付き合ってるの?
陽菜がこっちの高校に転校してきて二週間が経過した。
陽菜はあまりクラスになじめていない様子。
中学から変わっていない。
決して性格に難があるわけでも、意地が悪いわけではない。
他人と仲良くしようという気が全くないのだ。
そのくせ、俺にはやたらとなついているが。
しかし、そんな立ち振る舞いも、美少女がやれば絵になる。
陽菜が転校してきてから行われた美少女ランキングでは堂々の優勝を果たし、何度も告白もされている。
しかし陽菜は全く相手にすることはなく、しばらくするころには陽菜に告白を受けいれてもらえることはないだろう。と、諦める人がほとんどだった。
学校では、無口な陽菜だが、家に帰れば話は別だ。
「あ、ひーくん。おかえりぃ」
俺がバイトから帰ってくると、陽菜は必ず俺に駆け寄って抱き着いてくる。
「すんすん。別の女の匂いがしますなぁ。浮気ですかぁ?」
「まぁ、佳菜とちょっとね」
「え!?ほんとに浮気!?」
「そもそも付き合ってねぇ……なぁ、俺たちって、付き合ってたっけ?」
ふと、ここで疑問が浮かんだ。
俺と陽菜は付き合っているのだろうか。
中学時代はあんな性格を送っていたにもかかわらず、お互いに一度も恋人関係を望む告白はしていなかった。
でも、告白はしていないが付き合っているなんてこともありえるだろう。
どうせ陽菜のことならば、「付き合っている」とでもいうんだろう。
この子は愛が重いからなぁ。今はもう付き合ってないよって言っても受け入れてくれないんだろうなぁ。
なんて考えていたが、陽菜の口から出た言葉は意外なものだった。
「え?付き合ってないんじゃない?}
「え?」
「うそ?付き合ってると思ってたの?」
「いや、そういうわけじゃなくて……」
陽菜の返事が以外で、たじろいでしまう。
昔は陽菜のこと全部がわかるような気がしたのに、今は何を考えているかわからない。
「まぁ、ひーくんが付き合いたいっていうんだったらいいけどね?」
上目遣いのその言葉に、思わず心がドキドキしてしまう。
けれど、なんとか気持ちを自制する、というよりこれは冗談で自分をからかっているものだと言い聞かせる。
「遠慮しとく」
「そっか」
そう言って、陽菜は俺の身体を開放する。
「ねぇ、ひーくん」
「ん?」
「今日も一緒に寝ようね」
「あぁ」
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