はじめて
陽菜は処女だった。
驚くほどに簡単に入ることのできたラブホテルで、俺と陽菜は繋がった。
お互い初めてだったけれど、恐ろしいほどに俺たちは求めあった。
陽菜の身体はやわらかくて、小さくて、怖いくらいに細くて、吸い付くようにきれいだった。
きれいなものを自分に染めていくのは、当時の俺にとっては気持ちのいいものだったのだろう。
それは陽菜も同じのようで、終始何が起きているのかわからない様子で、混乱していた陽菜も、俺を抱きしめて離さなかった。
そんな深くて、怖くて、気持ちのいい夜を終えた俺たちの関係は、その後も続いた。
常に一緒だった。
もう、片方なしでは生きていけないほどに。
俺と陽菜は、ともに欠落していた。
陽菜の親は、だれかわからない。
陽菜を産んだのがだれなのか、陽菜自身知らない。
金髪の髪の毛の色から察するに、どちらかは日本人ではないのだろう。
自分が生まれたのは、一夜の間違いであったことは、幼いながらも陽菜は自覚していた。
避妊具の付け忘れで生まれた陽菜は当然愛されるわけもなく、離婚を繰り返す両親のどちらかに引き取れ、家を転々とする生活を続けていた。
陽菜の家に、居場所なんてない。だって、陽菜の戸籍上の親は、陽菜のことなんてお荷物だとしか思っていないのだから。離婚するときになれば、毎回必ず陽菜の親権の押し付け合いが起きる。
中学二年、陽菜を引きとることになった女は、新しい男を見つけ、結婚した。
その男は、あろうことか陽菜に欲情した。
陽菜はこう思った。
自分の初めてを世界で最も嫌いな人間に奪われるのならば、そこらへんの男にささげたほうがましだと。
別にお金に困っていたわけではない。
むしろ、家に帰ってきてほしくないのか、ご飯や時間をつぶすためにとお小遣いは同年代の子供よりも多くもらっている。
でも、売春という形のほうが、相手に遠慮されないと思ったからだ。
そして、初めてを捧げて稼いだお金で、自殺でもしてやろう。
そう思っていた。
夜の街を歩く男たち。
なんとなく、おじさんは嫌だったので、やつれた様子の若そうな人に声をかけた。
それが陽だった。
そして、陽菜は救われた。
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