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欠けた能力者と四賢者  作者: 虫島光雄
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夜の出来事

初めまして、虫島光雄ムシジマミツオと申します。前々から小説を書いてみたい、と思っていましたので、今回この{小説家になろう}にて執筆活動をしてみたいと思い、小説を投稿しました。とはいえ、文章はおろか読書感想文すらもろくなものが書けない身でして、誤字脱字や文章も所々おかしい部分が多々あると思います。気軽に読んでいただければ幸いです。それと、あまり体調も良くはないので今後の小説の投稿もばらつきがあるかと思いますので、何卒よろしくお願いします。

「…はぁ」

 吉季は深いため息をついた。今日は色々とありすぎた。いきなり先生が変な行動をとったと思いきやいきなり別世界へ飛ばされて、そしていきなり自分たちは特別な能力があると言われた。吉季は、まだ頭の整理がついておらず、どうしたらいいのか未だによく分からなかった。

「特別な異能の力…か」

 あの能力測定の後、美津子先生は吉季の異能の力に首を傾げたまま―

「とりあえず今日は休め、明日また君の異能の力について調査してみる」

 と言われ、個室の部屋へと案内され、今に至る。

「…本当に、日本とは違う別世界なんだな」

 吉季は窓から外の風景を見渡す。外はすっかり日が暮れて夜になっており、月明かりがあたりを照らす。しかし、この世界の月は何と三つもある。それぞれ赤、緑、金色にそれぞれ輝いている。吉季は改めて、ここは日本では無く、決して夢の世界でもないことを認識した。

コンッコンッ。

 突然部屋のドアのノック音が聴こえた。

「はい、どちら様ですか?」

 吉季がドアを開けると、そこにはクラスメイトの船橋椿が立っていた。

「あ、あの…こんばんは」

「船橋さん、どうかしたの?」

「あぁその、大丈夫かなと思って…その、クラスメイト皆この世界に飛ばされて、それで皆大丈夫かなと思って声をかけたの…」

「あぁそうだったのか、ってことは船橋さん、クラスメイト達全員に声をかけているの?」

「うん、一応生徒会役員だし、こういう事はしなきゃいけないと思って…」

「…優しいんだね船橋さんは、こんな状況なのに皆に気を配っているなんて、すごいよ。」

「そ、そんな事ないよ。それで、小林君は大丈夫?その…心の整理とかは、ついている?」

「…正直まだよく分からなくて複雑なんだ、これから先、どうなるのかなと思うと、落ち着いていられなくてね。」

「…そうだよね」

「船橋さんの方こそ大丈夫なの?」

「…私も、正直不安だらけなの。いきなり別の世界に飛ばされて戦えなんて言われて、どうしていいか分からない。他のクラスの人達の中には、この世界を楽しんでいる人もいるみたいなんだけど、私は、そんな心の余裕はない…」

「…そうか、でも帰りたい人は美津子先生が元の世界に返してくれるって言ってたし―」

「あ、その事なんだけど」

 椿は、突然吉季の言葉に反応し、何かを思い出したかのように言葉を遮った。

「その、美津子先生のその言葉、ちょっと怪しいと思ってて…」

「怪しい?どういう事?」

「だって、美津子先生は私達に何も言わずにこの世界に飛ばしたのに、わざわざ元の世界に帰してあげるって、ちょっと都合がよすぎるかなと思って」

「…」

 言われてみればその通りだ。この世界と元の世界を自由に行き来できるのなら、この世界に飛ばす前に、事前にアンケートを取るなりクラスメイト達に決めさせることはできたはずである。なのに、美津子先生はクラスメイト達に何も言わせずに強制的にこの世界に飛ばした。

「美津子先生のあの言葉は嘘ってことなのか?」

「分からないわ、この世界のこともよく知らないし、何を信じたらいいのか分からなくて…」

「…確かに、今後は美津子先生の動向にも気をつけた方がいいのかもしれないな」

「…そうよね」

「俺も何かあったら連絡するよ。ありがとう船橋さん、わざわざ声をかけてくれて」

「えっあ…うん」

「どうしたの船橋さん?具合でも悪いの?」

 椿は急に恥ずかしくなり、思わず視線を下に向ける。

「な、何でもない!何でもないから、じゃあね小林君」

 椿はそう言うと、ササッと駆け足でその場を去っていった。


 椿が立ち去ってからしばらく時間がたち、時計の針は11時30分を回っていた。

(…もうこんな時間か、駄目だ、全然眠れない)

 本来ならとっくに寝ている時間のはずなのに、慣れない環境と、今後どうなっていくのかという不安の気持ちが混ざり合って吉季はすっかり心の余裕を無くしていた。

コンッコンッ。

 再び部屋のドアのノックする音が聴こえた。

「…はい、どちら様ですか?」

「あーここがお前の部屋か、俺だよ康介だよ」

 ドアを開けると、今度は最初にこの世界に飛ばされたときに気絶してる所を起こした、斎藤康介だった。

「えーっと、斎藤君、だったよね?」

「斎藤君なんて堅苦しく呼ばずに、康介でいいぜ吉季!」

「…じゃあ康介、なんでここに?」

「いやぁここに来て眠れなくてな、こう見えて俺繊細だから慣れない環境には弱くてね?」

「…暇つぶしに来たってこと?」

「まぁそんなとこだ、お邪魔するぜ」

 康介は、吉季に有無を言わせずに部屋の中へと入る。

「はあ、どの部屋も広くてベッドもあるし、流石は王宮って感じだな」

「…そ、そうだね」

「あ、そういえば吉季、お前異能の力は結局何貰ったんだ?」

「え?」

「ほら、能力測定の時、先生がやたらお前の能力を観察してただろ?」

「よく覚えているな、そんな事」

「もちろん、俺は他人の名前や番号なんかはすぐ覚えられるからな!ちなみに俺の能力はこれ!」

 康介がサッと手をかざすと、やはり球体状のものが出現した。康介が出した球体、すなわちスフィアは、淡い青白い色に輝いており、スフィアの周りはひんやりとした冷気が漂っていた。

「これは、氷?」

「そうさ、俺は氷の能力だ!いつでも様々な形の氷を生成できるんだ、ほらよ」

 康介は、生成した氷のつぶてを吉季に手渡した。

「冷たッ!」

「あはは!そうだろ?やっぱ異能の力てスゲーなぁ!」

「いきなり氷なんか触らせるなよ、かじかむだろうが」

「まあまあ、それでお前の能力は結局何なんだ?何か変な形をしていたように見えたけど」

「…」

 吉季は、康介と同じように手をかがす。すると、やはり他のクラスメイトとは違ういびつな形をした透明なスフィアが出てきた。

「うわ、本当に変な形してる、色も透明だ!」

「…悪かったな、変な形で」

「まあそう怒るなよ。それで、どんな能力が使えるんだ?」

「…それが、何も無いんだ。炎を出すことも、水や雷を出すことも、何にも出てこないんだ」

「え?マジで?」

「…うん」

 康介は、なんだか悪い気がしたのか、静かになった。

「なんか、悪かった、別にお前を馬鹿にしてるわけじゃねえからよ…その、ごめん」

「…いや、別に謝らなくていい、俺が変な能力を授かっただけのことだから…」

「でも、何だ、まだ何の能力か分からないんだろ?」

「…まあそうだけど」

「ということは、これから何か異能の力に目覚めるとかじゃないのか?」

「…」

「ひょっとしたら、能力の訓練でもすりゃあ何か特別な力に目覚める可能性もあるわけだし、そんなに気を落とすなよ」

「…そうかなぁ」

ゴーン、ゴーン。

 時計が深夜12時を告げる鐘の音が鳴った。

「おっともうこんな時間か、そんじゃまたな吉季、何の能力か分かったら教えてくれよ」

「あ、あぁ」

 康介は吉季に手を振ると、ドアを閉めて去っていった。


「……」

 時刻は深夜一時を回ろうとしていた。さすがにこのまま明かりをつけていても仕方がないので、吉季は部屋の明かりを消してベッドに横になっていた。しかし、依然として寝付くことができず、ひたすら部屋の天井を見つめていた。

(…これから一体どうな―

ズゴオオオオオオォォォォ!

 ふと、急に凄まじい轟音が鳴り響いた。

「な、何だ今の音⁉」

 どうやら外の方から聴こえたようだった。吉季は閉じてあった部屋のカーテンを開ける。すると、城の出入り口の門辺りで、何やら騒いでいる様子だった。

「あそこだ、一体何が?」

ズゴオオオオオオォォォォ!

 また凄まじい轟音が王宮全体に響いた。吉季は目を凝らして音のする城門のほうを観る。するとそこには、数十メートルはあろうかという大きな細長い何かがうごめいていた。

「なッ何だあれ⁉」

 すると、今度はドアの方から、ガタッガタッと足音が聴こえてきた。吉季は部屋のドアを開ける。すると、鎧をまとった兵士たちが部屋の通路を掛けていくのが見えた。

「すみません、何があったんですか!」

 吉季は、兵士の一人に話しかけた。

「生徒の者か、龍だ!龍が出たんだ!きっと魔族軍が攻めて来たんだ!」

「え!龍⁉」

「君、あそこは危険だ、王宮内に留まって―

ガッシャアアアアァァァァ

 兵士が吉季に言っていたその時、後ろの方で窓ガラスの割れる音が響いた。ふと振り返ると、そこにいたのは、人のような二足で立っている何かと、およそ30㎝ほどの三本の角をはやした虫のようなものが、部屋の中にたたずんでいた。

「な、何事だ!」

「ま、魔族だ⁉魔族が入り込んできた⁉」

 窓を突き破ったその二体は、すかさず鎧を着た兵士に襲い掛かった。

 ガシャッ

「うわああああ!」

 三本角の虫は、何倍も対格差のある兵士たちを角で腕を掴んでは投げ飛ばした。二足で立っている方は、まるで苦無手裏剣のようなものを飛ばし、兵士達の首に見事に命中し、バッタバッタと倒れていった。ついには、周りにいた兵士達は全滅し、吉季だけが残っている状況になった。

「……ッ!」

 兵士たちをなぎ倒した二体は、吉季を見つけ近づいていく。一方の吉季は、先ほどの戦いで腰が抜けてしまい、壁越しに座り込んだままうまく動けなかった。

 ヒタッヒタッと二体は徐々に吉季の方に迫り、ついには目の前にまで来た。

「……」

吉季は目が慣れて来たのか、やっとその二体の姿を確認することができた。

「…カブトムシ?」

 先ほど兵たちを掴んでは投げ飛ばしていたのは、立派な三本の角を生やしたカブトムシだった。

「…猫?」

 そして、二足で立っている方は、黒っぽいマフラーをたなびかせ、甚平のような服に緑の腰帯、手には網手袋を身に着け、まるで忍者のような服装をしている。しかし、顔をよく見ると、垂れ下がった耳に髭と、猫のような顔をしていた。

「…こいつ鎧を着ていないぞ。兵士じゃない」

「…そうね」

 二体が日本語で何か会話をしている。

「ねえあなた、もしかして生徒?」

「…え?」

 吉季は急に話掛けられ、戸惑っている。

「お願い答えて、あなたは生徒なの?」

「…はい、そうです」

 急な質問に、吉季は素直に答えてしまった。

「…やっぱりそうね、僅かながらスフィアの波動を感じるわ」

「よし、ターゲットで間違いないな!」

(ターゲット?もしかして、俺殺されるの?)

 吉季は絶望した。きっとこの世界に来た異能の力を持った生徒を殺すために来たんだ。きっとそうだ。何で真面目に質問に答えたんだ、と吉季は心の中で後悔した。

「…お願いがあるの、私達に協力して欲しいの」

「…え?」

「この戦いを止めるために、協力して欲しいの、言ってること分かる?」

「…殺さないの?」

「殺すわけないわ、そんな事は絶対にしない。その代わり、協力して欲しい」

「…協力?」

「そう、私達にはあなたが必要なの、お願い!協力して!」

「…分かった、殺さないなら」

「本当か!やったぞ!」

「ありがとう、じゃあごめん、少しじっとしてて」

「え―

 プスっと猫顔のものは、吉季の首に針を突き刺した。

「ちょ…何を…」

 吉季は次第に意識を失っていった。

「大丈夫、死にはしない、死なせはしない、約束する」

「おい、兵士達が戻ってくるぞ!」

「よし、撤収」

 二体は突き破った窓から外へと飛び出し、くたっとしている吉季を抱えて、暗い闇の中へと消えていった。 

私の小説作品を読んでいただき誠にありがとうございます。恥ずかしい話、執筆活動はど素人でして、思っていた設定やストーリーが頭の中にあっても、それを文章にするというのは、なかなか難しいものだと感じております。よろしければ感想やレビューなどもしていただけるととてもありがたいです。辛口評価でも全く構いません。今後の執筆活動の参考にさせていただきます。よろしくお願いします。

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