異能の力
初めまして、虫島光雄と申します。前々から小説を書いてみたい、と思っていましたので、今回この{小説家になろう}にて執筆活動をしてみたいと思い、小説を投稿しました。とはいえ、文章はおろか読書感想文すらもろくなものが書けない身でして、誤字脱字や文章も所々おかしい部分が多々あると思います。気軽に読んでいただければ幸いです。それと、あまり体調も良くはないので今後の小説の投稿もばらつきがあるかと思いますので、何卒よろしくお願いします。
クラスメイト達は、美津子先生の言われたとおりに老人についていった。部屋を抜けると、細い通路になっており、長い階段が上に向かって伸びていた。
「さあさあ、この階段を上ってください。足元にお気を付けて。」
クラスメイト達は、松明で照らされた階段を一段一段昇っていく。階段の上った天辺は、陽光が入り込んでいた。どうやら、先ほど倒れていた部屋は、地下室だったようだ。
「な、なんだこれは⁉」
クラスメイト達の目に飛び込んできたのは、豪勢なお城の中にある中庭だった。庭の中心には大きな噴水があり、まるで海外旅行でも来ているような感情だ。
「す、すげぇ!」
「なんちゅう豪華な所だ!」
「ここ、日本じゃ無いの?」
その城は、日本にある様な木材や瓦でできた城ではなく、レンガをいくつも積み上げて構築されたいわゆる西洋の城といった風貌だった。
「生徒の皆様、こちらです。」
周りの風景を観て唖然としていたクラスメイト達を、老人は手招きして別の部屋へと案内した。老人にしばらくついていくと、大きな両扉があり、その前には二人のメイドが立っていた。
「あ、あれ本物のメイドさん⁉」
「初めて見た…」
老人とクラスメイト達が扉の前まで来ると、メイドの二人はお辞儀をし、両扉をゆっくりと開ける。するとそこには、見たこともない豪勢な食べ物が長い食卓にずらりと並べられていた。クラスメイト達は老人に誘導され、各々席についていく。
「さあ生徒の皆様、どうぞごゆっくりお召し上がりください!我が国一流の料理人達が作り上げたものです。お口に合えばよろしいのですが。」
しかし、クラスメイト達は食べ物を一向に口に運ぼうとしない。当然である。突然訳の分からない場所へ飛ばされ自分たちの状況が理解できていない。料理をどうぞと言われても混乱するばかりである。そんな混乱の中、最後尾にいた美津子先生がたどり着き、ようやく口を開く。
「全員揃ったな、では本題に入ろう」
クラスメイト達は一斉に美津子先生へ顔を向けた。
「まず、君達がいるこの場所だが、ここはバレン王国の首都であり、中心であるバレン城の中だ。」
「ば…バレン王国?城?」
クラスメイト達は聞いたこともない国の名前に首を傾げる。
「君達が知らないのも当然だろう。結論から言う。ここは君達がいた世界とは全く違う世界なのだ。」
「…は?」
「え、ど、どういう事⁉」
「日本じゃないの⁉」
「その通り、ここは君達のいた日本の高校ではない。この世界には日本という国は存在しない」
クラスメイト達は先生の言葉に耳を疑った。吉季も何を言っているのか分からず困惑するばかりだった。すると、クラスリーダーである川上健人が手を上げた。
「先生、質問いいですか?」
クラスリーダーの健人はいたって冷静で、先生に質問をぶつけた。
「何だ?健人」
「なんで僕達はこの別世界に飛ばされたんですか?」
「良い質問だ。君達をこの世界に飛ばしたのは、紛れもないこの私だ」
「えぇ⁉」
「そんな…」
「…あの時変な行動していたのは、そのせい?」
クラスメイト達のコソコソ話が、あちこちから聴こえてくる。美津子先生はそれらに構うことなく話を続けた。
「君達をこの世界へ飛ばした理由は、ある事をしてもらいたい為にここへ飛ばしたのだ。」
「ある事?」
「君達には、魔族軍と戦ってもらいたい!」
「…え?」
コソコソ話をしていたクラスメイト達が一斉にピタッと口を止め、静寂が部屋を包み込む。
「私達の住むこのバレン王国や他の人類の住む各国は、今魔族と戦争状態にある。魔族軍は強力な魔法や魔物達を使役し、人類側は今劣勢状態にあり、被害が拡大している。」
美津子先生が話をしていると、今度は先ほどの老人が口を開く。
「さようでございます。我々も必死の抵抗を続けていますが、被害が増える一方なのです。あぁ、申し遅れました。私はこのバレン王国を統制しておりますリリー・ステイメン14世と申します。どうか生徒の皆様、お見知りおきを」
「えぇ⁉国王⁉」
クラスメイト達は目を丸くして驚いた。今まで城を案内していた人がまさか国王だったとはクラスメイト誰一人とも知らなかった。
「はい、国王として、優秀な兵士や罪のない国民が犠牲になっていくのを観るのはもう耐えかねません。お願いします!どうか我々に力を貸してください、生徒の皆様!」
国王は頭を下げてお願いした。しかし、クラスメイト達は答えに困っていた。
「ちょ、ちょっと待ってくださいよ!」
「…私たちが、戦う?」
「無理だ!ただの高校生の俺たちに何ができるんだ!」
クラスメイト達が騒ぎ始めると美津子先生が口を開いた
「落ち着け君達、私が君達をこの世界に飛ばしたのはきちんと理由がある。そう、軍人でも、格闘家でもない、高校生である君達を選んだ理由がね。」
「…どういうことです?先生」
「よろしい、君達、よく見て」
そう言うと、美津子先生は手のひらをサッと出し、しばし黙った。すると―
ボワッ
美津子先生の手のひらの上に蒼い球体のようなものが突如として出てきた。その球体は蒼白く強い閃光を放っており、クラスメイト達の目を圧倒した。
「何だ⁉、急に手のひらからボールみたいなものが!」
「これは{スフィア}と呼ばれるものだ。これは、ある一定の少数の人間しか持っていない特別な異能の力なんだ。」
「…異能の、力」
「ああ、そしてここいるクラスメイト、計30人全員がこの特別な力{スフィア}を宿した能力者なのだ!」
「えぇ⁉」
クラスメイト全員がぽっかりと口を開けたままだった。
「…でも、先生、僕達は何も感じたりしないですよ。本当にそんな力持ってるんですか?」
「では今からそれを証明しよう。出席番号1番、相澤裕二。」
「は、はい!」
美津子先生は、出席番号順にクラスメイトを呼び出すと。先生は、大きな水晶玉を取り出した。
「裕二、それに触れてみて」
「…はい」
そう言って水晶玉に触れた。すると―
ボワッ
「うわ⁉」
今度は赤い球体のようなものが、クラスメイトの裕二の胸元から現れた。すると、赤い球体から火柱が上がった。
「…うむ。君のスフィアは炎の力か、やはり私の見立てに間違いは無かったようだ。君たちがここに来る前、血液検査をしたのを覚えているか?」
「…え?」
ふと吉季は先週のことを思い出す。そういえば先週のお昼頃、美津子先生が唐突に血液検査をしていたことがあり、その後唐突にクラス替えが行われたことを吉季は思い出した。
「あの検査結果から、スフィアの反応が出た君達30人を集めクラス替えした。いわば君たちは、選ばれし異能力者達ってことさ!」
「僕たちが、選ばれし者!」
「す、すげぇ!俺もやりたい!」
「待て、その前に、改めて君たちに問う。私達に協力してくれないか?君たちのその異能の力を使って。」
「……」
「ちょっといいですか先生?」
手をあげたのは先ほど吉季が起こした斎藤康介だった。
「なんだ?康介君」
「元の世界に帰ることは、できるんですか?」
康介は最も気になっていた質問を投げかけた。
「もちろんです。」
「え…本当ですか」
「はい、私達は決して強要はしません。戦いたくないという人もいるでしょう。もし日本に戻りたいという人がいれば申し出てください。私が責任をもって還します。」
クラスメイト達はまたもや沈黙した。いくら異能の力があるとはいえ、訳も分からない敵に立ち向かうなど、それ相応の覚悟が必要になる。
「先生」
「なんだ?健人君」
「僕は、戦います!」
「えぇ、リーダー…」
クラスメイトが迷っている最中、リーダーである健人が真っ先に声を上げた。
「僕は、人の役に立つ事がしたいです。もしこの異能の力を使って多くの人達の命を助けることができるというのなら、僕は戦います!」
「素晴らしい!あなたならば、沢山の人を救い、多大なる富と名誉が約束されたも同然でしょう!」
健人の答えに、国王は大いに喜んだ。
「リーダーがやるんだったら俺もやってやる!」
「わ、私も!」
クラスメイト達は、健人に連れられて次々と声を上げた。
「……」
一方の吉季はまだ悩んでいた。これはゲームなどではない。本物の戦争に巻き込まれる。自分にそんな力があるのか、無事生きて帰れるのか、そんな不安が吉季の心をさまよった。
「よし、取り敢えずは能力の測定を行う。その後どうするのかは数日後にまた問おう。」
こうして、クラスメイト達の能力測定が行われた。皆それぞれ炎、氷、雷と、次々と生徒達からスフィアが現れ、異能の力に目覚めていく。そして―
「次、小林吉季!」
「は…はい」
吉季の名前が呼ばれ、美津子先生の元へ行く。そして、水晶玉に触れた。すると―
ブゥン
吉季の中にあるスフィアはが胸元から出てきた。しかし、
「…ん?」
美津子先生は不思議そうな顔をした。吉季から出てきたスフィアは、ほかのクラスメイト達と明らかに形が違っていた。他のクラスメイト達のスフィアは直径15㎝ほどの球体なのに、吉季のスフィアはその4分の1にも満たないほど小さかった。それどころか球体ですらなく、何か歪な破片のような形をしていた。
「何だ…この形のスフィアは…いや形だけじゃない、色も」
他のスフィアは、青、赤、黄と人それぞれ綺麗に色がついているのに、吉季のスフィアは無色透明だった。その見た目は、歪な形と相まってまるでガラスの破片のようにも見える。
「吉季君、念じてみろ、何か感じはしないか?」
「ええ、そう言われても…」
吉季は手に力を籠めたり、眼をつぶって願ってみたりしたが、スフィアは全く変化せず、炎や雷のようなものも一切出てこなかった。
「…一体なんだ、このスフィアは…」
吉季と美津子先生はしばらく沈黙していた。
私の小説作品を読んでいただき誠にありがとうございます。恥ずかしい話、執筆活動はど素人でして、思っていた設定やストーリーが頭の中にあっても、それを文章にするというのは、なかなか難しいものだと感じております。よろしければ感想やレビューなどもしていただけるととてもありがたいです。辛口評価でも全く構いません。今後の執筆活動の参考にさせていただきます。よろしくお願いします。