第28話 「女の子だとバレまして・・・」
晴蘭達は、一応は旅の行商の家族のふり。
晴蘭と海音と千春は男の子に変身していたのに・・・
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
••✼••ネチコイ領へ••✼••
最初の封印物を封印した俺達は、ネチコイ領へと入った。
ネチコイの街は、主にモンスターの毛皮で栄えた街らしい。
牙ウサギとか、蛇とか、虎っぽい獣の皮とか、ワニっぽい爬虫類の毛皮とかが有名とか。
ってか、ワニに毛皮なんてないわ。
それ、どんなワニやねんて 怖っ!
関所で5000Tia払い、関門を抜けると、いきなり広大な畑が広がっていた。
そうそう。例のあのオッポケナス令息の居るところだっけ。
休憩していた時に、たまたま出会った行商のオッチャンから聞いた話だと、このイスヤリヤ王国の中でも、最もアッポケと言われるネチコイ子爵の息子のメススキーは、まぁー女好きで有名だとか。
名前も「メススキー」って、「雌好きー」ってか、これネタか?ギャグか?
日本の色的概念かぶってないか?ってツッコミたくなるわ。
護衛騎士でもお約束通り全て女性であり、つい先日もモンスターに襲われたときにも、亡くなった護衛も確か女性騎士だった。
自分だけ逃げて、みんな死なせてしまったけどな。
騎士達やメイドも、命を張って主を守るのは当然とはいえ、哀れなものだ。
悪い噂があり、そのアッポケが街を歩けば、気に入った女が居たら無理やり屋敷に連れ込んで、散々弄んだ挙句捨てるとか。
この国イスヤリヤでは奴隷を禁止されているはずなのに、屋敷の地下室には奴隷専用の部屋があり、しかもその奴隷達は皆女性だとか。
気に入った魔導具を見付ければ、強引に徴発するとか。
クズofクズだな。
できれば、関わりたくない。
そのうち、刺されても知らんぞ?
でも、ネチコイ領には寄りたい理由がった。
良子さんから聞いた話によると、女装剤の研究をしているという魔法使いが居るとのこと。
その人の名前は、「パルケラス」というらしい。
良子さんは、彼とは古くからの友人で、女装剤についての情報交換もしているとか。
その、パルケラスって人に会ってみたかった。
これまでの彼の研究によると、女装剤の材料とは、ラベンダー、マンドラゴラの根、ヘルマの泉の水、甘い実、ダーク・フェアリーの涙、「復讐」の花言葉のアザミ、となるらしい。
ただ残念なことに、女装剤の材料はこれが全てなのか、まだ何か足りないのか、それすらまだ解らないらしい。
一応は、女装剤に近い魔法薬は作れるとの事だったが、まだ完全な女性には変身しないんだとか。
要するに、外見的な女性っぽい変身に留まり、中身は男性のまんまとか。
時間が経てば、元に戻れるらしいが、そんな不完全な物では、「解毒剤」は作れない。
魔法薬の解毒剤は、その魔法薬の材料全ての効果を反転させる、または無効化させる効果のある素材を見付けなければならない。
先は遠いな・・・・・・
あと必要と解ってるのは、「術者の体液」だそうだ。
だが、厳密には、「術者の体液」は、女装剤を造るだけなら必要ない。
必要な場合は、「呪いたい相手」が居る場合のみである。
実際に、今出回っている女装剤とは、女装剤の開発者の大魔女が作ったものではなく、後の魔女や魔法使い達が改良に改良を加えて、呪いを解消したものだと云われているので、本当に今の女装剤ではない。
また、晴蘭達が飲んだ「呪薬の女装剤」の材料は、まったく謎のまんまなのだ。
あと、女装剤の材料の他に、何かを加えると、「男装剤」になるのだとか。
だが、たとえ男装剤が見付かったとしても、作れたとしても、一度女装剤で女に変身した晴蘭と海音には、もう男装剤は効果が無いとのこと。
でも、女装剤の材料がある程度判った今では、完璧ではないにしても、女装剤の解毒剤、女性化を解除できる魔法薬が作れるかも知れない可能性がでてきた?!
晴蘭は、そう思った。
「女装剤の材料?!」
「マジか?!」
「ん? あ、ああ、そうじゃが、それがどうかしたのか?」
「よぉーし! もしかしたら、女装剤の解毒剤が作れるかも知れへん!」
「お?! マジか、晴蘭!!」
「おぅよ! まだ、女装剤の全ての材料とちごて、ある程度の材料が判っただけやけど、えらい収穫やっ!!」
「おおお! なんか、光が見えてきた気がしたなあ!」
「「・・・・・・」」
女装剤の解毒剤が作れるかも知れない。
それを聞いた千春と虹音は、複雑な心境だった。
「え?・・・セーラちゃんが居なくなる?」
ふと、千春が呟いた。
「え? 嘘?! セーラちゃんと、ミントが、男の子に戻っちゃう?! ど、とうしよう? どっちがええんやろう?!」
百合か?それともBL予備軍が覚醒か?
「「え?・・・」」
千春と虹音の思わぬ反応に戸惑う晴蘭と海音。
ところが、良子さんから、思いもかけない言葉を投げかけられる。
「盛り上がってるところを申し訳ないがなぁ・・・・」
「え? なんですか?」
「なんか言いました?」
「「・・・・・・?」」
「一度、女装剤を飲んで女になった者は、たとえ解毒剤を飲んだとしても、もうどんな事をしても元には戻れないんじゃがなぁ それが呪いの魔法薬、女装剤の本質なんじゃがなぁ・・・」
まるで独り言のように呟く良子。
「「へっ?・・・・・・」」
「「!!・・・・・・」」
「あの・・今、なんて?」
震えながら聞く晴蘭。
「・・・・あああ、あうあう・・・・」
完全に青ざめる海音。
「だがら、女装剤を飲んで女に変身した者は、もう二度と元には戻れないんじゃよ!」
「「が━━━ん!!」」
ポポン!
晴蘭と海音は、馬車の荷台の隅っこで、ケモ耳になって、糸の切れたマリオネットの様に転がっていた。
崖っぷちから突き落とされた気分だった。
良子によると、男が女装剤を飲んで女に変身すると、もう二度と男には戻れないのだそうだ。
また、女が男装剤を飲んで男に変身したとしても、女装剤を飲めば女に戻れるんだそうだ。
だが、一度女装剤で女に変身した(女に戻った)ので、もう男装剤の効果は無いらしい。
その後、晴蘭は千春の膝の上に頭を乗せられ、海音は虹音の膝の上に頭を乗せられ、頭を優しく撫でられ慰められた。
この時、晴蘭と海音はショックのあまり泣いていたのに、千春と虹音は、「笑般若」の様な笑顔だったとか。。。
パルケラスって人に会う理由を失った。
••✼••ネチコイ街門前••✼••
「そうじゃ、セーラとミントよ!」
「「はぁい~~~」」
やる気のない返事の晴蘭と海音。
「「・・・・・・」」
「ネチコイの街に入る前に、薬草でも採ってくか!」
「薬草?」
「なーんーでー?」
「宿代と飯代くらいは、自分達で稼いだらどうなんじゃって言っとるんじゃ」
「「あ!・・・・・・」」
「「・・・・・・」」
まあ、そりゃそうかぁ・・・。
この領に入るのも、通行税を良子さんに出して貰っていたのだ。
宿屋代と飯代くらい、自分で稼いでみよか。
あと、街へ入るにも、通行税が要るんだっけ。
あーめんど!
「ネチコイに入れば、私は他にやる事があるから、時々しか見に来れんと言ったじゃろ?」
「「ですよねぇ~~~」」
「じゃから、これからはなるべく自分達の力だけで活動するんじゃぞ? もう私からは、金は出してやれんからな」
「「世知辛いっすねぇ~~~」」
「「クスクスクス・・・・・・」」
晴蘭達は、良子に言われるまま、街の門近くの林の中へ入って行った。
良子は、先に街へ入り、宿屋を晴蘭達の分もチェックインすると言う。
遅くなると、部屋が無くなるかも知れないからと。
結局また出してもらってるし。
情けないなぁ・・・
気を取り直して、薬草採集に励むことにする!
だが林の中に入ると、先客が居たようで、いきなり怒られてしまった。
「おい! お前ら!!」
「ふぉ?」
「なんや?」
「「?!・・・・・・」」
「ここは、俺達の縄張りだぞ! 勝手に入って来るなよな!」
「「はぁ?」」
「「・・・・・・(汗)」」
「なんなあのクソガキ?」
「さあ? 冒険者かな? アイツも薬草採集ちゅ~とか?」
「ふむ なるほど 採集場の独占か」
晴蘭と海音は、ムカ!
千春と虹音は、びびっていた。
千春はともかく、虹音が他の男子にビビるなんて、意外だった。
奴らは、怒鳴って来た野郎と、小さな子供達3人連れたグループだった。
本当は、13歳以下の子供のクエストは受けられないし、そもそも冒険者じゃないので、素材採集とはいえ、森や林の中に入っちゃダメなだけどな。
でも、ギルドでは、ある程度は見て見ぬふりをしているところもある。
それはともかく・・・・・・
「なんてよワレゴラァ! 狩り場や素材採集場の独占は、ギルドは認めてへんやろが!」
「なにぃ?!」
そうなのだ。
狩り場や素材の素材採集場の独占は認められていない。
たとえ、同じ場所で狩りや素材採集をしても、邪魔をさえしなければ良いのだ。
横取りや、横入れはダメだが。
「お前らこそ、俺らが・・・・」
「ミントちゃん!」
「あ? なんなよ?」
「ミントやめて! セーラちゃんも」
「「!!・・・・・・」」
千春と虹音に止められて、晴蘭と海音は、大人しく別の場所へ移動する事にした。
「へっ! 女に言われて逃げるのかよ! はっ! 男のくせにカッコ悪ぃ!」
「んなん!!「なんてよご・・・」
「「やめて!」」
「「 !!・・・・・・ 」」
「チッ!「ケッ!」
「そうそう! 女の子に怒られちゃったよ~~~だから僕ちゃん他へ行くの~~~ってか? ぎやはははははは!!」
「ああ~~~ムカつく!」
「クソッタレがあ!」
「セーラちゃん、あかんよ?」
頭を撫でながら言う千春。
「え? あ、はい」
「ミントちゃんもね?」
同じく頭を撫でながら言う虹音。
「ああもう、わかったよ」
仕方ない。
千春と虹音が言うので、晴蘭と海音は大人しく移動した。
そして、数時間後。
••✼••ネチコイ冒険者ギルド••✼••
ネチコイ冒険者ギルドにて。
素材採集クエストで、薬草などの素材を納めた。
素材採集のクエストは、常時依頼されているので、依頼書は必要ない。
運良く群生地に辿り着いたので、思いの外素材は沢山採れたのだ。
すると、先程の奴が来て・・・・・・
「すんげぇ数じゃねえか!」
「「はあ?」」
「「!!・・・・・・」」
先ほどの、林の中で怒って来た奴が話しかけてきた。
また、面倒な奴が来たと思った。
「ふん! まあな! 俺らには、コレがあるからな!」
晴蘭は、マジック・バッグを見せた。
「?! それは、マジック・バッグか?」
「そうじゃ! ええやろう?」
晴蘭は、嬉しい子みたいに、マジック・バッグを見せびらかす。
それを見た奴は、悔しかったのか・・・
「ふん! どーせ、親にでも買って貰ったんだろ? 冒険者にもなって、親のスネかじりかよ? それを見よがしにバカじゃねえの? 見ている方が恥ずかしいぜ! 女の前だからってカッコ付かねぇぜ! 笑わせるなよな!」
「アボぉ! これはなあ、自分でつく・・・」
「晴蘭!「「セーラちゃん!」」
「おっ?!・・・ああ、そっか」
ヤバい!ヤバい!
マジック・バッグを自分で作ったなんで言ったら、それこそ目を付けられてしまう。
でも奴は、晴蘭が何かを言いかけて止めたのをいい事に、更に噛み付いてきた!
「ほらみろ! やっぱり、母親に買って貰ったんだろ! へん! それに女の手を借りるかんて情けない奴だぜ! どうせその服も、母親から与えて貰ってたんだろ? 女の力を借りるなんて、1人前の冒険者とは言えねーぜ! 俺なんて、持てなくなるまで持って、ギルドへおろし、また採りに行ってんだ! そうやって1日何度も繰り返して頑張ってんだぜ! 男ってもんはなぁ、何でも自分でやらなきゃいけねぇんだ! お前達みたいに、女に手伝って貰いながら・・・」
「ペチャクチャと、よお喋る奴やなあ? さっきから、男にとか女とかって、それってそんなに重要かえ? 女には何も出来へんって言いたいんかえ? ああん? 女、女、って、女をバカにするなよお前ぇ━━━!! なんやったら、お前を今すぐ女にしちゃろかえ? あ゛あ゛━━━ん?!」
「お、おい、こら!」
焦る海音。
「んだとこの野郎!!」
「なんじゃい! やんのかワレゴラァ! お前も女になれ!」
「おぃおぃ」
「「セーラちゃん! あかんよ!」」
千春と虹音に怒られる晴蘭。
「はっ?!」
「お前それ言い過ぎ!」
海音にも怒られる晴蘭。
「そう! 言い過ぎやで? セーラちゃん!」
「・・・・・・ごめん」
「ははは・・・・・・(苦笑)」
苦笑する海音。
やってもた・・・
言い過ぎてしまった。。。
今俺は、変身ブレスレットで男に変身しているけど、本当は女だったの忘れてた。
こんな言い方はマズかった。
「女にする」なんて言ったら、それこそ女が男より劣ってるって言ってるようなものじゃないか?
みんなに、気を悪くさせたかも?
そんなつもりじゃなかった。
ごめんなさい。
晴蘭は、千春と虹音に制され、黙り込む。
すると、また奴が噛み付いてくる!
「あっはっは! 女に言われてシュン太朗になってんのかよ? あっはっは!」
「んぐぐ・・・・「こいっつぅ!」
「セーラちゃん、落ち着きなあ!」
「ミントも、やめとき!」
「姉ちゃん、コイツシバいてええか?」
「チャル、ももええやろ? もうどついてええやろコイツ! もうどついてええやろコイツう!」
「ママぁ~怖いよぉ~僕ちゃんを助けてよお~って、言ってみな?」
「オルルラァア! ワレゴルルラァ!!」
少年に飛びかかろうとするところを、千春に後ろから抱きしめられる晴蘭。
「いてもたろか ゴルルラァッ!」
虹音に裾を引っ張られ辛うじて止められる海音。
「セーラちゃん! 気にしたらアカンよ?」
晴蘭を後ろから強く抱きしめる千春。
「そうそう! 相手にしたらあかん!」
海音を後ろから強く抱きしめる虹音。
プシュルルルル~~~
「「・・・・・・うん」」
一気に怒気が抜ける晴蘭と海音。
「けっ! つまんねぇー」
ちょっとビビる少年。
晴蘭と海音は、千春と虹音のお陰で、ギルド内ではご法度の喧嘩にならずに済んだ。
奴は、どうやらわざと煽っていたようだ。
喧嘩は両成敗だが、一発でも先に手を出した方が罪が重いらしいからな。
奴は晴蘭達見て、同じくらいの歳の冒険者とみて、ライバル心でも燃やしたか?
奴は、小さな子供達をギルドの外へ待たせているのか、1人だった。
そこへ、男に変身した晴蘭と海音と千春が、金髪碧眼美少女の虹音を連れていたのが、気に入らなかったのだろう。
今の虹音は、一応「母親役」ではあるが。
なにせ今の晴蘭と海音と千春は、変身ブレスレットで男に変身しているのだから。
それより、晴蘭達の一触即発なシーンだったのに、誰1人として止めに入る事はなかったな。
他の冒険者達もみんな、なんか呆れた顔してたし。
なんなんだ? もしかして、あの少年、喧嘩の常習犯かぁ?
まあ、全ての冒険者達は、何が起きようとも自己責任と理解している。
あんなアッポケの口車に乗せられてる程度じゃ、俺もまだまだ子供達やなぁ。(子供です)
気を取り直して、活動報告すると、晴蘭と海音と千春は、なんと「アメジスト級」に昇格だった。
「セーラさん、ミントさん、チャルさんは、アメジスト級に昇格です! おめでとうございます!!」
突然、ギルド受付嬢からの祝福の言葉を頂けた!
「「「おおおお━━━!!」」」
「おめでとう! セーラちゃん! ミントちゃん! チャルちゃん!」
パチパチパチパチパチ!
「うむ! 良くやった!」
良子か来てくれた。
「「「良子さん?!」」」
「あ、良子さん」
「「おめでとぉ~~~!!」」
セラティーとリオティーも晴蘭と海音を祝福!
「これが、アメジスト級のプレートになります」
「「ほわぁ~~~!!」」
ギルド受付嬢は、晴蘭と海音と千春のクリスタル級のプレートを引き取り、アメジスト級のアメジストが組み込まれたプレートを渡してくれた。
「すんげぇー! やりー!」
「「いえーい! いえーい!」」
晴蘭と海音は、子供のように駆け回り、嬉しさを身体中で発していた!
子供だけど。
千春は、プレートを抱きしめ、感傷に浸っている。
ところが・・・・・・
「ところでー・・・・・・」
「「え? はい?」」
「「・・・・・・?」」
「ん? どうかしたか?」
「ええとですねぇ、セーラさん、ミントさん、チャルさんは、初登録時の性別が『女性』になっているのですが、これはいったい・・・」
「「「「!!・・・・・」」」」
焦り冷や汗ダラダラの晴蘭と海音と千春と虹音。
「それは・・・つまり、ちょっと奥の部屋で話させてもらえるかの?」
珍しく焦る良子。
「申し訳ありません ギルド長の許可が無ければ、ご使用できません」
「うむっ・・・そ、そうか なら、どうすれば良いかの?」
「今ここで、この3人の登録されている性別と今の性別との違いについて、お聞かせ願いますでしょうか? 正当な理由が無ければ、冒険者としての登録情報詐称の罪で活動停止処分、場合によっては直ちに冒険者の資格の剥奪、永久に追放処分となりますが」
「「「~~~!!」」」
凍りつく晴蘭と海音と千春。
「おおおおお、おう、おおう、それは申し訳ない! じ、実はな・・・」
良子さんは、ギルド受付嬢に耳打ちして訳を話したのだが、それはコチラの都合だ。
どうやら今すぐ本当の姿を見せなきゃいけなさそうだ。
当たり前っちゃ、当たり前たが。
「やむを得ん! セーラ、ミント、チャルよ」
「「「はい?」」」
「変身ブレスレットを外せ」
「「「・・・・・・はい(汗)」」」
やっぱり、そうか。そうなるか。
仕方ない。
せっかく、アメジスト級の冒険者になったのに、冒険者資格剥奪に、永久に冒険者になれないとなっても、つまらない。
どうせ俺達はこの世界の者じゃないから、どうでもいいんだけどね。
でもまあ、ここは大人しく。
俺達は、ブレスレットを外した。
ジャララッ!
シパ━━━ッ!
ブレスレットを外した瞬間、晴蘭達の身体が眩しく光り輝き、光が消えた時には、晴蘭達は女の子に戻っていた。
「まあ、本当に女の子でしたのね! はい! 確認できました!」
驚くギルド受付嬢。
「んな?! 女に変身した?!」
驚く少年。
「元々女やったんじゃよ! って、あれ? 違うか? いや、そーなんか? はれれ?」
軽くパニくる晴蘭。
「おい! しっかりせーよ晴蘭! 俺らは元々・・・ああまあ、今はそんな事はええか」
説明しようと話しかけるが思い留まる海音。
「セーラちゃんは、最初っから女の子やったんよ!」
千春が晴蘭に言う。
「え? あ、うん」
「ミントもやで!」
虹音が海音に言う。
「お、おう」
「なんなんだ?! どうなってるんだ?」
晴蘭達3人の男子が、3人とも女の子に変身したので驚く喧嘩ふっかけ難癖男子。
ギルド受付嬢も、驚いていた。
なにせ、幻覚魔法ではなく、肉体に外見的変化を与える、魔法や魔導具による魔法スキルで変身するのは、大魔法使い以上にしか出来ない強力な魔法だからだ。
すると、今まで晴蘭達と少年にの言い争いには、全く興味も無かった他の冒険者達までもが大騒ぎに。
「すげぇ!「変身?「男の子が女の子に「マジか「見たか今の!「変わったぁ!」
ザワザワザワザワ・・・・・・
「あ・・・・・・ヤバ」
思わず後退る晴蘭。
「どないしょ?」
案外アッケラカンな海音。
「まったく、こうなる事が解っていたから言ったのじゃよ」
苦笑する良子。
「申し訳ありません ですが規則は規則ですので」
「ふはは・・・お主も事務的じゃの?」
「「「ですねぇー・・・・・・」」」
左に同じの晴蘭と海音と千春。
「なんか解らへんけど、マズかったって事?」
イマイチ意味が分からない虹音。
「「「ですよねぇ~~~」」」
結局、男子冒険者として活動する案は崩壊したのだった。
思いがけず、悪目立ちしてしまった晴蘭達だった・・・
むかしむかし、「パルケラス」ではなく、「パラケルスス」という名の人が、エリクサーの研究をしていたそうです。