第12話 「魔法使い仲間」
学校が始まったかと思えば、今度は、魔管省?!
次から次からへと、晴蘭を翻弄する、この世界。
魔法使いとなり、魔法が使えるようになっても、なかなか思い通りには、ならないようです。
文章力が無いので、もしかしたら読み辛い部分もあるかも知れません。また「紀州弁」を意識して書いたので見苦しい所もあるとは思いますがご了承ください。あえて主観「紀州弁」を設定しました。
••✼••中学校談話室••✼••
真奈美から、談話室へ行くように言われ、集まった。
呼ばれたのは、俺、千春、海音、鬼和田(下和田先生)だ。
何の話なのかと、ちょっとドキドキしていたが、俺達は魔法使いであると、そして、魔女魔法使い管理保護法務省、通称「魔管省」と呼ばれる恐ろしい機関に関わる事無く、自由に生きましょう!
また、魔管省に属しない魔法使い達は、野良の魔法使い、通称「ノマ」と呼ばれているらしい。ノマはノマ同士、頑張ろうね!ってこと。
でも、その為には、私達は魔管省に関わらない代わりに、自分達で力を合わせて助け合いましょう~魔法も魔導具も提供するから、ソッチもお願いね!みたいな話しを聞かされたわけだ。
そして最後に、ノマの証ともなるが、ある物をくれるという。
「はい! では、皆にはコレを携帯してもらいます!」
「・・・・・・これは?」
「魔法使い用の携帯電話機みたいなもんよ!」
「ほほぉー!」
真奈美は、一見「動物キャラクターのキーホルダー」みたいなのを出してテーブルに並べた。
真奈美の説明によると、使い方は、実に簡単。
キーホルダーのストラップの付け根の部分を押すと、目の前の宙にスクリーンが現れて、それに向かって呼びかけた相手に繋がり、その相手がキーホルダーを操作すれば、会話ができるという簡単なものだった。
スクリーンには、繋がった相手の姿が映り、声も聞こえるとのこと。
それに直接話せば、テレビ電話の様に普通に会話ができるのだ。
また、スクリーンは、術者にか見えず、音声も聞こえず、他人には見えない聞こえないと言う。
人に見られ聞かれるという心配が無いわけだ。
そして、「所有者設定」ができる。
つまり、所有者にか使えないわけで、他人には何の変哲もない、タダのキーホルダーに過ぎないのだそう。
それと、盗まれたり、無くしたり、置き忘れたりしても、「リターン」の「合言葉」で、一瞬で所有する術者の手元に戻ってくるんだとか。すげー!
手元にもどる合言葉が「リターン」と言うのは、魔法使い達にとって、どうやら「共通用語」らしい。
これも、「全として個 個として全」の精霊によるものなのだろうか。
更に凄いのは、マップ機能だ。
しかも、GPSを使わず、空気の様に世界中に存在する精霊の力を利用するので、目的地へのナビゲーションや、世界各国の世界的地図から始まり、州や都道府県や地理や地名や建物の名称などの検索機能もあり、誤差はたった1ミリも無いらしい。GPSより凄い!
ただ、製作者の倫理観により、「個人情報保護法」の観念からか、個人の個人情報までは、特別な理由が無い限り精霊も感知しないそうだ。偉い!
さすが、「全にして個 個して全」の精霊様! すんばらすぃ!
そしてそれらの動力源となる魔力は、「魔力自己回復能力」のある、「魔晶石丸玉4mm」が使われているので、術者の魔力は一切使わないという。
うん! 実に親切設計!
ってか、コレいったい1個幾らするんだ?
買うとしたら、めっさ高いんじゃね?
絶対に高級車が買えるだろ!!
ま、タダで貰えるんなら、貰っておこう。
それと、「防犯ブザー機能」もあるらしい。
ストラップを強く引っ張ると、防犯ブザーに似た大音量のブザー音が鳴るそうだ。
それと同時に、マップが自動的に表示されて、全員に発信者の危機を知らせるようになっている。
マップ上にブザーを鳴らしたストラップの位置がポイントされ、赤く点滅するのだそう。
種類は、ネコ、イヌ、ライオン、ウサギ、そしてキツネだった。
俺はもちろん! ライオンだな!
ところが真奈美は・・・
「じゃあ、晴蘭ちゃんは、ネコね!」
「はぁん?! 何でじゃ!! 俺はライオンが欲しい!!」
「何ゆってんや? ライオンは俺やろがえ? それに、ライオンには防犯ブザーも防犯機能も付いて無いんじゃよ」
「防犯ブザー? そんなん持ってるわ! ライオンって面かよ! 鬼和田なんかゴリラで上等やいしょ!」
「誰がゴリラじゃ?! っつか、ゴリラなんか無いわぃてよ!」
「ほな、新しく作ったらええやいしょよお!」
「何てよ、お前、無茶ゆーなよ! コレ作んのに、どんだけ大変やったか・・・」
作んのに? なんと?! もしかして、その反応は?
まさか、こんなアニメチックな可愛いキーホルダーを作ったのは、鬼和田あなたですかぁ? なんと、意外と器用なことだ。
ってゆーか、すごいクオリティだろ!
作り方を、教えて欲しいくらいだ。
鬼和田は、角刈り太眉イカツイ寿司屋の大将みたいなビジュアルだが、内面は乙女?と思うほどに、なかなか繊細なようだ。
人は見掛けによらないものだな。
段々と、俺も鬼和田もヒートアップしてきた!
確か、夏休み前も、こんな事あったなあ?
だが、この晴蘭の記憶、「鬼和田とやり合った」という記憶も、この世界の晴蘭(大晴)の記憶ではない。
パラレルワールドから来た大晴の記憶である。
元々のこの世界の大晴は、引っ込み思案で大人しいものだった。
下和田に食ってかかるなんて、有り得ないのだ。
下和田は、晴蘭に本気で怒ったりしない。
なにせ相手は、小さな女の子だ。
下和田にとって晴蘭は、健気に必死に威勢を張る小っちゃな女の子にすぎないのだ。
「お前ねえ? 俺にどんな印象持ってんか知らんけどやな・・・まあ、俺は別に何言われても、かまへん! でもな? 後々になって、『あの時、真奈美先生の言う事、聞いておけば良かった』って後悔すんのも、つまらんやろ? 悪いようにはせんから、ココは真奈美先生に従っとけ!」
「ふん! 一々、一言二言目には、『従っとけー』って、大人の悪い癖じょわ! 何でもええけどやなぁ、何で俺が、『ネコ選んでおけば良かったー』って、後悔せなあかんのよ? 意味分からへんわ! 鬼和田がライオン取られたないだけと、ちゃうんかぇ?」
「そこと、ちゃうやろ?」
海音が言う。
「なんなよ? ほな、なんやっちゅーんじゃよ?」
「だから下和田センセーが言うてんのはね、ネコの事じゃなくて、防犯機能の事を言うてんの! 下和田センセーのライオンには、防犯ブザーが付いて無いんやって!」
千春が言う。
「うん? いや、せやから持ってるってぇ~防犯ブザーは・・・」
「「ちゃうよお!!」」
千春と海音が強く晴蘭に言う。
「あのね? 私は、防犯ブザーだけとちごて、セーラちゃんがもしもの時に誰かが助けに駆け付けられるように知らせてくれる『防犯機能』の事を言うてんのよ」
真奈美が晴蘭に言い聞かせるように説明する。
「あ!・・・そっちね?」
やっと理解した晴蘭。
「やっと解ったかぇ? 鈍感やな?」
呆れ顔で言う鬼和田。
「うっさいなワリャア! 鬼和田の頭ごなしな言い方が悪いんじゃよ! ちゃんと『防犯機能』って、ゆえばええわぃしょよ!」
人のせいにする晴蘭。
「「セーラちゃん!」」
晴蘭を制する真奈美と千春。
「うっ・・・」
「お前、ホンマに口悪いな?」
「アンタもな?」
「ふん! 生意気なや? 子供のくせに」
ニヤけながら晴蘭に聞く鬼和田。
「はん! まるで子供やな? 教師のくせに」
ニヤけながら鬼和田に言う晴蘭。
「うんぬぬぬぬ~~~ꐦ」
「んにんにんに~~~ꐦ」
睨み合う晴蘭と鬼和田。
「はぁ・・・もぉ、仲がええのか悪いのか、分からへんね?」
頭を抱えて、呆れる真奈美。
すると千春が・・・
「セーラちゃんも、先生もいい加減にしてよ!」
「「ん!?・・・」」
おっと! 千春にまた制されてもたわ。
鬼和田も女子生徒に制されて、気まずそうだ。
すかさず俺は、鬼和田に追い討ち!
「身体は大人! 頭脳は子供! その名は、迷教師、鬼和田!!」
「「「ぷっ!!」」」
「なにっ?!」
「どうよ? なかなか面白そうなタイトルちゃうかえ?」
「何のタイトルなんじゃよ(汗)」
怒るどころか、呆れる鬼和田。
晴蘭は、鬼和田に一度でも「ギャフン!」と言わせたい。
なにせ、夏休み前に、思いりきやられてるからだ。
とはいえ、本気で鬼和田を恨んでなんかいない。
自分が悪い事をして叱られたと理解しているから。
とは言うものの、夏休み前に晴蘭(当時の大晴)をこっ酷く叱ったのは、この世界の鬼和田ではなく、大晴(今の晴蘭)がやって来たパラレルワールドの鬼和田である。
「やめろよ晴蘭! お前も、おに⋯下和田先生をからかうな!」
珍しく、海音が俺を制する。
そこへ、千春が俺にいう。
「そーよー! セーラちゃん!」
「え? せ、セーラちゃん?」
「そう! 私、これから白鳥・・・あーえーと、好湾のこと、セーラちゃんって呼ぶから! とにかく、もうやめて! 分かったあ?」
「!!・・・ま、まあ、うん」
「ほんなら、大人しく真奈美ちゃん先生の言う事聞いて!」
「はい! とぅいまてん!」
なんか、きっつ!
女子にそう言われると、何か弱い。
と、そこへ鬼和田が千春を褒めるのだが。
「はっはっはっ! よーゆーた飯田! お前は、教師に向いてんとちゃうか? 将来、魔法使いのきょ・・・」
「下和田先生も! めっ!!」
まるで母親のように、鬼和田を戒める真奈美。
「はい! すんません・・・」
「ぷぁっはっはっは! やられたな鬼和田!」
してやったりと指を差し鬼和田に言う晴蘭。
「セーラちゃんもやで! んめっ!! 下和田センセーも!」
真奈美を真似て、俺と鬼和田を戒める千春。
「「!!・・・すいましぇん」」
「「「あはははははは!」」」
「「・・・・・・」」
あの鬼和田が、女子生徒に注意されて、謝ってるなんて絵・・・何これ?
どっちが先生が生徒か分からないな。
はいはい。どうせ俺が悪いんですよぉーだ!
ううむ、「セーラちゃん」か。
ま、虹音姉ちゃからも、「セーラちゃん」って呼ばれてるから、そんなに違和感ないからいいですよ
だったら俺も千春を、「チャル」って呼んでやる!
でも、かつては千春も、俺を小さいからと小馬鹿にしていた奴らの中の1人だ。
でも今じゃ、魔法使い仲間ってか?
『人生 惑ありゃ、苦もあるさ♪』
いっこも、ええ事ありゃせんわ!
何が起こるか、分かりませんわホンマに。
それより、なんでキーホルダーなんだろ?
他に、ペンとか、名札とかも、目立たずに魔導具に使えそうな物ありそげだが。
「ほいで? 何で動物のキーホルダーなん?」
「うん! 本当は、指輪とかアミュレットとかが使いやすいんやけどね? あと、ペンとか勉強用具なんかも考えたんよ でも、そんなんやといざと言う時に直ぐに取り出せるわけじゃないやろ? それに、あなた達まだ学生やん 学生が指輪やアミュレットなんか着けられへんやし?」
「なるほど・・・」
「それ、良いっすね! 俺は、何ですか?」
「ミントちゃんは、イヌかな?」
「?! ミントちゃんって・・・」
あははっ どうやら海音は、「ミント」と呼ばれる事になりそうだ。
んで、俺、「セーラ」に、海音の、「ミント」。
2人揃って、「セーラミント」!。
なんか、どっかで聞いたような???
ま、えっか。
んで、後は、ウサギもキツネが残ってる。
千春と真奈美は、何を選ぶのか。
でも、俺のんがネコってなぁ・・・
せめて、トラとかヒョウとかって、良かったのに。
「ねえねえ、私わっ?!」
「うーん ウサギとキツネ、どっちがいい?」
「え? 選ばせてくれるん?」
「「おいっ!!」」
ちよ━━━っと待てぃ!!
何で俺と海音は、勝手に決めた?
「何よ?」
「何で、俺ら選ばせてくれへんのや?」
「そーっすよ! ズルいっすよ!」
「じゃあ、ウサギとキツネ、どっちか選びたい?」
「「そーゆー訳じゃ・・・」」
ウサギとキツネかよ。
だから、ライオンが良いって言ったのに、鬼和田の奴が譲らないから。
すると、鬼和田が、海音に対してチャチャを入れる。
「うっすよ! うっすよ! って、愛羅お前、スケバンか?」
「んなっ?! 誰がスケバンじゃワレゴラぁ! あっ・・・すみません」
ついつい、海音は地が出た。
やばっ! 怒られる! と思った海音だったが、鬼和田のリアクションは予想外だった。
「うわっはっはっ! 本性を表したな! 愛羅?」
してやったり!の鬼和田。
「くっ・・・」
やられた!の表情の海音。
「下和田先生っっ!!」
めっ!の表情の真奈美。
「はいっ! すみませんっ」
下を向き、しょぼりする鬼和田。
「なんか、3人とも子どもみたい」
呆れ顔の千春。
「ホンマじょ!」
同じく呆れ顔の真奈美。
「「「すんません・・・」」」
何なんだ? 俺達3人、談話室に叱られに来たのか?
何はともあれ、俺達は携帯電話機みたいな魔導具をゲットした!
「こんなん要る? 防犯ブザーがあるやん」
晴蘭が聞く。一応防犯ブザーは持っている。
「「持っときなあ!」」
真奈美と千春が強く言う。
「?!・・・はい」
「お前も今は小まこい女の子なんやから、少しは自覚せーよ?」
鬼和田が言う。ま、突然だ。
「わかってる」
「ホンマかよ? 晴蘭は時々女って事を忘れる時があるからな!」
海音が苦笑気味に言う。
「お前もな!」
「「「あはははははは!」」」
「「・・・・・・」」
何はともあれ、確かに持ってて損のない機能だ。ってか、正直有難い。
いつも強がってはいるものの、いつ危険な目に遭うかも知れない。
晴蘭はまだ女の子になったばかりなので、危機感が希薄なようだ。
その後、俺達は、やっと解放された。
そして、帰り道。千春とは、歩道橋までは同じ道のりだった。
歩道橋までは、千春と一緒に帰ることになる。
「ふぅ~ん・・・こんな小まこいのに、そんなすんげー機能がねぇ んで、コレの名前ってあんの?」
晴蘭が2人に聞く。
「ふぅん そやねえ? そう言えば聞いてないねぇ?」
顎に手を当て、そう言う千春。
「アニマル・ストラップでええんとちゃうか?」
海音が言う。
確か、「ストラップ」としか、この魔導具の使用時の部分の名前しか聞いていなかった。
ってか、名前あんのかな?
ま、自分達で呼びやすいのでいっか!
「「アニマル・ストラップ?」」
「おう! 呼びやすいやろ?」
「「まんまやん!」」
「もうちと、工夫しょーらよぉ?」
晴蘭は言う。
「そうか? ピッタリの名前やと思うけどなぁ・・・」
「ほな、『ボタン押したらら、お話できて、地図機能があって、危険な時には助けも呼べる、とっても便利な魔導具ストラップ付き』ってのはどう?」
そう提案する晴蘭。
「「・・・・・・」」
クシャミを我慢する様な顔の海音と千春。
「・・・なんなよ?」
「長いわよ・・・」
呆れ気味に返答する海音。
「うん 長いね それに、知らん人に聞かれたら、コレが魔導具ってバレバレやん!」
そう言って、晴蘭の頭をなでる千春。
「んんんん~~~」
納得いかない表情の晴蘭。
晴蘭にはネーミングセンスに、ちと問題があるようだ。
そもそも晴蘭が言うのはネーミングではなく、機能説明だな。
晴蘭としては、何のための魔導具なのかが直ぐに解るのだからと、完璧だと思うのだが、どうやら海音と千春には、あまりよろしくないと思えるようだ。
「まあ、また今度、センセーに聞いとくよ! それまでは、『ストラップ』か、『アニマル・ストラップ』で、ええんとちゃう?」
晴蘭の頭を撫でながら言う千春。
「うううう~~~わかった」
仕方なく納得する晴蘭。
ってなわけで、この魔導具の仮の名称は、「アニマル・ストラップ(仮)」となった。
でも、この魔導具は何かに似ている。
そう、例えば・・・
「コレ、姉ちゃんが作った、『着替え玉』と同じ補助機能やな?」
「ああ、そうそう!」
「ミントのお姉ちゃんって、あのすっごい美人さんの?」
「そうそう! ほら、この人!」
晴蘭はスカートのポッケから、小さなパウチを取り出す。
「あ・・・うん そうやね 美人さんよな」
どこか残念そうな表情の千春。
「「・・・・・・?」」
晴蘭が見せたパウチには、ブレザーを着た虹音の小さな写真が入っていた。
いつの間にこんな物作ったのか。
ひとりっ子の晴蘭にとって虹音は、憧れのお姉さんであり、「アイドル」に似た位置の存在である。
どうやら、海音の姉の虹音は、千春さえも知るほどに美人で有名らしい。
驚異的な変態・・・げふん!げふん! 個性が強過ぎる事までは、知られていないようだが。
「美人って・・・」
空を見上げ、首を傾げる海音。
「そうそう! べっぴんの虹音姉ちゃん!」
頬に手を当て、満面の笑みの晴蘭。
「げっ!」
般若面の様な顔をする海音。
「!・・・」
言葉に詰まる千春。
晴蘭が、自分の姉の虹音を好きなのを知っている海音は、今でも晴蘭の気持ちが理解できないでいた。
なぜなら、海音にとって姉の虹音とは、「天敵」そのものだからだ。
海音は、まだ小学生の頃から、よく魔導具の機能テストの「実験台」にされていたからだった。
そんな虹音の開発する魔導具とは、昔はホント散々な物ばかりだった。
その中で、まだ?マシな物を紹介する。
「思い通りの髪型にするニット帽」
頭がモコモコのアフロヘアーになった。
「髪を乾かすヘアキャップ」
火傷するかと思った。髪型が爆発した!そもそもドライヤーがあるから要らねー。
「何でも入るカバン(空間拡張)」
入れた物が、戻らなかった。(どこ行った?)
「自動ハムエッグ調理マシーン」
自分で焼いた方が早くて美味い。
「自動で着替え君(着替え玉原型)」
上下がランダム。ボタンが止められない。
「自動スイカの種取りマシーン」
種しか出てこなかった。
「テスト回答してよ博士君」
それ、カンニングだよね?
「虐めっ子ドブに落ちろ(呪い)」
切実だなぁ・・・精霊の倫理ギリギリ。
「うたが上手くなるマイク」
失敗・・・普通に練習しろ!
「絶対に天気になる、てるてる坊主」
失敗!「天気」=✕ 「晴れ」=〇
↓
「多すぎて、以下省略」
はい! ブッブー! 存在価値なし!
ってな具合で、どれもこれも、バカみたいな物ばかりだった。
被害は被るし、あまりに使えなかったので、その後の虹音は、両親から中学卒業まで、「魔導具作成禁止令」を発令されたのだった。
だが虹音は、そのお陰か、lNTだけは高い。
「ふぅ~ん・・・セーラちゃんって、ミントお姉さんの事が好きなんや?」
「うん! 大好き♡」
「はっ・・・物好きやな」
「ふぅ~~~ん・・・」
「「・・・?」」
なぜか、急に黙り込む千春。どした?
なんとなく気になったので、晴蘭は聞いてみた。
「どした?」
「うん ふぅむ・・・・・・」
「なんなよ、どないしたんよ?」
「べぇ~つにぃ~~~」
「「・・・・・・???」」
なんだ、この千春の意味ワカメな反応は?
せっかく仲良くなれたのだから、あまり気分を害したくないのだが。
「なあ、なんか俺、千春の気に触る様なことした?」
「うぅん そんなんじゃないよ」
「ほぃじゃあ、なんなんよ?」
「なーんか、敵わへんなぁ~って」
「敵わへん? 誰に?」
「ミントお姉さんに」
「「はあっ?!」」
なんすかソレ?!
まさかアンタ、虹音姉ちゃんと張り合おうと思てんの?
おぃおぃ、それは無謀じょわ!
相手は、金髪碧眼コーラ瓶ボディコン体型ボン!キュ!ボン!ナイスバディー・クールビューティー超スーパー美少女でっせ!(晴蘭評価目線)
純日本人黒目黒髪凡人プリティーガール(自称)の俺や貴女には、金髪碧眼(以下省略)には敵いまてん!
「ああー!! 無理無理!」
「え?」
「お前・・・」
「事実やろ?」
「・・・・・・」
俯き、この世の終わりの様な表情の千春。
「お前ねぇ? もうちょっとデリカシーちゅーもんを・・・」
「あー! そんなんゆーても無理なもんわ無理っ! 所詮、俺らは純日本人黒目黒髪娘なんか、虹音姉ちゃんどころか、海音お前にすら俺と千春は敵わへんのやから!」
「「え・・・・・・」」
ポカーンとする海音と千春。
「・・・・・・なに?」
はて?の表情の晴蘭。
『コイツ、ぜんっっっぜん解ってへんわ! どこまで鈍感なんじゃ?』
海音は、思った。
『敵わんって、セーラちゃんと私ら2人の事やと思ってんの? ぷぷっ! やっぱしセーラちゃん可愛い♡』
晴蘭は、虹音と自分とを比べている訳では無いと気付いてホッとする千春。
「うぅん! 別にかまへんのよ! ん~♡」
晴蘭に後ろから抱き付き、吹っ切れたかの様な笑顔の千春。
「なんなんや? 意味ワカメやわっ! て、抱きつくな!」
「チャルも、結構な・・・」
Why?の仕草で千春に、何かを言いかける海音。
「なに?」
口を尖らせて酸っぱそうな顔で海音を睨む千春。
「あは! な、なん、なんでもごじゃいませんわ!」
焦りのあまり、不自然な女言葉になる海音。
「ミントお姉さんは、ミントお姉さん! セーラちやんは、セーラちゃん やんもんな♡」
「訳分からへんってば! こら! 顎で頭をゴリゴリすなっ! 痛いって! 頭禿げるぅ!!」
「クスッ・・・ホンマにお前ら仲ええな?」
「うーん♡ 私ら、どてこい仲良しやもんなぁ~♡」
「あーもーどーでもええよ」
「んね~~~♡」
「んねーって、なにがあ?」
「・・・・・・はぁ」
この時海音は、千春が晴蘭の事を、恋愛感情で好いてると悟った。
まあその、あれだ・・・・・・
女性がその、なんだ、女性を好きになるアレだ。
「百合」ってやつだ。
「はぁ・・・なんか俺、お前らの今後が、めちゃ、ごっつう、どえらい、どてこい不安やわ」
「「なんで?」」
「・・・・・・」
今日は、白鳥家と相良家の他にも、魔法使いの仲間達が学校にも居る事を知り、少し勇気が湧いた。
いろいろ秘密を守りながらの暮らしとは難しい。
でも彼らはきっと、晴蘭と海音の助けとなるだろう。
だが海音は、魔法使いであることや、男から女の子に変身した事を隠しながらの自分の学校生活よりも、晴蘭と千春の今後が心配になるのだった。
学校にも、魔法使い仲間は居た。
驚きと困惑のなか、仲間が居る事で少しは気が楽になった晴蘭と海音。
でも、そんな晴蘭達に、また新たな仲間?理解者?が現れる?
次は、そんな感じです。




