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女装剤  作者: 嬉々ゆう
15/91

第14話 「妖精と魔晶石」

千春達が晴蘭でコスプレしようと話し合っていたら、また変な事になってきた?


晴蘭の家の蔵に似た建物が、学校の敷地内にも?!

もしかすると、「女装剤」に何か関係のあるものがあるのかも?



文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。

 


••✼••晴蘭の教室••✼••



 女の子として学校へ通うようになって、もう2回目のアレの時期・・・・

 少し涼しくなってきた頃。


 まだ俺の場合はアレが安定していない。

 母親によると、俺の身体はまだ発育が足りないかも知れないので、たぶん来たり来なかったりもするかも?って言われた。

 ただ、心配なのは、魔法使いになった事。つまり、普通の人よりも発育がやたら遅い事だ。

 人の肉体年齢で言うと、また8歳くらい。

 でも、普通の人でも、8歳からくる人も居るのは居るのだとか。

 でも、そんな人は普通の人よりも、発育が良いとか早いとか?


 俺、ちゃうやん・・・



 いや、来てますが・・・

 いよいよ安定してきて本チャン!ってなると、どうなるのかまだ分からないから、なんとも言えないけど、痛みはある。

 下っ腹にお湯が溜まってるみたいな? お腹を壊したみたいな?

 時々痛くなって、なぜか顔の皮膚がめくれるような毛が逆立つような、ゾワゾワ~ってな不快感が来る事がある。

 今後コレが、もっと痛くなるかも知れないって?

 嫌やなぁ・・・魔法使いだから、何百年も? これは付き合い方を考えなきゃいけないな。

 千春とかは、昔からいつも平気な顔してるけど、当然あるんだよな? 女の子だし?

 ホンマにアイツにもアレがきてんの? ああいやいや、俺と同じ日に来るわけじゃないか。人それぞれだもんな。ちゃんとベンキョーした。

 千春も魔法使いだから、本当は、痛み止めに、めっちゃごっつう効く魔法薬とか使ってるとか?

 でも、なんか恥ずかしくて聞けない。

 ってか、聞いちゃいけない気がするし。

 別におかしな事じゃないのにな。

 仕方ない。 帰ったら、おかんに聞こう。


 それより、ボォーと皆の話を右から左へ聞いてる振りしてたら、不穏なワードが聞こえた気がしたんですけど?



「ほいじゃぁ、セーラちゃんに決定!」


「はっ!?」


「「「「いえ━━━い!」」」」


「なんなっ!? 何のことじゃ!?」



 ちょっと待って! 決定ってなに?

 しまった! ボケーっとしてたら、何かを勝手に決められてしまったようだ。

 絶対に俺の嫌がる事やろ!



「俺、なんも聞いてへん!」


「あかんで! もう決まったんやから それにセーラちゃんも、『うん』って頷いたやん?」


「へ? し、知らんぞ?」

 確かに適当に相槌を打っていた晴蘭。


「はい! ブッブー! もう決定ー! きょーひーむーりー!」

 クシャミを我慢しているようなムカつく顔で言うミチョ。


「ほえっ?!」


「うんって言うたんはセーラ「そうそう! それに魔女っ娘の服とか「魔女っ娘ちゃうで? あれば戦闘服で「魔法少女! ドレスよ! ドレ「それを戦闘服ってゆーんと「そんなんどーでもいいんよ! 要はセーラちゃんに似合う服を「だから魔女っ娘でええんとちゃう「今更拒否できへんで!」

 ミチョとサエとサチとレッカが食い気味に話す。


「はあっ?! ああーもぉー! ちょっと何ゆってるか分からへん!!」

 皆が言っていること事が全く分からない晴蘭。


 パン!パン!


「「「「!!・・・・」」」」


「はい!はい! 落ち着いて!」

 千春が手を叩いて皆を制する。

 そして、続けてこう言う。


「とにかく、セーラちゃんのコスプレする服は、魔法少女の戦闘服に決まったね!」


「ふぁい?!」


「「「「はぁ━━い!」」」」


「んで、場所は開かずの間!」


「ぬぅわぁにぃ?!」


「「「「いぇ━━━い!!」」」」


「あそこやったら、誰にも迷惑かけへんし、コスプレするには丁度いいと・・・」


「こらこらこら! いえーいちゃうわ! コスプレちゃうわあ! なんの話してんのかと思ったら・・・って、それより開かずの間ってお前、あそこ誰も入られへんやろ! 近付くんもあかんて聞くし?」


「うん でも、ちゃんと真奈美ちゃん先生に許可ってるから大丈夫!」


「へ? 真奈美が? いやいやいや! そーゆー問題とちごてっ!」



 開かずの間。

 千春が先輩達から聞いたと言う話では、それは、この学校の元体育用具用の倉庫で、今から40年ほど前に木造の旧校舎が取り壊されたとき、なぜか何も手を付けず残されていた古い木造の建物。

 今まで上級生の生徒達も、自分で調べたり、先生に聞いたりしていたが、結局なにも分からなかったらしい。


 とにかく、その倉庫には不可思議な話が幾つかあるのだ。


「誰も近付いてはいけない」

「光が飛び回っている」

「時々、声が聞こえる」

「夜中に倉庫の近くのゴミ焼き場の煙突から煙が出ていた」

「昔倉庫の近くに幽霊便所があった」

 などだ。


「誰も近付いてはいけない」

 その理由は、倉庫は最低でも10~20年は使われていないため、老朽化で壊れてしまう可能性があるので、とても危険なんだとか。

 ふむ。その理由ならもっともだ。


 確かに、学校の外壁の外から、チラっとだけ見えるのだが、かなり古そうには見えた。

 普通の日本家屋の様な三角屋根で、(つた)で全体的にモコモコに包まれる様に(おお)われていて、(かろ)うじて窓があるのが確認できるが、遠くから見た様子でもその窓は開きそうになく、蔦の隙間から古い木造の建物だと認識できる程度だ。

 先生も誰も知らない、誰も近付かないので、その建物の見た目の様子から、「幽霊屋敷」だとか、「開かずの間」と呼ばれるようになっていた。


 それと、噂だが、今までにも何人かの生徒達が開かずの間の倉庫を探検しようと挑戦したらしいが、気が付いたら倉庫から反対方向へ歩いていたとか、学校の敷地内の辺鄙(へんぴ)な場所でひっくり返ってたとか、なぜか図書室で寝てたとか、とても不可解な事になるらしい。

 どうやっても、倉庫に近付けないのだと。

 しかも、そんな現象が起きるのは男子生徒ばかりで、女子生徒にはそもそも近付こうという気すら起こらないのだと。

 とにかく倉庫に近付くと得体の知れない嫌悪感に襲われるとのこと。


 おぃおぃおぃ!! それって、まさか?


 そう。晴蘭の家の蔵でも過去に体験した現象ではないか?

 もしかしたら、あの開かずの間と呼ばれる倉庫には、「女装剤」が隠されてるのではないか?と晴蘭は思った。


 ところが、急に状況が変わったらしい。


 夏休みが終わって、真奈美や鬼和田と俺達とが魔法使いとして話し合ったあの日から、ふと思い出したように、千春が真奈美に倉庫の事を話したら、あっさりと倉庫の鍵を貸してくれたそうだ。


 いやいや、それなんか怪しいやろ?


 だいたい、真奈美が絡んでる時点で、魔法使いに関係する何かに違いないはず。

 絶対に「女装剤」が関係しているに違いない!

 もっと詳しく千春に聞いてみようと思った。



「ちょちょちょっ! その開かずの間って倉庫の事、もっといろいろ聞かせて欲しいんやけど?」


「ええ? そう? でも私が聞いたんは、これくらいだけやけど?」


「ふぅむ・・・そうか」


「え? なに? どしたん?」


「ふぅむ・・・」


「えーなになに? もしかして「行くん? 行くん? 開か「わあー! なんか面白そ「今日行こ! 今日い「うんうん! 放課後に「私は行くで! こんな面白「はーい! 行く行く!」

 また、ミチョとサエとサチとレッカが、我先我先と食い気味に喋り出す。


「・・・・・・」


 パンパン!


「はいはーい! 静かに!」


「「「「 !!・・・ 」」」」


「ほぉら! ちゃんと倉庫の鍵があるから」


「「「「いえ━━━い!!」」」」


「なんな? みんな来んのかよ・・・」


「なにそれ私らに行くな「えー行かへんの「私は絶対にい「行く行く! 当たり前や「こんな面白そうなの見逃すわ「はい! 決まりー!」


「「・・・・・・」」



 まったく、ワイワイと騒がしく、楽しい奴らだw


 こうして俺達6人は、放課後に、「開かずの間」と呼ばれる倉庫に行くことになった。



 そして、放課後 開かずの間にて。


 ••✼••開かずの間••✼••



「なーんなん? ふつーに来れたやん!」

 ミチョが言う。


「せやから、前は変な現象が起きて来れやんかったんやって!」

 と、言い聞かせるようにミチョに話す千春。


「でも、千春が来て、その変な現象に遭ったって訳じゃないやろ?」

 レッカが千春に聞く。


「当たり前やん! そら~だって、私らが入学したんは今年やんか」


「「「「 !・・・ 」」」」

 あーそっか!みたいな顔してる女子4人。


「・・・・・・」

 そりゃそうだの顔の晴蘭。



 ま、そりゃあ、そうだわな。

 俺達がこの学校に入学のは今年だ。

 千春が話すのは、先輩達から聞いたという話なわけで、千春が直接倉庫へ行ったという体験談ではない。



「とにかく、時間が勿体ないわ」

 千春が言う。


「時間って? もしかして、制限時間あんのか?」

 晴蘭が千春に聞く。


「当たり前やん! 16時に終礼終わってから、下校時間の18時までの、2時間だけの約束やからね」 

 鍵を右手に持ちながら言う千春。


「へぇーなるほど」



 2時間か。あまり時間ないな。

 それより、長年開かずの間とか言われてた倉庫の鍵を、真奈美はよく貸してくれたもんだな。

 普通なら、「ダメー!」って言われて終わり!って気がするけど。

 これ絶対に、何か企んでるな?と思った晴蘭だった。

 となると、真奈美と母親の楓とは繋がっている訳だから、きっと母親も関わっているって事になる。

 俺は、「魔法」に関係している「何か」が、この倉庫に有るのだと確信した。

 でも、それでは、普通の人の、ミチョ、サエ、サチ、レッカを巻き込む事になる。

 それに、俺と千春が魔法使いだとバレてしまう事にもなるかも知れない?

 ちと、ヤバくね? と思った。

 晴蘭は、コソっと千春に耳打ちしてみた。



 《なあ、チャル?》


 《うん? 何セーラちやん》


 《あの・・・マズくない?》


 《何が?》


 《だから、もし魔法とか関係あるモノが見付かったりしたら、俺らの事をバレへん?》


 《それは、まあ・・・うん、かも?》


「かも? と、ちゃうやろ!!」


「「「「 へ? 」」」」

 突然、声を上げる晴蘭に不思議に思う女子4人。


「ちょっと、早く開けてよ! 時間限られてんのやろ?」

 ミチョが言う。


「あ、うん そうなんやけど、ちょっと待ってな?」

 そう言って、晴蘭ち耳打ちせずに普通に話し始める千春。


「あのねセーラちゃん 実は、この()らは私らの事もう知ってるんよ!」


「へっ? 知ってるって?」


「うん だから、私とセーラちゃんが、魔法使いやってこと!」


「っはぁ━━━?!」


「「「「 ?!・・ 」」」」



 晴蘭は、思わず叫んだ。

 だって、普通は魔法使いだと人に知られないようにするもんだろう?

 もし、悪い奴だったなら、魔管保省(まかぽしょう)に魔法使いを売る奴らだって居るんだから。

 って、ミチョ達がそんな事なんてしないとは思うけど、それでも安易に魔法使いだとバレないようにしなきゃ、何処から情報が漏れるか解らない。

 だからって!ミチョ達を、信用していない訳では無い。



「だいじょぶやって! この()らは、私が小学生の頃からの友達やし」


「いやいや、そういう問題とちごて・・・」


「な? 皆私が魔法使いって知ってるもんな?」

 突然、そんな事をミチョ達に言う千春。


「お前、何を・・・・」


「「「「知ってるよー!」」」」


「ふぁい?!」



 ええええ━━━?!

 なんで?! 本当に大丈夫なん?!

 ってか、なんで知ってる? 自分から教えたとか?



「なん、なんで? なんで知って・・・」


「チャルとセーラちゃんが魔法使いなんも、セーラちゃんが、元々男子の白鳥(しらとり) 大晴(たいせい)って事も知ってるよー!」

 そう言うミチョ。


「いやぁああああ━━━!!」



 晴蘭は、頭を抱えて絶叫した。


 が━━━ん!!

 なんじゃそれ?!

 俺、魔法使いってバレでた?

 それ以前に、俺が元男で、白鳥 大晴って事も知ってたぁ?!

 何なんじゃよ!

 今まで男の大晴だとバレないように、ドキドキヒヤヒヤしてたのがバカみたいやん!!


 だが、それだけではなかった。



「セーラちゃん落ち着いて!」


「だいじょぶやから! もう、私らみーんな知ってる事やから!」


「っはあ?! みんな知ってるぅ?! みんなって、どのみんな?!」


「だから、ウチら()()()()()()()よ!」


「ええええええ━━━?!」



 はい! 終わったぁ~~~

 俺、終わったわ~~~

 魔法使いとして以前よりも、「男として」終わったぁ~~~ って、女だけど。


 晴蘭は、頭を抱えたまんま、その場に崩れ落ちた。



「終わりや・・・俺はもう終わりや・・・」


「あれ? どしたん? 終わりって?」

 サチは、晴蘭がどうしてこうなったか分からない。


「セーラちゃん 魔法使いがバレてしもて、んで終わりって思ってるんかも?」

 サエが言う。


「え? でも、真奈美ちゃん先生も言うとったでなあ? 魔法使いって!」

 レッカが言う。


「はぁ!? 真奈美アイツ、そこまで言うとったんかえ!?」

 女の子座りで起き上がり、そう叫ぶ晴蘭。


「うん! 私らも魔法使いにしてくれるって言うとったし?」

 と、レッカが言う。それはいったい・・・


「は? なにそれ? 魔法使いにしてくれる?」


「ねぇ、そーゆー話は、中に入ってからせーへん?」

 千春にそう言われて、確かに・・・と思った晴蘭。


「うん? ああ、そうやな・・・」

 確かにそうだと思う晴蘭。


 カチャカチャ・・・コツン!



 千春は、倉庫の鍵を扉の鍵穴に差し込み、扉を開錠する。

 コツン!と少し重い音がして、千春はなんの躊躇もなくト扉を開ける。



 ゴソッ!・・・ギィィ~~~


「「「「おおおお~~~」」」」

 我先と倉庫の中を覗こうとする4人の女子達。

 千春も、扉のノブを持ちながら、中を覗く。

 晴蘭は慌てて立ち上がるが、みんなに出遅れてしまい、千春達の後ろで中を見ようとるすが、みんなが邪魔で見えない。



「ちょっと! どいてよ! なんも見えへん!」


「真っ暗やね・・・」


「うん 真っ暗」


「電気わ?」


「ちょっと待って? 確かこの辺に・・・」



 なぜか、倉庫の電気のスイッチのありかを知っている様子の千春。

 それを、不審に思い、晴蘭は千春に聞く。



「ん? なんでお前しってんの?」


「え? だって、真奈美ちゃん先生から聞いてるもん!」


「はぁい?! 真奈美から聞いてるって、いったいどこまで聞いてるんや?」


「うん 取り敢えず、電気電気!」


 パチン! パパッ・・・パッ・・・



 暗い倉庫の天井に吊るされている蛍光灯が、何度か点滅した後、倉庫の中を明るく照らす。

 そんな蛍光灯も、ブリキのような四角い傘の付いたもので、なかなかの物古さを醸し出している。

 とはいえ、晴蘭の家の蔵の中の明かりとは、まったく様子が違った。

 明らかに、点検整備されている感がする。


 誰も近付けない、入れないはずなのに・・・

 しかし千春は、この倉庫について、どこまで知っているのだろう?

 ワイワイと倉庫の中へ入る4人の女子達に続いて千春も倉庫の中へ入る。

 そして1番最後に晴蘭が倉庫に入った。



「はぁ~~~なんやコレ?」


「わぁーすごお「いっぱいなんかあ「お人形も「ココ、ホンマに体育のそ「思ってたより片付いて「とにかく、奥へ入って!」


 パタパタパタパタ・・・



 千春に急かされ、皆倉庫の奥への入った。

 晴蘭も後に続く。


「開かずの間」と呼ばれていた倉庫は、元は体育用具の倉庫だったと聞いていた。

 なのに、体育用具なんてひとつも無く、あるのは晴蘭の家の蔵にあるような、黒い布に包まれた箱らしきものばかり。

 それは、明らかに「魔道具」に違いなかった。



「うおお~~~すっげぇ!」


「「「「わぁ~~~!」」」」


「ふふん! 凄いやろ?」


「チャル! お前、どこまで知ってんのや?」


「え? ここの事?」


「そう!」


「ふぅん・・・先ず、()()()()()を呼ぶわな!」


「「「「「管理人さん?!」」」」」



 千春が言う、「管理人さん」の言葉に、晴蘭とミチョ達4人は、思わず声がハモった。


「管理人さん」なんて言われたら、普通なら人が居ると思うではないか?

 だが違った!



「んじゃ、今から呼ぶね?」


「へっ?! 呼ぶぅ?」


「「「「 ???・・・ 」」」」


「管理人さぁーん!」


「は?」



 千春が、山でヤッホー!と叫ぶように、口の横に手を当てて言う。

 すると・・・



 ポン!


「うをわっ?!」


「「「「 ええっ?! 」」」」


「はぁーい!」


「「「「「 !!!! 」」」」」



 なんと!!

 突然何かが光り、ポン!と音がしたと思ったら、千春の声に呼ばれたであろうソイツは、空中に浮いている?!

 飛んでるー!!


 なんとなんとソイツは、絵に描いたような妖精だった!


 緑色のワンピースを着て、背中にはトンボの羽のような形をした水色の綺麗な半透明の4枚の羽で、緑色の小っちゃなブーツを履き、手首には緑色のリストバンド着け、金髪碧眼のロングヘアーのめちゃ可愛い妖精さんだった。

 何これ?! 可愛い!!



「ふっ?! うわっ! よ、妖精?!」

 晴蘭が妖精に話しかける。ところが・・・


「きゃあーよう「いやあ! 妖精「ええー?!「うそうそうそ「ホントに妖精さんだー!」

 またワイワイとうるさい4人女子。


「はいはい! みんな落ち着いて!」

 両手を前に出し前後に振り、そう言う妖精さん。


「「「「 !! 」」」」


「私は、魔法使い『フルフル真奈美』の妖精の、『フルティー』よ! この倉庫の管理を任されてるわ!」


「「「「フルティー?!」」」」


「フルフル真奈美?」


「あ、()()()()真奈美って、真奈美ちゃん先生の()()使()()()なんやって!」


「「「「「魔法使い名?!」」」」」


「そう!」



 魔法使い名? なにそれ? 俺知らんぞ?


 晴蘭は、初めて聞くワードだった。

 母親には、そんな名前が有るなんて聞いた事も無い。

 サクラ婆ちゃん からにだって、聞いたこともない。

 と、考えていた時!



「ごめんねぇ~遅くなったわぁ!」


「「「「真奈美ちゃん先生!」」」」


「ヤッホー! フルフル!」

 フルティーが真奈美に呼びかける。


「ふふ やっほー」

 フルティーに応える真奈美。


「え? え?」

 キョロキョロする晴蘭。


「おーっす!」


「お! 鬼和田!」


「ちーっす!」


「おお! 海音も来たか!」


「うい!」



 真奈美と鬼和田と海音が、倉庫へやって来た。

 どうやら、真奈美達も後から来る予定だったようだ。

 なんなよ先に言えよ千春!


 その後、真奈美から、この倉庫について、妖精についてを話してくれた。



真奈美のステータス

⚫===========⚫

꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖


名前 古谷ふるや 真奈美まなみ

魔法使い名 フルフル真奈美

性別 女

年齢 388

種族 女性魔法使じょせいまほうつかい

職業 回復系魔術師

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 350

HP 989

MP 27

STR 19

ATK 14

DEF 15

INT 24

SPD 13

EXP 3598452

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【ゆるキャラ系女子】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

【女性教員普通免許】

【普通自動車ATM限定】

【原付】

【飛行魔道具】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

妖精

フルティー(土属性 ドリュアス)

꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖°⌖꙳✧˖

⚫===========⚫



鬼和田のステータス

⚫===========⚫

□■□■□■□■□■□■□

・⋯━☞STATUS☜━⋯・

□■□■□■□■□■□■□


名前 下和田(しもわだ) 浩介(こうすけ)

魔法使い名 ワダワダ浩介

性別 男

年齢 186

種族 男性魔法使(だんせいまほうつか)

職業 体力バカ魔術師

・⋯━━☆★☆━━⋯・

LV 252

HP 2009

MP 22

STR 48

ATK 39

DEF 35

INT 13

SPD 19

EXP 1687102

・⋯━━☆★☆━━⋯・

称号

【慢性厨二病】

【ガキ大将】

【鬼瓦面相】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

資格

【男性教員普通免許】

【普通自動車】

【普通自動二輪】

【原付】

【飛行魔道具】

・⋯━━☆★☆━━⋯・

妖精

ダティー(無属性 ピクシー)

□■□■□■□■□■□■□

⚫===========⚫




 真奈美と鬼和田は、今から24年ほど前に、「魔法の国」と呼ばれる異世界からこの世界へやって来た、魔法使いなんだとか。


 真奈美と鬼和田が、この世界へやって来た理由は、ただ、ずっと以前から来てみたかったんだとか。(はあ?)

 この世界にも魔法という概念が当たり前に普及し始めたので、そろそろ良いだろうと思って、仲間達と転移して来たという。


 ではどうやって、この世界と異世界とで、連絡し合えたのか?

 元々この世界に生まれ、この世界に存在した「魔女の始祖」とも言うべき、「聖魔女」が作ったとされる、「異空間収納魔法鞄(いくうかんしゅうのうまほうかばん)」というものがあり、その名の通り、「異空間に収納する魔道具」があるのだが、手紙のやり取りができる、いわばFAXのような役割があるのだとか。真奈美は、その下位互換品である魔導具を作っていたのだと。

 それに手紙を入れておくと、こちらの世界から異世界へも通じていて、手紙のやり取りができるのだとか。

 つまり、この世界と異世界とを繋いだ、連絡用として開発された魔導具なのである。

 ただ、人や生き物は入らないが。

 もちろん、「精霊の倫理に反する物」は入らない。

 その魔導具を通じて、こちらの世界とあちれの世界とで、連絡し合っていたと言う。

 そして、この世界に居たという魔法使いこそが、この学校の保険の先生であり、元〇〇大学病院の研究員として、かつて楓と晴蘭と海音の戸籍の書き換えに一役買った人物の「ハカセ」であると言う。



「はぁ━━━・・・・⋯」


「なに? セーラちゃん、驚いた?」

 いつもの様にニコニコ笑顔で聞く真奈美。


「そりゃあ、驚くわ! なんで最初っから教えてくれやんかったんよ?」


「ごめんねぇ? 私にもいろいろ事情があってね!」


「どんな事情やねん?!」


「まあ待て! 真奈美先生の話を先ずは聞け!」

 晴蘭を着かせようとそう言う鬼和田。


「まあ、待ってセーラちゃん!」

 千春に制される晴蘭。


「んっ?! なんなよ? 千春はまだ他にも何か知ってるみたいやな?」


「「「「・・・・・・」」」」

 話の行くへを見守る女子達。


「まあね ねえ、真奈美ちゃん先生、そろそろ教えておいてもええんとちゃうん?」


「うん・・・そうやね 守るにしても、私ら魔法使いだけやと限界があるもんね」


「ん? 守る? ん? なんなよ?」



 なんだか、千春や真奈美の雰囲気からして、とても危うい状態に俺達魔法使いは置かれていると察した。



「あのねセーラちゃん」


「う、うん」


「「「「・・・・・・」」」」


「私ら、魔管保省(まかぽしょう)に加盟してない「野良の魔法使い」、つまりノマはね、「闇のギルド」って呼ばれてる組織に狙わてるんよ!」


「ふあっ?! 闇のギルド?! そんなん有るん?!」


「そう! セーラちゃんやったら知ってると思うけど、ゲームの世界だけとちゃうんよ ギルドって組織の存在はね?」


「!?・・・・・・」



 なんか、急に怖くなってきた。

 確かに「ギルド」とか、「闇のギルド」って存在は知っている。

 でもそれらは、ゲームや漫画アニメの中の話で、まさかこの現実世界にも存在するやなんて、マジ思わんかった!


「ギルド」とは。

 「魔女魔法使(まじょまほうつか)管理保護法務省(かんりほごほうむしょう)」、通称「魔管保省(まかぽしょう)」とは別で完全に独立した、「冒険者ギルド」に、「商業ギルド」なども、まるでゲームの世界に存在するギルドに似た組織が、この世界にも本当に有るんだとか。


 まったく知らなかった。


 だか、誰がそう呼んだか、「闇のギルド」と呼ばれる組織が、魔法使い達を捕まえては魔管保省に売ったり、異世界から召喚した「魔物」を使役して脅したりと、それはもう酷い事をしているのだとか。

 それに、異世界の魔物(モンスター)は、魔女や魔法使いには認識できるが、普通の人には霊感でも無い限り認識できないのだとか。

 なにせ、魔法使いや魔法に携わる者が魔法で悪い事をすると、「精霊の倫理に反する」のでできないが、だが魔物には精霊の倫理など関係なく、人を傷つけることなど平気でできてしまう。

 つまり奴らは、魔物を使って世界を支配しようとさえ考えているのでは?と思われるとのこと。

 なんだかえらく物騒な話しになってきた!



「ひえぇえぇ~! なにそれ!?!」

 ビビる晴蘭。


「ビビったやろ? 俺も初めて聞いたとき、信じられへんかったし! 晴蘭は楓さんから聞いたりせんかったんか?」

 そう言う海音。


「しらんしらん! 聞けへん聞けへん!」


「「「「こわーい!」」」」


「うん めちゃヤバいし怖い」

 千春もビビる。


「そやね! 怖い だからね、こちらも対抗策として、「妖精」を使役して、身を守ろうという訳!」

 真奈美が言う。


「妖精?!」


「そ! 妖精ね!」


「うーん! 私みたいなね!」

 フルティーが得意げに言う。


「そ、そうか・・・」



 なにこの子、めっちゃ可愛いんやけど!

 ってーことは、鬼和田にも妖精居るんか?

 いやいや! 今は、妖精さんに構ってる場合じゃない!

 じゃないくて! 妖精さんに頼る話だったっけ。

 俺達は、闇のギルドに対抗するために話し合った。

 


 結論として、俺達魔法使い達は、1人に妖精1人を付ける事になった。

 妖精は、限りなく「精霊に近い」存在でありながら、主人となる魔法使いと同等の魔力を使って、魔法を魔女の様に無詠唱で発動できるのだとか。

 しかも、精霊から魔力を借りずにだ。

 それに、空を飛べる、保持魔力×半径km範囲なら瞬間移動できる、魔法使いにしか見えない、聞こえない、でも物理的な活動ができる、魔法使いが持てる物なら何でも持てる、


 めちゃ便利!!


 でも本来なら、義務教育が終了していなければ妖精は持つ事ができないという暗黙のルールがあるらしい。

 なぜなら、「子供」というのは、「無邪気で残酷」と言われる事があり、それは義務教育を終了し、最低限の倫理や道徳を学んでいなければ、妖精を使って無邪気に悪気なくも悪い事をしないとも限らないとされているからだ。

 もちろん、妖精にも「精霊の倫理」が適応される。

 悪い事をすれば、妖精だって消えてしまう事になるからだ。



「解ってる? 妖精に絶対に悪い事をさせたらダメ!!」


「解ってるよ! んな事、せんわ!」


「私もしません!」


「俺もせーへん!」


「「「「いいなぁ~~~」」」」


「ごめんねぇ? 妖精は魔法使いにしか持てやんのよ」


「「「「ええ~~~ん!」」」」


「困ったなぁ・・・」

 腕を組み、首を傾げる真奈美。


「「・・・・・・」」

 ミチョ達に申し訳なく思う晴蘭と千春。



 ミチョ達の気持ちはめちゃくちゃ解る。


 妖精なんて、めちゃファンタジーな世界の存在だ。

 つまり、夢、空想、憧れの存在なんだよね。

 そんな夢の世界に出て来るみたいな存在が、今ここに実在するんだから、見ただけでも嬉しくなっちゃうよね。

 もし自分にも貰える、いや猫や犬の仔じゃないんだから、貰えるなんて表現は語弊があるだろうけど、もし妖精さんが自分にも1人付いてくれるチャンスがある、また頑張ってモノにできるものなら、そのチャンスをモノにしたいよね。

 でも、妖精さんは、魔法使いにしか付かない。

 なぜなら、妖精は精霊に限りなく近い存在とされている。

 なので、魔法使いが魔法を発動するときに、精霊は大きな魔力を貸す代わりに、魔法使いの魔力に書き込まれた記憶や知識や意識を求めているわけで、それが出来ない人は、精霊にとっては無価値で用の無い存在なわけだ。

 だから、いくら多少なりとも人にも魔力があるとはいえ、魔力=記憶、知識、意識なわけだから、自分の魔力を操る事のできない人の魔力には、記憶、知識、意識なんて無いので、何も得られるモノが何一つ無いらしい。

 そんな者達と関わっても、なんのメリットも旨みも無いわけで、誰が好き好んで精霊に近い存在である妖精が関わるか?というもの。


 それは、人にとっても同じ事。

 多少魔力があっても、自分の魔力を自由気操れないという事は、仮に妖精さんが付いても、見えない、聞こえない、感じないのだから、全くもって意味が無い。

 たまたまミチョ達は、魔法使いの千春と昔から関わって来たので、ちょっとだけ魔力を操作できるとまでは言えないが、魔力に、記憶、知識、意識が乗っかってるらしい。

 だから、妖精さんが見えるのだとか。

 逆に言えば、魔法使いとしての素質があると言える。



「そうなんや・・・」

 見るのも辛くなる程に、しょんぼりするミチョ。


「「「・・・・・・」」」

 同じく、しょんぼりする3人女子。



 なんだか、可哀想になってきた



「真奈美、なんとかできへんの?」

 みんなが可哀想になって真奈美に聞く晴蘭。


「うぅ~~~ん・・・ねえ? 今度、片桐先生に聞いてみとくわ」


「片桐先生?」


「うん! 片桐先生はね、私らよりもずっと昔から、この世界に来てる魔法使いなんよ!」


「「「へぇ~~~!」」」

 驚く晴蘭と海音と千春。


「とにかくココは、真奈美先生と、片桐先生に任せとけ」

 そう言う鬼和田。


「うん・・・」



 結局、今日は妖精さんと、契約するまでにな到ならなかった。

 

 元々、この倉庫は学校の体育用具の倉庫。

 今は体育用具なんて何一つ残ってなく、魔導具などの保管場所となっていた。

 なんで、こんな学校の敷地内に?

 実は、この学校が建つ前は、大商家の屋敷が建っていたらしい。

 そして昭和初期にその一族も絶えて、元屋敷を取り壊したときに、かつての商家の人が集めたのか、魔導具が出て来たらしい。

 もちろん普通の人には、何のための物なのか分からないし、使い方も解らないので、ホイホイと捨てていた。


 恐ろしい・・・

 もし、「呪薬の女装剤」だったら、大変な事になっていた。


 そんな時、魔法使いの片桐がやって来て、この土地を買い取ったのだと言う。

 また当時の片桐先生は、別の名前を名乗っていたと言う。

 今から80年ほど前の話だそうだ。

 なるほど、納得だ。


 それから数日が経って、俺と千春は、真奈美から談話室に呼び出しを食らった。



••✼••談話室前••✼••



 そして、談話室前にて。



「お! 海音も呼ばれたとか?」


「ミントちゃーん」

 ニッコリ微笑み、小さく手を振る千春。


「はは・・・」

 苦笑する海音。


「鬼和田に呼ばれたんか?」


「いや、言われたんは鬼和田からやけど、なんか別の先生が来るらしいぞ? 何なんやろな?」


「ふぅん そうなんや?」


「チャルも聞いてないんか?」


「うぅん なんも?」


「晴蘭は?」


「なんも 海音お前、なんかやったか?」


「いやいや、別になんも・・・」


「まあまあ2人とも! とにかく中に入ろ!」


「「うん・・・」」



 今回、俺達が談話室に呼ばれた理由は聞かされていなかった。

 きっと、魔法や魔法使い関係の話だろうとは思う。



••✼••談話室内••✼••

 

 コンコン!


「好湾です」


「愛羅です」


「飯田です」


「おおー! 入れ入れ!」


「「誰っ?」」


「片桐先生かも?」


「「片桐先生?」」



 談話室から聞こえたのは、女性の声だった。

 千春は、片桐先生だと言う。

 晴蘭と海音は、一瞬顔を見合せ、談話室の扉を開いた。



「「「失礼します」」」


 スス・・・トン!

 戸を開けて中へ入り閉める。


「おう まあ、適当に座れ」

 見覚えのある女性が言う。


「「あ!・・・」」


「ふふふ 久しぶりじゃな? 白鳥(しらとり) 大晴(たいせい)に、相良(さがら) 義斗(よしと)に、飯田(いいだ) 千春(ちはる)だったな」


「ちょっ「んなっ「先生!」


「ふっはっは! ここなら大丈夫じゃ! いいから気にせんと席に座れ!」


「「「はい・・・」」」


ズズ・・・カタカタ・・・



 なんと! 今日初めて見るはずの先生は、片桐(かたぎり) 良子(りょうこ)という保険の先生だと言う。

 だが、晴蘭と海音には、見覚えがあった。

 晴蘭と海音が、戸籍の書き換えの件でお世話になった「ハカセ」だった。


 見た目年齢は、20代後半から30代前半ってところか。

 もし、彼女も魔法使いなら、この中の誰よりも年上のベテラン魔法使いのはず。

 でもなんで、ハカセたる者が、こんな所に?



「それより、なんでハカセがここに?」

 晴蘭が言う。


「ハカセ?」

 千春が晴蘭に聞く。


「うん 夏休み中に、俺と海音が、お世話になってね」


「ふぅん」


「ふむ 私はな、あの時見た時からお前さん達の事が忘れられんくてな?」

 顎でクイッ!と晴蘭と海音を差す。


「「へ?」」

 なんの事か理解できない晴蘭と海音。


「ねえ、片桐先生? セーラちゃんとミントちゃんのこと、前から知ってたんですか?」

 千春が良子に聞く。


「うむ コイツらが、女装剤を飲んで女に変身した時にな、戸籍の書き換えなどに、ちょいと手を貸してやったんじゃ」


「へえ~」


「今の名は、好湾(すわん) 晴蘭(せいら)と、愛羅(あいら) 海音(みおと)じゃったな?」


「「はい・・・」」


「ふむふむ しかし、散々世話を焼かせといて、それっきり礼にも来んとは、なかなか薄情な奴らじゃな?」


「「すみません・・・」」


「あっはっは! 冗談じゃ! そんなに縮こまるな 誰も取って食ろうたりせん」



 片桐先生は、見た目は美人で優しそうな人に見えるが、どこか威厳がある。

 黒目黒髪のロングヘアで、一見知的なキャリアウーマン風に見えるが、傍若無人で1つ間違えを犯したら、とんでもない手痛いしっぺ返しを食らいそうな(いかめ)しさを感じる。

 また片桐先生の話し方は、年寄りのようで、紀州弁のようで、2つが混ざったような、なんとも可笑しな話し方だった。

 そこがまた、なんだか不気味だった。

 晴蘭と海音はなんとなく、「この人にだけは逆らってはいけない」と感じた。

  晴蘭は慌ててお礼を言った。



「えっと・・・あの時は、お世話になりました」


「あ、俺も! お世話になりました」


「ふむ 構わん ところで、妖精と契約するつもりじゃったと聞いたが?」


「あ、はい なんか、闇のギルド?とかが俺ら魔法使いを狙ってるとかなんとかで、妖精の力を借りれたら、すんごい助けになるからって」


「うむ そうじゃな 確かに妖精には精霊に近い力を発揮する じゃがな、お前らは妖精についてどんな印象を持ってるかわ知らんが、妖精をペットの様な扱いではいかん 妖精とは、魔法使いにとって、最強最愛のパートナーじゃからな! 無関心になったり、食事を与えなくなると、いつの間にか消えてしまう事もある」


「「「ええっ!! 消える?!」」」


「そうじゃ! 一度消えた妖精は、二度とは帰らん つまり、契約者の魔法使いが殺したも同然じゃ」


「「「 !!・・・・・・ 」」」



 「殺したも同然」


 その言葉を聞いた瞬間、何も悪い事などしていないのに、なんとも言葉にでは表すことのできない、重く嫌悪な罪悪感に襲われた。


 その後、妖精について詳しい話を片桐先生から聞いた。


 妖精とは。

 最も精霊に近い存在であり、個としての自我があり、また契約者の魔法使いに似た正確に育つとも言われている。

 また育て方にも左右され、間違った育て方をすると、契約者にとって害悪にしかならず、また場合によっては消えてしまう事もあるらしい。

 それは、精霊によって、「妖精として相応しくない」とされ、消されてしまうのだと。

 そのため、育てる魔法使いにも相当な責任があるという事だ。

 一度消えた妖精は、もう元に戻す事はできず、また新しく妖精と契約したとしても、まったく別の妖精へと育つ可能性が高いのだとか。

 それに、何度も妖精の育成に失敗した魔法使いは、精霊によって「妖精の主として相応しくない」と判断され、二度と妖精と契約できなるされてしまうのだとか。

 妖精もまた、精霊と同様に、「個にして全  全にして個」であるため、妖精同士で意思疎通ができるそうだ。

 従って、上手に育てたなら、魔法使い達にとっては、とても心強く頼りになる助っ人となるのだと言う。


 そして妖精は、「妖精の卵」から生まれるらしい。


 「妖精の卵」?!


 やっばり妖精って卵から生まれるんだ?

 漫画アニメのように、花から生まれるとか想像していたが、それでは、「花の妖精」になってしまうよな。


 妖精の卵とは、実のところは、「魔晶石」そのものなんだそうだ。

 ただ、大きさに基準があり、「(にぎ)拳大(こぶしだい)」が理想なんだそうだ。

 あまり大きな魔晶石だと、魔法使いには扱えなくて、卵は孵化しないのだとか。

 なので、自分の握り拳大が丁度いいのだ。


 また、属性も多大に影響する。


「妖精の持つ属性」


【土】ノーム

オニキス、タイガーアイ、スモーキークォーツなど。


【水】ウンディーネ

アメジスト、アクアマリン、ラピスラズリなど。


【火】サラマンダー

カーネリアン、インカローズ、ローズクォーツなど。


【風】シルフ

翡翠、ムーンストーンなど。


【樹】ドリュアス

アンバー、グレイニネス、


【光】アルフヘイム

ゴールデンクォーツ、シトリンなど。


【無】ピクシー

クリスタルなど。


【闇】ブラックオニキスなど。


 希少種


【空間】コメット

隕石。


【重力】グラビティ

ヘマタイト。


【全属性】ティターニア

賢者の石。


 これらの名前から連想される妖精の姿は様々ではあるが、全ての妖精の姿は皆同じであり、人の姿に長細い半透明な羽が左右に2枚ずつ生えている、一般的に連想される妖精そのものである。

 もちろん、主人である魔法使いの指示により、姿形や色などを変える事も可能だそうだ。

 例えば、「蝶々妖精オベロン」とか。

 そして、これら様々な属性によって付けられた名前は皆、人が区別しやすいように勝手に付けたものであり、本来は妖精に名前などは無いのだという。


 因みに、真奈美の妖精の「フルティー」は、土属性「ドリュアス」で、鬼和田の妖精は、「ダディー」と言う名で、無属性のピクシーだそうだ。


 有名な魔女の妖精では、「ミルティー」、「メルティー」、「レティー」、「スティー」が居る。

 属性は全属性の「ティターニア」だ。

 魔晶石ではなく賢者の石で、魔晶石の組み合わせは謎である。



「へぇ~妖精の卵って、パワーストーンなんやあ?」

 千春が言う。


「私ら魔法使いでは、『魔晶石』って呼んでるけどね」

 真奈美が言う。


「魔晶石か 確か、おかんから聞いたんやけど、魔晶石って、めっちゃくゃ高いんやろ?」


「そうやね! 丸玉4mmでも、高い物で数万円くらいするかな?」


「「「「「すうまんえ━━ん?!」」」」」

 驚く、千春達5人女子。


「そうそう 俺も魔導具作んのに()おたけど、貯めたお年玉消えてもたわ!」


「「「「「えぇ~~~」」」」」



 この後、妖精の生み出し方と、育て方について聞いた。





私にとっての精霊とは、「全にして個 個にして全」であり、人が死ぬとなる「霊」みたいな存在であり、科学的に言う「物質的な肉体を持たない自我」という存在として捉えています。

そして、精霊には様々な種類があり、また様々な姿形を持ち、それぞれに名前も付けられていますが、それらは人が決めたもの、見たと言い伝えられたものであって、精霊には本来は姿形などなく、もし見たと言うのなら、それはその人がイメージしたものが形として精霊が表してくれたのではないか?と考えています。

つまり精霊には、本当は属性などは無く、人が勝手にイメージして決めたものと考えています。

なのて、この物語での精霊については、あくまでもフィクションとして捉えて頂けたら幸いです。


妖精について構想していたら、ちょっと長くなってしまいました。

ここらへんで、区切りたいと思います。


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