから、神官様からも、なんとか言ってくれませんか?」
「お解りだと思いますが、身請けは双方とも同意のもとで成立するものです! いくら倍の身請け金を払ったとしても、セーラが拒否すれば無効です!」
「そんな~~~」
はっはぁ━━━!! ざまーみろー!
本当は、「身請けは双方とも同意のもと」なんて決まりは無いのだが、神官さんか俺の嘘に合わせてくれたみたい。
ってな訳で、たった今から、身請けは双方とも同意のもとで成立すると決められた。
なので、晴蘭の「嘘は本当」になった。
たぶん神官は、晴蘭が貴族に対して嘘を付いたって事にならないように、配慮してくれたのだろう。
こう見えても俺は、教会では無くてはならない存在にまで上り詰めたのだ!
アンタの思い通りには、な・ら・な・い・よ!
メススキーは、護衛とともに、肩をガックリ落として帰って行った。
そしてふと見ると、教会の門前に、沢山の野郎共が集まっていた。
なんと、みんな晴蘭狙いだった。
みんなそれぞれ、手紙や、花束などを持ってソワソワしている。
「はぁ・・・こうも毎日毎日懲りずに、うじゃうじゃ来るもんやな? みんな暇かえ? 他にやることないんかえ?」
「セーラちゃーん!「あ!セーラちゃん!「きたー!「コッチコッチ!「好きだよーセーラちゃーん!」
「あはは・・・・こわっ!」
晴蘭は、掃除を終えて、くるりと回って教会へ入って行った。
「「「「あああ━━━・・・・・・」」」」
みんなこの世の終わりのような顔をして項垂れる。
この教会には、晴蘭の他にも天使達が、下は15歳で一番上は28歳までの10人くらい居る。
なのに、いつしか晴蘭は、教会のアイドル的存在になっていた。
ぜんっぜん、嬉しくないけどっ!!
「天使のお仕事」
それは、教会のシスターとして働くこと。
復活の魔晶石代を支払うまでは、教会から出られなくなった晴蘭。
それまでは、教会のシスターとして働く事になってしまったのだった。