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自殺しようとしたら同級生に助けられた  作者: ゆめ
自殺しようとしようとしていたら、同級生に助けられ、助けた。
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ひーくん

 夏の日、エアコンもつけず、暑いという言葉が生易しくも感じる、溺れるような暑さの中、陽菜と互いを求めあい、少しの休憩。


 水を口移しでもらうと、妙にねっとりとしていて、ペットボトルが汗をかくほど冷たいはずの水は気持ち悪いほどぬるくて、甘くて、最後には水ではない、柔らかいもんが蜜とともに口の中に入ってきた。


「あっつ……熱すぎるよぉ……」


 シャワーを浴びたのかと疑ってしまうほど汗をかいた陽菜は、初めて出会って日からは想像もできないほど自分の心境を表情に出し、うなった。


 エアコンつけなくていいって言ったのは、陽菜のくせに。おかげでシーツがぐっしょりだ。

コインランドリー代もなかなかに笑えない額まで来てしまっている。


「髪、切ろうかな」


 陽菜はそのあまりにも綺麗すぎる髪をうっとおしそうにひらひら、じっさいはしっとりと濡れてひらひらなんてできないのだが、肌に張り付いた髪をなびかせる。


 ……なんでそんなに汗かいているのにいい匂いなんだよ。


「なんで?」


 陽菜のつぶやきに、俺は尋ねる。

 別に理由はないが、陽菜の独り言は、全て俺に向けて言っているから尋ねただけ。


「暑い、かゆい、蒸れる、邪魔、手入れが面倒くさい」


 この世で最も美しいといえるものに、簡単に文句を言ってのける陽菜に、俺はどこかさみしさを感じた。


「やだな」


 俺は何も考えず、そう答えた。


「なんで?」


 今度は陽菜に聞き返された。


「陽菜の髪、好きなんだよ」


 俺は陽菜の言葉を待たずして、陽菜の顔がどんな顔をしたのかも見ないで言葉を続ける。


「光に透けて綺麗なとこも、汗をかいて引っ付いてかゆいとこも、いい匂いがするとこも、抱きしめたときに柔らかいのも、全部好きだから」


 俺がなんの恥ずかしげもなく、ただ口が勝手に発した言葉を告げると、陽菜は少し驚いたような顔をして、そして、溶けるように笑って、幸せそうな表情を浮かべた。


「私の髪、すき?」


 猫のような声で甘えるように尋ねる陽菜。

 その言葉は、質問ではなく、ある言葉を言え、と言っているように聞こえ、俺はその希望通りの言葉を言った。


「好きだよ」


 時計の針のように告げた言葉が、陽菜の耳に溶けた。


「そっか、じゃあ、切るのやめる」


 それから陽菜は、髪を切らなくなった。

 もちろん、前髪とかは切っていたけれど、それでも、だんだんと伸びていく陽菜の髪が、二人の時間と、求め合った証、自分の遺伝子の照明ではなく、横山 陽の所有物であるということの証明、そして、好きなものの体積が増える喜び、何もかもが、陽菜の伸びていく髪に刻まれたようだった。


 陽菜の髪のような声で、陽菜は言った。


「好きだよ、ひーくん」


 ひーくん、そう言われたのは初めてだった。


連載再開したばっかりなのにたくさんの人に見て貰えたようでとても嬉しいです。

もう書くのがめんどうくさ……はい。頑張ります


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